March 6, 2014
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長女は短い帰省を終えて札幌に高速バスで帰りましたが、長男は春休みバイトと練習が忙しく帰省は出来ません。「セブンイレブン」が最初のバイト先でしたが、今はより高い時給を求めて卓球部の先輩と一緒に「清掃」のバイトをしております。

長男にはバイト代から学費の一部を「ご負担」いただいております。長男には、小さい頃から穀物の先物買いのように盲目的に投資してまいりましたが、その分を差し引いて考えても、今の子供の中では見上げた親孝行ものだと感心しております。

学生のアルバイトについては、学業がおろそかになるとか、様々なご意見があるとは思いますが、少年少女から大人になるためには、必要な擬似社会人経験だと思っております。

わたくしも様々な職種のアルバイトをしましたが、その経験が良くも悪くも現在のわたくしの人格形成に少しは影響を与えていると思っております。

わたくしは雇用主の方に恵まれていたようで、楽しいバイトが多かったのですが、中には蟹工船とまではいきませんが、過酷な労働環境下で働いた事もありました。

札幌市内の幹線道路を、夕方から朝まで一睡もせずに舗装工事をする仕事でした。
アルバイト情報誌でやっとみつけた「高額日当・週払い可」のバイト先へ訪ねて行くと、本当にこの会社が高額な日当を払えるのか?と心配になるような小さなプレハブの事務所の土建屋でした。

恐る恐るガタつく引戸を開けて中に入ると、事務所の中には木製の机が不規則に並んでいて、事務員らしき人はおばちゃん一人だけしかいなく、社長の札が置いてあった机の椅子には、髭面でランニングシャツを着た人が座ってこちらをにらんでおりましたので、更に不安は増したのですが、社長の隣に座っていた八名信夫の兄かと思われるような面構えの現場監督に逆らう気力もなかったのと、面接時に聞いた日当もこの当時としては破格でしたし、風呂なし・トイレ共同・6畳一間16,000円の「えぞ松荘」の家賃を入れるのが二ヶ月ほど遅れていた事もあり「はい。明日からよろしくお願いします。」と、覚悟を決めました。

すると八名信夫の兄が、面接の時には一言も言っていなかった事を当たり前のように話し出しました。



次の日は体力をつけようと、贅沢にもホンコン焼きそばに目玉焼きをのせた昼食をすませてから、戦地へ向かう気持ちで事務所に行くと、この道何十年?と、思わせるような赤銅色の顔をした親父達に交じって、わたくしと同じ境遇のように見える青白い顔をした若者数人がパイプ椅子に座って下を向いておりました。

現場監督は、指を指しながら人数を数えて脱落者がいない事を確認すると「よし、行くか。1週間頑張れや、雨が降ったら伸びるけど途中では帰れんからな。」と、全員を睨み付けてから、作業車数台で「飯場」に向かいました。

その日から1週間。毎日赤銅色の親父達の怒号を浴びながら初対面の素人10名が、豊平区の山奥の飯場に強制的に押し込められて、夕方から朝まで、黙々と熱いアスファルトをトンボで敷き均すのですが、真夏でしたから作業箇所周辺はサウナのように暑くなるので、ふらふらになり倒れそうになって見上げた先には、亀の歩みのようにゆっくりと進むダンプがあり、その荷台からはフィニッシャーに途切れることなく落ちてくるアスファルトが、むせかえるように気温が高いにもかかわらず湯気を上げておりました。

日が昇っても作業は続きましたが、半袖ワイシャツのサラリーマンが出勤してくる頃には現場を片付けて飯場に戻り、風呂に入って、切り干し大根の煮付けに、安売り冷凍サンマの焼き魚の朝昼兼用食を食べて、せんべい布団に寝転がるとあっという間に眠り込んでしまうのですが、7月下旬盛夏の暑さに耐えられなくなって起きると、もう作業に出る時間になっておりました。しかし、今思えばかえってこれくらいの方が思考能力もなくなり、赤銅色の親父達に怒鳴られるのも気にならずにすんだのでしょう。

幸い好天に恵まれて日程が押すこともなく最終日の作業が終わり、事務所で茶封筒をもらいました。

もちろん待ち焦がれていた給料ですが、恐れていたとおり総支給額からまるで毎日フランス料理を食べてホテルに宿泊したかと思うような金額が「飯代・宿泊代」として引かれていて、帰る途中定職屋で思い切って「かつ丼大盛り」を食べると、二ヶ月たまった部屋代をやっと払える金額しか残っていなかった事を、今でもはっきりと覚えております。

ええ…「破格の条件」なんてものが、当時のわたくしのように資格も何もない、怠惰な遊び人に提示される事はない事をこの時に学ぶことが出来ました。

アルバイトは若者が人生経験を積むことが出来る事に間違いはないのです。





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Last updated  March 6, 2014 11:54:32 PM


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