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小銭入れに、ボックス型コインケースというものがある。
開くとマチが立ち上がって四角いコイン収納が現れるというもの。
↓こんなタイプ
これがなかなかの難物。
マチの形を間違えると小銭が漏れる。
寸法を間違えると小銭が漏れる。
マチの厚みを間違えると小銭が漏れる。
(小銭が漏れる小銭入れなど、使いたいと思う人がいようか?)
革の種類ごとに、ハリや革の折れ具合が違うので、本番に使うものと同じ革で試作を繰り返して、具合をチェックしなくてはならない。
例えばやわらかく薄いクロムのシボ革に芯材をいれたものと、張りがあって硬めのタンニンなめしヌメ革では、マチの重なりの厚みや革の折れ具合が違ってしまうので、同じサイズのものを作るにも別の型紙が必要になる。
(↓これは女性が片手で使えるよう、小型にサイズを調整し、柔らかいクロム革を薄く漉いてヘリ返しして作ったもの。内装には、モーツァルトの肖像と曲の刺繍を。)
もっとも、使い勝手を二の次にすれば、そこそこ簡単に作れる方法はある。
この小銭入れの、底に近い部分を見て欲しい。
上の2つはマチの下部分に折れ曲がった1段の蛇腹がある。
これがあるために型紙が難しくなり、マチが3方繋がっているがため、微妙な設計の差異で小銭が漏れるようになる。
この1段の蛇腹部分さえなくせば・・・
下の写真の小銭入れのように、フタから前側までを1枚の革で作り、左右に長方形のマチを縫い付けるだけで良い。
試作調整は、最初にマチを大きめに切り出して仮止めして、サイズを見てちょうどの大きさになるように縦横を切るだけ。こちらのタイプならば比較的簡単に作ることができる。
(↓新しい刻印を入手したので、そのスタンピングの練習がてら作ったもの。外装の革はワルピエ社のブラックワックス)
ハンドメイドとして販売されているボックス型コインケースは、この簡単タイプが多いと思う。
簡単にできる方法があるのに、なぜあえて蛇腹を入れるタイプで作るのか・・・
それは単なる自分の趣味・・・ではもちろんなくて、収納量が違うから。
この一段の蛇腹で、入るコインの枚数が全然違ってくる。
というか、蛇腹の無いタイプをタンニンなめしの硬めの革で作ると、本当に枚数入りません。
なので、一段つけて実用性能を上げたい。
だけど、コイン漏れもダメだし、見た目が不格好は嫌。
やはりこれも自分好みのシルエットが頭の中にあるので、その形に作り上げたい。
(↓試作品 段の折れ曲がり部分のシルエットがまるで潰れたカエルのようで、全く美しくない。やり直し)
ということで、試作10回くらい繰り返して、タンニンなめしのボックス型コインケースの最終試作が出来上がりました。
ハンドメイド&タンニンヌメ革でなければ出せない、ぽってりしたシルエット。ブッテーロの美しいグリーンを際立たせるナチュラルヌメのマチと白い縫い目。
この革のもつ魅力を多少なりとも引き出せたんじゃないか・・・と思います。
早速小銭を入れて持ち歩き、数日自分で使ってますが、コイン漏れもなく良好。
もう少し使って問題なければ、販売用を製作したいと思います。
LeatherWorks幸守
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