ヘナヘナライター 生態日記

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加藤美保

加藤美保

2011.09.17
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『八日目の蝉』を読んだ。
不倫の相手の子供を身ごもり、中絶。ところが同じ時期に不倫相手の妻も妊娠していた。
夫婦がアパートに一人娘を置いて外出するその一瞬の隙をついて彼女は部屋に忍び込み、生まれたばかりの赤ん坊を目にする。その刹那、彼女は赤ん坊を抱え、その場から逃亡をはかっていた。
赤ちゃんを実の両親から盗み出して逃亡するというとんでもない女のストーリーなのだが、間違いなく読者はこの誘拐犯である女性にシンパシーを感じてしまう。一流女子大を卒業し、一流企業に入社。賢く優しい性格で容姿にも恵まれた女性。それが、愛してはならない人を愛してしまったがゆえに人生の歯車が狂い、人の子供を奪うという恐ろしい行動を起こしてしまうのだ。
彼女は、中絶後に「アンタなんか女としてがらんどうじゃない」という言葉を不倫相手の妻に投げつけられる。それが、彼女の中の何かを壊してしまう。
そして、盗んだ娘との生活を守るために、彼女は手段を選ばずひたすら逃亡を続ける。たどり着いたのは小豆島。温暖な気候と穏やかな海、そして親切な島民に守られるように、嘘の親子は初めて幸せな生活を手にするのだが…。
物語の後半、誘拐された娘に物語の視点は移る。心の空虚さを埋められない娘は、自分を誘拐した女と同じように不倫の末、妊娠してしまう。それまで誘拐されていたという過去を封印して努めて思い出さないようにしていた彼女だが、妊娠を機に自分の過去をたどり始める。

親子とはなんだろう? 血がつながらない2人。社会的には誘拐犯とその被害者である2人。しかしそこには確かな親子のつながりがある。娘がどんなに否定しようと、そこには確かな愛がある。
誘拐犯の女は言う、「娘を育てられて幸せだった」と。そしてそれから20年近く経って、「全てを失い何もない「がらんどうのような自分」なのに、それでもその何もないはずの手の中に、何かを感じるのはなぜだろう?」と。


それでも、誘拐された娘は最後、「子供を産んで両親の元で暮らそう」と決心する。自分は働き、父と母に育児を助けてもらおうと。そこにこの物語の救いがあるように思う。

そして私は、自分の娘を普通に愛し、当たり前のように世話ができて本当に幸せだと感じた。





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Last updated  2011.10.22 02:14:00
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