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October 21, 2009
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カテゴリ: 創作話

第一章 梅のひと

(4)

彼はまず、南向きにひとつある窓の汚れを拭いて、

名もない花の鉢植えを飾った。

そしてやさしく水を与えた・・・。

水はす~っと土に吸い込まれ、

しばらくすると

しおれかけていた葉がすこし元気を取り戻した。

彼はその花を見つめて

「ごめんよ、しおらせてしまって・・・。」

と呟くように言うのだった。

持ち前の几帳面な性格なのだろうか・・・。

みるみるうちに埃まみれだった窯元の部屋は

すっかりきれいな住まいになった。

もう西の空は赤く染まりかけていた・・・。

遠くでねぐらに帰る鳥の声が聞こえる。

川のせせらぎはかすかに聞こえる程度だ・・・。

裏のほうに回るとなんとか老木の先っぽが見える。

窯は斜面を利用して登り窯になっている。

もう、長い間使われていないようだ・・・。

その時大家が台車を押してやってきた。

親切な大家だ・・・。

一組の寝具と少しばかりの食材と

夕飯を届けに来てくれたのだった。

「ここにある木は使ってくれてかまわないよ。

けっこう夜は冷えるから風邪ひかんように・・・」

笑顔皺が良く似合うやさしそうな大家だ。

彼はお礼を言ってきれいにお辞儀をした・・・。

ランタンに火をともし、

囲炉裏の傍で夕食を取った。

そして彼はぐっすりと眠りに着いた。

翌朝、彼は老木に向かって歩き始めた。

人影はどこにも見当たらない。

ただ、老木の根元にふっくらとしたボジャギがひとつ。

滝つぼのほうから、鳥のさえずりに混じって

あのきれいな声がする・・・。






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Last updated  October 21, 2009 02:16:04 PM コメントを書く
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