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子どものころ、学校への行き帰りには決まって石けりをしながら歩いた。あれは不思議な遊びで、石一つで世界が急に冒険めいてくる。いま思えば、大人になってもあれは十分楽しいに違いない。道端の石ころをつま先でコツンと蹴ってみたが、やっぱり面白い。
さて、明日は日本語チューターのボランティアの日である。学習者さんたちは皆、わざわざ日本語を話しに来てくれるのだから、なるべく僕は聞き役に回ろうと心がけている。だが、この「人の話を聞く」というやつが案外むずかしい。気を抜くと、ついつい自分の話をしすぎてしまう。まあ、人間なんてものは油断するとすぐに喋りだす生き物なのだ。
しかし、黙って相手の言葉を受け止めるというのは、なかなか奥が深い。僕はそのむずかしさを毎回のように感じている。話を聞くというのは、ただ静かにしていればいいという話ではない。どうにも、心の中の何かを整えないとできぬ芸当らしい。
そんなことを思っていたら、モバイルデータの速度が急に低速になってしまった。これはもう「今日はスマホを触りすぎるな」という神様からの申し渡しだろう。僕は観念して、なるべくスマホ断ちをすることにした。
情報を遮断するというのは、ミニマリスト的には立派な活動らしい。だが実際にやってみると、これはなかなか面白い。余計な情報を切ると、ぽっかりと静かな空洞のような時間ができる。そこに、いつの間にか自分の考えごとがひょっこり顔を出してくるのだ。
そういう体験を重ねているうちに、「これはちょっと書いておくべきだぞ」と思いはじめた。いま僕は、そんな気づきや実験の記録を本にまとめている最中だ。情報を減らしていくと、かえって頭の中が騒がしくなる。この妙な感覚を、どう書いたらいいか、それを考えている時間が、いまはなんとも楽しい。