ART PEPPER with DUKE JORDAN IN COPENHAGEN 1981 ペッパー晩年のヨーロッパライブ。オリジナル曲は少なく、おなじみのスタンダード曲の数々を気持ちよく吹いている。ペッパーが熱いのはもちろんだが、リズムセクションがまたすごい。ドラムのカール・バーネットがドコドコッとなかなかの力演である。訥々としたジョーダンのピアノはハイテンポ曲では少々歯が抜けたような感じだが、⑥のYOU GO TO MY HEADなどのバラードでその真価を発揮している。つまり彼は枯淡の境地に入っているのだ。その枯れたジョーダンと、メラメラと燃え尽きようとするペッパーの対比がよい方向に出ている。バラードでのペッパーは、すべてを受け入れたかのような懐の深さ、なんともいえない暖かさを醸し出している。最後に残された時間、演奏できる幸福を噛みしめながら歌いつづける。「人生はそんなにやりきれないものではないよ」という心境がなんとなく伝わってくるようだ。とにかく本当に演奏したくてたまらなかったことがわかる。演奏意欲が基本的な「生きたい」という意欲とほぼ同一化するところにまで強まっていた点が、晩年の彼の特長だろう。生への愛が、思想によるゆがみのない形で率直に表出されているのを聴き取ることができる。