気まぐれ屋。

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2017.02.09
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テーマ: 今が旬の話(408)
カテゴリ: ヒトコトモノ
このところの紙媒体の売り上げ低迷で、ペン職人な私も
年明けから開店休業状態に近く・・・・
と思ったら最近になり、やっと自分の都合で依頼を断れるくらいまで
状況が回復した。“断る”なんか、上から目線な! こんなこと、ホントはできない。
フリーランスや特殊派遣の身で、来た仕事を請けないなんか、自殺行為でしかない。
それだけ一度断ったら最後、「次の仕事はないと思え」というのが多分、
この生業に就くものの共通の心得と言える。
それは、一度仕事でミスしたら・・・と置き換えても同じ。

今の職場で働き始めて通算10年程になるが、3年くらい前に初めて大失敗をした。

読み返せば今も情けなくて泣けてくるかもしれない。
それが姑の介護疲れと私自身の闘病治療の投薬による副作用が招いた不注意のせいだとしても、
私生活こんなに大変なんで・・・とか、私に仕事を振った責任者や依頼主の出版社には
全然どーでもいいこと。仕事を与えられた、そして請けたからには、どんな事情を抱えてても
“プロ”として完璧に、相手の求める以上に仕上げなくては。

「責任をもってください!」と日頃穏やかで控えめな私の娘でもいいくらいの若い担当に、
本気で叱られたあの時も、言い訳はせず潔く自分の非を認め、彼女と社長に詫びた。
その後はもう、いつ首を切られても仕方のない思いだったが、その不安より
もう二度と同じ間違いはしない!絶対に許されない!!と、仕事の依頼を請ける度、
口に出しても言い聞かせていた。次はもうない。「ごめんなさい」では許されない。

たかが雑誌。されど雑誌。それでも作るからには、手を抜けない。


今日の嘆かわしいニュース。
大手出版社が、歴史本を発行するという間際になって、
内容に誤植があることがわかり、発売中止になったという記事を見た。
その数、約30か所!! 信じられない!!!

活版印刷が主流だったひと昔前に比べると、PC上でレイアウトもデザインも

前ほど多くの人の手を介さなくても、簡単にスピーディーに出版物が作られる。
だからと言って、内容で手を抜けるわけではない。
取材だって、原稿書きだって、校正校閲だって、印刷だって、
どれもこれも本気で向き合わなくちゃ、“それだけ”のモノにしかならない。

手前味噌になるが(古いな)、私が編集者だった頃は、今の出版物より
中身が読み応えもあるし、情報量の豊富さも素晴らしかった。
それが自分の手掛ける雑誌じゃなくても、ライバル誌やそれ以外の雑誌でも
どこも競うように、取材を惜しまずいい読み物を作っていた。

今やメディアの形が進化して、素人でも無責任に情報発信できる時代になり、
多様で斬新な読み物はお腹いっぱいになるほど、日々垂れ流されているけど、
“プロ”としての責任やプライドが要らないラフな分、内容も信憑性に欠けるし、
誤植誤字さえも構わない。もちろんお金を払う書籍雑誌すべてが、お金に見合う
価値をもち、正しい事を書いているかと聞かれれば、それは私もわからない。
例えば下世話な芸能情報を扱う雑誌の性質上、「真相はいかに?」みたいに
結末を適当に濁して逃げる的なスタイルを売りにしているモノもあるから、
全部が全部、正しいとは言えないのが、歯痒いところ。
でも、それでも、時間をかけ、体力も心も消耗して苦労して作ってるはずの商品に、
本気で取り組んでない作り手はいないと思う。そう思いたい。

それなのに、こんな恥ずかしいニュース。
よりによって有名な、そこそこ伝統もあるはずの、あの出版社が?
同業の片隅に居る者として、30か所に及ぶミスがありながらそれを
涼しい顔して売ろうだなんて、他人事ながら身震いがしそうなくらい怖い。
誰もミスに気づかないなんて、どう考えてもありえない。手抜きにしても
ふざけすぎ。無責任にもほどがある。

校閲や校正は一冊が完成するまでに、何段階にも渡り、沢山の人の目を通し
間違いを正していく地味で奥深~い作業である。
その細かすぎる網の目を、安物のザルのように潜り抜け、完成してる段階で
30個も間違ってるとか、担当全員が仕事してない、としか思えない酷さ。
しかも噂では、ミスに気づき最初は正誤表を付けてそのまま売ろうとした、と。
さすがに、同情するのも無理だ、これ。
出版社として、編集者として、今後どう信頼を回復させるのか?
こんな半端な気持ちで大手が本を作ってたら、ますます紙媒体が売れなくなる。
お金を出してでも読みたい雑誌や本を、作り続けるプライドを
活字に関わる限り、私は持ち続けてたい。
それが読み手に対する誠意でもあり、活字に魅せられてる活字しか弄れない者の
使命だと勝手に思い込み、仕事の声がかからなくなるその日まで
赤ペンを握り続けてやる。

★  ★  ★  ★  ★
今日のひとこと。「♪ちゅーる ちゅーーる ちゃおちゅーーるーーー♪ 一体どんな魅惑の味なんだ???」





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最終更新日  2017.02.09 22:30:57
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Re:ありえない。(02/09)  
kamomedays  さん
いっくらドラマ「校閲ガール」がそこそこ評判良かったからといって、校正校閲が地味で責任重大な仕事であることには変わりない。
問題になった出版物って、プロの校正校閲の目は通ってないね、きっと。ありえないもん。
校正が重要だってことさえ認識がないということだろうね。校正をプロに外注する会社がある一方で、素人だけで見て簡単に出版しようとする人もいるのよね。

こちとらネット上の安っぽい文章を読むひまなんてない!
豊富な取材と練り上げられて完成度の高い文章を読みたい。同じ時間使うならそっちを選ぶ。
そのためにも読者としては確かな判断力を持っていなければね。

もっとワクワクして本や雑誌を読んでいたいね。 (2017.02.10 19:23:43)

Re[1]: kamomedaysさんへ。  
びー。 さん
>いっくらドラマ「校閲ガール」がそこそこ評判良かったからといって、校正校閲が地味で責任重大な仕事であることには変わりない。


ドラマが注目度されたおかげで、そんな黒子仕事があってこその出版物なんだ、と知って貰えたことはよかったと思う。ホントの所は見えてないから、あんなにお気楽な落ち着きのない社員がいると勘違いされると、困るんだけど。

>校正が重要だってことさえ認識がないということだろうね。

まさにそう! 校正や校閲という作業を、軽く考えてるせいだと思うわ。ネットのおかげで誰でも発信できる時代になった分、記事を作る専門職の責任感やプライドも低下してるのかも。公私でつぶやいてるせいで、プロ意識が薄れてるとしか思えないレベル。

>そのためにも読者としては確かな判断力を持っていなければね。

きっと今の時代にわざわざ紙媒体を選んで買ってくれる人達には、ある程度活字を見る目が備わってるでしょう。その人達に「間違ってるよ」「手を抜いてるね」と言われて初めて間違いに気づくようじゃ、編集者やめるか廃刊した方がいい。私は最初が教育出版社の参考書や問題集だったから、あの時出版する事の大変さや掟を、叩き込まれて感謝してるわ。 (2017.02.12 17:47:28)

Re:ありえない。(02/09)  
rose_chocolat  さん
去年の暮れまでweb媒体のお仕事をさせていただいていました。プロジェクトが変更になって自分がいた部署が大幅に縮小されることになり、このまま雰囲気がよくない中で働くのもなあ・・・と判断して年明けからは自由の身です。

紙媒体の経験はないんですけど、特にweb発信は
>素人でも無責任に情報発信できる時代
まさにそれを体現してしまっていて、閲覧数=広告収入の状態が、文章自体の質の低下を招いているのは否めません。経営側はむしろ文章は6割7割でいいから早く仕上げて本数を出せ!と言ってくるし。その感覚は自分にはどうしてもなじめなかった。それこそ、それを言ってくる上司が「自分の娘や息子世代」ですから(苦笑)まあ、古い人間なのかな。私は。

いい加減な仕事するくらいなら、しない方がいいし、するからには制限内で100%のものを出したいのに、ひたすらコストコストと叫び続ける先に待っているものは、いいものではないと予想しますけどね。

校正が1回というのも信じられないですし、プロ意識を持った人の文章を読むには紙?という認識も崩れてしまいそうで。時代と共に変化していくのでしょうけど、残念な気持ちが大いにあります。
(2017.03.11 11:52:36)

Re: rose_chocolatさんへ。  
びー。  さん
>自分がいた部署が大幅に縮小されることになり、

それは残念! 最近思うのは、そういうWeb上で何でもスマートにできる仕事が増えて便利になった分、この先続けても採算合わないと企業側が感じたら、撤退したり規模縮小したりという見切りも速くなった気がします。欧米式考え方というのかな?
昭和の日本みたく、情や愛着で儲けなくても店を開け続ける的な仕事の仕方が、薄れてますよね。合理的で好いけど、なんだかな~。

>経営側はむしろ文章は6割7割でいいから早く仕上げて本数を出せ!と言ってくるし。

私も今の職場に就いた頃、ショックを受けました。張り切りすぎて凄く細かく丁寧に赤入れをしたら、「気持ちは解りますが、そこまでしなくていいです。流してください」と言われ。だって英表記、明らかにおかしいんですよ? バッタモンのTシャツに書いてる変な英語みたいなのを、オシャレな服着たモデルのそばに堂々と置いてて、見なかったふりしてくれていいと言われ、仕事の度にしばらく苦しみました。要するに編集部は、商品の詳細の間違いは絶対に許されないけど、キャッチコピー等編集者が気に入ってつけたタイトルに、校正者ごときが文句つけるなと。まー、そういうことなんでしょう。

>ひたすらコストコストと叫び続ける先に待っているものは、いいものではないと予想しますけどね。

内容のクオリティを上げず、ベニヤ一枚の書き割りみたいなものを豪華にみせて作っても、読者はそこまで馬鹿じゃないですからね。作り手に作品や読者に対しての情がないんだと思ってしまう。楽しくはないでしょう、¥マークしか見えてないそんな仕事の仕方なら。
私は編集者だった頃、昇進や給与UPより、自分が心底打ち込める仕事に燃えたけどな~。だってあの会社の名前がなくちゃできない・会えない素材が目の前に山積みで、あれもこれも記事にしたい欲の塊にまみれてましたけど。今はそんな事もバカバカしいんでしょう。時間と経費の無駄と。あー、編集者辞めて良かった。続けてたら苦しみ死んだと思う。 (2017.03.11 15:36:03)

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