じゃくの音楽日記帳

じゃくの音楽日記帳

2013.01.05
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毎年恒例の、1年を振り返ってのコンサートのまとめを書きます。まずはマーラー演奏会。

嘆きの歌  5月19日 アルミンク/新日フィル     (すみだトリフォニー)
      10月3日 インバル/都響         (東京文化会館)

1番 5月 7日 ハーディング/新日フィル      (すみだトリフォニー)
   9月20日 インバル/都響            (東京文化会館)

2番  9月29日 インバル/都響          (東京芸術劇場)

3番   1月22日 浅野亮介/アンサンブル・フリー   (尼崎市総合文化センター)
1月28日 沼尻竜典/群響             (群馬音楽センター)
1月29日 同上                    (桐生市市民文化会館)
5月10日 大植英次/大フィル          (兵庫県立芸術文化センター)
10月27日 インバル/都響            (みなとみらい)
10月28日 同上                  (東京芸術劇場)

4番   1月25日 上岡敏之/読響            (サントリー)
    11月 3日 インバル/都響            (東京芸術劇場)

5番  4月 6日 インキネン/日フィル             (サントリー)
    4月 7日 同上                     
     6月 6日 ヤルヴィ/フランクフルト響         (サントリー)
5月22日 大植英次/大フィル              (岸和田市立浪切ホール)
11月19日 ティルソン・トーマス/サンフランシスコ響  (サントリー)

6番  5月26日 佐渡裕/日フィル               (みなとみらい)
5月27日 佐渡裕/日フィル                (サントリー)

8番  7月15日 井上道義/名古屋マーラー音楽祭フェスティバル管   (愛知県芸術劇場)
7月16日 同上

大地 3月30日 インバル/都響                (サントリー)

9番 2月12日 井上道義/東フィル              (オーチャード)
7月12日 大植英次/大フィル               (ザ・シンフォニーホール)
7月13日 大植英次/大フィル               (ザ・シンフォニーホール)
   12月14日 尾高忠明/読響               (サントリー)

さすらう若人の歌 9月20日 インバル/都響/小森輝彦     (東京文化会館)
亡き子をしのぶ歌 3月30日 インバル/都響/フェルミリオン  (サントリー)


嘆きの歌が2回も聴けた貴重な年でした。嘆きの歌は、初稿を用いたアルミンクが、記事に書いたように、すばらしい演奏で大満足でした。
一方インバルは、第一部に初稿、第二部・第三部に改定稿を用いての演奏でした。改定稿では任意とされている笛の歌のボーイアルトは起用せず、大人による歌唱でした。

インバルの演奏を聴いていて疑問を感じたのは、声楽の配置です。オケの後ろに独唱者4人が並び、そのうしろに合唱団が並びました。しかしこの配置だと、独唱者がオケの後ろに引っ込んでいるので、ちょっと弱いのです。マーラーのシンフォニーであれば、このような配置がとられることは比較的多いし、決して悪くないと思います。しかし嘆きの歌では、シンフォニーよりも、独唱者にもっと目立つ劇的な役割が与えられています。独唱者が後ろのほうだと、いかにも迫力不足になってしまいます。文化会館というデッドな空間だけに、余計その感が強く、ちょっと残念な演奏でした。

ちなみにアルミンクは、指揮者のすぐそばに独唱者が並んで歌い、独唱者の重要な役割が発揮されやすかったですし、記事にも書いたように、笛の語りの部分が高いところからの児童の歌で、絶大な効果をあげていました。

2番のインバルについて一点だけあげておくと、終楽章に板の鐘を使っていたのが、大きな疑問です。9番の鐘でしたら板の音色もかなりふさわしいのですが、2番の鐘に、板の音色は完全にミスマッチです。おぼろげな記憶ですが、確かデプリーストが都響と演奏した復活でも板の鐘を使っていて、やはり多いなる違和感がありました。

この曲の鐘には、教会の大きな鐘のような音色が断然似会います。僕が今までに聴いた復活の鐘の音色で一番素晴らしいと思ったのは、数年前に同じインバルがフィルハーモニア管と東京芸術劇場で演奏したときのチューブラーベルです。このベルは、独特な濃い茶褐色で、通常よりものすごく長いもので、雛段をかなり高くしてそこから長くつりさげていました。これが教会の鐘のような、すばらしい音を聴かせてくれて、本当にほれぼれする鐘でした。これが断然ベストです。あとハーディングが東フィルを振ったときの東京オペラシティでの復活も、太めのチューブラーベルで、なかなか良い音が響いていました。

今年聴いた3番は、沼尻&群響の初日(1月28日群馬音楽センター)が、ミューズの神に祝福された圧倒的な名演でした!大植&大フィルは今回は不発、インバル&都響も記事にしたとおりの印象でした。

4番は、上岡、インバルの両者とも、独唱がいま一つだったのが残念でした。

5番はティルソン・トーマス&サンフランシスコ響が、他の演奏とまったく別格、別次元でした。ひとつひとつの部分に全てが含まれている、そういう音楽でした。5番でこのような音楽世界にいざなってくれるとは思いもよりませんでした。ティルソン・トーマスが3・6・9を振ったら一体どうなってしまうのか。いつかは聴いてみたいです。

インキネン&日フィルの5番に関しても触れておきましょう。 2011年9月のインキネンの3番はすばらしかった ので、今回の5番には期待して二日とも聴きに行きましたが、今回は、「普通に良かった」という感じに留まりました。ただし日フィルは今回も大健闘、いい音を出していました。

6番の佐渡&日フィルも予想をはるかに上回るすばらしい演奏で、大満足でした。

名古屋の8番。アマオケがここまでやってしまうとは、恐れ入りました。

インバル&都響の大地の歌。僕の聴いたのは二日公演の二日目、2011年度の最後の演奏会で、インバルも都響もとても気合がはいった演奏でした。インバルと共演を重ねているフェルミリオンさんは、とても良い声で、インバルの指示を的確に実行し、鋭角的な表現が随所にあって、興味深いところが多々あるマーラーでした。しかし、しかし。

終楽章「告別」の後半、この曲のもっとも大事な部分で、インバルの音楽からは、「寂寥感」が僕にはまったく感じ取れませんでした。インバルがこの曲に何を感じ何を求めているのかはわかりませんが、寂寥感のない告別というのは、僕にとっては致命的。 2011年11月の大植&大フィルや、シナイスキー&N響の超名演 の記憶もまだ強く残っている状態だっただけに、この告別には、大変大変がっかりしました。

9番は、いうまでもなく大植さんにとどめをさします。井上道義&東フィルも、かなり良かったです。尾高さんの9番は、終楽章は素晴らしかったですが、第一楽章が軽すぎたのがもの足りなかったです。(ティルソン・トーマスの5番を体験した今だからこそ、恐れずに言ってしまいましょう、「マーラーに軽く流す楽章はない。」)

駆け足でふりかえった2012年のマーラー演奏。3、5、6、9番と大感動体験ができて、充実の1年でした。






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Last updated  2013.01.06 22:31:04
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