メートル・ド・テル徒然草

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エルネスト1969

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Jul 28, 2005
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 とある大阪のレストランでの話である。


 内容は本日滞在されている外国人のお客様が、昨日そちらで召し上がられたワインを手に入れたいとのリクエストがあったので、ぜひ、そのワインの銘柄を教えてくれないか。というものであった。

 お客様のリクエストとはいえ、自社内でも多くのワインを取り扱っているはずだ、ワインを詳しく知るソムリエも多く抱えているだろう。他に味わいの近いワインはいくらでもある。それでも、お客様がよその店で気に入ったその銘柄のワインを探しているという。

コンシェルジュのお客様に対する「サーヴィス」である。

電話を受けたソムリエは、昨日ご来店されたお客様を思いだした。外国人のお客様といえば一組しかいらっしゃらなかった。ずいぶんワインを気に入ってくれた様子だったので、召し上がられたワインの銘柄はすぐに思いだせた。
 しかし、そのワインは決して高価なものでは無かったが、輸入元からそのレストランだけに卸されているもので、少なくとも大阪市内の酒販店では小売していない商品だったのである。
銘柄を伝えたものの、明朝お客様は日本を発たれるという。Hホテルが注文したとしても、次回のご滞在はいつになるか分からない。

 ソムリエは電話を終えた後、オーナーシェフに相談した。オーナーシェフは快諾し、そのワインを分けてあげることを提案した。更に値段の張る商品では無かったこともあって、日本の滞在の記念にお客様にプレゼントしてあげるよう、ソムリエに言った。



ソムリエは自らの帰り道だったこともあって、Hホテルへ立ち寄り、お客様へプレゼントした。
コンシェルジュは予期せぬこととはいえ、お客様のリクエストに答えることが出来たのである。

ソムリエからコンシェルジュへの「サーヴィス」である。

後にHホテルのコンシェルジュは大阪のホテルのコンシェルジュどうしの集まりでこの話をした。各ホテルのコンシェルジュ・スタッフはどんな店だろうと、何組かが訪れた。

コンシェルジュからソムリエのいるお店への「サーヴィス」であった。

さて、それぞれの「サーヴィス」で喜んだのは誰だろう?

お客様はうれしい。オーナーシェフがワインをプレゼントしてくれたからだ。
コンシェルジュもうれしい。ソムリエが予期せぬ形でお客様のリクエストに答える手助けをしてくれたからだ。
オーナーシェフもうれしい。お客様が増えて、店の評判も上がったからだ。
コンシェルジュ一同もうれしい。紹介できるお店のリストにもう一軒増えたからだ。
レストランのスタッフも嬉しい。名だたるホテルのコンシェルジュでも来店する店で働く誇りが生まれたからだ。

日本の政府もうれしいに違い無い。微々たるものとは言え、経済が活性するのだ。

風が吹いて桶屋が儲かるなら、風を吹かそう。

儲かった桶屋はきっと、いいお客さんになる。




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Last updated  Jul 29, 2005 02:23:14 AM
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背番号のないエースG @ チョコレート 「風の子サッちゃん」 ~ Tiny Poem ~…
坂東太郎G @ 「辛味調味料」そして考察(01/16) 「石垣の塩」に、上記の内容について記載…
エルネスト1969@ Re[1]:ホスピタリティは「人」ありき(10/04) はな。さんへ コメントありがとうございま…

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