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小説 「 scene clipper 」 Episode 23
さてと・・・この場を〆ようとした。
「待てよ、リョウ。おっきな忘れ物があるぞ」
「忘れ物?・・・・・」
しきりに首を傾げる。これはリョウの癖で、 10 代の頃飼っていた愛犬リリの前でこれをやると、リリもつられて首を傾げる。
いつだったかリョウの母親がそれを見て笑い出し
「リリ、うちの息子に変な芸を覚えさせちゃだめよ」
あれはどういう意味だったのか、リョウは未だに腑に落ちないでいる。
「おい、聞いてんのか!」
「そんなに怒るなよ、らしくもない。」
「別に怒っているわけじゃないが、説明してくれると言っておきながら待たせすぎじゃないかと・・そういう・・・」
(こいつスージーのこと本気だな)
「はっきり言うと、スージー君も知ってるように」
スージーに同意を求める
「そう、リョウさんとわたし、同じ・・意見持っている・・? [Yes, Ryo and I have the same opinion...?] 」
「うーん、日本人は have を使うの下手だけど、英語圏の人は日本語話す時にも have を忘れないって感じ、そんな感じの日本語だな」
「もっと勉強します・・・」
「ま、スージー、上手な方だよ君は・・・要するにだ。上妻、お前は何ひとつ気にすることなく、スージーと仲良くしてください。ノープロブレムだ」
上妻は肩から力が抜けていくのを感じた。
「リョウ、お前の日本語は英語を翻訳するより難しい時がある・・・」
リョウは笑いながら席を立ち
「上妻、ここの会計は持つが翻訳料は払わないぞ」
と冗談を言い、自ら笑いながら店を出ていく。
何も無かった、ここまでは。
「さてと生ビール1杯くらいなら大丈夫だよな・・・と、夕子ちゃんは大丈夫か水城?」
「出来たらノンアルコールが・・・」
「よし、決まった」
と、リョウが皆を連れて行ったのは、改装なった北沢ロフトである。
B 2Fのぶ厚いドアを開けると心地良い音に包み込まれる。
カウンターにはライブの無い日の何時ものように、ステージ上の JBL から聞こえてくる好きな音に身をゆだねてタバコをくゆらせているター君がいる。
「よお、ター君暇そうだな」
「お前もな・・・今日はいっぱい連れてんじゃない。」
「おう、クラス会の打ち合わせなんだ」
ター君は俺の連れを一瞥して言う
「下手な嘘ついてっと何も飲ませねえぞ」
「すまんすまん、ちょっと祝い事があってなその帰りだ」
「ん、じゃ好きなとこに座んな」
4人掛けのテーブルに隣りのテーブルからイスを2脚借りてきて座りオーダーを終えた。
知り合いのスタジオミュージシャンがター君と友達で、俺の好きなアーティストのライブには顔パスで入れてくれるので、リョウはビール運ぶのを手伝う。
ドアが開いて 2 人の客が入ってきた。
「いらっしゃい」
目が合った。
「リョウさん?」
ちょっと元気良さそうな男が俺の名を呼び白い歯を見せた。
(新谷健一・・・だな)
「やあケンさん、奇遇だねえ」
彼は何か言いそうになったが、連れの女性に後ろから腕を引かれて振り向いた。
「どうした?」
彼女の目はケンさんを見ていない。
(俺?)
「山本君?」
その女はそう言うとケンさんの前に出た。
美人だ、それにプロポーションも抜群・・・「あれ?」
「何だリョウさん、由美と知り合いか?」
「ケンさん、あんた銀塚(かなつか)の何なの?」
俺は結構厳しい目をしていたと思う。
「こっちは俺の従兄妹だけど・・・」
この瞬間俺の頭の中は真っ白になっていたぞ、多分。
「久しぶりね、山本君・・・」
銀塚由美(かなつか ゆみ)は目を輝かせてリョウに近づく、その距離は
リョウをして「近すぎないか?」と半歩後退させたほどだった・・・。
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