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あほう鳥 2002

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2020年07月28日
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カテゴリ: オランダdeno独り言







ユーロ上昇の理由~金利差縮小よりドル過剰感~

為替市場ではもっぱらユーロ相場の騰勢が話題。対ドルでは約 1 年 9 か月ぶりの高値に到達し ている。復興基金合意を囃し立てる向きは多いが、それはこの 1 週間だけの話だ。5 月下旬以 降、ユーロ相場は一方的に上昇している。為替市場にとっては久しぶりの動意であり、照会も増 えているため、上昇の理由と今後の展望について改めて整理しておきたい。ユーロ上昇の起点 はやはり欧米金利差の縮小だろう。例えば米独金利差で見れば、4 月時点で従前の半分程度 にまで縮小していたが、ユーロ相場は煮え切らない動きが続いていた。とはいえ、欧米金利差 の縮小はあくまでユーロ買いの起点、言い換えれば「きっかけ」だろう。ユーロ買いが加速した 背景はやはりドルの過剰感だと筆者は考えている。今年度の米財政赤字は終的に GDP 比で 約 30%まで膨らむ勢いであり、経験則に倣えば、ドル相場は下落必至。目先ではユーロ以外の 通貨にもドル売りが波及してくる可能性を考えたい。事実、円相場の騰勢は強まりつつある。

~騰勢が止まらないユーロ相場~ 為替市場ではもっぱらユーロ相 場の騰勢が話題である。ユーロ/ド ル相場は 1.16 台と約 1 年 9 か月ぶ りの高値をつけている。先週見られ た加速は 21 日の復興基金合意を 受けたものだが、そもそも 5 月下旬 以降、ユーロ相場は一方的に上昇 してきた。過去の本欄1では近の ユーロ相場の上昇は「金利差に沿 った為替調整が遅れて発生してい る」のが実態であり、本当の注目点 は「1.15~1.20」のレンジに移行で きるかであると論じた。また、「中長期的に見ても、ドルの過剰感からドル安・ユーロ高の方向感で大 きな違和感はない」と、ドル売りを主因とするユーロ買いの見通しを示した。『中期為替相場見通し』 も一貫して、ユーロ相場の上昇を予想する立場である。中長期的に見てユーロが買いだと考える要 因について、筆者は長年、①世界大の経常黒字、②日本に次ぐディスインフレ通貨、という 2 点 を強調しているが、この考え方は今も不変だ2。 片や、IMM 通貨先物取引の状況においてユーロの買い持ち高が歴史的な高水準に達している

こと、名目実効相場(NEER)ベースで天井とみられる長期平均を突破しつつあることなどを思えば、 「『1.15~1.20』のレンジにシフトアップする前に一波乱あるという心構えは必要」とも述べ、上昇前 に調整を挟む可能性も指摘した。しかし、現実には目立った調整は訪れず、1.15 をあっさり突破し 1.16 台に乗せており、この点は意外感を覚える。為替市場にとっては久しぶりの動意であり、照会 も増えているため、筆者が考える上昇の理由と今後の展望について改めて整理しておきたい。

~起点は欧米金利差縮小~ 断定は難しいものの、ユーロ上昇の起点はやはり欧米金利差の縮小と考えている。前頁図に示 されるように、米独10年金利差は、2月をピークとして急縮小に転じ、4月以降は平均100~110bps とそれまでの半分で推移し、足許に至っている(図中、点線四角部分)。だが、そのような欧米金利 動向は直ぐにユーロ相場を押し上げることには繋がらず、ユーロ/ドルは一時 1.06 台まで下落し、4 ~5 月の 2 か月は 1.08~1.10 でのレンジで軟調な取引が続いた。だが、6 月に入ると前半の 2 週 間で+2%上昇し、1.14 台をつける場面が散見されるようになった。その後、軟化する時間帯を挟ん ではいるが、5 月下旬を境にユーロ/ドルのレンジが 1.12~1.14 へシフトアップしたことは確かだ。 そして、7 月下旬、復興基金合意を契機として遂に 1.15 台に乗せ、足許で 1.16 台に至っている。 図から得られるイメージを元に後講釈を承知で言えば、やはり 4 月時点で従前の半分程度にま で縮小していた欧米金利差に応じた調整がラグを伴って到来しているように思われる。もちろん、 ▲0.50%という先進国の中でも大きなマイナス金利幅はユーロを保有する明確なデメリットだが、過 去 3 か月間における「限界的な欧米金利差の変化幅」がユーロ買いを肯定するのも事実であろう。 これが足許のユーロ買いの起点になった可能性は高い。

~ユーロ買い加速は「ドルの過剰感」を受けたもの~ しかし、欧米金利差の縮小はあくまでユーロ買いの起点、言い換えれば「きっかけ」に過ぎない。 金利差縮小という「方向感」がユーロ買いの「きっかけ」になったとは思われるが、「▲0.50%」という 政策金利の「水準感」を思えば、金利差縮小がユーロ買いを加速させる主因になるとは思えない。 ユーロ加速の理由として考えられるのはやはりドルの過剰感ではないかと筆者は考えている。 米国の拡張財政路線は異次元の 規模に突入している。現在、トランプ 政権と米議会が 3 月以降で実施した 財政出動は約 3 兆ドルと GDP 比で 15%以上の規模に達している。この 上で 7 月中には追加で(公式には第 4 弾として)約 1~2 兆ドルの臨時歳 出が議論されている状況にある。失 業給付の積み増し延長や給与税減 税(復職ボーナス)などを主軸に調整 が進められており、仮に約 2 兆ドルの 追加案が決まれば、コロナ対策のスケールは約 5 兆ドルに達することになる。これは 2019 会計年 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 120.0 140.0 160.0 180.0 -35.0 -30.0 -25.0 -20.0 -15.0 -10.0 -5.0 0.0 5.0 10.0 29 34 39 44 49 54 59 64 69 74 79 84 89 94 99 04 09 14 19 (%、対GDP) (資料)macrobond、IMF、ホワイトハウス、※20年は「6兆ドルの財政赤字」と仮定。 米財政赤字とドル相場 財政赤字(%、GDP) 名目実効ドル相場(右軸) IMFなどを踏まえた予測 (2020~21年) 財政赤字縮小&ドル高 ↑ ↓ 財政赤字増加&ドル安
みずほ銀行|みずほマーケット・トピック
2020年 7月 27日 3
度の歳出額(約 4.4 兆ドル)を優に超える額だ。ちなみにコロナショック以前、2019 会計年度の赤字 は 0.9 兆ドルと想定されていたので、ここに 5 兆ドルを加えると赤字額は約 6 兆ドル、すなわち GDP 比で約 30%という規模に達する。過去 50 年、米国の財政赤字は平均して GDP 比で 3%であった ので、今年度の財政赤字は「過去 50 年平均の 10 倍」という歴史的に見ても想像すらしえなかった 規模ということになる。現在議論が進んでいる第 4 弾は従前の措置が 7 月いっぱいで失効すること で発生する下押し効果、いわゆる「崖効果(cliff-edge effect)」を回避するための措置であり、必要 緊急なものであることは確かだが、為替市場で「ドルの信認」が焦点となっても全く不思議ではない 規模であるように思える。







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最終更新日  2020年07月28日 17時35分05秒
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