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2007.01.06
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カテゴリ: フランス映画
TIME IS MONEY
Paolo Barzman
(Filmed in English)

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珍しい作品ですね。フランス映画ながら英語で撮影が行われています。ネットで調べたら「仏英合作」ともあり、「出資100%フランス」ともあり、よく事情はわかりません。舞台は南仏プロヴァンスで、マルセイユからも遠くないという設定。主人公がアメリカ人と理解していいのでしょうか。ジョー・カウフマンという老作家(小説家・脚本家)が若い妻イリーナと住む天国荘(Le Paradis)という田舎屋が舞台で、外からくる郵便配達人との会話だけがフランス語でされています。これも10円か100円で買っておいたVHSの1本で、この作家と元ピアニストの妻を演じているのがマックス・フォン・シドーとシャーロット・ランプリングという以外はあまり強い興味がなく、これまで見ていませんでした。作品や監督に関する情報はあまりないし、期待はあまりありませんでしたが、見てみるとなかなかいけました。

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ジョー・カウフマンは、かつては有能な作家であったらしく、アカデミー脚本賞でも取ったのでしょう、オスカーがかつての栄光を示しています。ジョーにかつて世話になり、今の自分があるのもジョーのお陰、と言うマックが出版社との間に立って、次作小説の前金ということでジョーはお金を受け取っているらしのですが、全く仕事をしようとしません。毎日妻イリーナや周囲の人々に皮肉を言うのみの日々。いつからこういう状態かはわかりませんが、相当に長いらしい。献身的に世話をしながらもイリーナはウンザリしてもいます。

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書く気力とかインスピレーションが枯れてしまったのでしょうか。死を気にしていることも確かで、自分は凍死と溺死のどちらがいいか、なんて自問したり周囲に訊いたりしています。突然目が見えなくなった、自分は病気だ、なんて仮病まで使ったり。マックが訪れ、「みんなジョーの新作を待っているから、なんでもいいから書いてくれ」と言われますが、「書くことなど何もない」と。やがてマックが送り込んだ若い秘書のデイヴィッドがやってきます。ジョーは追い返そうとしますが、自らも作家で、ジョーを尊敬しているというデイビット、根気強くジョーのイヤミも我慢し、新作を書かせようとします。今までの妻イリーナとの2人の生活に若いデイヴィッドが加わって、これからどうなっていくのでしょう。到着早々ジョーのオスカーを落として首を折ってしまうのが伏線かも・・・。

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(以下ネタバレ)
それまでイリーナと2人の生活だったわけですが、2人というのはある関係性での日常が出来てしまうと、なかなか変化しにくい。あり得るのはその関係性の強化・発展でしかない。ところが若いデイヴィッドが加わったことで、2人の関係が3つできあがる。ジョーにはデイヴィッドとの関係、共犯関係が可能になって、それをイリーナに見せつけることもできる。それはイリーナにとっても同じこと。デイヴィッドとイリーナの共通の目的はデイヴィッドに執筆活動をさせること。ジョーはデイヴィッドに悪態つくというか、イヤミ言ったり、皮肉言ったり、でもデイヴィッドはしつこく食い下がる。

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イリーナとデイヴィッドの間に男女関係ができるわけではない。だからといって親しさを持たないわけでもない。自宅のプールで夜黙々、ただ逆方向に泳ぐ2人。それを覗き見ているジョー。すると翌日は、年老いた夫を持つ妻が若い男にその肉体をむさぼるように求める小説の一節をデイヴィッドに口実筆記させたり、音読させたりする。

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この辺りからイリーナとデイヴィッドのジョーに対する扱いが変化してきて、イリーナはピアノの練習を始める。マックがコンサートをまたやればいいと言っていたのだ。バルトークはやめてくれというジョーにはおかまいなしに楽譜を取り寄せる。デイヴィッドは自分の作品の執筆を始める。そしてある日成り行きからデイヴィッドはうるさいジョーを鍵で部屋に閉じ込めてしまう。一緒に食事をしながらイリーナは「革命ね!」とデイヴィッドに言う。オスカーを壊したことが伏線であったように、デイヴィッドは過去の栄光で周囲に偉そうにしているだけで、現在を生きようとせずに無為に過ごすジョーの首根っこをへし折ったとでもいいますか。

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ここまでも既にネタバレなのですが、最後は書かないでおきます。原タイトルは『Time is money』。マネーという語があるのは実際にお金を稼がなければならないという物語にかけてもいるのでしょうが、人間死ぬまで現在を生きなければならないということだと思います。特別何か大事件が起こるわけではなく、3人を中心とした日々がプロバンスの田舎屋の美しい風景の中で淡々と描かれるだけです。でもさすがに名優の2人、見応えのある名演ではないかと思います。特にシャーロット・ランプリング、エキセントリックな微妙な役柄が多いだけに、こういう、もちろん屈折してはいますが、ある意味普通の女性を演じるのを見るのは興味深い。人としての普通の優しさを演じるのを見て、とても魅力的に感じました。このシャーロット・ランプリングは、普通の意味で「いい女」です。最後はちょっと弱いというか、唐突だとも感じますが、見た後の気分もよく、なかなかの佳作だと思います。

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Last updated  2007.01.06 20:13:11
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