第2連で若者は立ち止まり、鴉に呼びかけます。おい鴉よ、行き倒れた私の肉を食いたいんだね、と。鴉に聞こえるように声を張り上げて歌わずに、独り言のように歌うべきであろう。全体の歌詞の構成がABA形式であるので、第3連の25小節目からは、最初と同じ旋律が繰り返されて、でも死にたくはないが、度々歌曲で使われる「墓場まで忠実に付き添う」Treue bis zum Grabe と自虐的に考え、私の命が尽き墓場に入るまで一緒に来いよ、と叫んでしまう。若者の心の中に、今まで考えたくなかった「死」への恐怖が芽生えたのだ。最後の Treue bis zum Grabe は、"-be" の後の伴奏にピアノが指定されていることから、若者が、当然のごとく死ぬことへのためらいがあることを示している。
以前からの疑問なのだが、この鴉はこのあとずっと若者に付き纏っているのだろうか?伴奏が38小節以降最後になると、おとなしくなっていって、鴉が消えてしまったかのように感じられる。はて、鴉は幻だったのかと思えるようだ。鴉は諦めてどこかに飛んで行ったのか?