つれづれ日記
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走ってた。蒸し暑い熱帯夜なのにただひたすら走ってた。身体中汗でびっしょりだ。ドコへ向かってるんだろう?分らない。でも逃げなくちゃ。逃げなくっちゃいけない。走り疲れて気づいたら深い眠りについていた。空が明るくなっていた。ココは何処?川が見えるからそう遠くへは逃げてなかった。むくっと身体を起こして座った。まだ朝早くて川風が気持ち良い。たまには早起きもするもんだ。お父さんはどうしてるかな。きっとビックリしてる。学校にはもう行けないな。お父さんも会社にきっと行かれない。お母さんは・・・そうだ。包丁はどうしたっけ?手は洗って拭いたタオルは川へ捨てた。包丁はどうしたか思い出せない。まぁ良いか。どうせ分っちゃうんだから。ボクがお母さんを殺っちゃったって。でもボクが殺ってなきゃ終わりだった。それしか無かった。お母さんが居たらボクはもうダメだ。そうするしかしょうがなかったんだ。またテレビとかで言われちゃうんだろうな。最近の子供は・・・とかって。知らないくせに。ボクは違うよ。他の殺人者と一緒にするな。ボクにはお母さんを殺すしかなかったんだから。他のヤツとは違う。毎日うんざり。なんであんなにうるさいんだろう。お母さんなんて居なくたってボクは十分生きていける。ちゃんとしてる。お母さんはご飯と洗濯だけしてれば良いんだから。ボクとは違って楽してる。なのに文句ばかり。親だからってだけで子供をバカにして。許さない。昨日もそうだ。バカなお母さん。ボクに負けそうになるといつも言うんだ。「誰のお陰で大きくなったと思ってるの。」ふざけてる。「アンタが居なくたってボクは大人になるよ。」「アンタよりずっと立派な大人になる。」言い返してやった。スッキリしたよ。今までガマンしてたけど。あん時のお母さんの間抜けな顔。ボクが言い返すと思ってなかったんだ。甘く見られたもんだなボクも。ついでに二度と偉そうにできないようにしてやった。包丁持って文句言うから悪いんだ。ボクは自由だ。もう誰にもうるさく言われない。気分爽快だ。突然背後に人気を感じた。振り向いた瞬間ドスンと重たいモノがボクにぶつかってきた。アレっ?お父さんだ。なんで?頭が痛い。あ、包丁。お父さんが持ってたんだ。朝日を受けて逆光になった少年の目には父親の表情は分らなかった。父親はやたらめたらに包丁を息子へ振りかざした。「ちくしょう!」「ちくしょう!」「お前のせいでオレは会社に行かれない。」「お前がオレの女房を!」「ちくしょう!」中年の男は獣のようにわめきながらひたすら小柄な少年の身体を包丁で突き刺していた。その姿は熱帯夜の母親殺しの姿と重なった。月は親殺しを。太陽は子殺しを。目撃者となって空から見つめていた。
2006年07月18日
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