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ツミが飛来し造巣、産卵を行っている多くの林ではオナガの姿があります。オナガ、そしてツミの宿敵カラスの行動に注目してみると、見えてくるものがあります。オナガにスポットを当てた話題を提供します。(オナガのカラス類に対する追い払い行動)ツミの産卵前の時期のオナガの行動を見ていると、林にハシボソガラス、ハシブトガラスを接近させないように警戒的な声を出し、集団でカラスを追い払う行動をとっています。ツミが林に帰還すると時もオナガは鳴きながらツミに追尾するように飛翔しますが、追い払う行動は見られずツミが枝または造巣した場所に帰還すると何事もなかったのように静まります。細野(1975)が「最も多く通年みられたものは、警戒的音声の発声によるものである。これに対して、繁殖期はこれに攻撃,追撃行動が加わり、防衛行動が積極的な形であらわれる。オナガの反応行動は、巣近くでのハシボソガラスの休息や飛翔に最も強くあらわれ、この時は,攻撃,追撃になる。繁殖期の採食圏内でも、巣から離れた所で休息するハシボソガラスには反応行動を示さない」と報告している内容とほぼ同一です。(オナガのヘルパーは自ら繁殖しないのはなぜか)原田(2009)が、オナガではつがい以外に繁殖を手伝うヘルパーが存在していることを紹介し、「ヘルパーは巣材運び、造巣、メスへの給餌、巣内雛や巣立雛への給餌、ヒナの糞の運び出し、捕食への攻撃を行う」と報告しています。しかし、ヘルパーとなったオナガが自ら繁殖しないのはなぜかと疑問を持ちます。この謎について、いくつかの文献に目を通してみました。長谷川(2010)が、自然人類学、進化生物学の研究から共同繁殖について知見を整理したものを報告しています。その中で「さまざまな種における長年の研究成果を眺めると、多くの場合、繁殖のためのなわばりに空きがない。繁殖相手がいないなど、ヘルパーが自ら繁殖開始することを阻害する生態学的要因がある。そして、家族を離れて単独でいることは、捕食に会いやすいなどの理由で生存率が低くなる。さらに、弟妹は血縁者であり、両親の子育てを助ければ、ヘルパー自身の包括適応度の上昇が期待できる。このように、鳥類と哺乳類の共同繁殖は、自らの繁殖可能性の限られた個体が、次善の策としてヘルパー戦略をとる結果で生じると考えられる」と記しています。(ツミが巣を放棄した場合にはオナガも放棄)植田(1994)がツミによる巣の防衛がある場合とない場合について、オナガの繁殖成功率に関して調査結果を報告しています。その中で、「ツミの周囲で営巣しているオナガが柴に覆われていない捕食者から目立ちやすい場所に営巣していることが多いため、ツミによる巣の防衛がなくなると捕食をうけやすい可能性がある。(中略)ツミが巣を放棄すると、オナガの繁殖はすべて失敗した」と記しています。(引用)細野哲夫.1975.オナガの生活史に関する研究(10)オナガと他種の関係.山階鳥研報.第7巻第5号.p533-549.植田睦之.1994.ツミの巣の防衛行動がなくなった場合のオナガの繁殖成功率.Strix.第13号p205-208.日本野鳥の会長谷川眞理子.2010.「ヒトは共同繁殖:子どもの発達と社会的つながり」.第57回日本小児保健学会招待講演.小児保健研究.p126-129.(写真)2026年5月5日撮影(4枚目は5月3日撮影)
2026.05.05
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牛久沼沿岸に農道脇に点在している水田があります。連休前後の時期にシギ・チドリ類が渡りの途中に降り立ち、羽をやすめたり採餌する姿を見かけます。南よりの強風が吹き抜ける条件でしたが、現地を訪ねました。水田は耕起してあるところと雨ふりで水が溜まっているところがありましたが、耕起してある水田にコチドリ、ムナグロ、キョウジョシギの姿を見つけました。(ムナグロは夏羽、冬羽から夏羽に換羽中の個体、幼羽が勢ぞろい)ほとんどの個体が強風で水田に座り込んでいるものが大半でしたが、何羽かは虫またはミミズのようなものを捕食していました。(1)夏羽(写真2枚目):顔・胸・腹が黒く、上面の斑は黄色(2)冬羽から夏羽に換羽中(写真3枚目から5枚目)写真3枚目の個体は、夏羽への換羽がかなり進んでいる個体です。写真5枚目の個体は、上面に黄色味が弱く、下面も白っぽい部分が多い個体でした。写真6枚目の個体は、全体に黄色が強く、下面に黒い羽(夏羽)が点在している幼羽です。1羽ずつ見ていくと、それぞれ羽衣に少しずつ違いがあり、その特徴を観察しているとあっという間に時間が過ぎていきます。(キョウジョシギの羽衣)写真7枚目、8枚目はキョウジョシギ夏羽です。頭から胸にかけて白と黒、背と翼上面が赤褐色と黒色の模様があります。時折、ゲッケッと鳴き声を披露してくれました。キョウジョシギは、2010年以降減少となり年率6%程度のペースで減少していると聞きます。自然環境局生物多様性センターが行っているモニタリングサイト1000の調査結果でもキョウジョシギの個体数が2016年春は前年に比べて37.3%減少とショッキングな動きとなっています。(写真)2026年5月4日撮影
2026.05.04
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今シーズンの初認は3月25日で、39日目の朝となりました。雌が二か所のカラスの古巣に入る姿と新たに枝を運搬している姿を見かけます。今朝は、新しい木の又に何度も枝を運搬していました。やはり、子育て期間内でずっと使うので新築が最善なのでしょう。(造巣期は枝を運搬している以外は、巣が見える別の枝から監視する雌)造巣期は、雌はほとんどが林内に留まっています。巣が整うといよいよ産卵となりますが、産卵前は雌雄ともに林の中に留まる姿が見られます。これは、植田・平野(2003)が「産卵前の妓後の交尾が賎も受精に影響するので、この期間は最も受精に影響する期間にあたる。この時期に雄が雌と一緒にいる時間が長いことは、多くの種でみられており、つがい相手をつがい外交尾(*)から守るために行なっている行動と考えられる」と記している行動と考えられます。(*)採食地と鴬巣地が離れており、雄が採食のためなどに雌を営巣場所に残して遠くに離れる必要があり、雌を常時ほかの雄から防術することができない。そこで、つがい外交尾がおきる瀕度がほかの烏に比べて高くなると考えらると解説が付されています。(産卵前のディスプレー)平野(2005)は、ツミが産卵前にディスプレイに関して「産卵前の雌雄間のディスプレイには尾上げディスプレイと翼震わせディスプレイがある」と報告しています。一度観察してみたいとひそかに期待しています。(引用)植田睦之・平野敏明.2003.ツミの交尾行動一多数回交尾の適応的意義の検討一.Strix第21巻.p131-139.日本野鳥の会平野敏明.2005.ツミ Bird Research News Vol.2 No.2.p2-3.(写真)2026年5月3日撮影
2026.05.03
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国道356号線沿いに広がる水田地帯をシギ・チドリの姿を求めて探索しました。1998年から今シーズンで28シーズン目となりました。かつては、キョウジョシギ150羽前後、ムナグロ250羽前後、タシギ、キアシシギ、チュウシャクシギ20羽前後などが水田で採餌していたり、畔で休む姿を見かけましたが、2011年以降はチュウシャクシギ10羽未満の姿を見かけるのみとなっています。北西の風が強かったのですが、ホィ、ピピピピヒと鳴き声でその存在に気がつきました。(チュウシャクシギの渡り経路)5月連休前後からその姿を観察できるチュウシャクシギ、図鑑によっては春の田んぼで大群になるとか、ユーラシア北部、北アメリカ北部で繁殖し、アフリカ、中東、インド、東南アジア、オーストラリア。北アメリカ南部、南アフリカで越冬し、日本には旅鳥として飛来と解説されています。ところが、細谷ほか(2024)が指摘しているように、繁殖地、越冬地、中継地の生息場所詳細が解明されておらず、日本での移動情報は限られたのみで、標識調査での確認も6件のみです。にもかかわらず、多くの図鑑類に解明されているような記述がするのは摩訶不思議です。(本日見かけたチュウシャクシギ)国道356号線沿いの水田地帯で観察したチュウシャクシギの写真をアップしました。写真一枚目のような整った羽衣の成鳥、雨覆・三列風切が摩耗している第一回夏羽と思われる個体と実にいろいろでした。これらの個体がどこから来てどこへ向かうのか興味のあるところです。(その他)水が張られた田んぼの一角でツグミの姿を複数見かけました。(写真)2026年5月1日観察・撮影(引用)細谷淳・田谷昌仁・井上遠・仲村昇.2024.春を告げる渡り鳥、チュウシャクシギの命をつなぐ渡りルートを探る.バードリサーチ調査研究支援プロジェクト 2024年度.pp2.
2026.05.02
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橙色の喉とヒコリと一声出した後に長い節で囀るキビタキは、夏鳥の代表で、5月上旬にかけて飛来します。その囀りを聞くと初夏の訪れを実感します。雄成鳥と雄第一回夏羽の羽衣の違いし、齢と攻撃性、雄と雌の採餌行動に関するの報告の一部を紹介します。(雄成鳥と雄第一回夏羽)キビタキ成鳥は喉は橙色、眉斑、胸から腹、腰は黄色であるのに対して、キビタキ雄第一回夏羽(*)は喉の橙色は淡く全体的に淡く後頭と翼に褐色部がある点で異なります。また、光彩の色の変化について、岡久ほか(2011)がキビタキの羽衣の経年変化を調査し報告しています。報告では「虹彩の色は雄の齢によって有意に異なっていた(中略)第1回夏羽では全ての個体が灰色みを帯びた灰褐色の虹彩であった。また、第1回夏羽では全ての個体が褐色の虹彩をしていた。さらに第3回夏羽以降では強い赤みを帯びた赤褐色の個体が認められ一部は赤みの弱い褐色の個体があった」と述べています。(*)キビタキの雄では体羽が換羽し、初夏に見かけるあの鮮やかな色彩になります。初夏に見かける前年に生まれた鳥は第一回夏羽と表現されます。(齢による攻撃性)岡久(2015)が「越冬地で多くの羽を換羽した黒色の個体は体重が軽く、一方あまり換羽していない褐色の個体は体重が重い傾向にあることが分かってきた。若い個体にとって黒い羽を身にまとう事は換羽のためのエネルギー消費とった不利益がある(中略)褐色の割合が高い個体ほど攻撃性が低く、激しいオス間闘争を回避する傾向にある」と述べています。(キビタキの採餌行動での性差)岡久ほか(2012)は、山梨県で行ったキビタキについての調査結果を整理し報告しています。報告には「繁殖期におけるキビタキの採餌高は雌雄で異なり、かつ、植生に応じて性差の傾向が変化する」「キビタキの雄は植生に関わらず樹冠下部で囀り、なわばりの防衛のためにソングポストに留まっていた」、雌では「常緑針葉樹林では落葉広葉樹林より高い場所で採餌を行った」と記されています。つまり、雌は雄に比べて柔軟に環境に対応しているということになります。(引用)岡久雄二・小西広視・高木憲太郎・森本 元.2011.キビタキの雄の齢査定法の検討.鳥類標識誌第23巻.p12-18.岡久雄二1・森本 元・高木憲太郎.2012.キビタキFicedula narcissina の採餌行動の性差.日本鳥学会誌第61巻.p91-99.岡久雄二.2015.キビタキ Bird Research News Vol.12 No.6.p4-5.(写真)雄成鳥、1枚目:2024年4月18日都内、2枚目:2019年6月1日栃木県奥日光、雄第一回夏羽、3枚目:2015年5月23日栃木県奥日光、4枚目:2024年4月18日都内で観察・撮影
2026.05.01
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