かい君のよろず日記

しかし現実を見れば、ゼレンスキー大統領は逃げず、ウクライナ軍は大健闘して持ちこたえ、ウクライ ナは世界中の民主主義国を味方につけた。そして、軍事大国であるはずのロシアが大苦戦している。つま り、ウクライナの踏ん張りは、「下手に隣国に手を出して、一気に押し切ることができなかったら、多く の民主主義国を敵に回して反撃される。非常にまずい状況になる」というメッセージになっているのだ。 ただし、ウクライナはかつて核保有国だったが、日本の非核三原則のように核を廃棄した。その結果、 ロシアから侵攻を受けたのも事実だ。もしウクライナが核を保有していれば、ロシアもそう簡単に侵攻で きなかっただろう。

この意味で、日本の非核三原則や憲法9条さえあれば国の安全が保たれるという日本の平和主義は、リ アルな国際社会ではまったく無力であることがわかってしまった。

いずれにしてもウクライナの状況をみると、中国も多少は慎重になって当然だろう。台湾や尖閣諸島を 諦めはしないまでも、ロシアがウクライナで苦戦していることが、当面は一定の戦争抑止力となっている。

〜橘玲〜