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2002年05月26日
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「あ~あ、失敗してしまいました・・・」と、ほんとに気落ちをなさった様子で中年の女性がいらっしゃいました。

「ひごろ、年寄りの介護をしていて、なかなか自由な時間が取れない生活をしています。遠くに住む息子夫婦の家庭とも疎遠にしています。たまたま家族の法事で妹が訪れたので、ほんの一晩でしたが留守を頼んで息子の家をたずねました。孫たちと会うのは2年ぶりのことでした。子どもが大きくなるのは早いものですね。」

「孫は男の子が二人で、上は幼稚園の年長さん、下は今年入園したばかり。その男の子二人のにぎやかなことといったら・・・」

「私を歓迎してくれる気持ちだと思うのですが、外でお食事をしました。その食事は私たち家族と、もう一組の家族が個室のようにしきられたところでいたしました。その時ねぇ・・・」

「私は自分の家の中でどんなに暴れてもそれはいいと思うんですよ。でもね、人様にご迷惑をかけるようなところでの騒がしさに正直いって、身の縮むような思いをいたしました。」

「お嫁さんのいない時間に私は息子に言いました。躾は大事な親の仕事ではないかと。その時息子が言いました。やっぱり、一緒には暮らせないな。」

「ああ、言わなければよかった・・・と、私は思いました。又遠く離れて住むのだし、ほんの一日だけの逢瀬だったのだから、お互いにいやな思いをしなくてもよかったのに。」

『子どもは王様』というコマーシャルがはやったのはいつごろだったでしょうか。少子時代になって、子どもは王様の地位を獲得しました。親は召使です。
子どもは叱らない。子どもはほめて育てる。子どもも一つの人格として尊重する。



その場に居合わせたのは、その方と同じ年齢の方ばかりではなく、その方の息子さんと同年代の方も、あるいはお嫁さんの立場の方もいらっしゃったので、今夜は会話がすすむと言うことはありませんでしたが、それでも、それぞれの立場で、もう一度何かを考えるきっかけにはなったように私は感じました。

それはどこに根拠があるかと言われたら、そう、その方が最後におっしゃった次の言葉かもしれません。

「批判したり、評論したりするだけではだめですよね。私は離れて住んでいて、目の離せない老人を抱えていて、息子たちの生活とあまりにも遠い。そんな私が突然訪れて子育てへの危惧など語っても、そんな言葉が息子の耳に届くわけはないんですよね。私は帰ってきてから孫たちが好きだったベッツというお菓子をいろいろ買って送りました。孫たちがそのお菓子を好きだということだって、今の今まで知らなかったんですもの。」

その方が台所の隅っこで、お孫さんたちと頭を寄せ合って、ベッツというお菓子をケースに詰めて遊んだのがどんなにか楽しかったのだろうと、私は思いました。そして、その方がベッツを探して送るのは、お孫さんのためではなく、かってはご自分の心の中に住んでいた息子さんへの思いなのではないだろうかと、なぜか胸が熱くなる思いでした。





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最終更新日  2012年04月04日 10時08分06秒
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