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《林〔房雄〕氏にあっても、大熊〔信行〕氏にあっても、幕末から日露戦争にかけての日本の戦争の根本的には防衛的な性格と、朝鮮併合以後の日本の戦争の本質的に侵略的な性格とのあいだの質的な相違が完全に無視され、どちらも『西方とのたたかい』であったという一点から、すべてが同一視されている。この堅白同異(けんぱくいどう)の弁の上にこそ、日本が中国、フィリッピン、インドシナ、ビルマ、インドネシアを侵略した太平洋戦争もまた、「東漸する西方」に対抗しなければならなかった日本民族の、抵抗することのできない「悲壮な運命」であったという『百年戦争史観』が成立しているのである》(淡徳三郎(だん・とくさぶろう)「現代のナショナリズム」:『再建』(日本自由党中央機関紙):国立国会図書館デジタルコレクション、p. 39)
※堅白同異の弁:是非曲直を言いくるめて、論理をねじ曲げること
日清・日露までは<防衛>で、朝鮮併合以降は<侵略>だと言うのは、作家司馬遼太郎氏の歴史観「司馬史観」と軌を一にするものだ。が、防衛か侵略かで幕末以降の日本の戦いを語るのは、的を外している。
日本が朝鮮、満洲と勢力圏を広げていったのは、侵略するためではない。ソ連が南下し、日本を蚕食(さんしょく)するのを阻止するための「緩衝帯」を築くためのものだった。大陸に進み出たことをもって<侵略>と言うのならそうなる。が、それはソ連の脅威から身を護るための万やむを得ぬ手段だった。
一方、石油や資源を求めて南方に進み出たのは、<侵略>的要素が強いと言えるだろう。が、この「南進」は、コミンテルンのスパイ・ゾルゲや尾崎秀実による誘導も大きかった。ソ連の南下を防ぐことに専心されては困るので、「南進論」を唱えたのだ。
ここには、陸軍と海軍の確執の問題もある。「北進論」は、陸軍の専売特許であり、海軍の立つ瀬はない。一方、南進論であれば海軍も活躍できる。だから、海軍が南進論に乗っかったという事情もある。
また、大東亜戦争が、対米の太平洋戦争と同時進行になってしまったのも海軍の問題である。海軍は、戦争に否定的であったかのような話が実(まこと)しやかに語られるが、話は逆である。日本と英米を戦わせて漁夫の利を得ようとするソ連の策略に手を貸したのが海軍だった。詳しくは、続編で。
《これは、その提唱者が、どんなに弁解しようと、明らかに太平洋戦争の是認と弁護につらなる思想であり、提唱者が欲すると否とにかかわらず、大日本帝国に郷愁を感じている人々を喜ばせ、勇気づける思想である》(同)
かの戦争を「太平洋戦争」と呼ぶ淡は、GHQに洗脳されている。私は、2正面戦争であったことを明確にするため「大東亜・太平洋戦争」と呼ぶが、日本は、東條内閣が「今次ノ対米英戦争及今後情勢ノ推移ニ伴ヒ生起スルコトアルヘキ戦争ハ支那事変ヲモ含メ大東亜戦争ト呼称ス」と閣議決定をした通り、「大東亜戦争」を戦ったのであり、米国はそれを糊塗(こと)するために、「太平洋戦争」と呼称し直させたのだ。
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