メートル・ド・テル徒然草

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エルネスト1969

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Mar 10, 2006
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 む~ん、この方私と同い年だったんですね。
 故やすし師匠の息子でもあり、ドラマ「毎度おさわがせしま~す」などは面白がってみていたのですが、なんで物騒なモノを持ち歩いてたんでしょうか?

 ところが、公に話してしまうと支障があるのかも知れませんが、

 私もしょっちゅう、持ち歩いています!

と、言ってももちろん日本刀ではありません。調理用の道具類としてです。

 調理師学校に在籍していた頃も、何本もの包丁を通学の間持ち歩く事になります。在籍中は調理師免許がありませんので本来は違法になるのでしょうが、警察にもし職務質問されるような事があった時のために、学生証は常に携帯するように先生から口をすっぱくして言われてました。

 上部に写真を掲載しましたが、私も10本あまりの包丁を持っています。それぞれ大小の道具がありますが、主に使用の目的は「デクパージュ」

「デクパージュ」とはお客さまの目の前で行う演出の作業の事。フランス料理店のダイニングや、またゲリドンと呼ばれるワゴンを使って行われる、一種のデモンストレーションです。



 デクパージュは、歴史を遡ると本来の「フランス料理」の姿であったとも言えます。
 肉でも魚でも、余すところ無く食しようと思う、また豪華さを競い出したりすると、「丸焼き」に行き着くわけです。丸ごと焼き上げると言うのがフランス宴席料理の規範であったとも言えます。

 こういたものを食していたのは、身分の高い貴族やブルジョア達ですから当然誰かが切り分けて給仕してくれる役割の者が存在していたのです。

 当時のこの役割が「トランシェ」と呼ばれるの役職名であったり、また、それらの役割分担を配置し宴席を「館の主に執り替わって仕切る」役職が「メートル・ドテル」であったのです。

 メートル・ドテルはサーヴィススタッフの全体を取り仕切らねばなりませんから、この「トランシェ」もまたワイン担当である「ソムリエ」の技術ももちろん持って無ければならないのです。

 現代に至って、こと日本においては「ソムリエ」の名称の方が多くの方に認知されていますので、ソムリエのブラインドテイスティングなどの技術に並ぶもの、差別化するものとしてメートル・ドテルにおいては「デクパージュ」の技術が取り沙汰されます。

 フランス料理の多くのサーヴィスセミナーと称されるものにおいては、まずこの「デクパージュ」のテクニックの講習が何らかの形で導入される事が多いのです。
 事実、パリのレストラン、「トゥール・ダルジャン」の「キャナール・ア・ロランジュ(仔鴨のロースト、オレンジ・ソース)」などは長年の伝統を誇り、またその演出を見たくてこのレストランを訪れる人々が世界からやって来ます。

 しかし、まだまだ日本国内では「デクパージュ」を常日頃より行える規模、システムを持った店鋪はあまりありません。また、世界的な傾向から見てもヌーベルキュイジーヌの流行以降、ひと皿盛りが主流になり、こういった演出を提供出来るお店は少なくなっています。

 しかし、そういった「デクパージュ」という演出、引き出しを持つ事によって、ひとつはお客様に提供できる料理の可能性が広がる、と言う事。
 ふたつ目には、フランス料理、ヨーロッパの料理というものの意味合いを知るという事。







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Last updated  Mar 10, 2006 11:25:53 PM コメントを書く
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Comments

背番号のないエースG @ チョコレート 「風の子サッちゃん」 ~ Tiny Poem ~…
坂東太郎G @ 「辛味調味料」そして考察(01/16) 「石垣の塩」に、上記の内容について記載…
エルネスト1969@ Re[1]:ホスピタリティは「人」ありき(10/04) はな。さんへ コメントありがとうございま…

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