じゃくの音楽日記帳

じゃくの音楽日記帳

2010.05.02
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金聖響&神奈川フィルでマーラー交響曲第3番を聴きました。4月23日、みなとみらいホール。

指揮:金聖響
メゾソプラノ:波多野睦美
合唱:神奈川フィル合唱団
児童合唱:小田原少年少女合唱隊
管弦楽:神奈川フィル

金氏のマーラーは、2007年春にN響を振った巨人を聴いたとき、僕の好むマーラーとかなり離れていたのですが、果たして今回はどういう3番になるのでしょうか。独唱者に、古楽を中心に活躍する、僕の敬愛する波多野睦美さんを起用というのも珍しく、興味津々です。

ホールに入って楽器配置を眺めると、オケは両翼配置、しかしチューブラーベルは残念ながら舞台上です。合唱団用とおぼしき長椅子が舞台奥に何列か並んでいます。このホールはサントリーホールと同じように、パイプオルガンと舞台の間に数列の客席があり、この曲ではそこを合唱団席として使うのが普通です。しかし今日は客席として使われ、普通にお客さんがはいっています。

オケと女声合唱が入場し、女声合唱が舞台上の長椅子に座りました。これで舞台上はほぼいっぱいのようです。とすると児童合唱がいつどこに登場するのでしょうか。オルガンの前の席はお客さんがはいっていますので、もしかしたら舞台すぐ横の3階、高いところに位置する客席だろうか、などとあれこれ想像をめぐらしながら開演を迎えることになりました。



第一楽章が始まりました。ピシッとした、すごく気合いがはいった良い感じです。N響との巨人のときより、ずっといいです。トロンボーンのソロも強弱の陰影濃く、立派でした。ただ、第一楽章を聴き進むうちに、音楽がちょっと勇ましすぎる感じがし始めました。夏が来る浮き浮きするような喜びある行進であって欲しいのに、ちょっと軍隊調の厳めしい勇ましい曲調になりすぎて残念です。それから、冒頭のホルンの主題が再現される直前、舞台裏の小太鼓が目立つ部分(練習番号54)がありますね。この小太鼓を、舞台の上手のドアを開けて、確かに舞台裏で叩かせてました。しかし、おそらくドアのすぐそばで叩いているのでしょう、姿こそ見えないけれど音がすぐそばから大きくはっきりときこえてきて、距離感がまるでないんです。これではオケの中で叩くのと変わらないです。この小太鼓、スコアには「遠くに設置された小太鼓」と指示されています。舞台の裏で叩けばどこでも良いと言うものではなく、ある程度の距離感を感じられることが大事だと思うんです。

このような点が引っ掛かりましたけど、第一楽章はオケも頑張っていて、引き締まった、それなりに聞き応えのあるものでした。

しかし第二楽章は、魅力乏しく、ちょっといただけない演奏でした。オケの練習不足なのかなぁと思いました。

第三楽章、ポストホルンは、明るめの、なかなか素敵な音色で聴かせてくれました。僕はポストホルンの音色っぽいかなぁ、と思いましたが、友人はトランペットの音ではないか、と言っていました。インバルの一件(「 ところでポストホルン?」 を参照ください)以来、自分の耳にすっかり自信がなくなってしまいました(^^;)。まぁ何の楽器を吹いたにせよ、音色としては、かなり魅力ある音色でした。演奏自体には傷が多少あったけれど、このような音色で聴ける喜びは大きく、いい演奏でした。

ただし、惜しむらくは、先程の小太鼓と同様、距離感が感じられなかったことです。今回ポストホルンの音は、ホールの右奥の高いところあたりから響いてきました。おそらく会場の右奥の、2階か3階の客席と廊下の間のドアを開けて、そのすぐそばで吹いたのかと想像します。舞台裏とはいえ、すぐそばで吹いている感じで、遠くからという感じがしませんでした。このポストホルンは、遠くから聴こえてくる感じがしてこそ、胸にせまります。(大植&大フィルのポストホルンの距離感は本当に素晴らしかったことを思い出します。)

さて曲は進み、ホルンとトロンボーンの斉奏の楽節(練習番号30、31)です。ここは普通に通過しました。しかしその直後の練習番号32、楽章の最後に向けて音楽が徐々ににぎやかになり始めるところから、児童合唱が入場し始めました。ホール2階の奥の左右から続々と素早く(小走り気味に)入ってきて、パイプオルガンの前の通路に立ったまま横一列に並び始めました。そして第三楽章の終結までの短い間に、慌ただしく並んでいきました。それでも第三楽章の終結音が鳴り止むタイミングまでには間に合わず、そのほんのわずか直後に、最後の児童が整列し終わりました。児童合唱をこのように入場させるからには、そのままアタッカで第四楽章を始めるのだろう、と思いきや、指揮者は指揮棒を下ろして、小休止をとったのです!

うーん、ここで児童合唱を入れるんですか。。。そしてそれは一体何のためなんでしょう!?

もし、どうしても第三楽章の演奏中に児童合唱を入れなくてはならないのだとしたら、この32からというタイミングはそれほど致命的ではないと思います。昨年秋の 井上道義/OEK&新日フィルの金沢公演 では、この直前の30、31のホルンとトロンボーンの斉奏の真っ最中、まさに神が姿を現しつつある音楽の真っ最中に、合唱団がぞろぞろ入場し始めるという、最悪のタイミングでした。それに比べれば今回の入場開始のタイミングは、僅かにうしろにずれただけとはいえ、音楽の内容的には神が現れ終わったあとの部分なので、音楽の受ける被害は随分小さくてすみ、多少はましです。(しかしこのタイミングだと第三楽章の終わりまでの時間が短いので、児童合唱が大勢入場する時間はとれません。)

しかし、そこまでしてわざわざ児童合唱を音楽の演奏中に入れる目的は、そもそも何なのでしょうか。スコアには指定がない、第三楽章と第四楽章をアタッカで演奏するため、としか考えられません。それなのに今回の金氏は、第三楽章が終わったあとに指揮棒を下ろして間合いをとったんです。ここで間合いを取るのであれば、わざわざ演奏中に合唱を入場させず、第三楽章が終わってから普通に入場させた方が、音楽を損なわずにすむので、はるかに良いのに。。。意味不明の演奏中の児童合唱入場でした。



曲は第四楽章からアタッカで第五楽章へ。パイプオルガンの前に横一列にずらっと立ったまま並んでいた児童合唱が、ぱっと照明に照らし出されるのと同時に歌い始めました。そしてそれに少し遅れて第四小節あたりで、女声合唱がすくっと立ち上がり、歌い始めました。この女声合唱の起立のタイミングは、昨秋の 三河氏&小田原フィル もやっていた方式であり、かなり良いタイミングと思います。

この第五楽章は、児童合唱の人数が少ないせいか(20人前後でした)弱めで、声があまり聴こえてこなかったのが残念でした。小田原少年少女合唱隊は、プログラムをみるともっと大勢いる合唱団のようですから、もっと大勢で歌った方が良かったと思います。

第五楽章が終わって、児童合唱の照明が落とされ、そのまま終楽章がはじまりました。なお、声楽陣の着席のタイミングについても触れておきます。児童合唱はそもそも椅子がない通路に立っているので、そのまま終演まで立ちっぱなしでした。女声合唱は、終楽章の途中で音楽がある程度盛り上がったときに座る普通の方法でした。そして波多野さんはおそらくそのときに一緒に座るタイミングを逸してしまったのか、しばらく一人で立っていましたが、そのあと少ししたところで静かに着席されました。

さて、細かな事をつらつらと書きましたが、肝心の聴こえてくる音楽について書きます。第一楽章は勇ましすぎでした。第二楽章以降はどうも今ひとつ歌心を欠くというか、隔靴掻痒の感が持続しました。終楽章が始まってもそれは変わらず、うーんやっぱり金氏のマーラーは僕の求めるマーラーとかなり異なるのかなぁと思いながら終楽章を聴いていました。



コンマスの方のソロは、個性的で濃い味が良かったです。

なおカーテンコールでは、真面目そうな奏者の方が、バルブなしのポストホルンを持って出てこられました。この楽器で吹いたのではないと思います。都響の方みたいに冗談という感じは微塵もなく、誠実な感じの方でしたが、これはやっぱり残念です。ご自分の吹かれた楽器を持って出てきて欲しいと、切に思います。

金氏はマーラーに思い入れがあるようで、これからの1年で神奈川フィルと、今日を含めて順に3、2、4、5、6番を一挙に演奏されるそうです。その思い入れは歓迎したいですが、きょうの演奏を聴くと、そんな短期間で大丈夫ですか、と心配になります。かのベルティーニも、最後の都響とのマーラーチクルスに3年くらいかけてました。。。





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Last updated  2010.05.03 02:54:03
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