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Apr 9, 2003
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テーマ: 戦争反対(1248)
カテゴリ: カテゴリ未分類
先日の新聞にイラクへの戦争に反対するアメリカの少女の話が掲載されていた。
米北東部メーン州にすむこの13歳の少女は学校で作文を書く。

イラク戦争の正当性を問う内容だったので、国語教師は「愛国心のないことを書いた子がいる」と突き放した。男の子が振り返り、ニヤリと笑った。
同級生の冷ややかな視線を浴びて少女はクラスの中で孤立してしまう。
アメリカではイラク戦争支持が70%を超えている。いわんや子どもたちの反応はおしてしるべしだ。

この話を読んで僕は中勘助の自伝的小説「銀の匙」の一説を思い出した。

時代は明治だ。中勘助が小学生だったころ日清戦争が起こった。
小学校でも兵隊ごっこや戦争ごっこが盛んになった。校庭のあちこちで加藤清正や北条時宗がちゃんちゃん坊主 (清国人の蔑称) の首を切っている。

「結局日本はシナ (中国) にまけるだろう」という大胆な主張をする。

さっそく先生に言いつけられてしまう。
「先生、□□さんは日本が負けるって言っています。」
先生はしたり顔で
「日本には大和魂がある」
といって、いつものとおりシナ人のことをなんのかと口ぎたなくののしった。それを自分が言われたように腹にすえかねて、中勘助がいう。

「先生、日本人に大和魂があればシナ人にはシナ魂があるでしょう。日本に加藤清正や北条時宗がいればシナにだって関羽 (かんう) や張飛 (ちょうひ) がいるじゃありませんか。それに先生はいつかも謙信が信玄に塩を送った話をして敵を憐れむのが武士道だなんて教えておきながら、なんだってそんなにシナ人の悪口ばかりをいうんです」

先生はむずかしい顔をしていたが、しばらくしてこう言い放った。


(注 関羽(かんう)張飛(ちょうひ)、ともに三国志にでてくる英雄)

僕はこの教師の「愚かさ、無知さ」を憎む。同じように、今、愛国心の無いことを書いたと指摘したアメリカの少女の国語教師を軽蔑する。

この中勘助の体験した日清戦争は100年も前の話だ。だがクラスで孤立してしまうところまで、米メーン州の少女の話とよく似ている。
二人に共通しているのは対戦国とされている相手側にたった想像力だと思う。
大人たちが戦争に夢中になっている時に、(その大儀もあいまいなままに単純な「善と悪」という図式を当てはめて大人たちが自己を正当化しているときに、)とらわれない子どもの目で戦争相手国のこと、そこに住んでいる自分と同じような子供のことを考えてみる。
そして何かがおかしいんじゃないかと気がつく。


体制翼賛していく社会がいかに愚かしいか、100年たっても我々は少しも進歩していないらしい。

それにしても残念なのはこの教師たちだ。

クラスの中での反対意見を「愛国心や大和魂といったいい加減な感情」(彼らが使っている意味では思想ですらないと僕は思う。)で黙殺してしまう。
その反対意見を取り上げることで、教師自身を含めたクラス全体で「戦争とは何か」「民主主義とは何か」を考える格好のきっかけとなるところなのに…


ただ幸いなことに、現代のこのメーン州の少女は、ネットやメールを通じて理解や共感を感じているたくさんの人びととつながっている。クラスではまったく相手にされなくても世界中で彼女の作文が読まれているのだ。
教師や体制側の人間がいかに愚かでも、我々のほうで少しずつ世界を変えていけるのかもしれない。
カタツムリの歩みのように、それは本当に少しずつかもしれないけれど、あきらめるには早すぎる…そんな気がするのだ。

少女の反戦演説に世界中からメールで反響

http://www2.asahi.com/special/iraqattack/TKY200303270226.html



「破壊されるのは私みたいな子供」 13歳米少女が反戦スピーチ

http://www2.asahi.com/special/iraqattack/TKY200303270225.html





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Last updated  Apr 10, 2003 01:07:56 AM
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