初めの4小節は葬送の鐘の音を暗示して、町の住人に不幸があり、埋葬するのだろうか。少なくとも一つは、新しい墓とかけられた糸杉のリースが若者を招く。墓地に近づく若者の足は疲労で重く引きづっている。だから先程まで聞こえていた鐘の音の速度は極めて遅い。餓えと寒さでよたよたと歩くということで、先頭の Sehr langsm という速度指示が生きてくるのであろう。どれくらいゆっくりかは、歌い手がどの程度に若者を「疲れさせる」かにかかっている。
第1連〜3連は2小節の間奏があるのだが、第3〜4連の間奏は1小節分で、若者の苛ついた気持ちが表現されている。第4連の開始時には「ああ無情な亭主め。私を追い出すのか?」とつい音量が上がる。この連の3~4行目つまり曲の最後の部分の歌詞が、注意を引く。「ではまた歩こうではないか、また。わたしの旅杖よ」”Nun weiter denn, nur weiter, Mein treuer Wanderstab"楽譜では上記の歌詞が繰り返されるのだが、"nur"に毎回クレシェンドがついている。一度目の"nur"と二度目の"nur"は、後の方が高く、まるで自らの体と心に言い聞かせている様に思える。一度目の「わたしの旅杖よ」にはピアノの指示があるが、二度目にはついていないことにも注目して歌いたい。