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2014年06月03日
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カテゴリ: 羅刹
 能季にとって、兵藤太の存在は本当にありがたいものだった。

 物心ついたときから兵藤太が常に側にいてくれたおかげで、能季は母のいない寂しさをそれほど味わわずに済んだ気がする。

 従者というより、父であり、兄であり、友であり……兵藤太は能季にとって誰よりも身近で大切な人間だった。

 おそらく、血のつながりのある実の父や異母兄たちよりももっと。

 だが、そうだからといって、このままにしていて良いのだろうか。

 能季に仕えるために、兵藤太は自分の人生を棒に振ってしまっているのではないか。

 一家を構えて家族を持つという平凡な幸せも、本気になれば当然得られるであろう自分自身の栄達も、兵藤太は能季のために全て犠牲にしているように思えた。

 それでいいのか……釣殿から去っていく兵藤太の後姿に、能季はそっと心の中で呟いていた。


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最終更新日  2014年06月03日 16時10分23秒
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