全47件 (47件中 1-47件目)
1
30年札幌五輪招致 秋元市長「現状のまま進めていくのは厳しい」札幌市が招致を目指す2030年冬季五輪・パラリンピックについて、IOC側が札幌開催は「困難な情勢」と日本の招致関係者に伝えたことに関し、札幌市の秋元克広市長は15日、「現状のまま進めていくのは厳しい状況」との認識を示した。招致を目指す大会については「30年を34年にするとか、そういう結論を持って進めているところではない」と述べた。札幌市内で記者団に答えた。秋元氏は東京五輪を巡る汚職・談合事件で五輪不信が高まっていることを踏まえ「(30年大会招致への)支持率が落ちており、今の状況のままでは招致活動を進められない」と言及。そうした情勢についてはJOCとも「同じ意識でいる」との認識を示した。五輪の運営方法の改善策を示し、今後も市民の理解を得ていく考えも強調した。---私は東京都民なので札幌オリンピックに賛成か反対か、ということをあまり大声で主張しても仕方がない部分はあります。でも2021年の東京オリンピックで、コロナ禍の中一般国民には行動制限を求める一方でオリンピックだけは「特別扱い」にしたこと、巨額の赤字を残し、今後も施設維持の出費が続くこと、そしてオリンピック終了後に表面化した汚職など、まさに汚れ切ったオリンピックになったことについては、きわめて腹立たしいものがあります。東京オリンピックでは、最終的な経費1兆4千億円余とされていますが、会計検査院はこれ以外に、国立競技場の建設に伴う調査費や周辺施設の移転費用、大会施設の改修補助金、日本代表選手の強化費用や開会式の航空自衛隊「ブルーインパルス」によるカラースモークの実施費用なども経費に含めるべきと指摘しており、その合計が3000億円近くあります。なので、実際に経費は1兆7千億円以上となります。それに対して、収入は6400億円しかありません。残りはすべて東京都と国が負担しています。東京都が6000億円弱、国が1900億円弱ですが、そこに会計検査院が指摘した「隠れ経費」を加えれば約4700億円になります。これだけの費用を、結局は都民、国民が負担しています。これほどの赤字を残しながら、同種のスポーツイベントをまたやりたいと考える神経は、私には理解不能です。ただ、さすがに北海道でもオリンピックに対する世論はかなり厳しいようです。世論調査の結果は時期と調査主体によってかなりバラバラですが北海道新聞1月8日札幌オリンピック、札幌市民反対52%+どちらかと言えば反対15%、北海道全体反対42%+どちらかと言えば反対19%でいずれも反対が6割超読売新聞3月7日札幌オリンピックに全国では645賛成も北海道では反対が5割超朝日新聞3月20日全国では「賛成」が60%、「反対」が33%と賛成の方が多かった。地元の北海道も「賛成」が「反対」をやや上回った。というわけで、朝日の調査を除くと、北海道では反対多数、特に札幌では反対多数であり、朝日の調査でも賛成が圧倒的ではなく、「やや上回った」程度にすぎません。開催するのはあくまでも札幌市なので、全国で賛成多数というのはあまり意味はありません。北海道、札幌という実施主体となる自治体の住民に反対の声が大きいということは、実質的にはオリンピックの招致は無理だ、ということです。で、住民は2030年の札幌オリンピックの招致には反対だけど2034年の招致なら賛成するのでしょうか?聞いてみたわけじゃないけれど、そうは考え難いですよね。日本の財政状況も(北海道、札幌市もおそらく大同小異でしょう)、先になればなるほど厳しくなることが容易に予想できるので、2030年に困難なものが、2034年ならやりやすい、という可能性も乏しいように思います。というわけで、姑息に2030年はあきらめて2034年に、などというのではなく、ここはきっぱりとオリンピック招致は白紙に戻すことが必要でしょう。
2023.04.16
コメント(0)
受発注一体で受注調整か 五輪談合疑惑、大会運営局元次長も家宅捜索東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が発注したテスト大会の計画立案業務の入札で談合が行われたとして、東京地検特捜部と公正取引委員会は25日、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で、大手広告会社「電通」とイベント会社「セレスポ」の本社を家宅捜索した。特捜部は大会組織委元幹部の自宅も捜索した。組織委では、電通やセレスポからの出向者がテスト大会の担当をしており、発注側と受注側が一体となって受注調整をした疑いがある。談合の疑いがあるのは、組織委が2018年に発注したテスト大会の「計画立案、計画支援業務」。組織委は競技会場ごとに計26件の一般競争入札を実施し、電通とセレスポを含む広告5社とイベント会社4社の計9社が落札した。落札総額は計約5億3000万円で、1件当たりの落札額は約6000万~約400万円。電通はさいたまスーパーアリーナなど5件(落札総額約8000万円)、セレスポは国立競技場など5件(同約1億1500万円)を落札。広告会社では、組織委元理事の高橋治之被告に賄賂を渡したとして前社長らが贈賄罪で起訴された「ADKホールディングス」が特捜部に談合を認めたとされ、約1億円で3件を落札していた。特捜部などは電通、セレスポ、ADK以外も談合に関与した可能性があるとみている。特捜部は汚職事件の関係先として7月に電通を捜索しているが、今回は容疑対象として捜索した。また、組織委側で家宅捜索を受けたのは、テスト大会の運営を担った大会運営局の元次長。関係者によると、同局には落札業者からの出向者が在籍し、入札前に企業側が希望する競技会場を反映した「割り振り表」を作成していた。この表は電通など受注側に共有されていたといい、特捜部は受注調整を裏付ける証拠とみている模様だ。(以下略)---高橋被告の収賄に続いて、今度はテスト大会計画立案で談合だそうです。それも、官製談合、つまり発注した組織委が関与した形での談合です。とんでもない話ですが、すでに高橋被告の収賄で感覚がマヒしてしまい、「またか」と思ってしまいそうになります。そして、汚職体質が高橋被告個人だけの問題ではない、ということも、これで明白です。しかし、この談合、テスト大会だけなんでしょうか?本大会では起こらなかったんでしょうか。どうも私には信じられませんが、あるいはテスト大会で「割振り」済だから本大会は改めて談合をやり直さなくても「あうんの呼吸」で丸く収まった、ということなんでしょうか。フランス司法当局から贈賄容疑で刑事訴追されている竹田前JOC会長もこの談合問題で再度疑惑が取りざたされているようです。いずれにせよ、真っ黒に汚れ切ったオリンピック、という事実だけが明白です。オリンピック組織委が何故「みなし公務員」として贈収賄や談合を禁じられるのか、それは多額の公費を投入する事業だからにほかなりません。「愛国心は悪党どもの最後の隠れ蓑」という言葉があります。オリンピックで国威発揚のナショナリズムをくすぐり、多額の公費を投入させ、莫大な赤字を残し、たいした「特需」もなく(コロナ禍の特殊事情のせいもありましたが)、こうして一部の関係者だけが甘い蜜を吸って私腹を肥やす、実に薄汚い話です。そういえば、元JOC会長の竹田の息子と言えば、言わずと知れた竹田恒泰、明治天皇のひ孫を売り物にする「保守」(極右)言論人です。いいところで父親が辞任に追い込まれたけれど、それまではおいしい商売をしてきたんだろうなあ。東京オリンピック構想をぶち上げた石原慎太郎も、推進した安倍晋三も、この世の人ではなくなったけど、まったくやっかいなことを始めてくれたものです。そして、こんな惨状にもかかわらず、2030年冬季オリンピックへの札幌の立候補を取りやめるという報は聞きません。よほど利権がおいしい、ということでしょうか。東京オリンピックだけでも莫大な赤字を残し、札幌だってそのリスクは高いわけです。もはや日本にオリンピックなど金輪際呼ばないでほしい、と私などは思うんですけどね。
2022.11.29
コメント(0)
森元首相の胸像建立募金“すでに5000万円”! 女性蔑視発言、汚職疑惑を抱える人物に「なぜ?」の大合唱《森喜朗先生は、総理大臣、文部大臣を歴任され、(中略)わが国のスポーツ界を牽引してこられました》《東京オリンピック・パラリンピック競技大会の招致のみならず、コロナ禍と言うかつて経験のない厳しい状況下での開催の素地を作り、結果、多くの感動を国内外の人々に与えたのはつい最近の事でした》9月7日、森喜朗元首相の胸像を建立する計画が発表された。「5月吉日」に関係者間に配布された「森喜朗先生 顕彰胸像建立事業について」という案内状には、森氏の経歴に対する最大限の賛辞が書き綴られている。発起人には、キヤノン会長兼社長の御手洗冨士夫氏、東京五輪・パラリンピック組織委員会会長だった橋本聖子氏、元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏ら、15人が名を連ねるが、すでに銅像建立に賛同する募金がかなり集まっているという。「5月から、一口5000円の募金が募られています。募金の窓口は一般には公開されておらず、関係者から募っているのですが、お盆の時点で5000万円は集まっていました」(元五輪組織委員会関係者)胸像の制作費用は200万円程度とされ、9月末まで募金期間を残し、すでに十分な金額が集まっているわけだが、ネット上では180度違った“怒りの声”ばかりがツイートされる異常な事態となっているのだ。~「森氏に対しては、日本オリンピック委員会の臨時評議員会での女性蔑視発言や、オリ・パラ汚職事件で逮捕されたAOKIホールディングス前会長の青木拡憲容疑者から200万円を手渡されていた疑惑など、さまざまな批判があります。そういった人物への銅像建立の発表に、批判が集まっているのでしょう」(政治部記者)もしかすると将来、胸像は東京五輪の最大の「負の遺産」といわれるかもしれない。---いやいや、実に素晴らしい話じゃないですか。あの東京オリンピックというものの体質を示すにふさわしい出来事です。森と言えば女性に対する蔑視発言で組織委のトップの座を追われた人物ですが、以前にも書いたことがありますが、発言が批判を浴びて森が辞任の意向を示した際に、組織委が慰留して翻意させたと報じられています。結局は火に油で批判が拡大してやはり辞任に追い込まれたわけですが。その件からも明らかなのは、東京オリンピック組織委の中枢にいた人たちは、森の一連の行動も発言も、全然問題だとは思っていないわけです。今回の件からも、改めてそのことがよく分かります。たまたま発言が表に出て批判されて辞任に追い込まれて惜しい、残念、かわいそう、くらいにしか思っていないわけです。まあ、蓼食う虫も好き好き、です。もちろん、こんなものを公費で作るとなったら絶対に許さないですが、物好きが金を出し合って作るなら勝手にしろ、としか言えません。できることなら、完成の暁には森元首相が逮捕されていたら実に素晴らしいのですが、今の時点では参考人聴取されたという報道はあるものの、逮捕されそう、という状況ではないようです。ちょっと残念なことですが。で、どこに設置するんですかね。まさか公共の場に設置とかは絶対にやめていただきたい。そんなことをするなら、歓喜のあまりペンキでもぷっかてけて祝ってあげたくなってしまいますから(もちろん、思うだけで、そんなことを実行するのはさすがに自重しますけど)。それにしても、女性蔑視発言も許しがたいものでしたが、今回の一連の汚職の経緯を見ると、オリンピックのスポンサー契約をめぐって、森が講談社に対して敵意をむき出しにして「絶対に認めない」と公言し、その結果ライバルであるKADOKAWA(角川書店)がスポンサー契約をとったと報じられています。そして、そのKADOKAWAの役員が、組織委の高橋理事への贈賄(AOKIに次いで2件目)で逮捕されたわけです。そして、最初に表面化したAOKIの件では、役員から森に200万円が提供されたと報じられています。森に、直接的な法的責任があるかどうかは、現時点では分かりません。ただ、道義的には「真っ黒」です。もっとも、すでに議員の地位を退いている森にとっては、どんなスキャンダルも自分の身分に影響を及ぼさないから、逮捕される以外は痛くもかゆくもないのでしょうが。書いているだけでも腹立たしいですが、いずれにしても、こういうことを平気で容認してきた人たちが差配したのが東京オリンピックだった、という事実は、我々が心にとどめておくべきことであろうと思います。森の辞任後に組織委の会長になったのは自民党の橋本だし、今回の胸像の発起人でもある、というのだから、いっそのこと、森元首相の胸像は、自民党本部にでも設置したらいいんじゃないでしょうかね。
2022.09.10
コメント(0)
2030年冬季オリンピック開催地、12月に絞り込み…札幌やバンクーバーなど候補IOCのトーマス・バッハ会長は20日、スイスのローザンヌで開かれた総会後に記者会見し、札幌市が招致を目指す2030年冬季五輪・パラリンピックの開催候補地を今年12月に絞り込み、来年5~6月にインドのムンバイで開かれる総会で正式決定する見通しを明らかにした。五輪の開催地はIOCの「将来開催地委員会」が招致を目指す都市とそれぞれ協議し、準備が整ったと判断した都市を理事会に推薦する。理事会が承認すれば、総会に提案される。~30年大会は、過去に五輪を開催した経験がある米国のソルトレークシティー、カナダのバンクーバーのほか、スペインのカタルーニャ州がアラゴン州との共催で招致を目指している。---コロナ禍の最中に無観客で開催された東京オリンピックが終わって、まだ1年も経っていませんが、9年後の冬季オリンピックに札幌が立候補したいのだと報じられています。えーーーーーっと思います。そもそも、無観客開催となった東京オリンピックは、巨額の赤字が出ています。東京五輪・パラ 開催経費は1兆4530億円 予算を下回る見通し東京オリンピック・パラリンピックの開催経費について、大会組織委員会は現時点で1兆4530億円となり予算をおよそ2000億円下回る見通しだと発表しました。経費の負担は組織委員会と、東京都、国の3者が分担することになっていますが、新たな経費負担は生じない見通しです。東京大会の予算は、去年12月に公表された段階で総額1兆6440億円に上り、組織委員会と東京都、国の3者が分担することになっていました。その後、東京大会はほとんどの会場で無観客での開催となり、観客に対する新型コロナ対策費や警備や輸送にかかる費用などが少なくなったことや、大会の簡素化や契約の見直しなども進めた結果、現時点での開催経費の総額は1兆4530億円と、予算をおよそ2000億円下回る見通しになりました。一方で、組織委員会はチケット収入のほとんどがなくなったことなどの影響で実質的な収入が717億円減り、この不足分などは支出の抑制と都が628億円を支出することで対応し、組織委員会の負担額は6343億円となる見通しです。---何だか、まるで当初予算から2000億円も費用が減ったかのようなニュースですが、実際には2013年の招致時点では予算額は7340億円とされていました。それが直前の見積もりでは2倍以上に膨れ上がっていたところ、決算では、その膨らみ切った予算からほんの少しだけ減った、というだけの話です。最初の予算案からはほぼ2倍の金額です。しかも、無観客になって収入が減ったことに応じた支出の減少がその大半を占めているようです。では収入はというと、組織委の収入は最終予算見積もりでは7200億円でした。そこから無観客試合となったことでチケット収入が消え、決算では6300億円余となっています。差額の8000億円以上が赤字で、東京都と国が負担します。要するにかかった費用の半分も収入はなかったということです。しかも、赤字はこれだけではありません。この大会のために作られた施設のうち、今後も恒久的に運営される予定の6施設のうち、5施設が赤字見込みで、その額は毎年7億円以上とも報じられています。また、高額の放映権料を払った放送局のうち、少なくとも日本国内の民放各局については赤字だったと報じられています。払った放映権料の元が取れるほどの広告収入が得られなかった、ということです。放送局の赤字はともかくとして、国と都が背負う赤字は結局都民、国民の税金で補填されるわけです。是非オリンピックに熱烈に賛成した皆さんの浄財で赤字を補ってくださいと言いたくもなりますが、そうはいかないのが現実です※。※もっとも、真面目に私は「東京オリンピック後始末債」でも売り出してほしいもんだと思ってます。もちろん、私はびた一文払う気はありませんが、オリンピック熱烈賛成だった皆さんが、全国で100万人、1人1万円買えば100億円くらいになり、その分税金の負担が多少は減りますからね。まあ、それでも8000億円の赤字から見ればわずかな額にしかなりませんが。で、そのあたりの検証も後始末もされないうちに、今度は札幌がオリンピックに立候補したいのだそうです。北海道と札幌市の予算だけでやるなら好きにすれば、と言いたいところですが、現に東京オリンピックでも多くの国費が投入されているのに札幌は国費なし、とはなるはずがありません。さすがにコロナ禍は2030年には終息しているでしょうが、そのときの国際情勢や日本社会がどうなっているかは、誰にも読めません。この種の超巨大スポーツイベントに小さくはないリスクが伴うことが明らかとなった今、それでも、たった8年後にまたオリンピックをやりたい、やろうという神経は、正直私の想像を絶します。なにかあったらいくらでも公費で穴埋めする前提でのオリンピックなんて、いい加減にしてほしい、私が思うのは、それに尽きます。
2022.05.31
コメント(4)
東京五輪反対派に聞いてみた「なぜ北京五輪ボイコットには声を上げないのか」来年2月の北京五輪を巡り、中国の人権侵害に反発する各国が続々と外交的ボイコットを表明。すでに米国、英国、オーストラリアが政府高官らを派遣しない方針を示しており、岸田首相も実質的に不参加を表明した形だ。 一方、SNSでは今夏の東京五輪中止を求めた反対派が北京五輪に関して声を上げていない点を指摘。また、タレントのつるの剛士はフジテレビ系「ワイドナショー」で「あんだけ(東京)オリンピック反対、反対って言ってた人たちが、今回に関して全く何も言わないことにすごく違和感があるんですよ」と話していた。そこで本紙は東京大会中止のデモを行っていた「オリンピック災害おことわり連絡会」の男性を直撃。北京五輪ボイコットへの見解を問うと「その議論には一切、参加しません」と言い切った。その理由は?「私たちは五輪そのものに反対しているので、日本が外交的に参加するか否かは本質的な問題ではない。五輪の在り方と中国の人権問題は全く別の話です。結果的には北京五輪反対という同じ主張になっていますが、中国が悪いから五輪をボイコットするっていう意見と一緒にされたくないです」男性は40年間にわたって平和運動を続け、IOCの体質を疑問視。未来永劫、五輪をなくすことを主張している。(以下略)---いやあ、記事の内容に失笑するしかありません。だって日本がオリンピックを主催することの是非外国が主催するオリンピックに参加することの是非この二つは相当に異なった問題でしょう。その全然違う問題を強引に結び付けて悦に入っているのは、「頭が悪い」としか思えません。そもそも、東京オリンピック中止を主張した政党である日本共産党は、北京オリンピックについても「外交的ボイコットを」と声を上げています。「(北京オリンピックに)何も言わない」という事実認識自体がすでに的外れなものです。ただ、東京オリンピック反対派は別に一枚岩ではないから、その主張は千差万別です。共産党は東京オリンピックに反対した勢力の一部に過ぎないし、引用記事が紹介する「オリンピック災害おことわり連絡会」ような意見もまた一部でしょう。東京オリンピックに反対したけど北京オリンピックのボイコットは主張していない人が大勢いるのも確かでしょう。たとえば私も、こんなに小さな無名のブログではあるけれど、東京オリンピックに疑念をを示し続けた人間の一人です。しかし、私は「オリンピック災害おことわり連絡会」とは異なり、「オリンピック自体に反対」という意見は持ち合わせていません(もっとも、オリンピック自体に反対ではないけれど、好意的な意味での興味関心もありません。ロンドン以降の各オリンピックの中継を私はほとんど見なかったし、北京オリンピックも多分見ないでしょう。)。外交的ボイコットに関しては、中国の行状を見るにつけ「これではボイコットの動きが出てくるのも当然」とは思うし、だから日本政府が閣僚を派遣しないことには賛成です。しかし、「北京オリンピックをボイコットせよ!」と声高に主張する気もないので、その限りでは北京オリンピックに対して何も言っていません。何故か?私が東京オリンピックに疑念を抱き続けた理由は以下の三点に尽きるからです。1.莫大な開催費用が赤字として残り、それは結局都民、ひょっとすると全国民の負担になるから。2.コロナ禍の中で外国から大規模な選手団、取材陣(もし無観客開催になっていなければ観客も)が来れば、感染拡大は必至だから3.全国民に「不要不急」の外出や外食自粛などの禁欲生活を強いておきながら、オリンピックだけ別腹という、「オリンピックのために私の楽しみを奪われる」ことへの感情的反発これは私個人の考えですが、オリンピック反対派の最大公約数的な反対理由も、この3点からそう離れたものではないでしょう。オリンピックへの反対論が急激に拡大したのは、(感染爆発が起こっていた7月末当時の)「今、このタイミングで日本でのオリンピック開催」だったことが最大の理由だったことは明白です。で、この3点とも、オリンピックが日本で開催されるから問題になるのです。外国でやるオリンピックは、日本人にとって、国内開催に比べれば良くも悪くも影響は小さい。具体的には1.北京オリンピックにどれだけ赤字が出ようが、それを払うのが中国だから、困るのは日本ではない。2.感染爆発が起こるのは開催国であって日本ではないし、そもそも国内で緊急事態宣言が出ていた7月当時と、オミクロン株の心配はあるけれど、感染者数が大幅に減って緊急事態宣言が解除されている現在では状況も全然違う。3.外国のオリンピックは日本国内の自粛生活とは関係がない。そもそも今は普通に外に飲みに行ったり演奏したりしているから、オリンピックのために私の楽しみは奪われていない。もっと身もふたもないことを言えば、人間があらゆる方面に等しい興味関心を抱いているはずがないのです。私が東京オリンピックと違って北京オリンピックについて特段何も主張しないのは、北京オリンピックが(良くも悪くも)私の興味関心の射程圏外にあるからです。日本に住む人間であれば、外国で行われるオリンピックより、自分の国で行われるオリンピックに、賛成・反対のいずれの方向であれ、より大きな関心を抱き、賛否の意志を強く抱くのは全然不思議なことではありません。そんなことは、本来こんなに長々と説明しなくても、たいていの人は直感的に理解できるものだと思います。それを、「東京オリンピックに反対した人間が同じ熱量で北京オリンピックに反対しないのはおかしい」なんて、言っている人間の頭がおかしいというしかありません。
2021.12.24
コメント(3)
小山田圭吾「いじめ自慢が世界に報道」され東京五輪に大打撃東京オリンピック・パラリンピック開会式の楽曲を担当するメンバーに選ばれているソロミュージシャン「コーネリアス」こと小山田圭吾の“いじめ自慢”騒動が炎上し続けている。(以下略)ーーーパラリンピックの音楽を担当する音楽家が、障害のある同級生をいじめてました、とか、あまりに洒落にならない状況と思っていたら、それに輪をかけて菅首相「言語道断だ」 小林賢太郎さん解任東京オリンピックの開会式の演出の調整役だった元お笑いタレントの小林賢太郎さんが過去にユダヤ人大量虐殺をネタにしていたことがわかり、組織委員会の橋本会長が小林さんの解任を発表し謝罪しました。これを受けて菅首相が22日午後、記者団の取材に応じ、「言語道断だ」などと述べました。(以下略)ーーー演出の調整役がユダヤ人虐殺をネタにしたお笑いをしていたそうで、なんというかもちろん両方の事例ともに言語道断なのですが、何でよりによってこんな人を選んでしまったのか?それをこの期に及んで外部からの批判にさらされるまで誰も何とも思わなかったのか、という点で、「言語道断」という言葉は組織委自体に向けられるべきなんじゃないかね、と思ってしまいます。そしてもちろん、首相も他人事のように「言語道断」と言っていられる立場なのかね、と思いますね。まあしかし、この期に及んでどうするんでしょうかね。ちなみにこの記事は事前作成原稿で、まだ実際の開会式が始まる前に書いています。私は開会式を、少なくともリルタイムで見るつもりがないので(好き嫌いのもない以前に外出中です)、実際の開会式の出来不出来はコメントできませんが、ふつうに考えて一日や二日でリハーサルもなく、いきなり演出を変えるなんてできないでしょうね。まあ、コロナ対応も含めて、オリンピックの歴史上まれにみる、「すごい事態」であることは間違いないでしょうね。もちろん、悪い意味でです。
2021.07.23
コメント(2)
橋下徹氏、ロッキン中止なら五輪も中止にしないと「国民は言うこときかない」元大阪市長で弁護士の橋下徹氏が8日茨城県医師会の要請で夏フェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL2021」が中止となったことに「オリンピックをやるならロッキンはやる、ロッキン中止ならオリンピックも中止としないと統治不能になる」と訴えた。番組では茨城県医師会の要請で「ROCK-」が開催1カ月前に中止を発表したことを伝えた。茨城県医師会側は「感染拡大状況に応じて開催の中止または延期を検討すること」「仮に開催する場合であっても、更なる入場制限措置等を講じるとともに、観客の会場外での行動を含む感染防止対策に万全を期すこと」の2点を要請。主催者側は「要請に十全に応えることは出来ない」とし、「中止以外の選択肢はありませんでした」と無念さをにじませ中止を発表していた。これに橋下氏は、ロッキン中止に「主催者の判断を批判するつもりはない」と前置きした上で、「オリンピックをやるならロッキンをやる、ロッキン中止ならオリンピック中止。どちらかをやらないと、多分国民は言うことを聞かないし、統治不能になると思うけどね」とコメント。さらに「はじめからオリンピック無観客ならそれなりの理由があるかもしれないが、それも政府は発信してないし、医師会という団体がロッキンみたいなイベントの開催の決定に関与して決めてしまうのはおかしいと思う」とも意見---私は橋下徹および維新は大嫌いであり、その主張のほとんどすべてに反対です。が、この言い分はまったくそのとおりだとしか言いようがありません。安倍は「オリンピックに反対するのは反日」などと阿呆なことをほざいたけれど、そりゃ確かに主義主張に基づいてオリンピックに反対する人もいる。けれど、残念ながらそれだけではオリンピックに対してこれほど強い逆風の民意は吹かないのですよ。俺たちの日常の楽しみが緊急事態宣言で奪われるのに、なんでオリンピックはそのままなんだ飲食店では酒は出すな、でも選手村では酒が飲めるとはどういうことだ偉大なるオリンピック様のために卑小なる下々の者は日々の楽しみを我慢しなさい、ってことかよこういう不公平感は、とても根が深いのです。他の何よりもオリンピックが大事、と思っている人には、その不公平感は見えないのでしょう。私自身も、元々安倍が言うところの「反日」(安倍にそう言われるのは誉め言葉だと思っています)の末端に連なる人間ではあります。オリンピックに対しても、元々非常に懐疑的ではありました。でも、これほどオリンピックに対して強く怒りの感情を持つに至ったのは、このような不公平感故です。それに、オリンピックをやれば感染拡大を招き、そのマイナスはオリンピック後、多くの国民に確実に降りかかってきます。その心楽しくない予想がさらに不公平感を拡大するのです。あいつらだけ良い思いをして、負の遺産だけは全国民「公平」に押し付けるのかよ、と。
2021.07.08
コメント(6)
安倍前首相「反日的な人が五輪開催に強く反対」 月刊誌の対談に安倍晋三前首相は発売中の月刊誌「Hanada」で、東京オリンピック・パラリンピックについて、「歴史認識などで一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対している」と批判した。具体的には共産党や5月の社説で中止を求めた朝日新聞を挙げた。安倍氏は五輪の意義について、「(日本人選手のメダル獲得などの)感動を共有することは日本人同士の絆を確かめ合うことになる」「自由と民主主義を奉じる日本がオリンピックを成功させることは歴史的な意味があり、日本にはその責任がある」と強調。五輪開催を批判する野党については「彼らは、日本でオリンピックが成功することに不快感を持っているのではないか」とも述べた。また、安倍氏は6月9日に菅義偉首相と初の党首討論に臨んだ立憲民主党の枝野幸男代表の論戦姿勢について、「(演説)プランが崩れることを非常に嫌う」と述べ、「『非常に自己愛が強いので、批判されることに耐えられないのではないか』と見る人もいる」と指摘した。枝野氏について、「(当時首相だった安倍氏への)一方的な批判に終始するなど、インタラクティブ(双方向)な議論を避ける特徴がある」とも批判した。ジャーナリストの桜井よしこ氏との対談で述べた。---「反日的な人が五輪開催に強く反対」だとすると、オリンピックに重大な懸念を示した天皇や、オリンピックを「普通ならやらない」と言った尾身会長らも、みんな反日的ということになりますねえ。まあ、いいんですけど。安倍のような人間に「愛国者」と認められるほど汚らわしいことはないと思っているので。ああいう人間に「反日的」と呼ばれるのは、むしろ誉め言葉だと思います。それにしても、「HANADA」というネトウヨ層向け雑誌での対談で、ネトウヨが喜びそうな言葉を吐いて、それをありがたがる人たちがいるわけです。それは、決して広い意見ではありません。オリンピックに対する賛否にしても選択的夫婦別姓制への賛否にしても、ネトウヨ層の意見が日本の世論の主流というわけではありません。しかしそこが自民党の、というより安倍や麻生の一番コアな支持層になっているので、少数派の意見が政治的には多数となって日本を牛耳っているのが現状です。思い返せば、戦前の日本もまた、声ばかり大きくて無意味に強硬論を吐く自称「愛国者」のせいで破滅への道に向かったのです。彼らの特徴は、ひとことで言えば「狭い」ことに尽きます。ちょっとでも冷静な意見は「消極的」「売国奴」(今でいえば「反日」に相当する用語でしょう)などとレッテルを貼られて圧殺され、無謀極まりない強硬論がのさばった、その行きついた果てが日本中の焼け野原です。今も同じ。以前に書いたように、選択的夫婦別姓制という、少子化に悩む今の日本にとっては、多少なりとも出生率の向上の後押しになりそうな政策すら、よく分からない理由で拒絶して受け入れようとしない。オリンピックもやると決めてしまったらやめようとしない、ようするに、声のでかい自称「愛国者」が日本の進む道を狂わせ続けているのが現状だと考えざるを得ません。
2021.07.04
コメント(4)
「まさに西村の乱」天皇陛下「拝察」発言が官邸に根回しされず、発表された理由東京五輪・パラリンピック開催による新型コロナウイルス感染拡大を天皇陛下が懸念されていると、宮内庁の西村泰彦長官が「拝察」していると発言したことに対し、菅義偉首相以下政府首脳は、「長官の見解」と突っぱねた。「官邸への根回しなしにやったという意味では、まさに西村の乱だ」首相や官房長官、五輪担当相らが火消しに走った様を、政府関係者はこう形容した。東京五輪開催の是非について、コロナ禍で国論が二分するなかで政府は強引にかじをとってきた。そうした最中に宮内庁長官が投げた「拝察」発言は、官邸に激震を走らせた。「爆弾」を投げた西村泰彦氏は、もともとは警察庁出身で、警視総監を務めた人物だ。上皇さまが退位の意向をにじませた直後の2016年9月に、宮内庁次長に就任した。官邸を怒らせた風岡長官は更迭されたとのうわさが飛び交い、代わって「官邸から送り込まれた」と言われた長官が西村氏だった。その西村氏なので、水面下では官邸との調整がなされていたのではという見方もあった。しかし、前出の政府関係者は首をふる。「そうしたことは全くありません。官邸の空気としては、むしろ、『西村(長官)は何を勝手に言ってるんだ』と驚き、戸惑っていた」官邸が打った手は、「『黙殺』です」(同)だ。菅首相をはじめ、加藤勝信官房長官、丸川珠代五輪相らは、呪文のように「長官の発言に過ぎない」と唱えた。宮内庁側にも思惑はある。コロナ禍で五輪を開催すれば犠牲者は必ず出る。それに加え、この東京五輪では業界の利権もあぶり出された。皇室を長く見てきた人物は、こう話す。「このままでは、1936年ベルリン五輪に匹敵する評判の悪い五輪になりかねない。天皇は東京五輪の名誉総裁として開催を宣言する立場であるし、皇族は各種競技場を観戦する。皇室としても、メッセージを出すことで五輪に対して一定の距離を引いたとを示す必要があった。官邸と皇室とどちらに忠誠を示すかという岐路に立った西村長官は、皇室を支える道を選んだということ」(要旨)---かねがね何度も書いているように、私は東京オリンピックの今夏の開催には反対です。ただし、同時に天皇の政治利用にも反対であり、天皇がこう言ったから、こう思っているから、オリンピックは中止する、というような決め方はするべきではないと思っています。天皇が何を言おうが、あるいは言うまいが、やるべきではないものはやるべきでない、ということに尽きます。その限りにおいて、天皇の「お気持ち」「拝察」をあまり大々的にとらえるべきではないと思います。ただ、それでも天皇が今のこの状況でのオリンピック開催に懸念を持っているというのは、そうでないよりはずっと好感が持てるのは確かです。もちろん、そこには引用記事にもある通り、そういう態度を見せることでオリンピックに反感を持つ国民感情が、開会式に出席する天皇に対する反感にならないようにする、という計算もあるでしょう。言い換えれば、そのくらい一般国民のオリンピックに対するイメージが悪化していると、天皇及びその周辺が認識している、ということです。その認識や計算は、何が何でもオリンピックを推進するという計算に比べれば、はるかに妥当で良識的なものと感じます。それはそれとして、この件をめぐる政府首脳とその太鼓持ち連中の狼狽ぶりには笑えます。西村長官が宮内庁に送り込まれた経緯については、周知の話です。要するに、当時の安倍政権の意に反した(または、安倍の支持層であるネトウヨ層の意に反した)天皇の退位意向をめぐる遺恨で、宮内庁長官の首を挿げ替えたわけです。その実務を担ったのは、当然当時官房長官だった菅現総理だったはずです。それまでもそれ以降も散々繰り返してきた手法、人事権を振り回して、政権の意に染まぬ意見の持ち主を政府の中枢から追い払っていく、というやり方で、安倍政権の番犬を宮内庁に送り込んだのです。ところが、そうやって強引に押し込んだ番犬に、手をかまれちゃったわけです。「ザマーミロ」としか思いません。「長官の発言に過ぎない」「長官の見解」だそうですが、天皇の意向とまったく無関係に長官が勝手に自分の意見を発言した、なんて誰も信じない、言っている本人すら腹の中では信じちゃいないででしょう。それでも政府はオリンピックはやるという立場を崩していない以上、どれほど白々しくても、そういうでまかせを言うしか選択肢がないのでしょう。バカバカしい話です。それでもなお、政府はオリンピックを中止も延期もする気がないらしいですが、もはや誰も喜ばない大会になるでしょうね。私は、麻生太郎という政治家は大嫌いで、彼の発言も全て嫌いですが、一つだけ彼は正しいことを言いました。「呪われたオリンピック」これだけは、まったくそのとおりでしょう。
2021.06.30
コメント(2)
東京五輪組織委 競技会場での酒の販売認める方向で検討東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会が各競技会場で観客への酒の販売を認める方向で検討していることが分かりました。東京大会の競技会場での酒の販売・提供について組織委員会の橋本会長はきのう、「大声の抑止や現在の社会の一般的ルールに鑑み、検討中」として方針を明らかにしていませんでした。しかし、関係者によりますと、組織委員会は、酒を提供する時間帯に制限を設けるなど一定の条件をつけたうえで、観客に酒の販売・提供を認める方向で検討を進めているということです。ただ、政府内からは反対論が出ていることから、組織委員会と政府間での調整が進められるものとみられます。まん延防止措置期間中の東京都では現在、2人以下で90分以内、午前11時~午後7時までであれば酒の提供は可能となっています。---選手村では酒が飲める、という話から、更にとうとう会場でも酒が飲めるという話にまでなっています。別にいいんじゃない、もう。酒でも何でも好きに出せば。と、私ですらもそういう「あきらめの境地」に入っているくらいなので、ここにきて世論調査でオリンピック開催への賛否に賛成の回答が増えているというのも分かる気がします。みーんな、現実に流されて、始まっちゃえばオリンピックに熱狂して、コロナのことなんか忘れてしまう、のかもしれません。が、忘れちゃいけないのは、オリンピック会場の外では、今も「まん延防止措置」で飲食店での酒の提供に厳しい規制がある、ということです。プロ野球でも、球場でアルコール類の販売はされていません。それなのに、オリンピックの野球では球場でアルコールを売る、ということでしょうか。世の飲食店経営者も、酒好きも、こんなふざけた不公平はとても容認しないでしょう。私も容認しません。いや、もう大声で怪しからんと叫ぶ気力もありませんから、オリンピック会場で酒を出したきゃ出せばいいじゃないですか、と思います。ただ、それならこちらも、何を恥じることもなく堂々とまん延防止を無視して外で飲むだけです。あれもこれもみんな、オリンピックだけが特別扱いというなら、政府の規制に律儀に従う人間だけがバカを見ることになります。結局、オリンピックの強行が大きな不公正をもたらしており、それが巨大なモラルハザードを生んでいるのです。もはや、感染が再拡大して再び緊急事態宣言ということになったとしても、もはや誰も従わず、効力はまったくなくなるでしょう。そうなったとしてもでもオリンピックをやりたいと政府が言うんだから、もう「なるようになれ」としか言いようがありません。
2021.06.22
コメント(4)
空襲1945:朝日新聞デジタル【東京】陸軍記念日を祝し演奏行進する軍楽隊。前夜の空襲被災者もやけどして包帯を巻いた手を上げてバンザイを叫ぶ=1945年3月、東京・有楽町の朝日新聞東京本社(当時)前---1945年3月10日の東京大空襲(厳密には9日の深夜から10日未明)は有名ですが、実は3月10日は陸軍記念日でした。一説には、米軍は日本陸軍の威信失墜を狙って、あえて陸軍記念日の前夜を選んで空襲を行ったのではないか、とも言われます。そして、東京の下町は灰燼に帰し、10万人と言われる犠牲者を出したのですが、それにもかかわらず、何と陸軍記念日の式典は3月10日に、この時の空襲では焼失を免れた日比谷、有楽町で予定どおりに強行されたのです。いかに軍国主義の時代とはいえ、さすがに命からがら焼け出されて疲れ切った被災者の多くは、軍楽隊の演奏にも無関心だった、というような体験談を何かで読んだ記憶があります。それから76年後の今も、軍国主義の時代とたいして変わらないかもね。国の威信と体面のためにオリンピックを開くことが、国民の幸福と幸せより大切らしいから・・・・。オリンピックの開会式が、1945年3月10日の陸軍記念日の行進とダブって感じられて仕方がない今日この頃です。
2021.06.20
コメント(2)
東京五輪】政府が民間企業にテレワーク要請 ネット大荒れ「民業圧迫」「怒りしかない」政府が発表した東京五輪期間中のテレワーク徹底方針に非難ごうごうだ。総務省は11日、東京五輪・パラリンピック期間中の49日間に民間企業に対してテレワークの集中的な実施を求める方針を発表した。武田良太総務相は「安心安全な大会とするため、テレワークの集中的な実施を呼びかける〝テレワーク・デイズ2021〟を行う」と高らかに宣言し、企業など3000団体の参加を目指すことになった。しかし、新型コロナ禍で国民の反対を押し切って世界最大規模のスポーツイベントを強行するにもかかわらず、国民に対しては我慢を強いる政策にさっそく猛批判の声が上がった。ネット上では「オリンピックのためにテレワークしているように聞こえます。国民は怒りしかわかない」「単に民業圧迫で、迷惑なイベントでしかない」と五輪のためなら〝犠牲〟をいとわない政府の姿勢に、続々と激しく反発する声が上がった。さらには「むしろ五輪をテレワークにしろ」と感染が深刻化している時期に世界中から人が集まるイベントは適切ではないという声も出ている。---偉大なるオリンピック様のために、下々の者は我慢しろ、ということです。まあ、よろしいんじゃないでしょうか、そう言っていれば。ちなみに、私の勤務先はこれまでのところ、昨年の4~5月の最初の緊急事態宣言期間を除いて、リモートワークは一切ありません。私の部署は仕事の性質上むつかしい、ということもありますし、上層部が一切まかりならぬ、と言っていると聞き及んでいます。この要請を受けて今後どうするか知りませんが、2度目と今回の緊急事態宣言でも一切導入しなかったところから考えると、やらないんだろうと思います。まあ、私も「わが社もリモートワークもっと導入しろ!」と思っているわけではないので、それはそれで構いません。「同業他社」では、リモートワークをある程度導入しているところも結構あります。同業他社に限らず、社会的にもリモートワークがある程度普及してきたので、朝晩の通勤電車が以前に比べるとかなり空いてきているのでしょう。ただ、いずれにしても、もうリモートワークが導入可能な(あるいは導入の意志がある)ところは、みんな導入済みのはずです。新たにリモートワークを拡大できる余地は、もうほとんどないでしょう。だから、以前にも書いたことがありますが、今回の緊急事態宣言が始まって、それ以前より朝晩の通勤電車が空くようになったという体感はまったくありません。オリンピックも同じで、「テレワークの集中的な実施」などと言ったところで、それができるところはすでに導入済みなので、オリンピックのために新たにテレワーク導入するところなんて、まずないでしょう。私はオリンピック中止しろ、と度々書いています。でも、感染が終息に向かい、緊急事態宣言だのまん延防止だのが必要なくなり、外出も旅行も飲み会も、最低限の感染防止対策を取れば制約もなくなった上でオリンピックをやるというなら、まあ仕方がないと思っています。(元々、オリンピックを東京に招致すること自体に賛成ではないのですが)しかし、現状はどうなんでしょうか。東京都などの緊急事態宣言は6月20日に解除されるものの、引き続き「まん延防止措置」に切り替えることが検討されています。それって、緊急事態宣言をまん延防止措置に衣替えしただけで、内実はそれほど変わっていないわけです。つまり、感染が終息に向かっているという状況ではない、ということだろうと思います。が、もう、いいです。それを深く追及することは面倒くさくなりました。政府がオリンピックはやる、というのです、緊急事態宣言も解除する、というのです。それがすべてです。もう緊急事態ではない、オリンピックができる状況になった、というのだから、外出も旅行も飲み会も、最低限の感染防止対策を取ればもはや自粛する必要はないわけです。テレワーク・デイズでも何でも、言っていりゃいいんじゃないでしょうか、聞き流すだけですから(そもそもテレワーク導入するかどうかは勤務先のトップが決めることであって私に決められることではないけれど)。さて、オリンピック・パラリンピック期間中、平日は当然仕事ですが、休日はどこに行こうかな♪
2021.06.13
コメント(7)
竹中平蔵氏 五輪は「やる」開催か中止議論自体が不毛「世論はしょっちゅう間違ってる」慶応大学名誉教授でパソナ会長の竹中平蔵氏が6日、読売テレビで放送された「そこまで言って委員会NP」に出演。東京五輪・パラリンピックについて、「世界に対して『やる』と言った限りはやる責任がある」と発言。そもそもが開催か中止(延期)か議論事態がおかしいとの意見を述べた。竹中氏は「なんでやるか、やらないか、あんな議論するか、私は分からない。だって、オリンピックってのは、世界のイベントなんですよ。世界のイベントをたまたま日本でやることになっているわけで、日本の国内事情で、世界に『イベント(五輪)やめます』というのは、あってはいけないと思いますよ。世界に対して、『やる』と言った限りはやる責任があって」と『世界の五輪』を新型コロナウイルス感染拡大という「日本の国内事情」を理由に中止するなどはありえない、とした。さらに、落語家・立川志らくが「世論の6、7割が(五輪は)中止だって言ってる、世論が間違ってるってこと?」とたずねると、「世論は間違ってますよ。世論はしょっちゅう間違ってますから」と平然と答えていた。(以下略)---オリンピック関係の様々な「中抜き」でボロ儲けしているパソナの会長が、何か言っているようです。当然、それは自社の営業利益という「私利私欲」と直結する主張でしかありませんから、なんに客観性はありません。オリンピックが世界のイベントというのは事実ですが、それを言うなら新型コロナも世界的現象です。どこからどう見ても「日本の国内事情」ではありません。世論が間違っている、間違えることがある、というのは、一般論としては事実です。が、それを言うなら、政治もまたしょっちゅう間違えています。少なくとも、オリンピック開催をめぐる問題について、政府の言っていることやっていることは、大間違いの連続です。そもそも根本的に、国民が投票で選んだ政府である以上、世論が「しょっちゅう間違って」いるのに政治が間違えないなんてことがあるはずがありません。根が腐っているのに花がきれいに咲くはずがないのです。だいたいですね、オリンピックはイベントです。基本的に多くの視聴者(国民)の熱狂と感動があって成り立つものです。視聴者の多くが最初から興ざめしている、不安におびえているような状態(その反応が正しいか間違っているかは問題ではありません)でまともに成功なんかするはずもありません。こと、今回のオリンピックに関していえば、もちろん、オリンピックが始まる時点でコロナの流行状況がどうなっているかは分かりません。そりゃ、大幅に改善している可能性もあります。ただ、もし仮にそうだったとしても、オリンピックによって再度の感染拡大が生じる可能性も高いでしょう。政府は高齢者の予防接種を7月中に終わられると言っていますが、現実問題として、それは「希望者の接種を終わらせる」ということであって、接種を受けない人が高齢者でも2割や3割はいます。そして、いかに日本が高齢社会になっているといっても、高齢者(65歳以上)の人口比は約28%です。残りの7割の大半は、まだ接種を受けていません。オリンピックの期間中に人口の半数まで接種が終わるかはかなり怪しい。パラリンピックが終わるころには、上手くいけば過半数くらいにはなっている可能性はありますが。しかも、免疫を獲得するのは2度目の接種の1週間後、ということから考えても、オリンピック・パラリンピック期間中に人口の7~8割が免疫を獲得している、という状況にはなり得ないでしょう。したがって、まだ感染が再拡大(再々再々拡大?)する可能性はあるし、その可能性がないなら、そもそも緊急事態宣言や自粛など不要でしょう。それでもオリンピックをやる、というのです。世論が何を言ってもやる、と。ここまでの状況を鑑みるに、どうも、本当に中止する気は一切ないらしい。私などは、開いた口が塞がらない、という思いですが、そこまで突き進むなら、勝手にするがよろしい。しかし、そこまで反対をはねのけてやる以上は、その結果起こることに対しては、菅政権が当然に全責任を負う、ということですよね。
2021.06.06
コメント(5)
【東京五輪】選手村での飲酒はOK 国民の不満爆発「アスリートだけ特別扱い」東京五輪の開幕まで残り2か月を切ったが、国民の怒りが噴火間近となっている。米国などでは新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、一部地域では規制が緩和がされつつある。一方で、日本では9都道府県に発令中の緊急事態宣言が6月20日まで延長。東京都の小池百合子知事は、酒類を提供する飲食店、カラオケを使用する飲食店、遊興施設に引き続き休業を要請しており「居酒屋に行きたい」との声が多方面から聞かれる。そんな中、関係者によると、東京五輪に出場する選手らが宿泊する「選手村」に、アルコール類の持ち込みが許可される見込みだという。この判断にネット上では「国は五輪のことしか考えてない」「居酒屋でも節度をもって飲酒すればOKですよね!」「アスリートだけ特別扱いはおかしいな?」などのコメントがあふれている。(以下略)---緊急事態宣言を公然と無視して三宅島に探鳥に行ったinti-solです。いや、だって都道府県境は超えてないし(笑)、日帰り(夜行だけど)だし、10人部屋に往路2人、復路1人だけの超ソーシャルディスタンス確保の船旅だし、帰路の乗船前を除いて誰とも話していないし、人がいる時はマスクしているし、あれで感染するようなら、毎日の通勤電車で百回くらい感染してますから。オリンピック云々とは無関係に、もうこれ以上自粛は無理と思ってはいましたけど、それでも、もし東京オリンピックが中止になったら、あえて今三宅島までは行かなかったかも知れません。東京オリンピックをやるなら、何の気兼ねもなく三宅島でもなんでも行ってやれと思いましたね(実際には多少気兼ねと逡巡はありましたけど)。だって、ここまでの感染状況を鑑みるに、交通機関で感染したという話はないわけです。前述のとおり、交通機関で感染するようなら、毎日の通勤電車でとっくのむかしに感染しています。通勤電車も昨今はそんなに混雑はしていませんが、それでも休日に利用するどんな交通機関よりも、平日朝晩の通勤時の方が圧倒的に混雑していますから。おそらく、感染があるとすれば家族経由か外での飲食時でしょう。外での飲食時は、こればっかりは避けようがありませんが、昨今は前後左右の席と仕切り版で仕切られている飲食店も多いので、リスクはかなり低くなってきています。というわけで、進んで感染して自爆する気はないので自分なりの感染予防はしますが、かといって外出を自重するようなことは一切必要なさそうです。丸一日や泊りがけの遠方も含めてです。だってオリンピックをやるのに、なんで私が外出を自粛する必要性があるんですか。しかも、選手村でアルコールの持ち込みが許可されるんですって?何だか飲食店でアルコール提供禁止、ばかりではなくアルコールの持ち込みも問題視されてませんでしたっけ?しかも、それによって営業できない、つまり収入の途絶えている飲食店が山ほどあるというのに、です。もちろん、オリンピックに限った話ではありません。政治家の資金パーティーも自粛の気配はなく、日本医師会のトップがそこに出席し、更に寿司デートとか何とか。「自粛要請なんか真面目に従う必要はない」と、政治家の面々も日本医師会すらも、全力を挙げてそう説いてくれているのですから、それに従おうではありませんか。いや、私個人としては、もうしばらくの間、家族以外との飲酒は自重しておこうと思います。でも、それは正直なところ、演奏活動や山登りや探鳥に比べれば、他人との飲酒の欲求はそこまで強くはなく、我慢できる範囲のものだからです。それに、人と一緒に、というのは相手のある問題ですし(演奏活動も同様ですが)。だけど、もし自分がもう少しお酒好き、というか飲み会が好きだったら、この記事を見た瞬間に誰彼構わず人を誘って、外に酒飲みに行きますよ。あまりにバカバカしくて、自粛要請など従ってられないから。人間は、不自由にはなかなか耐えられないものです。しかし、それ以上に耐えられないのは不公平です。みんなが不自由で自分も不自由なのは(みんなが貧しく自分も貧しい、も同様)、もちろん嫌です。でも、まだあきらめもつきます。しかし一部の人だけが自由で自分たちは不自由を強いられる(一部の人だけが豊かで自分たちは貧しい)のは、もっとも不満を蓄積しやすいものです。ところが、こういう現状に対して、こんなバカバカしいことを言い出すやつがいる。高橋洋一氏「日本は先進国で唯一、緊急事態条項がない国」憲法改正の必要性を訴えるツイッターでの「さざ波」「屁みたい」発言の責任を取り、内閣官房参与の職を辞した嘉悦大教授の高橋洋一氏が29日、ABCテレビ「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」に出演。辞任について改めて言及した。~ツイートに添付していた各国の行動制限を数値化した図を示し「民主主義国は規制がしにくいと言われているが実はできている。日本だけできていない。鎖国すればと言うけど、私権制限になるからできにくい」と問題点を指摘。続けて「日本は先進国で唯一、緊急事態条項がない国だから、あるところにしわ寄せしたり、長々とやったりする。憲法の改正のない国はない。緊急事態条項ない国なんてない。この際、きちんと議論した方がいい」と憲法改正の必要性を訴えた。---コロナ禍は「さざ波」だからオリンピックを開催しても問題がないと言いながら、そのためにどうして強権発動が必要なんですか?論理破綻の最たるものです。憲法に緊急事態条項を設けるということは、上記の緊急事態宣言が、国民に「自粛を求めるもの」ではなく、「国民に強制するもの」になるわけです。オリンピックはやります、オリンピック選手村は酒の持ち込み自由です、でも一般国民は「多様不急の外出はしないでください」「飲食店は8時以降営業しないでください」「酒は出さないでください」「酒は持ち込ませないでください」だったものが、「不要不急の外出は禁止」「8時以降の営業は禁止」「酒の提供は禁止」「酒の持ち込みは禁止」になる。多分、政治家や医師会トップのような人たちの好き勝手も変わらないでしょう。医師会の政治力から考えて、憲法に緊急事態条項ができても、この程度の「微罪」で医師会のトップが逮捕されたり地位を追われたりするはずがありません。つまり、緊急事態条項を設けるということは、現状の「お願い」レベルでの不公正が、「命令」レベルの不公正に拡大するわけです。「憲法に緊急事態条項を」と言っている連中は、そうなっても仕方がない、あるいはたいした問題ではないと思っているのでしょうね。でも、そんな法律の規制をどうやって国民に納得させる気ですか?現状の「お願い」レベルでもすでに国民のフラストレーションは相当に溜まっています。それが「命令」レベルでこんな不公正がまかりとおったら、フラストレーションは極大化します。それに対して「グダグダ文句を言わず、汝臣民黙ってお上の命令に従え」という理論もへったくれもない威圧以外に、何か納得できる説明がありますか?そうなったら、そんな法律は誰も守らなくなるだけです。法律と政治・行政に対する信頼感は地に落ち、国民の遵法意識など消えてなくなる、百年前の米国の禁酒法がそういう事態を招いたようですが、そういう社会がお望みですか?緊急事態条項を作って振りかざせば、みんなが黙ってそれに従って、問題が解決すると思っているような人たちは、人間の本性というものがまるで分かっていないと言わざるを得ません。
2021.05.30
コメント(4)
「必要な渡航、禁止ではない」 米国務省勧告に丸川五輪相米国務省が新型コロナウイルスの感染状況を理由に日本に対する渡航警戒レベルを最も厳しいレベル4の「渡航してはならない」に引き上げたことを受け、丸川珠代五輪担当相は25日の記者会見で「必要な渡航まで禁止されているわけではない。影響が特に何か見込まれることはない」と述べ、東京オリンピック・パラリンピックへの選手団派遣に支障がないとの認識を示した。---米五輪委「安全な参加を確信」 渡航中止勧告を受け声明米国務省が日本への渡航警戒水準を引き上げ、「渡航中止」を勧告したことについて、米国五輪・パラリンピック委員会(USOPC)は24日、取材に対し、「選手たちの安全な参加を確信している」とする声明を出した。USOPCは声明で「日本に関連する国務省の勧告が更新されたことは認識している」とした上で、「USOPCや東京の組織委が現在選手やスタッフのために講じている安全策や、渡航前や来日後、大会期間中に実施する検査により、選手たちは今夏、安全に参加できると確信している」と大会参加への強い決意をにじませた。(以下略)---米国務省が日本に対する渡航中止を勧告したことについて、日本政府や米オリンピック委員会が一生懸命火消しに走っているようです。確かに、渡航中止は勧告であって命令ではありません。また、現状世界の大半の国がもっとも厳しいレベル4に指定されているので、日本だけが特別に厳しい警戒レベルに引き上げられた、というわけではありません。ただ、いくら強制力のない勧告と言えども、渡航中止勧告の出ている国に、「国の代表」であるオリンピック選手団を何百人も派遣するのでしょうか。重要なことは、この渡航中止勧告の決定をしたのは米国務省(政府)であって、オリンピック委員会ではないし、ましてや日本政府でもない、ということです。日本政府や米国のオリンピック委員会がこの件についていくら「認識」を示したところで、それは米国務省の認識とイコールである保証はありません。その米国務省は今回の渡航中止勧告の選手団派遣に対する影響について、回答していません。米国務省、渡航中止勧告の五輪選手団派遣への影響 明確な回答せずアメリカ国務省は、日本への「渡航中止」勧告を出したことが東京オリンピックへの選手団の派遣に影響を及ぼすかどうかに関するJNNの取材に対し、明確な回答をしませんでした。アメリカ国務省の報道担当官はJNNの取材に対し「オリンピックのために日本に行くアメリカ人の区分は非常に限られている」とした上で、「大会組織委員会と日本政府、IOCは緊密に協力して、オリンピックで日本に行く人のための具体的な入国や移動の規則と手順を設定した」と、これまでの経緯を説明しました。 その上で、「これらの手順は、オリンピックに関わるすべての人と日本人を確実に保護することを目的としている」としましたが、今回の国務省の勧告がアメリカ選手団の派遣に具体的な影響を及ぼすのかどうか、それ以上の明確な回答はありませんでした。---どうやら、日本政府や米国のオリンピック委員会の「影響はない」「安全な参加を確信」という解釈に、米国務省はお墨付きを与えていないようです。つまりそれらは希望的観測に過ぎず、根拠のある話ではない、ということです。さてさて、どうなるんでしょうかね。
2021.05.26
コメント(0)
東京五輪〝損切り〟中止せよ! 経済打撃は限定的「テレビの買い替えくらい」東京五輪は開催すべきか、中止すべきか――。~一部では開催を中止することによって生じる経済損失を危惧する声も根強いが、経済評論家の山本伸氏は「開催中止で生じる経済損失は限定的」として、経済的観点から中止による“損切り”も有力な選択肢との見方を示した。~実際、読売新聞の世論調査では国民の59%が東京五輪について「中止する」と回答し、もはや国民の機運は下がりつつある。また、5日には米紙ワシントン・ポストが、IOCのバッハ会長を「ぼったくり男爵」とののしって東京五輪の開催中止を勧告するなど、世界の論調も開催中止を促す流れになっている。~東京五輪を中止した場合については一部で経済損失を危惧する声が上がっているが、経済評論家の山本伸氏は「東京五輪開催を中止することによる経済損失は限定的」として、こう話す。「東京五輪による経済特需の主たるものはインフラ整備だが、もうとっくに終わっている。ほかは世界中から来る観客のインバウンド効果だが、今は新型コロナで開催してもしなくても元からゼロ。これから開会式までの間に起こる需要もテレビの買い替えくらいで微々たるもの。中止を発表しても株価は織り込み済みで大きな変動はなく、経済損失はほとんどない。経済的観点から“損切り”のための開催中止は有力な選択肢であるべき」世界的に新型コロナの流行が収まっていない状況で開催した場合、残念ながら新たな変異株ウイルスが国内に持ち込まれるリスクは否定できない。もし、そうなれば現在の緊急事態宣言以上に厳しい対策が求められ、それこそ日本経済にとって死活問題となる。「もし、開催中止した場合、問題になってくるのは全米での放送権を持っているNBCへの補償。当然ながら、すでに東京五輪中継の広告は売り切っているが、どうやらNBCは中止を見越してこれに保険をかけていたという話がある。また、IOCへの違約金が発生するという話もあるが、開催都市契約にそんな条項は存在しないようだ」(山本氏)つまり、東京五輪開催を中止することに経済損失はほぼないということになる。それ以上に、万が一の事態が発生した場合のリスクが大きいと言えそうだ。---オリンピック擁護派は必至でオリンピックを開催しようとしており、中止すると巨額のキャンセル料と言います。それが嘘か本当かは不明ですが、仮に事実だとしても、緊急事態宣言による経済損失の方が遙かに巨額であることは明らかです。そもそも、数千億円の違約金という話自体が、どこまで事実なのでしょうか。遠い昔の話ですが、1995年、東京で世界都市博というイベントが計画されたことがあります。鈴木俊一知事退任直前にが計画したものですが、これを批判し、中止を公約に掲げた青島幸男が次の都知事に当選、逡巡はあったものの、最終的に公約どおりに都市博を中止しました(実現した公約はこれだけで、他の多くの公約は反故になったのですが)。そうしたら、開催の是非が議論になっていたときにに言われていたキャンセル料等の「中止のための費用」が、実際にはそれよりかなり少ない金額で収まった、ということがありました。この種の巨大プロジェクトは、計画する側(実行したい側)はどうしても実現のためにリップサービスをしがちです。だから、費用については多くの場合甘い見積もりを言います。東京オリンピックも、まさしくそうです。一方、始めてしまったプロジェクトを中止したくないから、中止に伴う費用や労力は、過大に言いがちです。都市博がそうでした。東京オリンピックも、おそらくはそうである可能性が高いと思われます。いずれにしても確実にいえるのは、もはや、投じた費用を回収する(黒字になる)ことなどできない、ということです。引用記事にも触れられており私も前回記事で紹介しましたが、読売新聞の世論調査では6割近くがオリンピック中止と回答しています。この世論調査の設問を見て私は思わず笑ってしまったのですが、そこにあって不思議はない選択肢が2つ抜けているのです。一つは、「再度延期する」、そしてもう一つが「通常どおり定員いっぱい観客を入れて開催する」です。どちらも、もはや絶対不可能と明らかなので、選択肢から省いたのでしょう。というわけで、仮に開催を強行しても観客は半分、入場料収入も半分、ということになります。引用記事が指摘するように、海外からお客が来ないからインバウンド収入はゼロ、国内でも景気刺激効果はほぼ見込めません。潤うのはテレビ業界だけ、と言いたいところですが、それもどうでしょうか。現状ではオリンピックのブランドイメージは極度に悪く、そのスポンサーとなることの企業イメージへのプラス効果は、かなり限定的ではないかと思われます。視聴率だって、どれだけ取れるかは何ともいえません。つまり、払った放映権料に見合う広告収入が得られるかどうか、払った広告収入に見合う企業イメージ向上効果があるかどうか、かなり危ういというところでしょう。何より、国内外を問わず、多くの大手マスコミがオリンピック中止論を正面から堂々と取り上げていることが、その間接的証明です。オリンピックの商業利用についてはマスコミもIOCと利害は一致します(儲けが見込まれる限りは)。だから、コロナ禍以前は、大手マスコミ、特にテレビがオリンピック反対論を取り上げることなど、まずありませんでした。それが今では遠慮なく中止論を取り上げているというのは、オリンピックから儲けが見込まれない、そのためIOCと利害が一致しなくなった、ということでしょう。オリンピックを開催して生じる赤字と、中止して生じる違約金、どちらが大きいかは分かりませんが、オリンピックを契機に感染がまた拡大すれば、それによる損失は、違約金なんて問題にならないくらい大きな額になるでしょう。先に取り上げた高橋洋一が、ツイッターに大要「中止するなら違約金は反対派が払え」みたいな愚にもつかないことを書いていましたが、じゃあそれ以前に、開催したら損失は賛成派だけで補填するんだよね、と申し上げたいですね。
2021.05.13
コメント(7)
高橋内閣官房参与「日本は『さざ波』。これで五輪中止とか笑笑」批判集まる日本の新型コロナウイルス感染状況や東京五輪の開催について、内閣官房参与で嘉悦大教授の高橋洋一氏がツイッターに「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」と投稿し、批判が高まっている。高橋氏は9日に、各国の新規感染状況を比較するグラフを引用して投稿し、五輪中止を求める世論に反論した形。これに対し「1万人以上亡くなってるのにさざ波って言い方はあかん」「ウチの母親も『この程度のさざ波』の中で亡くなったんですよ」「“この程度のさざ波”にマトモに対応できていない国がどうやって国際大会を開こうというんです?」など批判するコメントが相次いだ。~高橋氏は元財務官僚で菅義偉首相と近く、昨年10月、内閣官房参与に任命された。菅氏は10日の参院予算委で投稿について問われ、高橋氏について「経済見通しや経済運営について、官房長官以前から相談している」と説明し「五輪については全く相談していない」と強調。「個人の主張について答弁することは控えるべきだろう」と、それ以上の言及を避けた。~---高橋洋一に品位など求めるのは八百屋で魚を求めるようなものだとは知っていますが、それにしても・・・・・・「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」だそうです。いや、言っていることの是非を度外視しても、この言いぐさは論外でしょう。世間的には「さざ波」が問題視されていますが、私の感性では、「笑笑」の方が最低だと感じますが。・・・・まあ、いいでしょう。さざ波だから、大したことはないからと言うなら、当然緊急事態宣言も蔓延防止もいらないよね。あれ、高橋は内閣官房参与という立場で、政府の緊急事態宣言に対して、「これで緊急事態宣言とか笑笑」とは言わないのでしょうかね。この人はあちこちに文章を書き散らしているので、全部の発言をチェックはできないけれど、例えばYouTubeチャンネルで今回の緊急事態宣言について言及している動画がありますが、効果に懐疑的な見方はしているけれど、一方で「日本は憲法の制約で法的拘束力のある外出禁止ができないから、海外に比べて何もやっていない」なんて語っている。いやいや、「この程度のさざ波」なのに法的拘束力のある外出禁止って何?それなのに、オリンピックはやるべきだって、理屈もへったくれもありゃしません。いくらオリンピックが世界最大級のスポーツイベントでも、緊急事態宣言の有無の方が、経済に与える影響ははるかに大きいことは確実です。高橋のツイッターを見ると、五輪中止の違約金が数千億円という趣旨のことが書いてあるのですが、その金額が仮に信用に足るものだとしても、緊急事態宣言による経済損失、それによる税収減、様々な支援策による支出増、とても数千億円なんて額じゃ収まっていないでしょうよ。その10倍、ひょっとしたら100倍にも達するかもしれません。もっとも、見方を変えれば、反対派に対して、こういう論理もへったくれもない下品な攻撃が始まったということは、それだけオリンピックの開催が危機に瀕している、という認識が、政府やネトウヨ陣営にも強まったということなんでしょうけどね。少し前まで、オリンピック中止論なんて、大手マスコミに取り上げられることはありませんでした。主張する人はしていたし、内心でオリンピックに積極的に賛成ではない人は、元々決して少なくはなかったと思いますが、その声が大きく取り上げられることはなかったし、決まってしまったオリンピックを中止させよう、とまで言う人は限られていました。だから、野党やリベラル派に対する攻撃に余念のないネトウヨ陣営も、そこを主たる標的とはしていませんでした。要するに眼中になかったのでしょう。それが、昨日取り上げた竹田のオリンピック賛成署名とか、今回の高橋の暴言とか、オリンピック反対派を標的とした攻撃の増加は、それだけオリンピックに懐疑的な見方が急激に拡大していることの反映です。それもそのはずです。御用メディアの代表であるはずの読売新聞の調査で、東京オリンピックについて、中止59%、無観客で開催23%、観客の人数を制限して開催16%という、驚きの結果が出ています。さすがに、イデオロギーの左右を越えて、オリンピックができるのか、ということについて懐疑的な見方が急拡大しています。中止署名があっという間に30万筆も集まったのも、その反映です。それに対して、こういう知性も理性も感じられないような暴言を返すような輩が調子に乗ると、なお一層人心はオリンピックから離れていくでしょうね、いい気味でけど。まあ、それでも政府はオリンピックをやるつもりなんでしょうね。いいですけど。オリンピック、そして聖火リレーが中止にならない限り、私は自粛なんかしないだけのことですから。・・・・と、常々書いておりますが、念のため補足しておきますと、これには多少偽悪的な表現も含まれます。実際には私だって相当の自粛をしています。外出時のマスク着用、家族以外との飲み会自粛、演奏活動ほぼ中断(事実上個人練習しかできない状態)全部我慢してます。音楽に関しては、正直我慢できかねていますが、こればかりは一人じゃできない、演奏する場がなければどうにもならないことなので、否も応もありません。唯一、わずかに残った「自粛しなくてもコロナに罹患して自爆する可能性の低いもの」の最後の砦だけを守っているにすぎません。
2021.05.11
コメント(7)
「中止」に30万の賛同 オンライン署名で五輪開催“支持VS反対”コロナ禍での東京オリンピック(五輪)開催の是非をめぐり、弁護士の宇都宮健児氏がオンライン署名サイト「change.org」上で5日に始めた大会中止を求める活動で、9日午前11時すぎまでに30万人近い賛同が寄せられた。宇都宮氏は「人々の命と暮らしを守るために、東京五輪の開催中止を求めます」と主張。英語版も作成して、世界中に呼びかけを続けている。一方、同じサイトには8日になって、開催の「支持」を呼びかける動きが登場。作家、政治評論家の竹田恒泰氏が呼びかけたもので、9日午前11時すぎまでに約1万8000人が賛同した。竹田氏は「change.org」の中で、「5月7日にSNSで池江璃花子選手に『五輪中止』や『反対』の声を上げるべき、との書き込みが溢れたことを知り、五輪開催賛成の署名をすることを決めた次第です」と主張。宇都宮氏が訴える反対の署名の数に及ばなくても「それなりに『開催すべき』と思う人々がいること、決して世論は開催反対で染まっているわけではないことを示すことができたら、目標は達成できたと考えます」などとしている。---私も署名しました!人々の命と暮らしを守るために、東京五輪の開催中止を求めます Cancel the Tokyo Olympics to protect our livesもちろん、オリンピック中止を求める署名の方です。4日間で30万人が賛同しています(引用記事には30万人近いとありますが、5月10日夜時点では約32万筆)。宇都宮健児の主義主張には賛否はあるかもしれませんが、今この状況でオリンピックをやるのか、ということについては、イデオロギーの左右無職に関わらず、相当の異論反論懐疑論があることは明らかです。で、その中で行き過ぎて、池江選手に『五輪中止』や『反対』の声を上げるべき、などと求める人が少なからずいたそうです。そりゃ、ダメでしょう。池江選手には申し訳ないけれど、オリンピックという巨大イベントの可否は、一選手の活躍の場がどうとか、そういう次元で判断されるべきことであるとは思いません。池江選手が賛成したから、反対したから開催されるべき、中止されるべき、というものではないでしょう。であるなら、池江選手に反対の意思表示をしろ、というのは、第一に不必要なことです。第二に、オリンピックに対して色々な意見がある中で、そのオリンピックを目指して、すべてをささげて頑張ってきた選手がいることも事実です。その選手に対して、お前が目指しているものは無駄だから反対しろ、と言うんですか。いや、それはあまりに人情というものが欠けているでしょう。正しい意見なら、いつでも誰に向かって言ってもよい、というのは結局その正論に対して多くの人にそっぽを向けさせる元凶になりかねません。と、思っていたら、更に驚いたのは、竹田恒泰が開催支持の署名を始める、という話。いや、やりたければやればいいでしょう(笑)しかし、あまりの馬鹿さ加減に絶句します。第一に、武田といえば言うまでもなく、父親は竹田恆和IOC元会長で、オリンピック招致の贈収賄疑惑でフランスの捜査当局から操作されている人物です。そんな、オリンピックに関して利害関係ありありの人間の親族が、オリンピック支持のネット署名って、「私利私欲が混ざっているだろう」って思われても仕方がないでしょう。しかも、「宇都宮氏が訴える反対の署名の数に及ばなくても「それなりに『開催すべき』と思う人々がいること、決して世論は開催反対で染まっているわけではないことを示すことができたら、目標は達成できたと考えます」って、こちらは1万8千筆しか署名が集まっていません(追記:5月10日夜時点で約4万筆)。いくら「数で及ばなくても」と予防線を張ったところで、人はどうしたって数を見ます。もちろん、勝ち負けが問題ではないのは確かですが、それはいい勝負になった場合に言えることです。相手側の1割2割の署名数しか集められないようでは、むしろ恥をさらすだけのことです。もちろん、この期に及んでもオリンピックに賛成という人がいるのは確かですが、現にこの状況下では、元々賛成でも迷いがある人は相当多いはずで、そういう人は「支持」の署名を相当ためらうに違いありません。何より、竹田は先の愛知県知事リコール運動に加担していた前科があります。そのリコール署名簿に多くの水増しがあった、というよりほとんど全部が水増しだったことは、すでに明らかになっているとおりです。「ああ、今度もまた署名捏造に関わるのか」と思われるだけのことです。実際、今集まっている約4万筆にしても、まあ怪しいよね。結局、偽造なしではみっともないほどの大差がついて、開催賛成派の支持の少なさを露呈する可能性が高いでしょう。相手側と同じ土俵で同じ手法で張り合わなければならない必然性があるわけじゃないですから、マトモな損得勘定があれば、別のアピール手段を考えて、こういう馬鹿な行動はとらないと思うのですが、そこがネトウヨのネトウヨたる所以なんでしょうね。
2021.05.09
コメント(0)
好転する材料なく かすむ五輪、悲観の声―緊急事態宣言延長東京都などへの緊急事態宣言延長を聞くまでもなく、五輪への道はかすんでいる。大会本番へ向けたコロナ対策への反発、不備などが重なり、五輪関係者は「好転する材料がない。環境がドラスチックに悪くなり過ぎている」と嘆く。変異ウイルスによる感染の広がりで医療体制が厳しい中で、大会組織委員会は看護師500人の確保を依頼し、スポーツドクター200人を募集した。こうした動きにSNSなどで不信が拡散された。テスト大会では飛び込みで陽性者が出て、札幌のマラソンでは沿道で五輪反対の声が上がった。聖火リレーは公道中止が相次いでも続けられている。組織委のやり方が負の感情を助長している、と指摘する国内スポーツ関係者もいる。4月下旬に公表されたコロナ対策のプレーブック第2版も穴が多い。海外のスポーツ界からの直近の反応について、国際競技団体の幹部は「すごくネガティブ」だと明かす。日本国内の感染状況や、進まないワクチン接種など政府のコロナ対応も懸念しているという。今後無観客を決めたとしても、もはや開催への追い風にはならないだろう。IOCは選手団向けにワクチン提供を受けることで合意したが、世論が五輪からさらに離れる火種にもなり得る。組織委の周辺からは「やっても歓迎されない五輪になる。やめる方が正しいのか」という声も聞こえてくる。---以前から何度か書いているように、私は元々オリンピックに、反対とまでは言わないけれど極めて懐疑的です。ただ、中止したらしたで、その後始末(違約金等々)も困難を極めるであろうことから、何とか赤字を最小限で抑える手立てをとるしかあるまいと思っていました。しかし、現在は違います。「こんなに感染は収まりました、皆さんの行動は自由です、だからオリンピックの開催できます」ならよいのですが、実際には「こんなに感染がひどいけどオリンピックはやるから、そのためにお前らの行動は制限しろ」です。それに対する思いは、「ふざけんな」しかありません。これだけ緊急事態宣言で外出するな、外で酒を飲むなと市民の生活を圧迫しながら、オリンピックはやります、聖火リレーもやります、と言うのです。偉大なるオリンピック様のためにお前らの自由な生活は召し上げるということかと考えざるを得ません。そんなものに真面目に協力しようという気には、まったくなりません。今回、それでも政府はオリンピックを強行するのか、さすがに中止を決断するのか、どちらでしょうか。さすがに中止を決断するかな、という気はしますが、まだ分かりません。しかし、開催を強行するにしても今から中止にするにしても、その先には地獄しか待っていません。開催しても、いわばこそこそ隠れて行うような大会で経済への波及効果はなく、開催に要した費用は回収不能で残ることは間違いありません。スポンサーも、投じた広告宣伝費に見合う利益は出るはずもありません。中止したらもちろん後始末が困難を極めるでしょう。進むも地獄、退くも地獄です。それにしても、東京はオリンピックの開催権を3回得て、そのうち1回しかまともに開催できないという、不出生の大記録を打ち立てることになりそうです。しかし、冷静に考えてみると、近代オリンピックの歴史の中でオリンピックの中止はそう稀な事態ではありません。今回までの夏32回、冬22回のオリンピック※の中で、夏3回、冬2回が戦争によって中止になっています。※オリンピックの第×回という数え方は、夏32回の大会には中止になった3回も含まれており、冬22回の大会は中止になった2回はカウントされていません。したがって、冬は24回中2回中止、という方が正確でしょうそれ以外に1976年モントリオール、80年モスクワ、84年ロサンゼルス大会が多くの国のボイコットに晒されて片肺大会となることを余儀なくされています。全体としては、1割以上の大会が中止か不正常な開催、ということになります。オリンピックが商業的に成功して、「ビジネス」として急拡大したのは1984年ロサンゼルス大会が契機と言われます。そのロサンゼルスオリンピックを旧東側諸国がボイコットしたのを最後に、以降の大会ではボイコット騒動とか中止などはなかったので、オリンピックは決まれば開催されるもの、開催されれば儲かるもの、というような前提でビジネスモデルが構築されてきました。しかしそのビジネスモデルは、実はそうそう安全確実なものでもなかった、ということです。一度でも失敗すればその損失は破滅的な金額になります。そのリスクは、これまで考える必要もないくらい小さいと思われていたのか文字ませんが、今回の事態で、「オリンピック中止」(もしくは、開催を強行して興行的に失敗)という事態は、決して小さくはないことが満天下に示されてしまった。オリンピックという商売のモデルが崩壊した、と言ってもいいのかもしれません。今後、それを踏まえてオリンピックへの開催を立候補する都市は激減するんじゃないでしょうか。
2021.05.07
コメント(4)
小池知事“可能なかぎり東京に来ないで” 爆発的増加に危機感東京都の小池知事は記者会見で、都内の感染者数は爆発的に増加してもおかしくないと強い危機感を示したうえで、徹底して人の流れを減らすため、エッセンシャルワーカーなどどうしても出勤が必要な人以外は可能なかぎり東京に来ないでほしいと重ねて呼びかけました。このなかで小池知事は都内でも、感染力が強いとされる「N501Y」の、変異があるウイルスが急増しているとしたうえで「人出が高い水準で続くと、感染者数が今後、爆発的に増加してもおかしくない」と述べ、強い危機感を示しました。そして小池知事は「『もう疲れたよ』と言わないでください。第4波と言われている感染の波は非常にきつい」と述べました。そのうえで、都と県の境を越える移動や出勤者数の3割への抑制など、徹底して人の流れを減らすための対策に協力を求めました。そして「毎日300万人が通勤や通学で都内との往来がある。特に都外に住む皆さんは、エッセンシャルワーカーなど、どうしても出勤が必要な人以外は、可能なかぎり東京に来ないでください」と重ねて呼びかけました。---小池知事 早ければ今週後半にも要請判断か新型コロナウイルスの感染者数の増加傾向に歯止めがかからない東京都の小池知事は、政府への緊急事態宣言の要請を視野に検討を急ぐ考えを明らかにしました。小池都知事「やはり今はですね、先手先手の対応が不可欠でございます。緊急事態宣言の要請も視野に入れまして、スピード感をもって検討するようにという旨をきょう(18日)職員にも指示をしたところであります」(以下略)---前回記事でも書きましたが、「緊急事態宣言」をいくら叫んでも、三度目となれば「切り札」の効力は落ちる一方です。「エッセンシャルワーカー以外は東京に通勤するな」と言われても、どんな仕事だって働いている本人と会社にとっては「不要」なものではありません。「『もう疲れたよ』と言わないでください。」と言いますが、口に出して言うか否かに関わらず、人間が人間である以上、同じ緊張状態を長期間にわたって自律的に維持するなどできない相談です。「神になれ」と言っているようなものです。なによりも重要なことは、昨年4月の最初の緊急事態宣言に際しては、それに先立って3月24日にオリンピックの延期が決まっていた、という点です。いや、それだってあまりに遅かった上に、「1年延期で解決する問題じゃないだろう」、とは思いましたが(現に1年後の今、こういう状況になっている)、ともかくも、オリンピックの延期があって緊急事態宣言が出ました。ところが、今はオリンピックはやると言っています。そして、現に聖火リレーは(さすがに一部の府県で中止されているものの)行われています。「どうしても出勤が必要な人以外は可能なかぎり東京に来ないで」というなら、どう考えたって「聖火リレーも東京に来ないで」でしょう。それを一切言わず、オリンピックも聖火リレーも予定どおり(無観客とは言うものの)という時点で、みんな鼻白んでしまいます。「オリンピック様のために下々の者は日々の仕事も楽しみも犠牲にして協力しろ」ってことかよ、とね。そんなにオリンピック様は偉いのか、と。「冗談じゃねえ」って思いますよ。それにしても、オリンピックが最終的に、こんな状況でも開催されるのか否かはまだ分かりませんけど、開催されたとすればこれほど呪われたオリンピックも珍しいでしょうね。まず、外国からの観客は受け入れない、これは現状ほぼ確実でしょう。観客(日本人も)自体も入れず、無観客で、という話も出てきています。聖火リレーも無観客。そうなると、いったい誰のために、何のためにオリンピックを開催するの?というのがまったく分からなくなります。オリンピックを中止すると莫大な違約金を取られる、と言われます。ただし、IOCとの契約の中身が非公開なので、本当のところは分かりません。事実としてそうだったとしても、ことここに及んでは、開催を強行するのとどっちが損かは分かりません。無観客でも放映権料はIOCに入るようですが、その放映権料を払う各テレビ局、スポンサーはその元が取れるのか、この状況では結構微妙でしょう。オリンピック自体、悪名的な注目は浴びても、開催に向けた盛り上がりなど望むべくもなく、波及効果、経済効果など、きわめて乏しいと想定するしかないでしょう。このままでは、回収不能な莫大な開催経費だけが残る、ということになるのではないでしょうか。それでも「オリンピックをやめる」という選択肢がないとすると、いったい誰のため、何のためのオリンピックなのか、と思わざるを得ません。ただただ国家の体面のためだけにオリンピックを開くのか。このまま開催しても、誰も得をしない、誰もが損をして、嫌な思いをするだけのオリンピックになりかねません。
2021.04.19
コメント(6)
橋本会長が自民離党 五輪の「政治的中立」に配慮 議員は続行東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の橋本聖子新会長は19日午後、自民党に離党届を提出した。同党は受理する方針。橋本氏は同日午前、離党せずに党北海道連会長も続ける意向を記者団に表明したが、IOCが定める五輪憲章の「政治的中立」に反すると野党の反発を招いたため、新たな混乱を避けた。関係者によると、組織委は女性蔑視発言で辞任した森喜朗前会長を役職につけない方針。森氏の影響力が残るとの懸念を払拭する狙いがあるとみられる。---私は、橋本議員は自民党の中では特別に嫌いな政治家というわけではありませんが(現在の自民党に好きな政治家なんていませんけど)それにしても、自民党森元首相から、その子分であった橋本五輪担当相へ、つまり、完全に自民党の政治家が牛耳るイベントということです。最初は離党しないと言っていたのに、反発を受けて急遽離党しましたが、一次的に党籍を離れて会派から外れただけで、まったく形式的なものにすぎません。離党だけでなく議員を辞職しろという声もあるようですが、私は今更と思ってしまいます。どうせ、仮に議員を辞職したとしても、次の選挙で再び立候補するのでしょう。これもまた形式的の極み。次の選挙でまた自民党から立候補することが確実な人が形式的に党籍を離れ、形式的に議員を辞職したところで、たいした意味があるとは思えないし、「政治的中立」など、どこにもありません。東京オリンピックが、そういう「自民の自民による自民のためのオリンピック」だということがよく分かるお話でした。そういうイベントに何の期待も抱かないし、もはや「やりたきゃ勝手にやれ、失敗しろ!」としか思いません。そのために大赤字が残って後始末が国民にのしかかってくることだけが癪ですが。
2021.02.19
コメント(5)
政府、五輪の開催不要論を警戒 政権運営に募る危機感政府は11日、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言により辞意を固めたことで、今夏開催への不要論が強まりかねないと警戒した。菅義偉首相が森氏に辞任を求めなかったことで、政権が掲げる男女共同参画の推進は実態を伴っていないとの疑念を持たれかねず、今後の政権運営への影響に危機感を募らせる。政府は組織委と緊密に連携し、東京大会開催実現に向け取り組んできた。官邸筋は「政府と森氏は一体と見る人も少なくないだろう」と述べ、森氏の辞任が政権にもたらす影響の大きさに不安を隠さない。取り組みの遅れが目立つ男女共同参画に焦点が当たることにも気をもむ。---コロナ禍+森会長の暴言、まあ、真面目にオリンピックをやりたい人たち(私はその一員ではないですが)には、哀れさすら感じる状況ですが、ああいう人物を組織委のトップに据えた人たちの身から出た錆、としか言いようがありません。この期に及んで辞任だそうですが、その決断があまりに遅すぎます。森が一度は辞任の意向を固めたのに、組織委の幹部が慰留して翻意させた、との報道があります。事実なら、組織委自体が森の発言の問題性、深刻さを認識していないということであり、森と同罪です。森のああいう暴言に対してその程度の認識しか持たない組織委なら解散すべきだし、そんなものが開催するオリンピックなんかやめちまえ、としか言いようがありません。「政府は~今夏開催への不要論が強まりかねないと警戒した。」のだそうですが、組織委だけでなく政府も、オリンピック不要論が強まるように世論を煽ったも同然なんだから、いまさら何言ってんの?としか思えません。一連の騒動は、もちろん直接的な暴言そのものが許しがたいのは当然のことながら、そもそもなぜ(元)政治家がトップを務めるのか。それも、森という自民党の中でも悪い部分を代表するような政治家が組織委のトップに君臨して、問題発言をしても誰もやめさせようとはしない、要するにオリンピックというイベントが与党勢力、保守政界の利権漁りの道具、あるいは権勢欲を満たすツール、政治的おもちゃに成り下がっていることが図らずも露呈した、ということでしょう。そんなものに何の期待もしないし、何も協力したくない。ただ、諸般の事情で仕事上協力せざるを得ない可能性が、ない、とは言えません。処分されてでも非協力、の勇気はなかなかありませんので、そんなことにならないで済むように、オリンピックが中止になることを、心の底から強く祈っています。いずれにしても、今回のことで、東京オリンピックは相当程度「祝福されざるイベント」となりました。仮に中止にならずどうしても強行されたとしても、もはや「オリンピックの対する国民的な期待」はほとんど地に落ちたも同然ではないでしょうか。
2021.02.11
コメント(3)
発言炎上の森喜朗会長 報道陣に不満爆発「いい加減」「無責任な連中」生出演番組で恨み節東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が「BSフジLIVEプライムニュース」に生出演。前日の「女性は話が長い」などとした女性蔑視とも取れる発言について、この日の会見で謝罪し撤回したが、「(当該発言は)深い意味を持って言ったわけではない。だんだん話が大きく取り上げられるのは本意ではない」と報道に不快感を示した。この日の謝罪会見でも、発言の真意を問いただす質問者に対し、「そういう話はしたくない」「面白おかしくしたいから聞いてるんだろ?」と気色ばむ場面があり、ネット上では“逆ギレ会見”と話題になっている。番組内では、森会長の発言を理由に聖火リレーで走る予定だったタレントの田村淳が辞退したことにも言及。2日に出席した自民党内での会合で「コロナがどんな形になっても必ずやり抜く」と発言したことや、聖火リレーで一般観覧者の密集を避けるために「有名人は田んぼで走ればいいんじゃないか」などと発言したことが発端となったが「日本のマスコミの皆さんはいい加減」と報道への不満を爆発させた。---私は、高齢者を目の敵にするような考えにはまったく賛成ではないのですが、そんな私の目から見ても、森の言動には「老害」という言葉しか思い浮かびません。最初の放言いや暴言は言うまでもなくとんでもないものですが、それについての「謝罪」が更にトンデモなので、一層火が燃え上がっている状態です。元々が舌禍の多い人で、政治家の時代はその舌禍が選挙での勝敗に結びつくこともありました。もっとも、彼個人の選挙区では、何を言っても支持する有権者のおかげで、落選するようなことはありませんでしたが。その森が、どういう経緯で誰が支持してオリンピック組織委員会の会長の座についているのかは知りません。しかし、どんな暴言でどれほど顰蹙を買おうが、民意の洗礼を受ける必要がない、そしてどうやら彼を会長に据えた人たち(オリンピック関係者上層部と政権与党上層部、ということになるのだろうと思います)は、彼の発言をそれほど問題視していない、少なくとも会長を更迭しなければならないほどには重大視していない、ということでしょう。あるいは、力関係的に彼を首にできる人がいない、ということなのかもしれませんが。いずれにしても、森が何を放言しても、狭い世界の力関係の論理によって組織委会長の座は安泰のようです。だけど、結局のところオリンピックは観客あるいは視聴者の存在に支えられて成り立っています。狭い世界の力の論理だけですべてがとおるものではありません。報道によれば、IOCの広報担当者は「森会長は謝罪した、この問題は終了したと考える」と述べているそうです。いやいや、逆ギレ居直りの「謝罪」でこの問題が本当に終了したと考えるなら、それこそIOCは終了している、と言いたくなりますよ。私は元々オリンピックの東京招致には賛成ではありませんでした。とはいえ、昨今の状況では、賛否以前にどうやったら最小限の傷と赤字で済ませられるのか、が最大の関心事になっていました。もはやどう転んでも、無傷でも赤字なしでも済むわけがありませんが、せめて被害は最小にしてほしいと、そう思っていました。しかし、こんなトップがふんぞり返り、それを追い出すこともできないような組織が取り仕切るオリンピックを、今のこの情勢で強行するのか、これには怒りがこみ上げています。コロナ禍の中でのオリンピックについて無観客開催が取り沙汰にされているようですが、いっそ、無試合無選手オリンピックにしたらどうですか?どうしてもやるなら、最低条件は組織委が「無会長・無森大会」であることでしょう。元々がこの状況でオリンピックが開催できるのかと多くの人が懐疑的な状況なのに、森の「功績」で、オリンピック開催に対する逆風は強まるばかり。それでも強行するのかもしれませんが、もはや日本中から、否世界中からそっぽを向かれる大会にしかならないでしょう。元々私はオリンピックの入場券など申し込みもしていなかったけれど、このまま森が会長のままなら個人的に「無視聴オリンピック」にしてやろうかと思ってしまいます。
2021.02.05
コメント(7)
東京五輪「中止」正式決定へ“秒読み”…デッドラインは2月の組織委・IOCの進捗確認<とっとと中止を決定して感染症対策に全力を尽くすべき>――。共同通信が9、10日に行った世論調査で、今夏の東京五輪について「再延期」「中止」が計約80%となり、SNSではこんな声が上がっている。政府が首都圏を対象に緊急事態宣言を発令、新型コロナの変異種発生もあり、大会組織委員会内部も一気に緊張感が高まっている。ある組織委関係者は、「基本的に一般職員は粛々と作業を進めていますが、感染拡大を受け『幹部クラスで“中止”が話し合われているのかも……』と疑心暗鬼になっています」と打ち明ける。というのも、中止決定の「デッドライン」が迫ってきているからだ。2月中旬にも決まるかもしれない。組織委とIOCが2月、準備状況を確認するプロジェクトレビューを行う予定。3月25日には聖火リレーがスタートするだけに、「沿道の警備やコロナ対策など、もろもろの準備作業は大変。中止するならプロジェクトレビューがある2月がギリギリのタイミング」(前出の関係者)というのだ。「3月いっぱいで組織委との契約が切れる職員も多い。彼らは五輪をやるなら契約継続ですが、中止なら次の就職先を探さないといけません。『決めるなら早く』と焦っている職員が多いのです。そもそも、今年の3月で満了となる契約自体が不自然でした。開催するなら、普通は大会終了後の9月まででしょう。以前から、『中止が視野に入っているんだろうな……』という声が上がっていました」(同)---タブロイド紙の書くことではありますが、現状オリンピックが開催できるとはとても思えないことは歴然としています。聖火リレー、各競技の予選(とりわけ国際試合)、選手団の派遣、観客の渡航や会場への入場、どれをとっても無理だろうと思わざるを得ません。しかし、こうしてみると昨年オリンピックを中止せず延期にした安倍前首相の判断にも大いに問題がありました。オリンピックを招致した時には、まさかあらかじめ感染症で開催できなくなるとを想定はしなかったでしょうが※、去年の延期決定の際は違います。※もっとも、感染症の世界的流行というのは予想もつかなかったけれど、何らかの自然災害でオリンピックが開催不能になる可能性はあると思っていましたし、そう考えた人は少なくないのではないでしょうか。311という経験もありましたから。新型コロナウイルス感染症がそんなにやすやすと終息するか、ということを冷静に分析すれば(冷静に分析しなければならなかった状況のはずです)、1年延期したって結局は開催できない可能性が相当高いことは容易に推測できたはずです。にもかかわらず延期して、結局やっぱり開催できない可能性が高そうです。それによって、昨年中止決定しているよりもさらに余計な費用と手間が発生します。去年の祝日は、オリンピックの開会式に合わせて移動されていました。結局オリンピックは延期になったので、結果として無意味に祝日を移動しただけだに終わりました。そして、私も最近まで気が付いていなかったのですが、懲りもせず今年も祝日の移動をしていたのですね。2021年の祝日移動についてそれも、決まった(法案の可決成立)のが昨年11月19日、なので多くのカレンダーがこの祝日変更を反映していません。我が家も、昨年末に買ったカレンダーがみんな反映していない。それでオリンピックが中止になれば、意味のない休日移動を2年連続でやった、ということになります。まったく余計なことばっかりしやがって、と思います。こういう、まったく下らない手間と費用を浪費させるためだけにオリンピックを延期した、結果としてはそういうことになります。オリンピックの都合をすべてに優先しようとするから、こういうことになる。オリンピックのために国があるわけじゃないのに。
2021.01.13
コメント(3)
東京五輪は「新型コロナに関係なく開催」 IOC副会長国際オリンピック委員会のジョン・コーツ副会長は7日、AFPの電話インタビューに応じ、来年に延期された東京五輪は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに関係なく開催され、同感染症を「克服した大会」になるだろうと述べた。五輪の中止は戦争以外に一度もないという状況の中、コーツ氏は東京五輪は新しい日程で行われると断固主張した。(以下略)ーーーなんと言うか、この状況でオリンピックやるんでしょうか。しかも、まだ全然克服なんかできていないし、その見通しもないのに、コロナを「克服した大会」になるだろうとか、よくそういうことが言えるなと、ある意味感心してしまいます。私も、個人的には、新型コロナよりもそれによる経済恐慌の方が恐ろしい、と考えています。コロナ対策と折り合いを付けながらではあれ、日常生活と経済活動を取り戻していかなければならないと考えています。だから、「私は自粛しない」をモットーに過度の自粛騒動を批判してきました。ただし、一切何も考えずに普段どおりの生活を送っている、というわけでもありません。そもそも仕事上コロナの影響は非常に大きく、普段とは違う仕事内容に振り回されていますし、仕事以外の面でも、三密回避にはそれなりの注意を払ったうえでの「私は自粛しない」です。しかし、そのような「べき論」はともかく、現実問題として、日本も世界も大勢としては、「コロナ対策なんかもういらない、コロナ前の日常生活に戻ろう」とはなっていません。海外旅行、海外出張がコロナ前のように制約なくできるようになるのがいつのことになるのか、まだ見通せる状況ではありません。オリンピックは本大会だけ開催できれば良いものではありません。出場のために予選があり、それも球技など団体戦の多くは予選も国際試合です。この状況で、その予選が、果たして出来るのでしょうか。また、日本では春先のコロナ流行が5月にいったん終息して、緊急事態宣言が解除された途端に、7月から第2波の流行が起こりました。それもやっと終息方向に向かってきたかな、というのが現在の状況ですが、これで本当に終わりでしょうか?第3波は来ないんでしょうか?いや、どう考えたって来るでしょう。冬になれば第3波、下手すればオリンピックまでにさらに第4波、という可能性は高いと言わざるを得ません。そうなったとき、予選も含めて、オリンピックが開催するのは絶望的に無理、としか思えません。だから、この発言は、単にIOCの願望を示したものに過ぎないものでしょう。今は、最初に「オリンピック中止します」と言い出した側が、キャンセルに伴う費用を押し付けられかねないというので、誰も中止を言わない。まるでチキンゲームのような状態です。だから、上記の発言は、オリンピックを中止してもIOCは何も負担する気はないぞ、という意思表示でもあるのでしょう。でも、そのチキンゲームから日本もIOCも降りずにオリンピックを強行してたら、実際にはいったい何ヶ国が参加できるのでしょうか。参加したとしても、世界のトップアスリートのうち、どれだけが出場するのでしょうか。そうなったら、国体に毛が生えたようなレベルの大会で、日本は金メダル獲得数史上最高記録を更新できるかもしれませんが、そんなものに世界のテレビ局は高額な放映権料を払わないでしょうし、スポンサーもあまりつかないでしょう。「違約金」は発生しないで済んでも、代わりに巨額の赤字が残ることになります。加えて、世界から人が集まれば、感染の再拡大(再々拡大か、再々々拡大か・・・・・)も確実です。選手団とマスメディアだけを選手村とメディアセンターに押し込めて、一般観客は入れない、とすれば感染コントロール可能かもしれませんが、そうまでして開催する意味があるのかは疑問です。オリンピックを中止して、誰かが莫大な違約金を負担するか、形だけは開催して莫大な赤字を残すか、どちらにしても逃げ道はなさそうです。その後始末は誰がするのでしょうか。オリンピックが商業的に成功して収益があがれば、その利益は一部企業と関係者のもの、失敗して赤字(または違約金)が残れば、それは全都民、または全国民の負担、ということになるのでしょうか。だとしたらあまりに理不尽と思います。
2020.09.08
コメント(0)
安倍首相、東京五輪延期を容認 「アスリート第一」安倍晋三首相は23日午前の参院予算委員会で、国際オリンピック委員会(IOC)が新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、夏開催の東京五輪の延期を検討すると発表したことに関し、「仮にそれ(予定通りの開催)が困難な場合には、アスリートの皆さんのことを第一に考え、延期の判断も行わざるを得ない」と述べ、容認する考えを示した。首相は「中止は選択肢にはないという点は国際オリンピック委員会(IOC)も同様だ」とも強調した。自民党の佐藤正久氏への答弁。---現状、予定どおり開催できると思っている人は誰もいないでしょうから、これはある意味予想通りではあります。ただし、「中止は選択肢にはないという点はIOCも同様だ」というのはどうでしょうか。先に紹介した報道によると、組織委幹部はいずれも「中止より延期の方が困難」と言っているそうです。具体的にはオリンピック関係施設の再確保、オリンピック後にマンションとして販売される(すでに販売済みの物件もある)選手村の補償問題、組織委の人件費、東京都やその他から派遣されてきている職員の人事、人件費負担等々。端的に言えば、少なからぬ都民に追加の迷惑をかけ、さらに莫大な追加費用も掛かる、ということになります。行政のトップは、そんな実務上のこまごました困難のことなど考えちゃいないのかもしれませんが、それらの負担のすべては、最終的には東京都をはじめとして全国民にのしかかってくることになります。本当に、事前にこんなことになるとはだれも分からなかったこととはいえ、何だって、よりによってこんな時期にオリンピックを招致しやがったんだ、と思わざるを得ません。
2020.03.23
コメント(6)
五輪は「延期が一番大変」組織委幹部が漏らす本音新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京オリンピック(五輪)の延期論や中止論が出る中、大会関係者は冷静な視点で情勢を見極めている。ある組織委幹部は「延期が一番大変で現実的でない」と漏らすほど、障壁は高い。~表向きな発言の裏で、組織委幹部らは危機管理として延期、中止、無観客も想定し始めている。多くの幹部が口をそろえるのが「延期は困難だ」という点。中でも大会関係施設の再確保が非現実的だ。メインプレスセンター、国際放送センターが置かれる東京ビッグサイト~首都屈指の大型展示場をさらに1年もしくは2年後に再び借り受けるとなれば、業界関係者だけでなく、世論の批判を浴びる恐れがある。当然、展示予定の事業者には、膨大な補償料も発生する。晴海の選手村は大会後に改修し、マンションとして売り出す。既に販売済みの物件がいくつもあり、組織委関係者は「五輪の延期で予定通り晴海に住めないとなったらこれも補償問題になってくる」と語った。延期の場合、人件費も重くのしかかる。大会組織委員会の職員数は年初時点で3000人を超えている。大会本番が近づき1年間、半年間という短期でも職員を採用してきた。ある組織委幹部は「延期でも解雇するわけにはいかないだろう」と指摘。予定外の人件費が一気に膨らむ。3000人超のうち、約3割と大所帯の都職員も派遣元に帰れず、今後の経歴や昇進に影響が出る。約8万人の大会ボランティア、3万人超の都市ボランティアも延期となれば、日程を空けておける保証もなくなる。組織委6300億円の予算のうち、900億円を見込むチケット収入。無観客や中止ならゼロになる。また、中止となれば五輪が放送できず、「IOC負担金」として組織委の収入となる予定の850億円も減額される可能性がある。関係者によると組織委に1000億円超の損失が出るという。IOC本体も、ただでは済まない。収入の約8割が膨大な放送権料だ。米放送大手NBCが、14年ソチ冬季五輪から32年夏季五輪までの10大会を総額120億ドル(約1兆2600億円)で取得したほど、巨額な収入源。中止となれば、その分の放送権料を失う可能性がある。(以下略)---なるほどねえ。簡単に言えば、進むも地獄、退くも地獄、ということです。現状の社会情勢からは、進むのが地獄であることは誰にでも分かることですが、お金の面の後始末の問題から、退く方も地獄、というわけです。偶然とは言え、こういう事態が起こってしまったときに、たまたまよりによって東京でオリンピックがぶつかる、こういうのを最悪のタイミングと言うのでしょう。安倍は(小池都知事も)まだオリンピック開催をあきらめてはいないのでしょう。あれだけ大急ぎで成立させた新型コロナ特措法の緊急事態宣言を、行っていないことからもそれは分かります。緊急事態宣言で全国民に外出自粛を事実上強要しながら、オリンピックは予定どおり開催しますは、さすがにあり得ないでしょうから。そういう意味では、結果として、オリンピックの存在が、安倍の暴走のストッパーになっているのかもしれません。それもどこまで続くかは分かりませんが。私としては、元々オリンピックを東京で開催することに賛成ではありませんでした。それは今も同じです。ただ、開催準備がここまで進んでしまった以上、今の時点でどうすべきか(どうするのが、もっとも傷が少なくて済むか)ということは、元々の賛否とは別次元で考えなければならないことでしょう。新型コロナは、そこまで極度に恐れるべきものではなく、自粛自粛による経済への悪影響の方が深刻ではないか、というのがわたしの考えです。その限りでは、オリンピックを今から中止することの経済的な影響は破滅的でしょう。その一方で、イタリアを中心にヨーロッパ諸国が極めて深刻な事態になりつつあり、いわゆる先進諸国でも、国境閉鎖や外出禁止などが次々と打ち出されているのが現実です。いつこの事態が終息するか、にもよりますが、現状の状況がまだしばらく続くとすれば、オリンピック開催など「絶対無理」という以外の見通しは、描きようがないように思います。いずれにしても、どういう選択肢でも大きな傷を伴うことは確実です。後始末に伴う高い代償は、オリンピックを推進した人たちで負っていただきたいものです。
2020.03.17
コメント(5)
虚構新聞速報/編集部便り【編集部】「東京都が五輪マラソン午前3時スタートを提案」は本紙記事ではございません。あしからずご了承ください。ーーーいやー、虚構新聞、ますますとばしているねと思ったら、まさかのリアル報道でした。東京オリンピックのマラソン札幌開催案を前回記事に取り上げましたが、これに対する東京側の対抗策なんだそうです。事実は小説より奇、というやつです。こんなことを考えるなんて、気は確かか?と思ってしまいます。日本での観戦者のことをまったく考えていない。(海外ではない、他ならぬ日本で開催されるスポーツ大会なのに、徹夜で観戦しろと?)運営スタッフのこともなにも考えていない(これまた完全徹夜)選手のことも、「酷暑対策」以外はなにも考えていない(生活リズムから考えても、ベストコンディションにするのは困難でしょう)前回の記事にも書きましたが、要するに東京で7月末から8月にマラソン(に限らず大規模なスポーツイベント)をやろうというところが土台間違っているのです。根本が間違っているのに、それを無理してやろうとするから、こういう素っ頓狂な案しか出てこないわけです。いわば手足を縛られた状態で発案を強いられる担当者はかわいそうなことですけど、まあ、常軌を逸していると言うしかないでしょう。東京オリンピックそのものに私は懐疑的ですが、次善の策としては、午前3時のマラソンと札幌でマラソンのどちらがマシかといえば、言うまでもなく札幌の方がまだマシだろうと言わざるを得ません。
2019.10.25
コメント(0)
東京五輪マラソン札幌開催が決定的 IOC強い意志IOCのトーマス・バッハ会長が、20年東京オリンピックのマラソンと競歩を札幌で開催する案について、強い意志を示していることが分かった。9月末から10月頭にかけ、中東ドーハで行われた陸上世界選手権のマラソンで、高温多湿により棄権者が続出したことがきっかけ。札幌では毎年、北海道マラソンが開催されており一定程度の知見はある。新国立競技場を発着とした五輪のマラソンチケットは既に一部が販売されており、数万の観客を収容する必要があることから、札幌に変更した場合は、札幌ドームが発着地に検討されている。関係者によると、IOCからの正式な提案は10月初めだったが、それ以前から「そんなに東京が暑ければ、札幌でやればいいのでは」と北海道の関係者から提案が挙がっていたという。---1週間前のニュースになってしまいましたが、東京オリンピックのマラソンと競歩だけ、札幌で開催する、という話が突如表面化して、確定的なのだそうです。確かに、酷暑の東京でマラソンをやるよりは、札幌の方が「まだマシ」ではあります。ただし、その札幌でも、残念ながら常時涼しい、というわけにはいかない。気象庁のサイトで札幌の今年7~8月の気象データを調べると、7月30日から8月1日までの3日間は続けて真夏日&熱帯夜(最高気温30度以上かつ最低気温25度以上)を記録しています。もっとも、これ以外も真夏日は度々記録していますが、熱帯夜はこの3日間だけです。過去2010年までの記録を調べた限り、札幌で熱帯夜の記録は今年の3日間しかないので、日中はともかく、朝晩であれば、札幌は涼しい、ということは、ほぼ言えるかと思います。しかし、札幌で行うのはマラソンと競歩だけなのでしょう。他の競技も、水泳と屋内競技場で行う競技は別にして、いわゆる陸上競技一般は、酷暑が厳しいのは同じだと思われます。新国立競技場は、フィールドと客席にはエアコンはないそうですし。選手はそれなりに暑さに備えて鍛えていても、観客や運営スタッフはそうではないのですから。※もっとも、引用記事に触れられているドーハでのマラソン大会は、深夜の開始にもかかわらず4割の棄権者を出した、ということは、やはり鍛えている選手でも厳しいんですね。私自身は、以前ランニングをしていた頃は、真夏の熱帯夜でも8kmとか10km走っていましたし、それで体調をおかしくしたことはないのですが、考えてみればペースはかなり遅かったです。世界のトップレベルとなれば、暑いから3時間割ってもよし、などというわけには行かず、極限のペースで走らなければなりませんからね。そう考えると、もういっそのこと、全競技の半分くらいは札幌に持って行くべきでは、と思ってしまいます。実際には、そうはいかないのでしょうけど。それにしても、7月から8月にかけての、もっとも暑い時期にオリンピックを開催する、などという決まりは、競技の運営をまったく考えない、スポーツビジネスだけの都合による「大人の事情」の最たるものだし、そんな酷暑の時期にもかかわらず東京がオリンピックに手を挙げたこと自体が、諸悪の根元と言わざるを得ないでしょう。言うまでもなく前回の東京オリンピックは、10月10日に始まっています。それは、東京で酷暑の真夏にオリンピックなんて無理、という常識的な判断があってのことです。1964年、まだ温暖化もヒートアイランド現象も今ほど顕著ではなかった時代です。東京のこの年は、7月中は熱帯夜皆無、8月でも連日熱帯夜ではありませんでした。それでも、そのようなまともな判断ができたのに比べて、56年後の日本は、当時より数段苛酷になった夏の暑さのさなかにオリンピックをやろうというのだから、なにを考えているのか、と思わざるを得ません。
2019.10.23
コメント(0)
東京五輪チケット落選率に見る、組織委の「おもてなし精神」欠如ぶり「おもてなし」をキーワードに招致を成功させた2020東京五輪だが、開催が近づくにつれ、おもてなしの対象はもっぱらIOCの理事や委員、それにスポンサー企業であって、本来最も大切なパートナーであるはずの東京都民、そして日本国民はまったく「愚弄されている実態」が次々に明らかになっている。6月20日に東京五輪入場券の抽選結果が発表されたが、「都民、国民をバカにしているのか」と、大批判が起こってもやむをえない事実が浮き彫りになっている。多くの応募者が、「1枚も当たらなかった!」と嘆いている。「全部当たったら約160万円なのでドキドキしていたら当選はゼロだった」「時間が重ならないよう何日も検討して選んだのに取り越し苦労だった」など、悲鳴とも憤慨ともつかぬ声があちこちで聞こえる。正確な数字ではないが、周囲の報告を総合すると、実感的には「落選率95%以上」ではないだろうか。「30枚申し込んで当選はゼロ」という人が少なくないから、もっと狭き門だったかもしれない。納得がいかないのは、今回の販売枚数が全体の何割程度なのか、次の先着順販売では今回のキャンセル分だけが販売されるのか、それとも予め確保されていた何割かが売り出されるのか、全体像がまったく公表されていないこと。せめて、最初の抽選販売は何割、国外で販売される枚数は全体の何割、スポンサーへの割り当て数、旅行代理店ルートへの提供枚数、直前販売を予定している枚数がどれほどなのか、およその数か割合だけでも公表されればまだ理解の余地がある。何も知らされず、ただ狂想曲に巻き込まれ、しかも「1枚も当たらない」のでは、バカにされているとしか言いようがない。ーーー私は、東京オリンピックのチケットは申し込んでいないので、当然一枚も当たりませんでした。だから、ある意味部外者、気楽なもんです。ただ、私の知人友人でも申し込んだ人はずいぶんいますが、やはり軒並み落選です。引用記事の筆者は30枚申し込んで水球だけが6枚当たったそうですが、知り合いで水球ばかり申し込んで(お子さんが水球をやっているから)一枚も当たらなかった人を知っています。だから、水球(オリンピックの種目の中では、人気のありそうな部類ではなさそうに思えますがが)が容易にチケットをとれる訳ではありません。そして、今からかなりの確度で予想できるのは、それほど高倍率でチケットが取れなかったはずなのに、本番のオリンピックがはじまったら、一部人気競技を除けば会場にに空席が目立ち、いったいチケットはどこに消えたのか、という話になるだろう、ということです。もちろん、それはスポンサー企業に大量のチケットが割り当てられること、一般に売り出されるチケットも国ごとに割り当ての枠があることなどが原因なのでしょうが、引用記事が言うように、その内訳が闇の中で、何枚が売り出されて実倍率がどのくらいなのか、一般観客にはまったく分からないところが不満の原因になるのでしょう。でも、それを公表してしまうと、「何だ、スポンサー企業がこんなに客席を押さえているのか!と怒りを買いかねないので、それもできないのでしょうね。結局情報もなくただ申し込むだけの一般観客が馬鹿を見るだけです。私なんか、そんな面倒なことに時間と労力を割きたくないから(そもそも、近年はオリンピックにそれほど強い興味があるわけでもないですが)、世間一般的には、そんな殿様商法でもみんなが応募するのだから、おいしい商売だよな、と思います。フルマラソンは、沿道で見学できるのかな。まさか公道上のマラソンコース周囲まで入場料を取る、なんてことは、いくら何でもないよね。もっとも、観客が多くで、ランナーが見える位置にはとても近付けないでしょうが。結局、テレビで観戦するのが一番快適なんじゃないでしょうか。
2019.06.28
コメント(0)
JOC疑惑 日本では違法じゃない! フランス当局は手も足も出せずそもそもフランス当局は、ドーピング疑惑の捜査の過程で、今回の不可解なお金の流れを発見した。これは賄賂なのではないかとして、竹田会長を事情聴取までしている。しかし、日本の法律では竹田会長を逮捕したり、強制捜査したりすることはできない。日本の刑法の中に国外犯規定というのがある。これは外国で日本人が悪いことをした場合でも捜査はできるけれど、日本の刑法の「贈収賄」は、日本の公務員限定。海外のお役人に賄賂を渡したとしても日本の刑法で処罰することはできない。外国公務員に対する賄賂を処罰する法律も、日本にはある。これを「不正競争防止法」という。ただしこれはビジネスに関する賄賂だけ。今回はオリンピック誘致に関することだから、ビジネスに関わることではない。外国の公務員とは、その国のお役人や政治家、きっちりとした国際機関の人たちが対象になる。IOCの委員は「公務員」や「みなし公務員」に当たらない。だからそういう人にお金を渡しても、それは賄賂には当たらないというのが、今の日本政府の見解なんだ。フランスでは民間人から民間人への賄賂は処罰できる規定がある。だから今回は、最初に、フランス当局が東京地検特捜部に、竹田会長を事情聴取をしてくださいと2年前に要請が来ていた。けれども、竹田会長が日本国内にいる限りは、フランスは手も足もでない状況じゃないか。しかし、仮に、竹田会長がドイツに行ったとする。そうするとフランスはドイツに対して身柄を拘束して引き渡してほしいと、お願いする。EUは一つの国のようなものだから、竹田会長がドイツに入国した時点で、おそらく身柄を拘束される。ということはEUにはまず行けない。あとは、かつてフランス領だった国にも行けない。そうすると、竹田会長が世界を股にかけてオリンピック活動をするのは困難になる。日本のオリンピックの代表者みたいな人なのに、日本から外に出られない状況になる。そうしたら竹田会長は役職を全うできなくなる。そうすると、辞めなきゃいけなくなる状況になるだろう。(要旨)---引用記事の見出しは、竹田の行状は日本では違法ではない、フランスは手も足も出ない、と「勇ましい」のですが、記事を読み進んでいくと、とても竹田が「潔白だ」などと言える状況ではないことが歴然としています。IOC委員は公務員ではない、オリンピックはビジネスではない、いずれも、日本の裁判所や検察の公式見解がそういうことなら、確かに竹田は日本の外に出ない限り身柄を拘束されることはないのでしょう。でも、それは(日本の)法律の盲点を突いただけのことであって、「巨大な犯罪ほど合法的である」、という本多勝一氏の警句の正しさを立証しているとしか思えません。それに、日本では「合法」でも、一歩日本の外に出たらそうではなくなります。引用記事が最後に認めているように、いくら竹田が日本国内にいる限りフランス当局に逮捕されることはないとしても、日本国外には出ることができないJOC会長では、会長としての職務は果たせません。そうなれば、結局辞任するしかなくなるでしょう。それにしても、片方ではオリンピックのためにボランティアを大動員して、方や億単位の裏金が飛び交う。竹田自身のJOC会長としての報酬額も、月130万円、年間1560万円だそうです。あまりに酷い矛盾であるように私は思います。オリンピックが営利であること自体は、一向に構わないと私は思っています。プロ野球、Jリーグ、大相撲、米国の4大スポーツ・・・・・・、世の中には商業スポーツが沢山あるのだから、オリンピックだけが商業スポーツであってはならない、などという理由はありません。ただ、実態は商業主義なのに、都合のよいところだけ「アマチュアリズム」を振りかざす、商業主義のつまみ食いは最悪だと、個人的に思っています。営利なら営利で、労働の対価はきちんと払う前提でなければおかしい。ボランティアという名のタダ働きに労働力の多くを依存して利益を出して、その利益に一部の企業が群がる、そのような構造は、「収奪」としか私には表現できません。そのような、オリンピックの歪んだ姿の象徴が、竹田を巡る疑惑なのではないでしょうか。
2019.01.21
コメント(4)
今度は本気?サマータイム導入 五輪まで2年しかないが2020年東京五輪・パラリンピックの暑さ対策として、標準時を1~2時間早める「サマータイム」(夏時間)の導入を政府が検討することになった。しかし、国民生活や経済への影響が大きく、これまでも浮かんでは消えている。大会組織委員会会長の森喜朗元首相や遠藤利明会長代行が7日午前、首相官邸を訪れ、サマータイム導入を求めた。安倍晋三首相は「内閣としても考えますが、ぜひ(自民)党の方で先行して、まずは議論をしてみてください」と応じた。自民党五輪実施本部長も務める遠藤氏は記者団に「お盆前に具体的な動きをスタートさせる。自民党が主導的に行い、各党の理解を得る形を作っていきたい」と述べ、党が主導して検討する考えを示した。五輪に先行する形で来年から導入できるよう、臨時国会への関連法案提出をめざすという。今夏の「災害級」の酷暑が動きを加速させた。欧米メディアは東京開催を不安視する報道を続けており、政府内には「小手先の対策だけでは限界がある」との声が出始めていた。---そもそもの前提条件として、年に2回時計の針を動かすことを強いるサマータイム制度は、大半の人にとっては迷惑以外の何物でもなく、百害あって一理もない制度です。サマータイムを以前から実施しているヨーロッパは、日本よりはるかに高緯度に位置しているため、夏場は夜明けが極度に早く、冬は極度に遅いのです。それに加えて、ヨーロッパは一般的に夏場に降雨が少なく、冬場に降雨、曇天が多い気候のため、日の出・日没時間からの計算以上に冬場の日照時間は少なくなります。人間はある程度以上日光を浴びていないと、様々な健康被害を生じます(たとえばくる病)。だから、生活上の不便はあっても、充分な日照がある夏場に日光を浴びておくことは、必要なことと考えられていました。もっとも、ヨーロッパでサマータイムが始まった最初の経緯は、第一次大戦中に石炭の消費を抑えるためだったようで、健康問題はおそらく後付の理由であろうと思われますが。そのヨーロッパでも、近年はサマータイム廃止の議論が進んでいるといいます。年に2回、強制的に時間を1時間変更することは、日照不足とは別種の健康被害を招く要因となること、IT化の進展で、標準時の変更がオンライン処理などの大きな障害になるからです。翻って、日本はどうでしょう。冬場に極度に日照時間が短いのは、本州の日本海沿い(豪雪地帯)の一部だけで、それもヨーロッパよりはるかに低緯度なので、夏場に時計を早めるメリットはあまりありません。ましてや、全国の人口の大半を占める太平洋気候の下では、夏場は梅雨や台風で降水量が多く、冬場に晴天が多いため、夏冬の日照時間の差はほとんどありません。(東京でもっとも日照時間の少ない月は9月)サマータイムは、国民生活にとって百害あって一利なしです。まして、その導入の理由が、東京オリンピックのため、というのは、賛否以前にそもそも異常ななことだと私は思います。東京近辺だけで行われる、たかが2週間程度(パラリンピックと合わせても1ヶ月あまり)のイベントのために、日本全国の標準時を変更することを要求する、あまりに常軌を逸しています。オリンピックとは、国の標準時すら変えさせることを当然視するほど偉いものですか?しかも、サマータイムの議論には、おそらく朝7時開始のマラソンのことしか念頭にない。確かに、酷暑の下での競技の異常性がもっとも際立つのがマラソンであり、私自身も当ブロクで、マラソンについて槍玉に挙げました。しかし、、それは言うまでもなくマラソンがもっとも象徴的ということであって、マラソンだけが問題ということではありません。ざっと競技開始時間を見ると、陸上は朝夕に分かれていますが、夕方は午後7時開始、野球も7時開始(野球の会場は都内の東京ドームや神宮ではなく、横浜スタジアムなのですね)、サッカーは日程によって6時か8時開始となっています。サマータイムで時計が1時間早まると、これらの競技がより酷暑の時間帯に始まることになります。つまり、なんの解決にもなっていないのです。歴史を紐解けば、日本においては戦後すぐの占領時代に、GHQの意向を受けて、4年間だけサマータイムが導入されたことがあります。しかし、まだITなどかけらもなかった当時でさえ、サマータイムで時計を動かすことによる生活リズムの混乱、仕事の始業時間は1時間早まっても、結局終業時間は変わらない場合が多く、ただ労働時間が伸ばされるだけという労働環境の悪化など、悪評が極めて大きく、サンフランシスコ講和条約成立後ただちに廃止されたような代物です。明らかに、占領時代の失策の最たるもの。それを、戦後レジームからの脱却などと叫んでいる安倍ネトウヨ内閣が持ち出すとしたら、これはもはや喜劇ですらあります。降ってわいたような、オリンピックにサマータイムという暴論は、あまりに馬鹿馬鹿しい話であるとともに、それを言い出したのが曲がりなりにも日本の首相を務めた人物であることに(まあ、森は日本の歴代首相の中でもあまり頭の良くない部類であったと思いますが)、ほとんど絶望的な感覚を抱いてしまいます。
2018.08.13
コメント(2)
東京五輪 暑さ回避、マラソン午前7時 屋外時間繰り上げ2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会はIOC理事会に五輪の競技日程の大枠を提案し、承認された。「酷暑五輪」が想定されるため、男女マラソンは開始時間を立候補ファイル(13年1月作成)から30分早めて午前7時とするなど屋外競技で開始時間を繰り上げ、可能な限り暑さを避けた。暑さ対策として開始時間を早めたのは陸上ではマラソンのほか、競技時間が4時間弱に及ぶ男子50キロ競歩も1時間半早めて全日程で最も早い午前6時開始。男女20キロ競歩も2時間早い午前7時開始とした。とりわけ暑いとされる霞ケ関カンツリー倶楽部で実施される男女ゴルフも当初の午前9時から午前7時に繰り上げた。トライアスロンも午前10時から午前8時と2時間繰り上げた。オープンウオーターも1時間早めて午前8時から始めることにした。また、さいたまスーパーアリーナで実施されるバスケットボールは最終電車に間に合わせるため、試合の終了時間を立候補ファイルの午前0時から午後11時に早めた。ビーチバレーも1時間早めて、午後10時50分に終える。(以下略)---この夏の酷暑ぶりは、なかなか強烈です。この1週間、東京ではほぼ連日高温注意情報が出ており、岐阜県多治見市では40度越え、京都で40度一歩手前の39.8度、熊谷37.8度、青梅36.7度・・・・・・、うんざりする数字が並んでいます。この暑いさなかの2020年7月24日から8月9日までのあいだ、東京オリンピックは開催されます。2年後の長期予報なんてものはないので、東京オリンピックのときの暑さがどの程度か、神ならぬ人間にはまったく知るよしもありません。もしかしたら、運よく冷夏かもしれないけれど、近年の傾向から考えれば酷暑の可能性のほうがはるかに高そうであることは疑いのないところです。こんな暑さの中でスポーツとは、正気の沙汰ではない・・・・・・、と思っていたら、さすがに開催時間が少し変更になったようです。が、どう見ても小手先としか思えない内容です。マラソンは7時開始、競歩は6時開始だそうですが、ゴール時間9時台から10時が想定されます。一昨日7月18日の東京(大手町)の気温は、午前9時33.0度、10時33.2度です。すでに、充分暑い。ここ数日の酷暑では、18日の1日だけです、全国で熱中症の死者が10名、東京23区では梅雨明け以降の熱中症死者が18名と報じられています。17日には、愛知県豊田市の小学校で1年生の男児が熱中症で亡くなる事故がありましたが、この時の郊外活動場所は、学校からわずか1キロ、学校の気温は32度、と報じられています。不要不急の外出は控えるべき、屋内にとどまる勇気を、と言われているこんな気候の中で、フルマラソンを走らせること自体、異常なことです。それを30分や1時間繰り上げたところで、異常なことに違いはないのです。本気で暑さを避けるなら、マラソン朝5時出発、競歩50km4時出発にするしかありません。そうでなければ、今から日程を一ヶ月半、後ろにずらすことです。でも、どちらもおそらく実現しないでしょう。朝4時や5時開始では、運営スタッフやボランティアが、始発電車でも間に合わないし、大会日程はスポーツビジネス業界の都合で決まってしまっているからです。選手ももちろん辛いですが、選手はまだしも、そのためのトレーニングを積んできた、事実上のプロです。私も、足の骨折以降はほとんど走っていませんが、以前は月間100km、夏場も気温30度超でも8kmから10km走って、熱中症になったことはありません。しかし、その私でも今日明日にその距離を走るのは無理でしょう。昔取った杵柄では、体がついていかないからです。同様に、マラソンに出走する現役の選手は何とかなっても、運営スタッフやボランティアは、どうにもならないだろうと思います。このオリンピック、大会ボランティアを8万人、都市ボランティアを3万人も動員するそうです。その人たちに、まさか選手並みの耐久力を求めるつもりでしょうか。個人的な経験になりますが、5年前に東京国体が行われた際、1日だけ駆り出されたことがあります。さる競技会場の駐輪場スタッフです。その日は、大変幸運なことにくもりで、気温は低かったのです。が、午後に少しだけ日が差した、それだけでも暑くて辛かったことを覚えています。大会ボランティアの募集要項を見ると、1日8時間、大会期間中10日以上従事できる人を募集だそうです。そんな長時間を無償のボランティアで済まそうとは、ほとんど搾取同然と思えます。現実問題として、そんな長期間のボランティアは、現役で働いている人には難しく、学生か退職後の高齢者が大半を占めることになるでしょう。前述のとおり、そのときの気候がどうなるかは分からないのですが、今のような猛暑になった場合、ボランティアから熱中症死者が何人も出ても、まったく不思議ではありません。もうひとつ問題なのは、このオリンピックの開会式、閉会式のために祝日を移動する、という話です。元々海の日と、スポーツの日(旧体育の日)を開会式の前日と当日に移動、山の日を閉会式(日曜)の翌日に移動するというのです。オリンピック期間中の交通量を減らすためだそうです。しかし、百歩譲って、元々が7月第3週月曜の海の日、8月11日の(しかも始まったばかりの)山の日はまだよいでしょう。そこになんで10月のスポーツの日を移動させてくるのか。元々がオリンピック起源の祝日だから、という安易な理由で移動させたのでしょう。しかし、秋の様々なイベントが数多く予定されている祝日を奪い取れるほど、オリンピックとは偉いものなのか。酷暑の中の競技、それに無償ボランティアを大量動員すること、祝日の移動、どれをとっても、オリンピックという錦の御旗のためにすべてを従わせよう、という考えがにじみ出ていて、わたしなどは感情的に吐き気を催すくらいの反発を感じざるを得ません。
2018.07.20
コメント(0)
東京五輪招致で国際陸連関係者に送金…仏で捜査フランス検察当局は12日、2020年東京五輪・パラリンピックの招致活動について声明を発表し、日本側が13年に国際陸上競技連盟のラミン・ディアク前会長の息子に関連する口座に計280万シンガポールドル(約2億2000万円)を送金していたことを確認し、捜査を始めたことを明らかにした。声明によると、送金は13年7月と10月の2回に渡って実行された。日本の銀行口座から、ディアク氏の息子が関わるシンガポールの会社口座宛てだった。明細には「2020年東京五輪招致」と記されていた。仏当局は昨年12月、ロシア選手のドーピング問題を巡ってディアク氏の汚職を捜査していた際に送金の事実を把握したとしている。---正直なところ、「まさか」ではなく「やっぱり」というのが感想です。この種のことはあるのだろうと思っていましたから。ただ、どうせもみ消されてしまって、司法の手でメスが入れられるようなことは起こらないのだろうとも思っていましたが、おそらくFIFA疑獄で何人もの逮捕者が出て以降、もはやスポーツ界はこの種の不正行為の聖域ではなくなったのでしょう。当然のことです。何しろ検察当局が声明というのだから、すでに具体的な証拠が挙がっているわけです。これからどんな展開になるのかは分かりませんが、逮捕者が出るのかどうか、特に贈賄側、つまり東京にオリンピックを呼び寄せたい側ということになるでしょうが、ここにどれだけ司法のメスが入るのか、大いに注目したいところです。JOC側は、さっそく火消しに必死ですが、非常に怪しい。東京五輪招致「コンサルタント料」海外送金認める2020年東京五輪・パラリンピック招致委員会(14年1月解散)からシンガポールの口座に多額の資金が振り込まれ、フランス検察当局が汚職などの疑いで捜査していることを受け、招致委理事長だったJOCの竹田恒和会長は13日、「コンサルタント料であり、問題のない手続き」との見解を明らかにした。JOCによると、口座名義は招致活動のコンサルタントのイアン・タン氏が代表を務める「ブラックタイディングス」。招致が決まった13年9月のIOC総会前の7月に9500万円、総会後の10月に「勝因分析」の対価として1億3500万円の計2億3000万円を招致委から直接送金した。竹田会長は招致計画作成や招致演説の指導、ロビー活動などの業務委託やコンサルタント料であると説明。ブ社はアジアや中東の情報分析が専門という。 英紙ガーディアンは、タン氏が国際陸上競技連盟のラミン・ディアク前会長の息子のパパマッサタ氏と「関係が近い」と指摘。この送金がセネガル人でIOC委員を務め、アフリカ票のとりまとめに影響力があったディアク氏側に流れたと報じている。竹田会長はタン氏とパパマッサタ氏の関係を「我々はまったく理解していない。現時点で確認もとれていない」との認識を示した。---送金の事実自体は否定しようがないので認めたのでしょうが、それは正当なコンサルティング料だと言っているわけです。が、正直なところ、タン氏とパパマッサタ氏の関係を「我々はまったく理解していない」というのは、白々しいとしか思えません。私は詳細は知りませんが、その程度の人間関係の事情も知らないでコンサルタントを選定するなんて、どう考えてもあり得ないでしょう。しかも、問題のコンサルタントの所在地はシンガポールの公営住宅の一室で、社名の表示等も一切なく、実体のないペーパーカンパニーである可能性が濃厚とのことです。ただ、まあ東京オリンピックだけの不正、とも思えませんけど。近年のオリンピック招致は、みんな同類でしょう。この際だから、関係者はみんないったん獄につながれる、オリンピックの招致はやり直す、あるいは思い切ってオリンピックは1回休みくらいの荒治療がなければ、体質改善など望めないように思います。
2016.05.13
コメント(2)
東京五輪の運営費1兆8000億円 当初見込みの6倍5年後のオリンピック・パラリンピックに向けて組織委員会が準備や運営に必要な費用を試算したところ、およそ1兆8000億円と当初の見込みの6倍に上り、組織委員会の財源だけでは大幅に不足することが分かった。不足分は東京都や国が補填することになり、今後、公的な財政負担がどこまで膨らむのかが焦点になる。組織委員会が大会の準備や運営を行うのに必要な費用は、立候補段階では3000億円程度と見込まれていたが、組織委が先月新たに試算したところ、見込みの6倍にあたる約1兆8000億円に上ることが分かった。内訳は、仮設競技会場整備費などが3000億円、会場に利用する施設賃借料などが2700億円、警備会社委託費などセキュリティー関連費用が2000億円、首都高に専用レーンを設ける営業補償費など選手や大会関係者輸送経費が1800億円など。費用の大幅な増加は、首都高の営業補償など想定外の経費が加わったこと、資材や人件費の高騰なども要因とのことですが、立候補段階での見通しの甘さが浮き彫りになった。一方、組織委がチケット収入やスポンサー企業から集められる資金は4500億円程度と見込まれ、このままでは1兆円以上が不足。組織委は経費の削減とともに東京都や国の事業として実施できるものがないか検討を進めるが、最終的に不足分を補填する都や国の財政負担が、今後どこまで膨らむのかが焦点。オリンピック・パラリンピック費用は、主に組織委、東京都、国が分担して負担する予定。新しい国立競技場は総工費と関連費用1581億円のうち、国が約半分の791億円、東京都も4分の1の395億円を負担。東京都は大会後も施設を残す競技会場の整備など2241億円を支出する予定。組織委は、大会後に取壊す仮設競技会場の整備、会場警備、選手の輸送など大会の準備・運営を担当し、立候補段階ではその費用は3000億円程度と見込まれていた。しかし、組織委が試算したところその費用は1兆8000億円に上ることが分かり、国や東京都が競技会場の整備で負担する費用を合わせると2兆1000億円以上になる。組織委は今後、費用を削減できないか検討し、東京都や国の予算で実施できるものがないか役割分担の見直しを進めることにしている。都や国が不足分を補填することになっているため公的な財政負担の拡大は避けられない情勢で、都民、国民が納得できる説明がこれまで以上に求められる。前回、2012年に開催されたロンドン大会でも、準備や運営、それに競技会場の整備などにかかる費用が当初の見込みの3倍近くにあたる2兆1000億円余りに膨らみ、組織委員会が財源不足に陥り、巨額の公的資金が投入された。スポーツイベントの運営に詳しい早稲田大学スポーツ科学学術院の原田宗彦教授は運営費などが大幅に増加したことについて「オリンピックの招致の段階では国内の支持、IOCの支持を取り付けなければならず、非常に小さめの数字でまとめることが多く、今回の東京も当初、小さくまとめたことがこの結果につながったと思う」と指摘している。(要旨)---これは、国立競技場建替え問題の比ではない巨額の大問題です。見積もりが甘かった、ということなのでしょうが、「甘い」というよりむしろ意図的な粉飾というのに近いのでは、と思います。要するに、単純な話オリンピックへの国内の支持、IOCの支持を取り付けるために、いかにも安上がりで済むかのように予算見積もりを偽った、ということです。当初の3000億円という見積もりは、関係者はそんな金額で済むはずがないことを半ば承知の上で出した架空の数字でしょう。「コンパクト五輪」なんて売り文句がありましたが、それは一般市民を欺くための言葉に過ぎなかったわけです。安倍の、汚染水問題についての「アンダーコントロール」発言もそうです。どんな嘘をついても、決まってしまえばこっちのもの、ということ。ある種の悪徳商法よろしく、勧誘するときはいいことばかり並べて、契約してしまえば(開催地として決定してしまえば)、もう引き返しはできないから、むしりとれるだけむしりとってしまえ、というハラでしょうか。実際問題、2012年のロンドンオリンピックだって、運営費は当初見積もりの3倍の2兆1千億円になった、という事実は2013年の東京開催決定の時点では分かっていたことであったはずです。オリンピック・パラリンピックという同じスポーツイベントで、競技の数、開催規模も同程度なのに、ロンドンに比べて東京がそんなに大幅に安上がりな予算規模で開催可能なのかどうか、ちょっと考えれば想像が付くことです。(そんなことが可能なら、ロンドンだってやっているに決まっている)そして、この問題を報じたマスコミの報道姿勢は果たしてどうだったのでしょうか。最大の売り文句だった「コンパクト五輪」の実現性が非常に危うい、というか不可能であることは、まともな思考力を持つ関係者だったら当然わかっていたはずです。記者だって、思っていなかったはずはない。しかし、オリンピック招致の際、こんな予算計画は怪しいぞ、コンパクト五輪なんてそんなことで済むはずがないぞ、ということを、各マスコミはきちんと指摘したのでしょうか。私は、2013年に東京オリンピックが決まったときの、各マスコミの報道姿勢について、詳細には記憶していませんが、オリンピック決定万歳という報道姿勢が主流であり、このような点に注意を向ける報道が、少なくとも多数を占めていた記憶はありません。もちろん、報道各社ごとの姿勢の違いはあるでしょうけど。もし、今になって、まるで降って湧いたかのようにこんなことを報じているとしたら、そのこと自体が報道機関としての敗北じゃなかろうか、と思わざるを得ません。それにしても、引用記事によればロンドンオリンピックでも、同様に開催費用が当初見積もりの3倍に膨れ上がったとか。つまり今回と同様のやり口が、オリンピックにおいて常態化している様子が伺えます。あまりにひどすぎる話ではなかろうか。
2015.12.19
コメント(4)
東京五輪エンブレム取り下げ 組織委、新たに公募へデザイナーの佐野研二郎氏が制作した2020年東京五輪・パラリンピックのエンブレムについて、大会組織委員会は1日、使用を中止して取り下げることを決めた。この問題では、エンブレムが盗作ではないかとする声や、無断転用した画像で使用イメージ図を作製したのではないかとの指摘が相次いでいた。組織委は新しいエンブレムを公募して選ぶ方針だ。整備計画がいったん白紙撤回された新国立競技場に続き、大会の象徴的存在が再び取り下げられる異例の事態となった。組織委の武藤敏郎事務総長は記者会見で、「佐野氏は使用イメージ画像の無断転用は認めたが、エンブレムの模倣は否定している。組織委も盗作とは考えていないが、今や一般国民の理解を得られなくなった」と使用中止を決めた理由を述べた。(以下略)---少し前に、当ブログでも、遅ればせながらこのエンブレム問題を取り上げました。出来レースにもほどがあるただ、ネット上で検索した限りは、ですけど、ベルギーの劇場ロゴマヘクの著作権侵害が司法の場で認められる可能性は低い、と多くの専門家は見ているようです。もっとも、日本の判例ではそうでも、今回の件はスイスで裁判を起こしているようなので、スイスで判例ではどうなのか、というのは若干気になるところではありますけど。いずれにしても、司法の場では勝てるにしても、誰がどう見たって模倣であることが歴然としているエンブレムを、これ以上使い続けることはマイナスイメージが大きすぎると判断したのでしょう。その判断は正しい、けど、遅すぎたと思います。都、すでに4600万円分発注…肩落とす職員ら都庁では1日午後1時前、テレビでエンブレムの使用中止方針を伝える速報が流れると、幹部職員らがテレビの前に集まり、「本当なのか」「今後はどうなるのか」などと不安そうに画面を眺めていた。都庁本庁舎入り口などにはエンブレムが入ったポスターが掲げられ、名刺にエンブレムを印刷して東京五輪をPRする職員もいた。都によると、これまでポスターやのぼり旗などで約4600万円分の発注を終えているという。(以下略)---このエンブレムは、すでにポスターなどで各所に使われています。その印刷費として、なんと4600万円もかかっていると。盗作の可能性が指摘されたのが7月中だし、そもそも原案の段階では別の作品に酷似していることを審査委員会は認識していたにもかかわらず、エンブレム変更という結論を先延ばしにした挙句、ポスターなどを大量に刷ってしまった後で撤回というのだから、遅きに失したというしかないでしょう。その4600万円は東京都の予算から払うんでしょうか。佐野氏の事務所か審査委員会に請求してほしいと思うんですけどねえ。で、新たに公募するのだそうです。何故でしょうか。先の記事に引用しましたが、審査委員によれば、エンブレムの公募には「日本のこれというグラフィックデザイナーはほとんど参加してくれた。」のだそうです。ということは、他に優れた作品はいっぱいあったはずですが、そこから選びなおすという発想はないのでしょうか。まあ、スタジアムの建設ほど時間を要するものではないでしょうから、まだ時間は充分にあるんでしょうけど。それにしても、スタジアム建設問題にしても、エンブレムの問題にしても、このオリンピックは、印象がよろしくないですねえ。スタジアムの建設問題も、総工費1550億で決着と報じられて、さも大幅に工費が減ったように見えますけど、それは2500億とか3000億とかいう、非常識なとんでもない数字と比べるから、まるで減ったように見えるけど、当初の想定は1300億で、その数字自体が過去のオリンピック・スタジアムの工費から見てとんでもなく高いのだから、1550億はとてつもなく高い額であることにかわりはありません。既存のスタジアムを使えばいいと思うのに、そういう選択肢は一切出てこないのは、それでは建設業界が潤わず、自民党にリベートが来ないかななのか、と勘ぐりたくなってしまいます。
2015.09.01
コメント(4)
戦争法案廃案!安倍政権退陣!8・30国会10万人・全国100万人大行動明日です。私も参加する予定ですが、風邪がなかなか治らなくて(もう1週間)、天気もあまりよくない予報で、雨の場合は長居出来ないかもしれません。が、今日はその話ではありません。五輪エンブレム 組織委員会が原案公開し盗作否定2020年東京五輪の公式エンブレムが盗作疑惑問題で揺れる中、佐野研二郎氏のデザインを選考した大会組織委員会が28日、都内で会見を行い、あらためて盗作を否定した。佐野氏がコンペに提出した原案などを示し、ベルギーのリエージュ劇場ロゴとの違いを主張。原案は決定版よりも「T」が強調されていた。しかし、原案は似ているデザインが見つかったため、修正を依頼した。修正案が示され「円」の要素が出てきた。しかしこれも、左端にも角がデザインされ「躍動感がなくなった」という理由から、再修正を依頼したという。そして完成したのが現在公表されている五輪エンブレムとなった。72年札幌冬季五輪のエンブレム制作者で審査委員の永井一正氏は「審査では誰がどの作品を出したのは全く分からなかった。後で名簿をもらったら、日本のこれというグラフィックデザイナーはほとんど参加してくれた。それだけ2020年の東京五輪・パラリンピックに参加したいという意欲があったんだと思った。今回のような質の高いコンペティションはなかったと思う」と、選考過程に不備はなかったと強調した。---この盗作騒動、何故か私自身にまで若干の飛び火がありまして、コメント欄を追っている方はすでにご存知と思いますが、佐野研二郎氏を必死で擁護している森本千絵氏というデザイナーの作品にも、盗作があったということで、その一つが、私が撮影してWikipediaにアップしたチャランゴの写真が使われているんですね。(こちらのコメント欄を参照)ま、佐野氏本人の話ではないので、たいしたニュース価値があるわけではありませんし、Wikipediaにアップした時点で私は著作権を放棄したようなものだし、そもそも作品性を主張するような写真ではないので、それ以上そのことを記事にはしませんでしたけど。それにしても、オリンピック組織委員会は佐野を必死で擁護しようとこんな会見を開いたわけですが、その内容を見ると、「語るに落ちた」と言わざるを得ません。要約すれば佐野氏の作品原案は別のロゴに似ていたので急遽修正して、いろいろ変更したら今の形になったと。だからリエージュ劇場ロゴを盗作する意図はなかったと、そういうことです。だけど、この説明だけでは、原案を作ったときはともかくとして、再修正の時点でリエージュ劇場ロゴを真似る意図がなかったかどうかは、まったく保証の限りではありません。でも、霊前の問題として、そもそも原案は別のデザインに似ていたと言っているのです。つまり最初から既存の作品(リエージュ劇場ではないようですが)のパクリだった、選考委員もそれを認識していたと認めているに等しいのです。最初からオリジナリティーに問題があるような作品が、なぜ選ばれたんでしょうか。他の応募作品がゴミみたいなものばかりで、選びようがなかったのでしょうか?そうではありませんね。だって、審査委員自身が「日本のこれというグラフィックデザイナーはほとんど参加してくれた。」と言っているのですから、他にも優れた作品は数多くあったはずです。普通なら、問題が分かった時点で、その作品は候補から外して別の作品を選ぶものなのではないでしょうか。そうでない理由は、一つしか思い浮かびません。それは、佐野氏の作品を(その出来がどんなものであれ)選ぶということがあらかじめ決まっていて、コンペはただのカモフラージュに過ぎなかった、ということです。要するに出来レースということでしょう。
2015.08.29
コメント(3)
新国立競技場:突出した総工費 有識者会議「縮小」に反発総工費2520億円に上る新国立競技場の計画が7日、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)の将来構想有識者会議で了承された。昨春の計画を900億円近く上回る大幅なコスト増に会議では異論がほとんど出ず、むしろ新たな出費につながる意見が相次いだ。「価格についてはここまで圧縮され、私は妥当だと思う」。大会組織委員会会長の森喜朗元首相は評価した。総工費は13年9月の五輪招致段階で1300億円と見込まれたが、建設資材高騰などを背景に同10月、3000億円の見通しが表面化した。見直しが進められ14年5月に1625億円に下げられたが、先月公表された計画で再び2520億円に膨らんだ。2520億円を導くためJSCと文部科学省は、開閉式屋根(遮音装置)設置を大会後に先送りし、常設8万席のうち1万5000席を仮設に変更してコストダウンを図ったが、委員は「計画縮小」に反発した。JASRACの都倉俊一会長は、五輪後にコンサート会場として活用する構想を踏まえ、遮音装置先送りに不満をあらわにして早期設置を訴えた。日本サッカー協会の小倉純二名誉会長は、W杯招致を見据えすべての座席を常設とすることを要望した。過去の五輪主会場の総工費は08年北京大会が540億円、12年ロンドン大会も837億円で、新国立競技場は突出している。16年大会招致に携わった鈴木知幸・順天堂大客員教授は委員の発言に「自分たちの思い入れで言っているだけで、経費や将来構想の視点がない。先々のことまで憂慮して話しているのか」と疑問を呈した。一方、文科省を批判していた東京都の舛添要一知事は「技術的な点を判断するのは私にとって不可能に近い。文科省、JSCの責任で間に合うよう、しかるべきものを完成させていただくことをお願いする」と述べるにとどめた。建築家の安藤忠雄氏は会議を欠席した。遠藤五輪担当相は8日、東京都庁で舛添要一知事と会談し、新国立競技場の建設費の一部負担を要請する。舛添知事は7日夜、記者団に「協力要請を受けて、どうするか考えたい」と語った。---この問題は、3000億の見積もりが出た当時、批判する記事を書いたことがあります。常軌を逸した金額3000億が2500億に圧縮されたのでめでたしめでたし、というわけにはいきません。そもそも、最初は1300億、それが3000億に拡大、批判されて1600億に縮小したけど、結局やっぱり2500億円と、どうしてこう見積もりが二転三転するのか。要するにその場しのぎのデタラメな見積もりとしか言いようがありません。しかも、引用記事にはありませんが、別報道によれば、維持費が50年間で1000億円以上、つまり年間で20億円もかかるそうです。サッカーのワールドカップを今後何回やるつもりなのか、8万人を集める音楽コンサートが、いったいどれほどの頻度で開かれるのか、ということを考えると、JASRAC会長やサッカー協会名誉会長の言い分は、費用対効果という視点をまったく欠いているとしか言いようがありません。「価格についてはここまで圧縮され、私は妥当だと思う」と言い放った森元首相に至っては、あきれてものも言えません。2500億円という巨額、過去のオリンピック会場と比べても異常に高価な建設費を「妥当」と言う感覚はいったい何なのか。要するに、今のアベノミクスもそうですが、公共事業にどんどんお金を注ぎ込もう、それによって利益誘導を計ろう、ということとしか思えません。民主党政権時代の子ども手当てや高校無償化がばら撒きだと散々批判されました。私自身も、子ども手当ては賛成ではありませんでした(高校無償化は賛成ですが)。でも、2500億円のオリンピック会場だって、バラマキだよねえ。その負担は、結局国民にのしかかってくる。しかも、東京都にも建設費の一部負担を求める、ともあります。私は東京都民なので、冗談じゃないよ、と思うんですけどねえ。
2015.07.08
コメント(2)
外国人過半数、東京五輪「屋外観戦の自信ない」外国人の9割が東京の夏は自国より暑いと考えている――。ダイキン工業が東京で暮らす外国人100人に対して行ったアンケートで、こんな結果が出た。自国と比べ、「耐えられないくらい暑い」と答えた人が25%、「暑い」が44%、「やや暑い」が19%だった。熱さを感じる原因として、80%の人が湿度の高さを上げた。100人の内訳は「北米」「欧州」「アジア」「中東・アフリカ」がそれぞれ25人ずつ。東京より気温の高い都市が多いはずの「アジア」と「中東・アフリカ」の計50人だけをみても、8割強が自国より暑いと答えた。また、2020年の東京五輪・パラリンピックについては、5割以上が「屋外で観戦する自信がない」と回答。直射日光を避ける場所を求める声や、冷たい飲み物や涼感グッズを配布してほしいとの要望があった。外国人の観戦者を増やすためには暑さ対策に本腰を入れる必要がありそうだ。---生まれたときから東京に住んでいる日本人の私だって、東京の夏は耐え難いと思っているのだから、外国人がそう思うのも当たり前でしょう。別の記事によると暑く感じる理由は、「湿度が高いため」(80%)がダントツの1位。次いで「気温が高いため」(56%)、「地面がアスファルトやコンクリートに覆われているため」(28%)、「夜でも気温が下がらないため」(28%)が続き、ヒートアイランド現象の特徴と合致する回答も上位に挙げられた。とのこと。 なるほど、皆さんよく分かっているんですねえ。暑さの感覚は、単純な気温のみで決まるのではなく、湿度と風の有無にもかなり左右されます。同じ気温でも、湿度が高ければより耐えがたい暑さに感じます。おりしも、今日の東京は、最高気温が30.1度。気温自体は、一応ギリギリ真夏日ではあるけれど、それほど高くはありませんでした。普通の天気ならしのぎやすい日だったでしょうが、現実には不快感は猛烈です。雨が降ったり止んだりして、湿度が猛烈に高かいから。気象庁のアメダスデータによると、東京(大手町)の相対湿度は、午後3時以降ほぼ90%台。こりゃたまりません。かといって、多少湿度が低かったとしても、昨年夏のような猛暑もまた耐え難い。ちなみに、東京で最高気温38.3度を記録した昨年8月11日の平均湿度は60%でした。引用記事に東京より気温の高い都市が多いはずの「アジア」と「中東・アフリカ」の計50人だけをみても、8割強が自国より暑いと答えた。という記述がありますが、近年の夏の東京は、東南アジアの諸都市に匹敵するくらいの暑さになっています。ただ、東京の夏が暑いのは2ヶ月かせいぜい3ヶ月ですが、東南アジアでは1年中暑い、という点が違いますが。で、東京オリンピックには、5割以上が屋外で観戦する自信はないとの回答だそうです。私だって屋外で観戦する自身なんてありません。なんだって、よりによって7月24日から8月9日までという、日本の夏の中でももっとも暑い時期を開催期間に選んでのか。もともと、IOCから7月中旬から8月中までに開催することという指定があり、その中からこの日程を選んだようです。1964年の東京オリンピックは、誰もが知るように10月10日に開会式がありました。それに比べると、なんとも無茶苦茶な時期に開催するものです。他のスポーツの日程に重ならずに、視聴率が取れるように、という「大人の事情」に、観客・スタッフ・選手が犠牲になるわけです。いや、観客は、暑さが耐え難ければ観戦しなければいいのでしょうが、スタッフと選手はそうは行きません。とりわけ、特別に体を鍛えているわけではないスタッフは地獄ですよ。それでも、東京オリンピックはこの日程でやるんでしょうね。観客(直接会場に足を運ぶ)や選手、スタッフより、スポンサーとテレビの前の視聴者の方が大事なんでしょうからね。 ※引用記事を見ると、「北米」「欧州」「アジア」「中東・アフリカ」がそれぞれ25人ずつなのだそうですが、なぜ南米がそこに入っていないんだろうか。ブラジルなども(行ったことはないけれど)かなり暑い国ですが。
2014.08.14
コメント(4)
床面積2割減どまり 新国立競技場 デザイン維持2020年東京五輪のメーン会場となる新国立競技場(東京都新宿区)が巨大すぎると指摘される問題で、見直しを進める日本スポーツ振興センター(JSC)が、最終的な延べ床面積の削減を全体の約二割にとどめる方針であることが、同センターの関係者の話で分かった。それでもロンドンやアテネ五輪の二倍前後の特大サイズになり、明治神宮外苑の美観への影響は避けられないため、さらに論議を呼びそうだ。建設計画をめぐっては、建築家の槇文彦さん(85)ら百人の識者が修正を求める要望書を文部科学省やJSCなどに提出。作家の森まゆみさん(59)らも景観の保存を求める活動を始めている。しかし、英国人建築家ザハ・ハディドさんの斬新なデザインがネックとなり、高さを大幅に下げるなどの抜本見直しは、現段階で見送られる見通しだ。JSC関係者は「建設費は原則として延べ床面積に応じて決まるため、(建設費を削減するには)面積を減らす必要があった。スケジュールを考えるとデザインの再検討は不可能で、これがギリギリの数字」と述べた。JSC関係者によると、8万人の収容人員は維持する方針。12年のロンドン五輪も八万席だったが、6割以上を後で取り外せる仮設席とした。槇さんらも一部仮設とするよう提案していたが、開閉式屋根のある今のデザインでは設置が難しくコストの削減効果は乏しいとして、計画通りすべて常設席にする。競技場上部の立体通路は簡素化する。「ホスピタリティー(おもてなし)機能」として重視するVIP・個室席や、スポーツ博物館・商業施設、地下駐車場などはいずれも残し、それぞれの面積を少しずつ削減。立地面積は幅、奥行きともに縮減する。修正により、最大で3000億円に膨らむ可能性があった総事業費は約1800億円となる見通し。このうち周辺整備費をのぞいた競技場本体の建設費は1400億円前後で、当初計画の1300億円を100億円前後上回りそうだ。JSCは、見直し結果を11月中にも新競技場のあり方を議論する有識者会議に報告する方針という。 <国立競技場の建て替え計画> 1958年に完成した現競技場は老朽化が進み、五輪会場の基準も満たしていないため、現在地に建て替えることが決まった。当初計画では、一般の観客席のほかVIP席・個室席(2万5000平方メートル)、スポーツ博物館・商業施設(計2万1000平方メートル)、地下駐車場(900台分)などを予定。延べ床面積は前回のロンドン五輪のメーン会場の3倍近い約29万平方メートルあった。15年秋の着工、19年春の完成を見込む。---現在の国立競技場は1950年代の建設だそうで、かなり老朽化しており、建て替え自体はやむを得ないのでしょう。しかし、新国立競技場の建設費が総額3000億円になる、という話を読んでぶったまげていたところ、さすがに問題になって規模縮小したそうです。しかし、それでも建設費総額1800億円(競技場本体の建設費1400億円)、相変わらずとんでもない金額にびっくりです。だいたい、金額を別の問題としても、建物のデザインにびっくりです。SF映画に出てきそうな建物です。200年後くらいの地球にはお似合いかもしれないけど、2020年の日本にお似合いの建物であるようには、どうも思えません。面積や容積に対して、いかにも建設費がかさみそうな建物という気がします。そもそも、総事業費1300億円という当初計画自体が、私には「とんでもなく高い」と思えます。まして、その当初予定の2倍以上にもなる設計案を選んでしまうというのは、どういう建設費の見通しで設計案を決めているわけ?というのが実に不可解です。検索したところ、この設計案のコンペの審査委員長は安藤忠雄だそうですね。他に、審査委員として鈴木博之、岸井隆幸、内藤廣、安岡正人、小倉純二、都倉俊一、ノーマン・フォスター、リチャード・ロジャース、河野一郎の各氏だそうですが、私は建築に詳しくないので、安藤以外のお名前は存じ上げません。しかし、そろいもそろって、予算をこんなにオーバーする設計案を選んでしまうとは、それでも建築の専門家なの?と思ってしまいます。外観の「かっこよさ」(私個人としては、かっこよいとも思わないけど)だけで、予算と無関係に設計案を選んでしまうなら、そこいらの素人が審査委員をやったって同じではないですか。昨年のロンドンオリンピックのメインスタジアムの総工費は、WIKIPEDIAによると、4億8600万英ポンドだそうで、日本円にすると、だいたい800億円弱です。もっとも、写真で見る限りはドーム式ではないようですが。日本国内では、福岡のヤフオクドームが開閉式ドームで建設費760億円、開閉式ではないドーム球場だと、東京ドームで350億円、一番新しい札幌ドームでも422億円という数字が出ています。つまり、開閉式ドームはかなり高価(かつ、開閉の稼動部の維持費も高額であることも容易に想像がつきます)で、開閉式ではないドームのほうがある程度安価であるようです。新国立競技場は、収容人員8万人だそうなので、野球のドームスタジアムより多いけれど、ロンドンオリンピックでは、そのあたりは、観客席の一部を仮設式にすることで対応したようです。確かに、8万人などという収容人員を必要とするイベントが、この先いったい何回あるのでしょうか。オリンピック以外には、まず思い浮かびません。この先何十年か後に再度ワールドカップでも招致することがあれば、そのときくらいでは。あとは、人気絶頂のアイドルグループのコンサートとか?(しかも、それは「あれば使ってもらえるかも」という程度の話であって、必要という意味ではありません)8万人なんて収容人数を埋められるイベントは、事実上たった一度のオリンピックしかないというのに、そのために恒常的な観客席を作るのは、馬鹿馬鹿しい話ですし、1300億(当初計画)とか1800億という建設費も、異常としか思えないのです。引用記事によれば、現在のデザインでは、観客席の一部を仮設にすることは難しいのだそうです。だったら、設計自体をやり直せ、と思いますね。福岡ドームは着工から竣工までちょうど2年、札幌ドームは3年(ただし、積雪期は工事ができないので、実質工事できる期間はやはり2年)、ナゴヤドーム2年7ヶ月(竣工ではなく開場まで)、日本で始めてのドーム球場である東京ドームで、2年10ヶ月です。そこから考えて、今から7年もある東京オリンピックまでに「スケジュールを考えるとデザインの再検討は不可能」というのは、マユツバではないの、と思ってしまいます。ああいう奇抜なデザインだから時間がかかるだけであって、オーソドックスなデザインでそこまで時間がかかるとも思えません。
2013.11.17
コメント(0)
既に周知のことですが、2020年のオリンピック開催地が東京に決まりました。正直なところ、私は東京オリンピックは反対ではないけれど、かといって賛成でもない、心情的には「消極的」というところです。決まってうれしい、という気持ちはありません。汚染水に関する安倍首相のウソ(うそ、と言ってよいレベルでしょう)に関しては、先日記事を書いたばかりですが、その後、当の東京電力自身から「今の状態はコントロールできていないと考えている」との発言が出ています。オリンピック欲しさにその場しのぎの発言をした、といわざるを得ないでしょう。で、この点以外にも、疑問点は多々あります。まず開催日程が7月24日から8月9日まで、という計画になっているようです。気は確かか?と思います。いうまでもなく、7月下旬から8月上旬というのは、日本がもっとも暑い時期です。2020年の気候がどのようなものかは、現時点ではまったく予想できませんが、ただ地球温暖化とヒートアイランド現象の傾向は進む一方であることを考えると、現在と同程度かそれ以上の暑さであることは間違いないだろうと思います。もちろん、今年ほどの暑さかどうかまでは分かりませんが。先日、四国の四万十で4日連続40度を記録したとき(東京も最高気温が38度を超えた)に調べたのですが、東京の夏は沖縄より、東南アジア諸国の夏よりはるかに暑くなっているのが現実です。気温のみで見れば、東京並の暑さのオリンピック(あるいはその他の国際的スポーツイベント)の例はあります。ただ、多くの場合、気温は高くても湿度は低いので、体感的な暑さ(不快指数)は、東京ほどではないようです。そういう意味では、東京は史上もっとも過酷な気象条件でオリンピックを行う、ということになります。そんなことは最初から分かっているからこそ、前回1964年のオリンピックは10月10日開会としたわけです。しかも、同じ東京でも、1964年と現在では気温は結構違います。もちろん現在のほうが暑い。それなのに何故今回は、こんなに過酷な時期にオリンピックを設定したのか。報じられているところによると、現在のIOCはオリンピックの開催時期として、7月中旬から8月末までの期間を指定しており、それ以外の時期の開催は許されないらしい。そしてその理由は、この期間が米国で大きなスポーツイベントとぶつからない時期に当たっているから、だそうです。つまり大スポンサーである米国のテレビ放送で視聴率を取りやすい(放映権料を稼ぎやすい)時期だから、ということです。つまり、結局は金儲けの都合(それも、日本ではなく米国の)で時期が決まっている、というわけです。事情の許す範囲で金儲けの便宜を図ることは悪いこととは思いませんが、東京で7月末から8月上旬の日中にスポーツイベントというのは、いささか「事情の許す範囲」を超えてしまっているように思えます。マラソンなんか、死人が出ても不思議はありません。いや、出場する選手はある種のプロですから死にはしないでしょうが、観客や運営関係者などはどうなるか分かりません。もうひとつ思ったのは、2020年までに大きな地震がくることはないのだろうか、ということです。大胆に予測すれば、東海地震(東海/東南海/南海連動地震)は、2020年よりは後になる可能性が高いのではないか、という気がしないこともないのですが、南関東直下型地震については、いつ来るかはまったく分かりません。ちなみに、地震調査研究推進本部は、地震の発生確率について、南海トラフ地震は10年以内に20%、30年以内に60~70%、50年以内に90%南関東M7クラスの地震は10年以内に30%、30年以内に70%、50年以内に90%としています。(こちらを参照)オリンピックまでに絶対起こる、というほどではないけれど、「オリンピックまでには起こらない」と安心できるほどの低確率でもなさそうです。極論すれば、今年来年あたりに地震がくるなら、2020年にオリンピックを開催することは可能かもしれませんが(可能不可能というだけなら、です。開催することがふさわしいかどうかは別問題)、前年やその年に起きたら、まず物理的に開催不可能ではないかと思います。IOC委員は、防災の専門家でも原発の専門家でもないので、そのあたりのリスクは深くは考えていないのでしょうね。
2013.09.15
コメント(11)
石原知事「東京も薄情な街に」…五輪支持低迷で2020年夏季五輪の招致で国際オリンピック委員会(IOC)の1次選考を通過したものの、IOCの世論調査で都民の支持率が低迷したことについて、石原知事は25日の記者会見で、「東京も薄っぺらくて薄情な街になってしまった」とぼやいた。IOCの調査では、東京の支持率は47%どまり。石原知事は「いま日本人が何に胸がときめくかと言えば、ちまちました『我欲』の充実。痩せた民族になってしまった」と作家らしく分析し、「低ければ、それを上げる努力をするだけのこと」と、来年9月の最終選考に向けて世論を喚起していく考えを明らかにした。---自分の主張に賛同する市民が半数に届かないからと言って、「薄っぺらくて薄情」「痩せた民族」って、いったいどれだけ「自虐」な考えですか。民意は特にオリンピックを求めてはいないのに、知事は東京オリンピックを招致したいという、そこのところに「我欲」がないとでもいうのでしょうか。私自身は東京でオリンピックを開催することに、特に賛成でも反対でもありませんが、2度目の東京より初めてのマドリッドあるいはイスタンブールの方がいいんじゃないか、とも思います。大方の都民は、「今そんなことにお金をつぎ込む余裕なんてあるの?」と思っているんじゃないでしょうか。少なくとも、「東京でオリンピックをやりたい」という草の根の熱意を感じることはありません。2016年オリンピックに落選する直前も、同様でした。2009年に東京が落選したとき、オリンピック開催への支持率は55%と報道されていました。ということは、そのときより支持率はさらに下がっているわけです。これから広告宣伝費をぶち込んで支持率を上げるつもりなんでしょうが、果たして効果があるでしょうかね。そういえば、前回のオリンピック招致運動は、招致費用として公費だけで100億円と言われます。しかも集めた資金以上の招致費用をつぎ込んでしまい、赤字になって落選以降も寄付を募るという馬鹿馬鹿しい事態に至っていましたが、あの赤字は最終的にどう処理されたのでしょうか。2020年といえば今から12年後ですが、それまでに東海/東南海/南海地震が起こる可能性だって、決して低くはありません。そうなった場合、果たして東京オリンピックが開催可能でしょうか。極論すれば、今日明日に地震が起こって12年後、なら不可能ではないかも知れません。開催することが望ましいかどうかは別にして、可能不可能というだけなら、ね。だけど開催予定日の数年以内に地震が起きたら、どう考えても開催不能だと思いますね。そのあたりは、どう検討しているんでしょうか。
2012.05.26
コメント(4)
http://www.asahi.com/olympics/news/TKY200910100271.html広島・長崎が20年夏季五輪招致へ 「平和」アピール広島市と長崎市は、20年夏季五輪の開催都市に共同で立候補する方向で検討に入った。両市長が11日に発表する。第2次世界大戦で原爆を投下された両市が共催という形で立候補すれば、五輪憲章が掲げる「平和」の理念を世界にアピールできる。ただ、五輪は「1都市開催」が原則で、立候補へのハードルは低くない。両市関係者らによると、五輪開催は秋葉忠利広島市長が提案し、田上富久長崎市長も了承した。今月2日の国際オリンピック委員会(IOC)総会で16年夏季五輪の開催地がリオデジャネイロ(ブラジル)に決まり、東京が落選したことから、20年五輪の開催地が決まる13年IOC総会に向け、実現の可能性を探ることにしたという。被爆した両市が主導する国際NGO「平和市長会議」は20年までの核兵器廃絶を目標に掲げており、五輪招致で核廃絶の機運を盛り上げる狙いもあるという。秋葉市長は昨年9月、広島市の広報紙で「核廃絶の目標達成を五輪という世界的な祭典で祝いたい」と表明。田上市長の反応も好意的だったという。日本オリンピック委員会(JOC)幹部によると、「記者会見の予定を打診されたのは数日前。まだ、検討の段階と聞いている」という。五輪憲章は1都市での開催を原則としており、「共催」は異例だ。ただ、IOC理事会の承認を経れば、一部競技を他都市で開くことは認められている。64年東京五輪では馬術競技を軽井沢で開催した例がある。近年の夏季五輪は世界的に首都級の大都市が争う傾向が定着し、招致費用も膨らんでいる。都市基盤やホテルの客室数、五輪後の競技会場の活用法や交通網などを考えると、地方都市の立候補はハンディを抱える。(以下略)-----------------------オリンピック2度目の東京より初めても広島長崎の方がよほど素直に応援できます。それにトップにあんな知事を頂く東京より、広島市長、長崎市長の方が遙かに好感が持てる(比較すること自体が失礼とすら思いますが)と私は思います。(もっとも、東京が4年後に再度立候補するときには、もう知事ああの人物ではない、はずですが)問題は「共催」という形を取れるかどうかです。1都市開催が原則だとすると、人口からみて、形式的には広島の単独開催で、一部の競技を長崎で、というのが現実的なのかも知れません。広島は立派に100万都市ですし、以前アジア競技大会も行われたことがありますから、主要な競技場はある程度揃っていると思われるので、いざとなれば単独でも開催能力はあるでしょう。長崎は人口40万人なので、単独ではちょっと厳しい気もします。冬季オリンピックなら、長野なんて長崎よりもっと人口が少なくても開催しましたが、夏季のオリンピックは冬季より規模が大きいですからね。まあいずれなしても、オリンピック開催までには厚い厚い壁があるとは思いますが、それでも「東京オリンピックよりも広島・長崎オリンピック!」いいじゃないですか。応援しています。
2009.10.11
コメント(6)
前回の日記で、オリンピック招致を巡る石原の発言にリオデジャネイロが抗議した件を取り上げましたが、この騒動、実はまだ終わっていません。せっかく石原の暴言について、JOC関係者が尻拭いの謝罪行脚をしているというのに、当人は脳天気に、今度はこんなことを言っています。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091009-00000604-san-pol石原知事、五輪招致「夢のため決して間違いじゃない」東京都の石原慎太郎知事は9日の定例記者会見で、2016年五輪招致で落選したことについて「こういう夢をみようということでやったのは決して間違いじゃない」と語った。会見の詳報は以下に通り。(中略)知事発言についてリオデジャネイロが抗議の意思を示していることについて「抗議されるも、されないも、だって実際のことでね、私はそれを悪いと言ってるわけじゃないんだから。ただ日本ができなかっただけのことでしてね。スペインなんかだってやっぱり国王が来てですね、推薦の演説だけじゃなしに何をされたかよくわかりませんがですな、残念ながら、日本はそういう意味での総力戦はできなかった」「それから、言いたいのはね、外務省なんかはやっぱり、JICAとか何か、いろんなですね、要するに援助をアフリカにしてるんですよ。これはかなりなものですよ。オリンピックのビディングというね、イベント、招致の運動の中でね、外務省、外務省はこれをもっと有効に使うことはできたと思うんだけども、そういう動きはちょっと遅れたというか、なかなか、日本人にとっては苦手なのか知りませんけど、これはこれ、あれはあれでね、相変わらずの縦割り行政でね、そういったものを総合的に、重層的に束ねて戦うということはなかったね。やっぱり、これはね、いい経験したと思いますね。」(中略)「フランスの場合はね、オリンピックは平和とね、協調って目指してるね、そのイベントの中で大統領が行ってね、戦争になりゃ人殺しに使うね、ジェット戦闘機を買ってくれたら支持をする、これは、ちょっと論外というかね滑稽というかね。まあね、やっぱり、だれもそれは本気に取り合いませんよ。だけどね、ブラジルの大統領はね、大統領の権限でね、国費を使って、それだけの援助をするから頼むぞというのは、これはやっぱり総合、総力戦としては当然のことだと思うし、やられたなという感じしましたな、僕はほんとに」 --つまり、報道を通じてリオの抗議につながるというとすれば、それは誤解なのか 「ああ、そうですね。誤解というか、私の言ったことをね、正しく理解されてないと思いますな」 --猪谷副会長が知事の発言をめぐって、IOCのロゲ会長らに謝罪したということだが 「知らないね、僕は。彼に頼んだこともないし。謝罪するったって僕はほんとのこと言っただけのことでですね、そのブラジルの大統領がね、要するに20億の、要するに支出をするといったことが、これ、ガセネタならあれだけど、実際やったんでしょう。それを私は、それをとがめてるわけじゃない。日本はそういうことはできなったというだけのことですから。やっぱり総力戦やったわけじゃないですか、ブラジルは。それをひねってね、まあ、やっぱりとられることはないと思うね。はい」 --------------------------もう何というか、話にならない。もちろん私は石原慎太郎を徹頭徹尾大嫌いですけれど、それにしても、これほどこんな人物を知事に頂く東京都民であることを恥だと思ったことはありません。「私はそれを悪いと言ってるわけじゃない」つまり、裏取引は悪いことじゃないと、記者会見でそう公言してしまったわけです。そう言えば、言い訳になるとでも思ったのでしょうか。どう考えても火に油を注ぐ発言としか思えません。この文脈からは、次は外務省とかJICAがアフリカに対して行っている援助をオリンピック招致に「活用」して裏取引を行うべきだと、そういう意味に受け取れます。ことは、「裏取引が実際にあったか否か」という問題ではありません。オリンピック立候補都市の知事が公式の記者会見の場で「裏取引があった」と発言するなら、その根拠を明示しなければなりません。それをしないで、無根拠に、市井のうわさ話と同レベルの放言をペラペラ喋って火に油を注ぐ、日本国内ではなあなあで済まされるかも知れませんが、世界には通用しないでしょう。これでは、2020年の東京オリンピック開催も、ないでしょう。(別に、積極的に開催して欲しいとも思いませんが)
2009.10.10
コメント(0)
http://www.asahi.com/sports/update/1006/TKY200910060292.html?ref=reca石原知事発言「裏取引」にリオ招致委、非難の声明16年の夏季五輪開催地に選ばれたブラジル・リオデジャネイロの招致委員会は5日、東京都の石原慎太郎知事が、ライバル都市のイメージを損なう論評を禁じた国際オリンピック委員会(IOC)の規則に抵触する発言をしたと非難する声明を出した。IOCに正式に抗議するという。リオの招致委は朝日新聞の取材に、「4日の記者会見で『裏取引』があったかのように言及した部分だ」と説明した。石原知事は4日の会見で、「例えば、ブラジルの大統領が来てですね、聞くところ、かなり思いきった約束をアフリカの(IOC委員の)諸君としたようです。それからサルコジ(仏大統領)がブラジルに行って『フランスの戦闘機を買ってくれるなら(五輪招致で)ブラジルを支持する』とか」などと発言。開催地選考に関しても「目に見えない非常に政治的な動きがあります」と話していた。リオの声明について、都幹部は「人づての情報を確認せずに口にした知事は、やや軽率だったかもしれない」と声を落とした。別の幹部は「東京は20年五輪に再挑戦するかもしれない。IOCの心証を損ねないよう、誠実に対応しないといけない」と話した。IOCは、開催候補都市に向けた行動規範で「ライバル都市のイメージを損なう恐れのある論評を慎まなければならない」としている。-----------------------敗北が決まった後の発言ではあるけれど、東京という一国の首都、それもオリンピックの開催に立候補した都市の知事が、公開の場で根拠の明確ではないうわさ話をペラペラ話しているんだから、話になりません。茶の間で世間話でもしている神経で記者会見をやっているのでしょうか。「フランスの戦闘機を買ってくれるなら(五輪招致で)ブラジルを支持する」こんなことを無根拠に言えば、一歩間違えれば外交問題になったって不思議ではありません。オリンピック招致に負けた腹いせにブラジルに対して砂をかけるような、ほとんど幼児的な言動が、オリンピック開催決定に喜ぶブラジル人にどう受け取られるか、ということを想像することができないんですかね。「人づての情報を確認せずに口にした知事は、やや軽率だったかもしれない」という「都幹部」の発言は、精一杯穏便な表現で、実際には軽率すぎて話になりません。一事が万事とは言いませんが、石原の記者会見にこの種の無根拠な放言が多いことは周知の事実です。オリンピック招致の敗因は、石原慎太郎という存在そのものにある、という思いを強くしました。
2009.10.08
コメント(3)
http://www.asahi.com/sports/spo/TKY200910030144.htmlリオ五輪決定「私たちの番だ」 数万人が歓声南米初の五輪開催地に決まった瞬間、リオデジャネイロ市のコパカバーナ海岸に集まった数万人の市民は一斉に歓声を上げ、抱き合い、「私たちの番がやっと回ってきた」と叫んだ。五輪の開催はブラジルの悲願。黄色と緑の国旗がはためき、紙吹雪が舞う中、感極まって泣き出す人もいれば、缶ビールを片手に踊り続ける人も。サンバの合唱がこだまするなか、エンジニアのジョアン・カルロスさん(46)は「リオが選ばれる必要があった。他はみな先進国。発展途上国でも、やれば出来ることが証明された」と興奮した様子で話した。リオでは治安が大きな課題だ。殺人事件が多発し、犯罪の温床であるスラム街は市内に1千カ所もある。だが、リオでは貧しい子供が犯罪に走らないようスポーツ教育に力を注ぐ様々な活動を実施。コペンハーゲンでの最終プレゼンで話が紹介されたスラム出身の陸上選手バルバラ・レオンシオさん(17)は、チェコでの07年の世界ユース選手権女子200メートルを制し、7年後を夢見る若い選手たちの希望の星だ。レオンシオさんらを指導したパウロ・コスタさん(71)は開催地決定の知らせに「うれしくて跳び上がりたい。これで、多くの貧しい子供たちの人生がよい方向に変わる」と話した。---------------------------- まあ、2度目の東京より、初めてのリオ・デ・ジャネイロ、それも史上初の南米開催の方が良かったと私は思います。オリンピック開催への支持率は、立候補した各都市の中で東京が最低(55%)だったと伝えられますが、それは過去にオリンピックを開催したことのある都市と、初めての都市(それも大陸全体として過去に例がない)で、熱意に差がなかったら、その方が不思議です。私自身も、東京でオリンピックを開催することに、積極的に反対というわけでもありませんが、正直言ってあまり賛成ではありませんでした。ただ、「選ばれないだろう」と思っていたので、あまり真剣に賛否を考えたわけではありませんが。そもそも、2008年に北京で開催しているのに、わずか8年後に再びアジアでという時点で、東京はかなり不利な立場にあったことは最初から明らかです。多くの人(多分マスコミ関係者やスポーツ関係者も)が、おそらくそう思っていたと思いますが、「東京は不利」とはっきり書くマスコミは何故かないのです。そういう意味で、私は東京の敗因は2016年のオリンピックに立候補したことそれ自体にある、と思います。2020年や24年なら、16年よりはまだ勝利の可能性が見込める。にもかかわらず2016年に立候補したのは、石原都知事の個人的な野心のためでしょう。要するに、「オリンピック招致」都知事選三選出馬の目玉商品にしたかったわけです。2020年や24年の立候補では、自分の功績にならないですから。その意味で、最大の敗因は石原都知事その人にあると私は思います。が、それにしてもhttp://www.asahi.com/national/update/1004/TKY200910030362.html3年間の招致活動に投入した税金100億円の使途も問われる。招致機運を盛り上げる費用として都内全62区市町村に年1千万円を上限に分配してきたが、世論支持率は候補4都市で最低だった。五輪開催に向けて積み立ててきた4千億円の使途も決まっていない。7月の都議選で第1党になった民主党の幹部は「招致費用はどれだけ効果があったのか疑問だ。無駄遣いかどうかを追及する」と話す。五輪用地の処理が宙に浮く恐れもある。臨海副都心にある選手村予定地(江東区)は31ヘクタール。750億円をかけて05年に造成した都有地だ。「早く売ってしまいたいが、不況で買い手がつくかどうか」。都幹部は心配する。 石原知事は20年以降の五輪招致に再挑戦する可能性に含みを残したが、課題は多い。--------------------------------招致費用100億円!!しかも、それは公費負担だけで、それ以外に以前の日記に書いたように、民間からも莫大な招致費用が出ています。なるほど、公費だけで100億もかかるなら、一晩で600万円の接待も大した話ではないのかも知れません。100億もの招致費用をかけるなら、次2020年のオリンピック立候補には、ちょっと賛同できません。4000億の積立金も、こんな不況の時ですから、都政のために有効に活用してほしいです。
2009.10.04
コメント(4)
2016年のオリンピックに東京が立候補していますが、その件についてなんとなく検索していたら、こんなブログに行き着いてしまいました。日本財団会長笹川陽平ブログ 「東京オリンピック招致は絶望か?」その1(前略)当時韓国は、政府は勿論、盧泰愚(ノ・テウ)体育大臣(後に大統領)を中心に、オーナー経営者が各種スポーツ団体の長を兼ね、身銭を切って招致活動に奔走した。私の韓国の知人は、パリでIOC委員のために「1回の夕食会に600万円費やした」と話してくれたことがある。「5~6人の食事でどうしてだ」と聞いたところ、IOC委員のハートをつかむために、ワインのビンテージを次々にあけたという。2007年10月3日のブログにも記したが、東京ミッドタウンのレストランに1本360万円のワインがあったということは、超高級ワインを4~5本あければ確かにその金額にはなる。IOC委員は世界に110名前後いるが、ブランデージ時代、途上国の委員は旅費の工面も容易ではなかった。しかし、現在のIOCは金持ちであり、各国の IOC委員も金銭的には困っていない。その上「どんな基準で投票するかは一人一人のIOC委員の自由である」、この点を忘れてはいけない。各国IOC委員の中には海千山千が大勢いる。彼らのハートをつかむには相当額の交際費が必要である。知事がワシントンのホテルで高額の部屋(確か2~3000ドル)に泊まったといって新聞で話題になるような国では、勝負ははじめから決まっている。自腹を切ってくれる創業者型経営者2~3人の、影の強力サポーターが絶対必要である。しかし、今のところ東京招致にそのようなサポーターはいない。長野オリンピックの時のように、20数億円を使用した帳簿を焼却したような乱暴なことは今や出来ない。オリンピックの招致は、政府、国民そして各国IOC委員を各個撃破する愛国心ある強力サポーターの一致団結によってのみ勝利が可能となるのである。--------------------------------私はオリンピックというイベントは嫌いではありませんし、600万円の食事会というのも、物好きなお金持ちが私財から払うものなら、好きにすればいい。が、しかしそこまでして日本でオリンピックを開催してほしい、とも思いません。で、そうやって札束攻勢でオリンピックを「買ってくる」のが愛国心だというなら、愛国心とはまたずいぶんと汚れたものだなあと思いますね。私は少なくとも、そんな「愛国心」に一致団結したいとは思いません。それにしても、600万の食事会でIOC委員を買収してオリンピック開催を勝ち取るのが「愛国心」だと、臆面もなくそうブログで公言するとは、あの笹川良一の息子だけはあります。
2009.09.10
コメント(2)
全47件 (47件中 1-47件目)
1