BEST COAST JAZZ/CLIFFORD BROWN この盤は2曲しか入っていないが、ジャムセッションなので各人の長いアドリブを堪能できる。YOU GO TO MY HEADというこの曲は、数あるスタンダードの中でも最もコードチェンジが美しい部類の曲だろう。ブラウンは難なく吹きこなしており、目を見張るような創造力と歌心だ。途中胸をえぐるような情念の高まりを見せた後、一転、夕日がちらちらと最後の光を発しながら落ちてゆくごとく、最高に美しい旋律を描いて低音階に滑り込む。全体としてリラックスした雰囲気であるにせよ他の3人のサックスとはあきらかに格が違う。彼はやはり本当に天才だったのだと、納得せざるを得ない。要するに「即興力」の違いなのだけれど、その場その場でこれだけきちんとした音楽を組み立て作り出してしまうのは、やはり尋常ではない。ジャムセッションらしく他のブラウンの作品群よりは荒削りな仕上がりだが、そのぶん気楽に聴ける。