国土交通省と経済産業省は1月31日、省エネルギー法に基づく新しい
省エネ基準の告示を公布しました(1月31日付の官報号外に掲載)。
検討段階では4月1日からの施行を予定していましたが、住宅に関する
規定は10月1日施行と、ちょうど消費税増税経過措置が切り替わる
タイミングでの施行となりました。
※非住宅については予定通り4月1日に施行とのことです。
新しい省エネ基準についても、経過措置として住宅は2015年3月31日
まで、非住宅については2014年3月31日まで、現行基準の適用も認め
られます。また、既存の建物の増築や改修などについてはしばらくの間、
現行基準の適用も認められます。
さて「新しい省エネ基準」は、一体なんでしょうか?
「新しい省エネ基準」とは、個々の住宅の気候条件に基づく地域区分、
暖房(または冷房)方式、 換気方式に応じて定められています。
新築する住宅の断熱性能、エアコン設備や給湯設備等の設備機器の
仕様・性能から算定される石油・石炭・天然ガス等の化石燃料や水力・
太陽・地熱等の自然エネルギーなど自然から直接得られるエネルギー
(一次エネルギー)の消費量と基準値の比率である基準達成率を求め、
それぞれの住宅の省エネルギー性能を評価します。
あわせて、現在の住宅は外壁、窓などを通しての熱の損失を防止する
ため、壁や窓だけではなく床・天井・屋根まで家全体を断熱材ですっぽり
覆う断熱構造化により、冬は暖かく夏は涼しく過ごすことができるように
なりましたが、もちろん完璧に断熱できるわけではありません。
「新しい省エネ基準」では、この総熱損失量を床・壁・屋根の表面積で
割り算する指標にかわります。(外皮平均熱貫流率と呼びます)
いままでの省エネ基準は、総熱損失量を床面積で割った数値=Q値が
基準でした。
このQ値では、小規模住宅及び複雑な形状の住宅の場合、床面積に
対する外皮表面積の割合が大きいため、Q値を満たすために30cm超
の断熱材の施工が必要となる場合もありました。
特に住宅の断熱性能に関する基準については、ヒートショックや結露の
防止など、エネルギー消費量では評価されていない適切な室内温度分布
を確保する、という観点から設けられています。
その背景として、住宅の省エネ基準適合率は住宅エコポイントにより、
ようやく約5~6割に達したそうですが、全国では戸建住宅の約4割を
建てている中小工務店の適合率だけ着目すると、その半分にも満たない
と推測されているのです。
住宅の断熱構造化は住宅におけるエネルギー消費量削減の有効な
手段の一つ。
そこで、高い断熱性能を有する住宅の普及をめざし、床・壁・屋根の
断熱性能(外皮性能)と一次エネルギー消費量を指標として、建物全体の
省エネ性能を評価するものに変わるのです。
なお、省エネ基準を引用している住宅性能表示基準や長期優良住宅の
認定基準については、2013年度中の改定を検討しているそうです。
住宅の高性能化は、どうしても住宅のイニシャルコストに大きく影響を
及ぼすものですが、少なくても省エネルギー化は、今後のことを考えると
避けて通れないと。高級な設備や仕様だけではない、住宅の性能という
本質に国が本格的に舵を切ったこと。
しっかり見据えながら、家づくりやリフォームの計画を進めていく必要
がありそうです。
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