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BLUE’S MOODS/BLUE MITCHELL 一言でいって、たくあん。若者にはなかなかそのうまさが理解しがたい。焼き肉とかすしなら、嫌いでなければだいたい誰が食べてもうまいだろう。たくあんはそれ自体突出してうまいというわけではないが、うまい人にはうまいのだ。うまく感じるときがあるのだ。これは薄味でも小気味よい、さわやかなたくあんに似たジャズ?だ。ワンホーンの何の変哲もないハードバップなのだが、曲がどれも良い。のっけからI’LL CLOSE MY EYES、すばらしい!ウイントン・ケリーはサポートの天才。そのあとにはマイナー調の曲やブルースが続き何とも気持ちいい。5 SIR JHONのケリーのソロには脱帽だ。跳ねるスイング力は唯一無二で、マイルスが手放したくなかったのがよく分かる。ピアノをピアノらしく鳴らすセンスを持っている本物のピアニストだ。おとなしい地味な感じのミッチェルにきれいな色を付けて引き立たせている。ケリーは、要するにホーン奏者にカッコを付けさせる一流のスタイリストなのだ。
2003年10月16日
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CHET BAKER/LEE KONITZ IN CONCERT インディア・ナビゲーションという訳の分からないレーベルのライブ盤だが、内容はすごく良い。アルトとトランペット、ベースとドラムスの、何とピアノレスカルテットで、それゆえ得も言われぬ雰囲気が漂っている。いかにもどこぞの人知れぬ地下の暗がりで延々と繰り広げられていそうな感じの音だ。静かでシンプル。旋律を生み出すことに特化された楽器編成。何となくピアノ抜きでやんわりと始まったリハーサルが、いつの間にか熱気を帯びてきて本番になってしまい、気がついたら傑作が誕生していたのではないか?ホーン陣は二人とも肩の力が抜けているのに熱くスイングしているので不思議。①THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOUでは、ペッパーなど西海岸の連中がよくやったヒラヒラと蝶のように舞う掛け合いが美しい。音の紡ぎものができあがる様は圧巻。選曲も全曲スタンダードなのがうれしい。ふと登場するchetのボーカル④JUST FRIENDSが、何ともいえないほっとする感触を与える。彼はやっぱり何人でもへなへなと力を抜けさせる音の按摩師なのである。
2003年10月14日
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AT THE FIVE SPOT, VOL.1/ERIC DOLPHYドルフィーの音楽は定義しがたい。フレーズが特異であることとかマルチリード奏者であることとか、グロテスクな音楽だとかあまり核心的でない批評が多くなされてきた。しかし、この音楽をあれこれ批評しようという試みは無益である。音をそのまま浴びるように聴けばよい。カテゴライズが不可能な独自の音世界がそこにある。楽器を自分の口のように意のままに用いる完璧な操作能力があって、その上でその先にどういう音世界が開けるかを追求している。レベルの高い音楽家である。3The Prophetが白眉。クリフォード・ブラウンと同じく、こんな音楽家は二度と現れないのではないかと思う。ファイブ・スポットのライブ盤には、この盤のみが持ちうる独特の香り、肌ざわり、温度がある。ドルフィーは独自の新しい言葉を作り出していたことがわかる。聴くと外国語や方言を話す人と出会ったときの感覚に近い。言葉自体は聴き慣れなくても、何を言いたいかはわかるのだ。オーバーに言えば、地球外生命体が言葉を使わずに直接我々の意識に語りかけるかのような音楽だ。リトルのトランペットはドルフィーと同じく、表現形式の桎梏を飛び越えて直接聴くもののハートに飛び込んでくる熱を持っている。音には彼らの血液が脈打っているから、我々は目をつぶってその脈動を感じればよいのだ。音がまるで驚くべき新種の生き物のように訴えかけてくる。
2003年10月01日
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