私はBCに下山し、本隊はその後、C3まで登りそこで1泊して、BCに戻ってきた。C3の登りはものすごく大変だった、C3のテントは不安定な地形の上に設営されていて眠る状況ではなかったとのことだった。
戻ってきた隊長は早速私のテントに来て告げた。「C2でのあの状況は脳浮腫だと思うんだよ」
脳浮腫!!聞いて絶句した。脳浮腫と言えば肺水腫と並ぶ高山病が最悪に進行した末期症状ではないか。私がそんなことになっている??これまで高度馴化は順調で頭痛、吐き気、下痢などほとんどなかったし、咳も出たことはなかった。その時も頭痛、吐き気、運動障害など脳浮腫につながる体の症状は特に感じていなかった。
「疲れたのは確かですけど、脳浮腫の自覚症状は全くないんですけど?」「本人は自覚がなくて見ている周囲がおかしいと感じるんだ」と隊長は言った。しかしあれが脳浮腫だと言われても納得できなかった。でも隊長はエベレスト登頂5回、チョー・オユーやマナスルにも登頂している高所登山のエキスパートである。その人の判断である。素人の私はそれ以上反論できなかった。
すぐに携帯メールで日本の息子に高地脳浮腫についてNETで調べて情報を送ってくれるよう頼んだ。返信はすぐ来た。脳浮腫に陥った時の体の状態や、脳浮腫になるとまっすぐ歩けなくなるのでその運動能力診断法などが有益だった。しかしそれにもほとんど当てはまらない。中でも頭痛や吐き気、めまいなど身体反応がほとんどない。自分が脳浮腫だということが信じられなかった。こういう場合の確たる診断方法はないのか?焦った。


天気の良い日には登山用品も日光浴 乾燥でひび割れた指先
おおいに困惑しつつ、BCで数日間のんびりした。確かに疲れていて・・というより高所に長くステイして体力が衰退してきたという感じだった。20歳代の若い男性群はみんな平気のように見えた。
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