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2007.01.04
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カテゴリ: フランス映画
LUNE FROIDE
Patrick Bouchitey

LuneFroide3.jpg

10円とか100円で買ってまだ見ていない映画のビデオがフランス映画を中心に30本ほどあります。そのうちの1本『つめたく冷えた月』を見ました。マイナーながら日本版DVDも出ているようで、レンタルもあるようです。名前からも想像がつくように父親がポーランド系のアメリカの作家チャールズ・ブコウスキの2つの短編小説を混ぜての翻案映画化。よくわかりませんが映画自体ももともと短編があり、撮り足して長編映画にしたらしいです。監督はパトリック・ブシテーというもともと俳優やってる人。上の写真の向かって左の人で、デデ役で出演もしています。この人は2、3本監督作品がありますが、好きな人は好きなようで、カルト的に好かれているようです。

LuneFroide6.jpg

主人公は2人の四十才くらいのどうしようもない不良中年デデとシモン。デデは仕事はしないし、妹夫婦のところに居候。飲んだくれで、女のケツは追うは、駐車場で車のタンクからガソリン盗むは。でジミヘン好き。見ているにボクには好感持てないヤツなんですが、どこか憎み切れないところもないでもない。そんな彼にくっついているのがシモン。こちらは漁港か魚市場のようなところで夜ちゃんと働いていて、行動も常識の範囲内からはあまり出ない。そんなシモンは満たされない欲求というのか、自分が外れ切れない小心のせいか、デデの無軌道な行動には手を焼きつつも魅力も感じている。デデがジミヘン好きなのに対してシモンがプロコル・ハルムの「青い影」が好きというのは2人の性格の対比になっているかも知れない。シモンはジミヘンのカセットテープを入手してきてデデにあげたり、デデが欲しがっていたフェンダーのストラトのビンテージ(ジミヘンと同じギター)をデデにと楽器店から盗もうとまでする。

LuneFroide5.jpg

映画の大部分は酔っぱらった2人のハチャメチャな行動だったりするのだけれど、見ていてボクにとってはまあ退屈するでもないけれど、特に白黒の画像が美しいわけでもないし、特に面白いものでもない。ただこの部分でシモンの人物描写がそれとなくシッカリ行われている。「青い影」って曲はバッハの曲をモチーフにしているから、宗教性ってのがあるわけだけれど、シモンが宗教心にあついってのでもないけれど、「気持ち」を持った人物であることが描かれていて、この点は映画の最後のエピソードの理解には必要かも知れない。それとやはり最後のエピソードにつながる伏線的会話が何度か出てくる。

LuneFroide4.jpg

(以下ネタバレ)
バーで暴れて2人は追い出されるのだけれど、その前にバーの中でシモンが「送っていくよ」と約束していた女を連れて3人で海辺に行く。そこでその女とやっちゃてるときに、回想の形で2人の秘密である過去のあるエピソードへと物語は移行する。

ある夜2人は死体を病院から運び出しているのに遭遇。無くなったらさぞ慌てるだろうと、イタズラして白いシーツに包まれた死体の一つを盗み出す。シモンの部屋に持ち帰ってベッドに横たえる。でシーツを剥がしてみると若い美女。シモンは欲情して抱いちゃうんですね。確かに死んだ女の体だから、映画の宣伝が言うように「屍姦」と言えば屍姦なんですが、おぞましい感じはまったくない。むしろ既に描かれてきたシモンの人物描写があるから、なんというか宗教性のようなものまで感じる。若くして死んでしまった女の弔いのようでもあり、なんかとっても美しいんです。これが変質者のような男ではダメで、そのためにはここに至るまでの物語、どうしようもない不良中年としての人物設定が必要不可欠なんだと思います。

LuneFroide2.jpg

2人は明け方に彼女を海に運んで、シモンが海に流すんですが、これまた切ないですね。既に死んでしまっているわけだから、そして死んでしまってからの出会いなわけだから、相手から報われることのない愛なんですね。シモンが彼女を抱えて沖の方へ進み、そこに彼女を放つと、波に揉まれて彼女が一瞬人魚のように見える。最後のエピソードは何度も見たくなるものです。結果としていい映画でした。

LuneFroide1.jpg



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Last updated  2007.01.04 00:05:25
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