フォーカスチェンジ・フラッシュ

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2012.09.03
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おとなの約束


2006年9月、
横浜市青葉区小中高生ミュージカル
の6回目の公演が終わりました。

立ち見も出るほどの
満席の客席。

舞台は、大成功でした。


…が、

片づけが終わっての
お疲れさんの会の席で、

主催者は、子どもたちに、
つらい報告をしなければ
なりませんでした。

「来年度は休演します…」


6年間、走りつづけてきて、
事務局も、スタッフも、
疲れ果てていました。

初年度こそ、行政の援助で
なんとか上演できたものの、
援助はその年かぎり。

翌年から、
完全自主運営での再スタート。


無謀なチャレンジを、
それでもやろうと思ったのは、

舞台でかがやく、
子どもたちの、きらきらの
笑顔が観たかったから。


そして、それは、毎年、
裏切られることは
ありませんでした。

どんなに準備に苦労しても、
本番の子どもたちの笑顔と、
全身全霊の演技を見ると、

すべて吹っ飛んで、
晴れ晴れした気持ちに
なるのでした。


けれども、
やはり、じわじわと、
負担感は増していました。

何百万とかかる
ミュージカルの舞台を
つくるためには、
私たちはあまりにも
無知すぎました。

足りないものがあれば、
自分たちの身を削るようにして、
用意せざるを得なかったのです。


「これ以上、できません」

悲鳴のような声が、
あちこちからもれ…。

「一年、休演しましょう」

苦渋の決断となりました。


子どもたちに報告したとたん。

いましがたまで、
にぎやかな笑い声が
ひびいていた会場から、
泣き声があがりました。


「つづけてほしい」

「再開したら絶対参加する!」

次々と、涙ながらに
うったえる子どもたち。

私たちも、涙なしには
いられませんでした。


「かならず、再開します」

それが、おとなの約束でした。


とはいえ、何をどうやれば、
改善されるのか…。

ばらばらになった気持ちを、
つなぐ手立ては
なかなか見えてきません。


そんななか、
2007年もなかばになって、
日本演劇教育連盟から、

「全国集会のステージで公演しないか」
という話が飛びこんできたのです。


期日は、すでに
2か月を切っていました。

休演になっていたため、
事務局自体が動いていません。


急きょ、有志の実行委員会を
立ち上げ、過去の参加者に
手紙を出し、連絡をとりました。

予算0からのスタートです。

今から、稽古場が、
確保できるかどうかも
わかりません。


子どもたちにしても、
夏休み中のこと、部活や
旅行などもあるでしょう。

一体、何人が参加してくれるか。


不安はつのります。

まして、さまざまな
制約の関係で、稽古日数は、
10日が限度なのです。


ところが。

募集を開始したとたん、
またたくまに、13人の
参加申し込みがありました。

「絶対出ます!」

「やります。やりたい!」


迷いは吹っ切れました。

数日で、過去の作品をもとに、
構成台本を書き上げました。


会場を転々としながらの、
10日間の集中稽古。

子どもたちは、ほとんど
休むことがありませんでした。


稽古場に走りこんでくると、
こちらが言わなくても、
どんどん、歌やダンスの
稽古をはじめます。

子どもたちのかがやきが、
私たちを支えてくれました!


本番。

大道具も小道具も、
いっさいなしの素舞台。

衣装は、保護者の
かたがたの協力による、
手づくりのもの。

あとは何もありません。


でも、かがやいていました。

全力を尽くしきった、
子どもたちの、
すがすがしい笑顔が
そこにありました。

最高の笑顔でした。


その後、この作品は、
地域のフェスティバルや、
福祉施設などで、
3回の再演を重ねました。

子どもたちは、
どんなときでも、どんな場所でも、
本気の演技を見せてくれました。


自主ワークショップがひらかれ、
仲間づくりも再開されます。

そんなようすに、
意気消沈していたおとなたちの
こころに、火が着きます。

「子どもたちのエネルギーに、
 こたえたい!」


「再開します!」

2008年春、事務局会議が
招集され、再開宣言!


新規出演者募集。

新作の書き下ろし。(!)

そして、10月から、
待望の稽古スタート!


おとなの約束でした。

きっちり守ることが、
子どもにたいしてできる、
私たちの精一杯の返礼。


果たせてよかった…。

熱心に稽古に取り組む
子どもたちを見ながら、
いま、ひとりひそかに、
うなずいているのです。


まもなく、本番を
迎えようとしています。
(※2009年当時)

この、おとなの約束を、
私たちは、どこまで
つづけていくことが
できるでしょうか。

このかがやく笑顔と、
本気のエネルギーを、
どこまで支えていく
ことができるでしょうか。


すべては、自分たちに
かかっています。

これからが
本当のはじまりなのです…。


●追記

2011年をもって、私は、
この子どもたちのミュージカルの
活動から離れることになりました。

貴重な10年間の体験でした。

--かめおかゆみこ発行
   「今日のフォーカスチェンジ」
   第1898号(2009年1月8日発行)より


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Last updated  2012.09.03 09:12:08
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Comments

ぱんちゃん@ Re:達人の出番です!(12/07) 心配り。心痛い!なかなかできない。心配…
ぱんちゃん@ Re:こころが動かないときは(12/07) 三秒でもよい。二日坊主の私はいつも片身…
黒澤まちこ@ Re:「あなたが採用決定者です」(10/04) そうなんです。みんなが幸せなら私は幸せ…
くろさわまちこ@ Re:からだの問題だけではありません。(10/04) 上手く言えませんが、そんな感じ。私のな…
みゆ@ Re:「今にして思えば…」 本当にそうですよね 過去をふりかえるより…

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