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2017.11.24
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カテゴリ: 中国

習近平に権力を集中させた中国はさらなる世界覇権を目指す  2017-10-31   真壁昭夫 ダイヤモンドオンライン

今年の共産党大会で、衰えの隠せない江沢民元国家主席をしり目に、 3 時間半もの熱弁をふるった習近平現国家主席(総書記)。この二人の対照的な姿は、今回の党大会の意味をよく表していた。それは、習近平国家主席への権限の集中が従来以上に進み、同氏を中心とする支配体制が強化されたことだ。

 昨年 10 月に開催された第 18 期中央委員会第 6 回全体会議( 6 中全会)で、習氏は “党中央の核心” と位置付けられた。 これまで、核心の称号を得たのは中国の「建国の父」と呼ばれる毛沢東、“改革開放”を重視し今日の中国経済の発展の礎を築いた鄧小平、および江沢民の三人だけだ。

 言ってみれば、今回の党大会で習氏は、“伝説の人物”の仲間入りしたことになる。 それまで習氏は、王岐山(前、中央規律検査委員会書記)の指揮による腐敗の取り締まりを進めて政治ライバルを退けてきた 。こうして着々と習氏の支配基盤固めが進んできた。その成果をいかんなく発揮したと言える。

 習氏の権力基盤は国内での支配体制の強化だけではない。それは、習氏の指導の下で中国が “悠久の中華思想” の実現を目指すことになったことを意味する。今後、中国は一段と世界の中で発言力を高めていくことだろう。

今回の共産党大会は、習氏の個人礼賛大会

10 18 日から 24 日までの中国共産党の党大会では、習近平国家主席への権力集中が一段と進むとの見方が圧倒的だった。実際の党大会を見ると、事前の想定以上に習近平氏個人に権力が集中していることが確認できる。

 党全体の統率力を高めることは言うまでもなく、 習氏への礼賛と服従までもが重視され始めたといえる。ある意味では、すべては党と国家の規範に基づくというよりも、すべては習国家主席個人の考え方に従うという発想のように見える。

それを端的に示したものが、中国共産党の憲法である “党規約”の決議文に、習氏の名前を冠した 「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」 が盛り込まれたことだ。“毛沢東思想”と同じく、“習近平思想”を党内に広めて思想教育を徹底し、自らの指導力こそが中国の恒久的な発展や栄華をもたらすというのがその主旨だ。

 それに加えて習氏は、 2 期目だけでなく、さらに長期的な目線で国家を統率していく基盤の整備にも成功した といえる。それを象徴するのが“強国”という言葉だ。党大会にて習氏は、 21 世紀半ばまでに、軍事・経済・文化などのあらゆる側面において世界のトップを目指すと表明した。

 これは、習近平思想を基礎とする中国の価値観を世界に広め、中国を中心に世界の繁栄を築くという考えの表れだろう。 政治局常務委員や政治局員に習派の人物が指名された中で、後継候補が指導部入りしなかったことも、長期的な視野で習氏が独裁体制を固めようとしているとも読み取れる

 今回の党大会において習近平中国国家主席は、毛沢東をはじめとする歴代の指導者と同等、あるいはそれ以上の権力を手に入れたとさえいえる。今後、習氏は自らへの崇拝と、さらなる独裁体制の強化に向けて経済の基盤強化を図ることになるはずだ。

世界での一段のプレゼンス高揚を狙う中国

 今後、中国は従来以上のエネルギーを注ぎ込んで、自国の影響力の強化と拡大に取り組んでいくはずだ。 具体的に中国が目指すのは、米国を上回る覇権を確立し、米国に代わる世界の基軸国家としての地位を確立することと考えられる。

中国は成長基盤の強化に向けて、 “一帯一路= 21 世紀のシルクロード経済圏構想”、“アジアインフラ投資銀行” などにアジアを中心とする各国の参画を募ってきた。今後も中国は自国を中心とする経済圏を拡大し需要の取り組みを重視するだろう。

特に中国が重視しているのは、 アジア新興国地域のインフラ開発需要 だ。それは多くの国にとって、喉から手が出るほど確保したい成長の源泉でもある。同時に、アジア新興国もインフラ開発への支援を必要としている。

中国はヒト・モノ・カネの側面からアジア地域発展を支援し、需要を囲い込もうとしていくだろう

 それに加えて、中国は産業全体の底上げも重視している。具体例が電気自動車だ。米国を除く各国が環境問題への関心を高めている中、 中国は他国に先駆けて環境に配慮した技術を実用化し、その基準に各国を従わせようとする可能性がある。 そうすることで中国企業は競争を有利に進めることができるからだ。

こうした中国の取り組みは、生産性の低迷による賃金の伸び悩みと、格差への不満増大に直面してきた主要先進国の政治家にとって魅力的に映るはずだ。中国が発言力の強化を推進し、アジア各国を中心に国際社会への影響力を拡大するにつれて、 中国の取り組みのおこぼれに与ろうとする国が増えることは想像に難くはない。

 実際に中国との関係を強化しようとする国が増えれば、習氏は、「自らの指導力こそが中国を中心とする世界秩序の整備と国際社会の安定を支えている」と功績を誇示することができる。そうした状況を作り出すために、中国に反発する国に対しては、海洋進出などを進めて軍事的な圧力をかけ、一定の恭順を求める戦略も取りうる。

多極化に向かう国際社会 と わが国のとるべき方策

 このように、中国が世界での発言力の向上を狙うことは、米国の総体的な地位の低下を意味する。それによって、国際社会の政治・経済・安全保障の体制が多極化に向かうことになるはずだ。

米国を基軸としてきた国際社会の運営が、米国、中国(およびそれになびく国)、ロシアなどに分散し始めると、利害の調整は一段と難しくなる。それは基本的に、不安定な状況になり易い。

 そうした展開を考えると、 わが国は、今後、米国への依存度を減らして自力で国益を守ることを真剣に考えるべきだ。そこで重要なポイントは、わが国の主張を理解し支持する“親日国”を一つでも多く増やしていくことだ。

 人口減少に伴って潜在成長率の低下が懸念される中、わが国にとって、 東アジアを中心にした外需の取り込み は喫緊の課題だ。北朝鮮問題が解決されていない中、いかにして極東地域の安全保障を確立するかも重要だ。

 そうした取り組みのためには、多国間協議の中でわが国の主張に賛同する国を増やすしかない。なぜなら、 基本的に国際社会の意思決定は多数決に基づくからだ。親日国の獲得に向けて、政府は経済外交を進め、アジア新興国へのインフラ開発支援を進めるべきだ。

 その見返りとして経済連携協定などを締結し、需要を取り込むことを目指せばよい。米国のトランプ大統領は、自国優先の政治を重視している。中国は力づくで需要を奪い取ろうとしている。それだけに、わが国がオープンかつ公平な態度で経済連携に向けた議論をアジア各国と進める意義は大きい。

 企業間の競争は熾烈化し、そのスピードも加速している。変化の速い状況に国全体で対応するためには、まず政府がアジア各国との関係を強化し、各国企業間の連携の深化を支える必要がある。

 それができないと、アジアだけでなく世界経済における中国の影響力が増大し、わが国がアジア・極東地域で孤立する展開も考えられる。その場合、わが国経済は厳しい状況に直面する恐れがある。

22 日の総選挙を経て、長期的な目線で経済基盤の強化に向けた議論は進めやすくなった。この機会を活かして、政府は国内の市場開放と規制緩和を進めて、アジア各国との緊密な関係を構築していくべきだ。






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最終更新日  2017.11.24 00:00:32
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