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2023.07.11
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カテゴリ: ライトノベル


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小説 「 scene clipper 」  Episode 24






「プッ・・」



強い想いを抑えきれないと言うような表情のまま接近を試みたくせに、銀塚は軽く吹くと同時に口元を指の腹でそっと押さえた。


俺は胸の奥がキュンとなるのを禁じえなかった。



(昔と同じだ、この仕草・・・俺の中で初恋はまだ綺麗なまんまだったんだ!整った顔立ちだが真っ直ぐな性格のせいか、可愛すぎる!


だがここで反応を間違えるとこの先をリードされちまうぞ、俺!)



「なんだよ、今吹いたのは何だったんだ?」


「ごめんなさい、久しぶりに会えたというのにね・・・」


「本当にな、相変わらず・・・」


「ん、相変わらず何?」


また接近しようと・・・否、接近してる!



こいつは昔からそうだった、男子には自分から話しかけるようなことは無いのに


俺と上妻には積極的に話しかけていた・・・けど、あいつの家裕福だし学校以外じゃお袋さんがいつも隣で目を光らせていたから、何より殴り合いのケンカはするくせに、俺は女子には弱い男子だったからな・・・。告白なんてとてもとてもだった。



「あれ!?上妻君もいる!すごい!久しぶりだわー、 2 人一緒にいるとこ見たの!」


「まあ、そんなとこに立っていたんじゃ他の客の邪魔だろ、こっちへ来なよ」



と上妻は2脚イスを引いて2脚だけになったテーブルにスージーを先にエスコートし、


ケンさんと銀塚を俺たちのテーブルに招いた。



その一部始終を目で追っていたリョウは、スージーの隣に腰を下ろした上妻を


睨みつけてテレパシートークをおこなった。



『お前何余計なことしてんだ!俺はまだ心の整理が出来てねえんだぞ!』


『良くいうよ、おれは弾を込めてやったんだ。引き金はてめえで引けよ』


『なんだ、さっきまでハラハラさせられた仕返しかよ』


『そうだと言ったら?』


『テレパシートークじゃ収まりきれなくなって来たけど、どうする?』


上妻は深くため息をついた。


『・・・分かったよ、女には弱いお前には時間の猶予を与えるべきだった』



上妻は両手を上げて見せた。降参の印だ。



「これだけテレパシートークが出来るって、やっぱ俺たちゃ友達だなあ上妻くん」



上妻が降参してくれたから多少なりとも心に余裕が出てきたようだ。


両手を上げて見せてくれた上妻を俺は片手で拝んだ。




「感激! 2 人のテレパシートークを久しぶりに見た!」



銀塚女史はただ一人高校時代の自分に戻っているようだ。


俺はそれには何のリアクションもせず、吹いた訳を訊くことにした。



「それでさっき吹いたのはなに?」


「そうよね、あーでも私何であんな事思い出しちゃったのかしら?」



そこにマリの言葉が湧いて出てきた。



「いい加減イラつくから終わらせてくれないかしら」



マリは『最大限の忍耐が限界』にあることをその言葉の深いところに一応は繋留

してある。それをその場にいる全員に伝えたのだ。



「マリさん、俺の従妹が邪魔したようで済まない」


「いや、あなたのせいじゃなく・・・」



「なんだ!そっちも知り合いだったの?」



マリは俺を一睨みして



「こっちは江戸っ子の同級生だから」


「あ、左様ですか。それにしても今日は知り合いが一杯登場して、まるでテレビ番組の『あの人は今』って感じだよね・・・」



次の瞬間リョウは、一人の少女が大人になったその背景と過程について想いを巡らさずにはいられなくなる、そんな声を耳にした。



「あなた、マリさんとおっしゃるのね」


「そうだけど、なにか?」


「ええ、初対面の方にこんな風に言うのは失礼かもしれませんが、私と山本君、そして上妻君とは小3から中・高と仲の良かった同級生なんです。今日会うのは、多分 10 年ぶり・・・」


「・・・・・・」



マリは、自分が腹を立てているのは、この場合そして銀塚にきつくあたるのは筋違いだったと、もう気付いているのだが、隣にリョウがいるがゆえに素直になりにくかったのだ。



それにしても、リョウは驚いた。あの大人しい、明るい性格ではあるが言いたいことを飲み込んでしまいがちだったあの銀塚が・・・


(人は変わる、変われるんだ。だが何がこいつをこんな風に変えた?・・・)


​​​









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最終更新日  2023.07.11 01:03:22
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