2007年08月31日
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今日のまとめ

1. サブプライムの問題は主にインドのBPO企業に悪影響を与えている
2. 一方、ITアウトソーシング企業への影響は殆ど無い
3. 中・長期の展望は明るい

■インドに飛び火した米国のサブプライム問題

 米国のサブプライム・ローンの焦げ付きの問題で去年の末から今年8月30日までに大小合わせて143社の住宅ローン業者が倒産しています。倒産した業者の大半は比較的規模の小さい企業ですが、その中には比較的規模が大きく、インドにBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の業務を外注していた業者もあります。このため一部のインドのBPO企業に業績予想の下方修正を余儀なくされるところが出てきています。BPO企業全体の売上高に占める住宅ローン業者の割合は約7%程度であると言われています。また、証券業、商業銀行などを含めた金融サービス業全体では35%程度です。


■BPO企業への影響

 今回、一番影響を受けているのは中堅のBPO企業です。具体的にはWNS(ティッカー:WNS)、エクセル・サービス(ティッカー:EXLS)、アイゲート(ティッカー:IGTE)、エンファシスなどです。このうちWNSは8月16日に業績ガイダンスの下方修正を発表しました。顧客のひとつである米国の住宅ローン業者、ファースト・マグナスが事業に行き詰まりBPO契約をキャンセルしたのがその原因です。ファースト・マグナスはWNSの売上高の約5%を占める顧客でした。WNSは2008年度の売上高ガイダンスをこれまでより1600万ドル低い2.86億ドル~2.91億ドルに修正しました。WNSは今回のガイダンス下方修正の前日に決算発表のカンファレンス・コールを開催しており、その翌日に早くも前日に示したガイダンスを下方修正するという不手際で投資家の信頼を失う結果となりました。WNSのもうひとつの顧客であるインディマック・バンコープ(ティッカー:IMB)も住宅ローンに関連する業務を行っていますが、こちらはWNSのライバルであるエクセル・サービスへも業務を外注しており、エクセル・サービスの売上高の約5%を占めています。なお、インディマックはサブプライム・ローンを扱っていません。このほかのBPOということになると最近 IPOされたジェンパクト(ティッカー:G)が気になりますが同社は先日の決算カンファレンス・コールの中で住宅ローン業者向けの売上高は今年1500万ドル程度を予定しており、そのうち800万ドルは既に入金しているので残りは700万ドル程度だと説明しました。つまり同社の総売上高の1%に満たない数字です。


■ITアウトソーシング大手への影響

 さて、BPO企業の状況は上に述べた通りですが、ITアウトソーシング企業はどうでしょうか?。ITアウトソーシング企業の顧客には住宅ローン業者はあまり名前を連ねていません。ただ、ウィプロ(ティッカー:WIT)やインフォシス(INFY)は小さなBPO 部門を持っており、大変僅か(売上高で1%以下)ですが今回の問題の影響を受けると思われます。いずれにせよ実際の収益に対するネガティブな影響よりも投資家心理に対する悪影響の方が遥かに大きいと思われます。また住宅ローンという業種に限らず、金融サービス業全般ということで見るとITアウトソーシング各社にとって金融サービス業はたいへん重要な顧客です。

インドのITアウトソーシング各社の業種別売り上げ構成比率

 これらのことから目先はインドのIT関連株に対する投資家のセンチメントが悪化するのは避けられないと思います。


■中・長期の展望

 さて、目先は兎も角、中・長期的な展望を考えると今回の下げは必ずしも悪いことばかりとは言えません。それは今後米国で住宅ローンの審査が厳格化し、ペーパーワークが増えると生き残った業者はアウトソーシングを増やす必要があるからです。実際、ドットコム・バブルが弾けた後、業績が悪化した投資銀行はコスト圧縮の為、財務モデルの維持などの比較的付加価値の低い業務をインドにアウトソースしました。それから今回のサブプライムの問題がインドに飛び火する直前まではインドのITアウトソーシング企業にとって一番頭の痛い問題はルピー高でした。しかし今回の世界の株式市場の急落でルピー高にはどうやら歯止めがかかったように見受けられます。各社の業績にとってみれば住宅ローン業者の問題よりこの為替の問題の方が深刻です。そのルピー高圧力が和らいだということは或る時点でバーゲン・ハンターが出動してくる可能性があるわけです。

インドのITアウトソースならびにBPO企業の一株当たり利益(PER)とPEGレシオ





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最終更新日  2007年08月31日 18時32分21秒


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