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昨晩遅く帰ってきた同居人は、「今日の『報告書』への施設長の返事によっては、仕事やめることになるかも。」と切り出した。
おいおい、やっと一ヶ月辞めずにすんだか?と思っていたところだぞ。いきなりそれかよ、と思いつつ、ヤツの話を聞く。
約一ヶ月の間、ヤツが不服というか疑問というかに思っているのは、業務内容ではなく、「介護の姿勢と効率化の板挟み」みたいなもんなのだと、ヤツは言う。同居人の働いているところは少人数のグループホームで、入居者のお年寄りは24時間毎日の生活をホームで過ごしているのだけど、ヤツ的には入居者の皆さんを自分の祖父母のように思って介護をしたいのだと言う。
「ウチのばあちゃんを想像してみて。食事にはもたついて時間かかるけど、食べさせてやるよりも、ばあちゃんの出来る範囲で自分で食べて、本当にできないことを手伝うような姿勢でいたいのよ。でもそれやろうとすると『もっと効率的に!』って叱られるのさ。」
とかいうことを延々とヤツは話す。
人手不足の現状と『あるべき姿』のギャップは介護の現場だけではない。きっと同居人同様の悩みをもつ人は、保育や教育や看護の現場にもたくさんいるに違いない。そして、それはそれ、これはこれと割り切って仕事している人もあまたあるに違いない。
施設長も、入社後1ヶ月たたない若造にそんなこと言われて(どんなこと書いたのかは知らないけど)困っているだろうなあ。
「疑問をもっても、とりあえず3ヶ月は黙って言われた通りのことをこなし、一人前に動けるようになったと周りから認められてから、意見をしたほうがいいんでは?すぐ辞めたんでは経験にもならないよ。」と、とりあえず普通のアドバイスをしてみたけど、経験上、ヤツは聞く耳を持つまい。
まったく、生活を気にせず理想に邁進できる幸福を空気のように感じている若造め。
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