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司馬遼太郎さんは、著書の中でイコン画の天才・山下りんに触れ、こう言っていた。「芸術の才能とは病名のことではないかと思ったりする」さらには、「とりわけ大いなる才能が宿る場合、宿主の魂を高貴にする一方で、宿主をたえず動かして尋常ならざる人生を送らせてしまう」のだと。本作は、突出した才能が宿主たる芸術家を動かし、「最高に美しい姿を芸術に残す」という犯罪をテーマにした映画である。といっても、平凡な才能しか有しない我々には、その世界観は理解しかねる。但し、尋常ならざる事件の事実には、親子の情があり、人をかばうために、毒があるように擬態という嘘を身にまとう。こちらこそが、本作のモチーフであって、我々の共感できるところである。ラスト、息子の至が父への思いを書いたメッセージを油絵の中に上書きして隠す。父・史郎は、真実を知り、息子を殺めてしまったことに嗚咽する。実は、本作は、親子の物語そのものなのである。だから、子どもを持つ親の琴線に触れるのである。
2026.03.22
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加入している動物保険のアニコム社から、モヒうさぎさんあてのバースデーカードが届いた。うさぎさんがうたっちしているデザインで、姿・形といい、表情といい、モヒうさんさんに似ていて、思わず目尻を下げてしまう。この3月9日で、モヒうさぎさんも5歳か!うさぎさんの5歳とはどんなものなのだろうか?うさぎの平均寿命は、少し前まで7~8年と言われていたが、最近は10~12年ほど生きるうさぎもたくさんいるという。しかも、ネザーランドドワーフは、さらに寿命が長い傾向にあるという。うさぎのフード・グッズメーカーであるGEX社のHPには、うさぎの年齢早見表がある。これによれば、5歳は中年期、人間の年齢に換算すると46歳ということらしい。また、7歳になると僕の年齢を超えていくことに気づかされる。動物を飼うことの宿命とはいえ、順番にいけば、いつの日かモヒうさぎさんを見送ることになるのだろう。モヒうさぎさんが最後に大きな息をして目を静かに閉じる時、我が家に来てくれて良かった、幸せだったと思って欲しい。だから、これかも仲良く楽しく過ごしていこう。そう思いながら、いつも以上に念入りにナデナデした。
2026.03.14
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著者は生物学の研究者だが、自身で「ナキウサギの研究は私の伴侶」と語るほどのウサギ愛が溢れている。なんといっても、エゾナキウサギの観察のために、北海道置土町で4年間にも渡り、テントから見張っていたという、変態(良い意味で)である。羨ましくもあり、また、その実践力に感服する。そんな「うさぎオタク」の著者による本書は、うさぎの特徴(跳ね方、手、歯、食糞、長い耳)や、うさぎの生存戦略(捕食者からの逃げ方、出産・子育て)など、うさぎ飼いにとっては、どれも見逃せない話ばかり。我が家のモヒうさぎさんのルーツであるアナウサギ関連の部分だけ読もうと思ったけれども、とても、そんなわけにはいきません。ナキウサギ科も、ノウサギ続も同じうさぎとして見逃せない、そんな気分にさせてくれた。読んでいて、うちのモヒうさぎさんと同じだーと思ったのは、ニワンポでカラスの鳴き声がした時など、このまま隠れるているか(じっとしているか)跳びだそうか、と時合を計っているところ。「隠れつづけるか、逃げ出すかかの決断は、うさぎの運命を左右する微妙なものだろう。1分以内にこの生死をかけた結果が明らかになる」との記述に、読んでいる僕まで心拍数があがった。また、ニワンポの時に、同じところを行ったり来たりすることも。捕食者の追跡をかわす「止め足」のッ習性であることがわかった。但し、にわんぽではモヒうさぎさんは、もっぱら捕食者(オオカミ)の役で僕を追いかける立場なのに、「止め足」をするのは、今後の要研究だ。それにしても、アナウサギの利他的な行動には感動する。アナウサギは、捕食者から逃げる時、自分の存在を目立たせる白い尾を目立たせて跳ねる。また、仲間に危険を知らせる「地だんだ」も、捕食者からの標的となる確率を高める行為だ。自分と同じ遺伝子を残そうとする生存戦略とはいえ、ここまでできるものなのか。驚きである。我が家のモヒうさぎさんとニワンポする際に、本書のうさぎの特性を度々思い出すことだろう。忘れないようにメモしたら、20ページにも及んでしまった。1994年発行、既に30年以上前の本だが、全く古さを感じない。ウサギの不思議と、ウサギのしたたかさ・必死さを知り、モヒうさぎさんをナデナデしながら、本書で得た知識や感動を思わず語ってしまいそうだ。「うさぎの不思議な生活(アン・マクブライト著)」や「ウサギ学(山田文雄著)」を超えた、ウサギの学術書として僕のベストだ!
2026.03.08
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2月も先月に引き続き9冊読むことができた。相変わらず、寝床では本を開いたとたんバタンキューでページが進まないが、それでも、翌日の読書意欲を掻き立てる場になっている。おかげで、通勤時間は本が読みたくて仕方がない。今月読んだのは以下のとおり。内訳は、ストーリーコンテンツ(小説・エッセイ)が5冊、事実・主張コンテンツ(ビジネス書・新書)4冊。また、分野別では、文芸5冊、歴史2冊、行政1冊、生物1冊だった。①羽田と成田(前田隆平著/時事通信出版社) ★★★★★ 今月の第1位!②神坐す山の物語(浅田次郎著/双葉社) ★★③日本史のなかの千葉県(吉野健一編/植野英夫ほか著/山川出版社) ★★★④愛犬幸福論(高橋三千綱・落合恵子・浅田次郎・村山由佳ほか著/PHP) ★★★⑤ナマケモノは、なぜ怠けるのか?(稲垣 栄洋著/ちくまブリマー新書) ★★★⑥向田邦子全集・エッセイ五~夜中の薔薇~(向田邦子著/文藝春秋) ★★★⑦保科正之(中村彰彦著/中公新書) ★★★⑧君のクイズ(小川哲著/朝日新聞出版) ★★★★ 今月の第2位!⓽向田邦子TV作品集~阿修羅のごとく~(向田邦子著/大和書房) ★★※★印は評価(★~★★★★★)月初に読んでから時間が立つのに、今も強烈に印象に残っているのが①。国土交通省の航空局長まで登り詰めた著者の、丁寧な文書の中にも、航空行政のプロとしての官僚の矜持があふれている。国際線は成田という原則を守りながら、時代の変化や我が国の国際競争力の観点から、「定期チャーター便」という概念矛盾のような手法を使って、柔軟な対応をしていく姿がリアルに描かれている。⑧では、先月に読んだ「言語化する小説思考」で述べられていたことが、実践されていることを確認。特に、「見えた世界を抽象化し、別の世界に置き換えて個別化する」ことを、人生経験こそが生きてきたことの証ということを、クイズ大会を通じて見せてくれる。ストーリーも面白い。主人公の気分になって、クイズというものの深さを知った。なんだか、クイズ研究会出身のA君や、Uさんに本書の感想を聞いてみたくなった。歴史は今を考えるヒントになる。③で、縄文時代「ほぼ島」だった千葉県が、その後も、東京湾と香取海により、西日本や東北・北関東等の影響を受けていることを再確認。江戸時代になって利根川が東遷した後も、水上交通こそが千葉県の産業を発展させてきた。現代は成田空港だろうか?千葉県は物流のハブであり続けている。⑦。保科正之の人生はなんという劇的なものであろうか。先進的な民政の施策もあって、著者がいうように、もっとフォーカスされてもいいのではないかと思った。なんだか無性に会津に行きたくなった。
2026.03.01
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