メートル・ド・テル徒然草

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エルネスト1969

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Jul 4, 2006
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(7月3日の日記の続き)


 お正月用の鯛に見られるように、サイズは大きい鯛のほうが有り難がられます。レストランの営業という面から見ると過食率が高いという理由もあるのですが、生物学的な側面から見ると、これは身体がそこまで大きくなる程、捕食者に捉えられずに生き延びてきた、「優れた固体」であるとも言えます。

 また、魚の旬と言われるのは、主にその魚の産卵の前です。産卵を迎えた魚は自らの身体にエネルギーを蓄えようと、貪欲に食物を求めます。もちろん、産卵に備えてのエネルギーではあるのですが、この時に蓄えたエネルギーは、捕食者から逃げたりするのにも使われます。次の世代を残す前に食べられてしまっては元も子もありませんから、運動能力は高まっていると言えるでしょう。となると、この固体を捕らえるのはまた困難な事です。

 アフリカのサバンナに「スプリング・ボック」というレイヨウの一種がいます。鹿に似た動物なのですが、この動物はライオンなどに襲われて逃げる際に、ピョンピョンとジャンプを繰り返しながら逃げます。何故、こんな行動に出るかというと、それは捕食者であるライオンなどに自分の運動能力の高さを見せつけて、捕らえる事が更に困難である事をアピールする目的があるとの研究もなされています。
 それでも、なおライオンはスプリング・ボックを追うのです。私の勝手な推測に過ぎませんが、やっぱり、捕らえるまでが困難であればある程、ライオンはその獲物を「美味しく」感じるのでは無いでしょうか。

 食べるものに「美味しい」というご褒美が無いと、捕らえるという労働を伴うわけですからその報酬に対する欲求が生まれてきません。
 動物の基本的欲求と言われる物に、「空腹に対する欲求」「排泄の欲求」「睡眠の欲求」や「性行の欲求」などが挙げられます。いづれも生命に関わる欲求です。
 下世話な話ですが、生殖、つまりセックスに快感が伴わないと、人間も含めた生き物は面倒臭くなって行為そのものが無くなってしまうかも知れません。そうなると、種の絶滅です。

それはさておき、食物に関する結論から言うと、



というのが私の考えるところです。

 補食の仕方が困難であればある程、捕らえた側、つまり食べる方の運動能力の優位性が証明され、「種」としては優れた種であるといえるからです。優れた種である事に対して、「遺伝子」はご褒美として「脳」に快楽を感じさせ得る様に設計したのではないでしょうか。
 一部の機関では、この快楽はある意味「麻薬物質」に似たが脳から分泌されているとの推論から研究が進められています。

 私たちは「飲食業」として食に携わっているのですが、動物行動学などの学問の分野において「美味しい。こっちはもっと美味しい。」ということは、食べる側の本能、あるいは遺伝子の中に組み込まれたプログラムそのものであるかも知れません。

(続く

 …続きのテーマに、以下を考えていますが、、、ブログをご覧の皆さん、興味ありますぅ?(^^;)

1.時代背景によって「美味しいもの」の基準が変る -ポテトチップスの変遷-
2.結局は「フォアグラ」も「マヨネーズ」も同じもの -それでもヒトは油脂分を求める-
3.美味しいから高いのでは無く、高いから美味しい -弱者の味方、強者の味覚-






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Last updated  Jul 5, 2006 12:07:43 AM
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Comments

背番号のないエースG @ チョコレート 「風の子サッちゃん」 ~ Tiny Poem ~…
坂東太郎G @ 「辛味調味料」そして考察(01/16) 「石垣の塩」に、上記の内容について記載…
エルネスト1969@ Re[1]:ホスピタリティは「人」ありき(10/04) はな。さんへ コメントありがとうございま…

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