雨の日は音楽を

雨の日は音楽を

2022年10月26日
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 日本の時代劇映画などでは、時代考証に専門家をお願いすることも多かった。しかし実際には撮影現場ではおかしな情景が写り込んでしまうこともあるそうで、甚だしいのはテレビの水戸黄門で、実際に放映したら、視聴者から、うっかり八兵衛が腕時計をしていることを指摘されたなんていうアクシデントも。しかし画像のリアリティーには気を配っていても、台詞はもっと微妙なのではないだろうか。

 実際には、住んでいる場所から遠くに行けば行くほど、言葉が通じなかったはずなのだ。江戸時代には、東北の藩の武士と四国の藩の武士は、訛があるのでお互いに話が通じないので、謡曲のような話し方で、コミュニケーションを計ったという逸話があるくらいだ。でもそこまでリアリティーを求める時代劇にしてしまうと、尾張弁でまくし立てる織田信長とか、甲斐の言葉で下知をくだす武田信玄の発する言葉を観客・視聴者が理解できなくなる。故にお国訛はなかったことにして、豊臣秀吉のもとに集まる諸大名・武将は、自由に現代日本語で討論・喧嘩をしたように表現している。すべてにリアリティーを求めるのは愚かだとする有名な「虚実皮膜論」に通じる部分である。

 しかし、もっとも危ないのは、台詞の内容であろう。明治になってから、コミュニケーションを円滑にするためか、漢語が急速に増加したため、時代劇の台詞も吟味した台詞が求められる。誰でもオカシイなと思うのは、例えば上杉謙信の台詞に「民主的に」なんて出てきたときであろう。どう見たって戦国時代に存在したはずのない概念だから。

 筆者は、もう殆ど紙でできた書籍は読んでいない。ほとんどがKindleという電子書籍のリーダーで活字を読みやすい大きさに変えて読書にしている。特にローマ時代の戦記物が好きなので、同じ作品を何度も繰り返して読んでいる。現在Martin Tessmer の Scipio シリーズ全5巻をもう多分5回目くらい、紙の書籍だと全部で2000ページくらいのものを読んでいる。もうひとつのR.W.Peake の Caesar シリーズも6度目くらいのリピートである。毎回異なった読み方をしているのだが、今回は英単語の時代考証的な観点から読んでいる。



 シーザーシリーズは2種類書いているPeake だが、「預言者の警告に従って、3月15日に元老院前で引き返して、シーザーは暗殺されなかった」というWhat if 小説では、暗殺されなければ
出かけていたはずという設定の小説群(最終的には各地で戦闘に勝利して、インドまで進出して当地で没したアレキサンダー大王をも凌ぐ勢いで各地を征服後、最終的には日本 "Wa" の国を占領する)がある。パルティアと戦ったとき、思いもよらない攻撃をされて、ローマ軍は苦戦するのだが、パルティア軍が使ったのはナパーム弾に匹敵するナフサ naphtha を使用した火炎地獄攻撃で、本文中でははっきりと "Naphtha" と書いている。これは大丈夫なのかな?綴からして(fの代わりにph シータをth)ギリシャ語が元になっているなので、言葉はローマ時代に使われていたのかもしれないとは思う。

 と、こんな読み方をしていると結構ドキドキするものである。合計数千ページもの長編を書いて、全部オクスフォードの大英語辞典OED をチェックして、語源を確認して書いているわけではないから。特に海上での戦闘を描くときに、面舵 starboard 取舵 port なんて出てくると面食らうのだ。これは無いな。だって完全に英語だからローマ人が右舷 starboard なんて言うわけないけど、まあ許す。だって右左 right left も言わないから、ラテン語を英語に翻訳したものとして書いたと解釈して我々読者は楽しんでいるのだから。






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Last updated  2022年10月26日 21時42分17秒
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