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Apr 13, 2003
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テーマ: 戦争反対(1248)
カテゴリ: カテゴリ未分類
独裁者の最後だった。
フセインの銅像が引き倒されて街中を引くずられていく。いかにも独裁者の最後という映像だった。
独裁者は悲惨な死後を迎えるのは珍しいことではない。
チャウシェスク(チェコ)は即日執行の銃殺刑だったし、第2次世界大戦の時にはムッソリーニ(イタリア)が民衆のリンチを受けて街中に吊るされた。
たぶんフセインも生きて捕らえられたら、同じような目にあっていたのかもしれない。
バクダッドでは政権の崩壊とともに町では略奪が横行しているという。政府機関から金目のものを何でも運び出している群集は暴徒というにはあまりにも無邪気な笑顔を見せていた。

アメリカの力がひとつの政府をなぎ倒すように葬り去った。その力のあまりにも強大さにバクダッドは放心状態に陥っている。開放感によるものなのかイスラムの秩序まで捨てさってしまった暴徒は、圧倒的なアメリカの暴力(力)を見せ付けられて、力が全てだという思いを強くしたのかもしれない。


先日イラクの妊娠した女性による米兵への自爆テロがあった。
おなかの中に赤ちゃんを宿した女の人が爆弾を抱えて米兵に向かっていった。その深い絶望感を考えると眩暈がしそうになる。

独裁者は倒れてもイスラム社会を覆っている深い絶望感が消えない限り、テロはなくならないだろう。
だけど、そこで自分とは違う人間だと切り捨ててしまうことは、簡単だ。自爆テロなんて狂った人間がすることだと決め付けてしまっても何の解決ももたらさない。

どこかに自爆テロをなくしていく方法を探す試みこそが重要なのだと思う。
たとえ理解できなくても分かろうとする姿勢こそが今必要なのだ。

今、うちの家内は妊娠している。秋には子どもが生まれる予定だ。子どもがおなかの中にいると考えると正直うれしい。生まれてくる子どもの性別や名前を考えたりすることはどんなにか楽しいことだろう。妊娠期間中はどんな女の人の人生のなかでも輝いている時期だと思う。

そんなうちの家内と同じようなイラクの妊婦がどのような気持ちで爆弾を積んだ車ごとアメリカ兵に向かっていったのだろうか。
その気持ちを考えると暗澹たる思いがする。

(作家の池澤夏樹さんの言葉から)

どこまで追い詰められると人は自爆テロを実行するのか。先日、二十八歳の女性がエルサレムで自爆テロによって死亡しました(巻き添えの死者一,負傷者約百五十)。彼女は救急隊員で、出産直前の妊婦を乗せた救急車がイスラエル側の検問で病院に行くことを妨げられて車内で生まれた赤ん坊が死ぬ、というような例を無数に見てきました。
 テロに至った彼女の心理はわかりません。安易にわかったつもりにはならない方がいい。しかし、それが絶望であるとしたら、それはとても深い、どうにも始末のしようのない絶望であったはずです。



アメリカの強大な軍事力ではフセインの銅像は引き倒すことはできても、イスラム社会がかかえている、この深い絶望の淵から彼女たちを救うことはできない。





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Last updated  Apr 13, 2003 10:01:44 PM
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