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2002年06月19日
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世の中サッカー月間でこのサロンも開店休業です。しばし一人でワインを楽しんでから、そろそろ扉を閉めようかと思っていたとき、いつも会の終わりごろにいらっしゃる60台の女の方が、一冊の本を片手にお顔を見せてくれました。

「まあ残念。今日はいい本をご紹介に参りましたのに」

その方が差し出した本は「親の介護が私を変えた」という本でした。その方ご自身が、二年前に、在宅で介護していたお父さんを看取られ、引き続きおかあさんの介護に専念なさっていることを知っていた私は、その本の題名にひきつけられました。その方がご両親の介護で疲れ果て、苛立ち、先の見通しのない毎日を、これが自分の運命だと虚無的にすごしておられることを知っているからです。

「いい本と出合いました。買い物の途中、ふと足を止めた本屋さんでこの本を見つけました。難病との闘病記や、逆境を強く生き抜く奮闘記などは書店にあふれていますが、今の私には、そういう強い生き方を書いた本から何かを学ぶだけの力がありません。この本をぱらぱらとめくったときに飛び込んできたのは『密室化する在宅介護は危険をはらんでいます。母も私も自分らしく生きる暮らし方を模索しました。』という言葉でした。」

「『母を傷つけ、私も傷つき、年をとったゆえの病なのだと、やっと思えるようになったとき父が母を迎えにきました。』という言葉もすっと心の中に吸い込まれました。」

この本は15人の社会的に著名な方々が、ご自分の親の介護経験を、赤裸々につづっています。思わず振り上げてしまった手、思いがけず口から飛び出した恐ろしい言葉。15人の方が苦しみ、哀しみ、怒り、あきらめ、工夫し、納得して生きた時間の告白の一行一行の全てが、今、親の在宅介護の現場で暮らしている人々に勇気と解放を与えてくれるに違いありません。

老親の介護の苦痛は、ともすれば介護者自身の人格の破壊をも招きます。いかにして自責の念から解放され、看取った後の罪責感から立ち直ることができるか、それは介護保険の実施によって、親を持つ者だれしもが抱えている大きな課題です。

その方が置いていってくださったその本を、私は一気に読みきりました。そして、この本はもっともっと読まれる使命をもっていると感じました。私には介護するべき親はすでにいませんが、この本でたくさんの人が救われてほしいと心の底から思います。

本を置いていかれたその方は、最後にこういわれました。


『親の介護が私を変えた』
編集:「いきいき」編集部
発行所:ユーリーグ株式会社(Tel・03ー3235ー3579) 





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最終更新日  2012年04月14日 15時01分20秒
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