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2021.05.16
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カテゴリ: 農学校教師時代
宮沢賢治のパンケーキの詩をご紹介します。昭和の半ば生まれの私は、ついホットケーキと呼びたくなります。

賢治は1925(大正14)年4月25日の農学校教師時代にパンケーキの詩を書いています。
1926(大正15)年2月1日に雑誌「虚無思想研究」に掲載されました。余談ですが、この雑誌は、今、再放送中の朝ドラ「あぐり」の主人公の夫のモデルである小説家吉行エイスケが主宰していました。賢治は一般には文学的に無名でしたが、一部の文士には高く評価されていました。

具のないお焼きに近い、小麦粉と塩だけのシンプルなパンケーキを、農家の父親が炉ばたで子どもに食べさせています。
当時の岩手の農家がパンケーキと呼んでいたかどうかわかりませんが、貴重な米を節約するための小麦の利用法として、実際にあってもおかしくないと思いました。

(本文開始)

     心象スケツチ朝餐

             宮澤賢治

小麦粉とわづかの食塩とからつくられた

はたけのひまな日あの百姓がじぶんでいちいち焼いたのだ
  顔をしかめて炉ばたでそれを焼いてると
  赤髪のこどもがそばからいちまいくれといふ
  あの百姓は顔をしかめてやぶけたやつを出してやる
  そして腹ではわらつてゐる
林は西のつめたい風の朝
味ない小麦のこのパンケーキのおいしさよ
わたくしは馬が草を喰ふやうに
アメリカ人がアスパラガスを喰ふやうに
すきとほつた空気といつしよにむさぼりたべる
こんなのをこそ Speisen とし云ふべきだ

    野原の遠くで雷が鳴る……
林のバルサムの匂を加へ
あたらしい晨光の蜜を塗つて
わたくしはまたこの白い小麦の菓子を食べる

(本文終了)





#宮沢賢治 #パンケーキ #吉行エイスケ #朝餐 #虚無思想研究





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最終更新日  2021.05.16 10:51:10
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