雨の日は音楽を

雨の日は音楽を

2022年11月13日
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カテゴリ: 歌曲
 すでに若者は、現実と夢想の区別がつかない。自分の前に何か光るもの、あやかしの火が見えている(と思っただけなのか)と思い始める。何か楽しそうなピアノ前奏の軽やかなリズムで、8小節のメロディーが2度現れる。もう目の前の光に魅了されている。炎の中には何を見ているのだろう。あの女のことか、それとも悲しくも美しい二人の思い出?

 22小節でちょっと正気に返る。ああ、自分みたいな惨めなヤツは、わざわざこんな多彩な陰謀みたいな光景を見せつけられるんだ!そしてすぐに辛い面を見せつけられる(歌詞では氷と夜と戦慄)んだな。30小節までのつかの間の正気は、あやかしの光のなかの幸せな暮らしを垣間見ると、若者の気持ちはまた夢想の中へ。30小節目の "Graus"で明確に気持ちを切り替えて、歌い手も夢想を楽しむのだ。

 38小節のアウフタクトからは、このあやかしの炎が、実は幻であることに、わずかに残った理性が諦めの境地に誘っている。41~42小節のピアノの右手が、一気に動きが無くなるのは、この諦めと、次に続く半分の狂気の心境への序曲なのだろう。

 「冬の旅」全体の構成からして、この19曲目以降は、描くのは幻視と狂気なのだろうが、その導入としての役割をこの曲はその役割を果たす。歌い手はどこか幻に導かれて楽しげに歌う様子なのだが、歌詞は非情な現実から逃避しているものだけなのが気の毒だと感じる。






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Last updated  2022年11月13日 18時09分13秒
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