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今日から刑法の各論に入ります。刑法の各論とは、どんな行為が犯罪となるかを書いている分野です第1章 人の死に関する罪1殺人罪ある意味もっともポピュラーな罪でしょう。ドラマでは殺人罪が欠かせません。(殺人) 第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。 実は「人」とは何かということで、解釈が分かれています。人の終り(=死)ははっきりしています。心臓停止・呼吸停止・瞳孔無反応です。ドラマで、危篤の人の心電図が「ピー」となったあと、お医者さんがその人の目にペンライトをかざすシーンを見たことがあるでしょう。心電図が「ピー」となるのは心臓停止・呼吸停止を表し、目にペンライトをかざすのは瞳孔の反射を見るためなのです。これらが人の終りであるのは異論のないところでしょう。ちなみに、脳死は刑法上の死ではありません。臓器移植法において死とみなされるだけです。つまり、人を脳死に追い込んでも殺人罪にはなりません。傷害罪になります。では人の始まりとはなんでしょうか。もちろん、今この文章を見てくださっている方々が人であることは当然です。では、人はいつから人になるのでしょうか。生物学上は受精卵の時点で独立の命です。ですが、受精卵を殺したからといって死刑になるのは行きすぎでしょう。そこで、胎児が一部でも母体から出た時に人となると考えられています。
2004年10月26日
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第3章 3所有権に基づく不動産明渡請求の要件事実3抗弁まず,所有権喪失の抗弁についてお話します。前回,所有権に基づく返還請求権の要件事実は,原告所有と被告占有だと申し上げました。そうすると,面白いことに,原告所有さえ潰せれば,被告が所有者でなくても被告が勝訴してしまうのです。例えば,あなたは自分が所有者であるとして,A土地を占拠している草薙氏を訴えました。このとき,草薙氏が「あなたは,既に,駿河学さんにA土地を売ってしまったから,あなたは所有者ではない」と主張して,立証に成功すると,たとえ草薙氏が不法占拠者であっても,あなたとの裁判では草薙氏が勝ってしまいます。もちろん草薙氏はそのまま占拠できるというわけではなく,所有者である駿河学さんに訴えられるはずなので,妥当な結論となります。ちゃんと裁判で提出できるように抗弁を書くと以下のようになります。「原告は,駿河学に対し,平成〇年○月○日,A土地を代金$円で売った」次に,対抗要件の抗弁についてお話します。不動産が二重売買されたとき,対抗要件である登記が無いと負けるというのが,民法でのお話でした。これを要件事実に引きなおすとどうなるでしょうか。例えば,あなたは草薙氏からB土地を買って占有を開始したものの,登記をしていませんでした。そうしたら,草薙氏は清水君にもB土地を売ってしまい,二重売買の状態になってしまったのです。そうしているうちに,清水君はあなたを不法占拠者として訴えてきました。つまり,草薙氏→清水君↓あなたというようにB土地が売られたわけです。さて,清水君からの訴状には,請求の趣旨「被告(=あなた)は,原告(=清水君)に対し,B土地を明渡せ」請求の原因「1 草薙は,〇年○月○日当時,B土地を所有していた。 2 草薙は,原告に対し,×年×月×日,甲土地を代金3000万円で売った。 3 被告は,B土地を占有している」と書いてあります。さて,あなたはそうやって認否(請求の原因を認めるか,認めないか)をしますか。全部否認してしまえ~!と思うかも知れませんが,あなたも草薙氏からB土地を買って所有者だと言いたいわけですから,1を否認するわけには行きません。また,あなたはB土地を占有しているのですから,3も否認できません。そして,2は売買契約書等で簡単に立証できるのですから,否認は難しそうです。つまり,請求原因の全部について自白するしかないのです。ここで,あなたの方が先に草薙氏から買ったのだから,もはや草薙氏は所有者ではなく,所有者出ない草薙氏から買った清水君も所有者ではないと思うかも知れません。これは,民法上もかなりの議論があるとことなのですが,二重譲渡の場合は,売主にも所有権が残っているとされています。ですから,あなたの方が先に草薙氏から買ったとしても,草薙氏はなお所有者であり,草薙氏から買った清水君も所有者なのです。さて,このように,請求の原因の全てを自白した以上,抗弁を提出しない限りあなたは負けてしまいます。あなたはどのように抗弁を提出すればいいのでしょうか。どうやら,清水君はまだ登記をしていないようです。二重譲渡では,登記が無いと負けるとされていますから,登記が無いことを攻撃しましょう。ただ,二重譲渡の状態(=対抗関係)でないと登記が無いことを攻撃できません。あくまで,登記は二重譲渡の関係にある場合に意味があるのであって,二重譲渡の状態になければ,たとえ清水君に登記が無くてもあなたが負けてしまいます。ということで,あなたも草薙氏から買ったことと,清水君に登記が無いことを抗弁として提出しましょう。抗弁としては「1 草薙は,被告に対し,〇年○月○日,B土地を代金2000万円で売った。 2 原告が対抗要件(=登記)を具備するまで,原告の所有権取得を認めない」2が変わった書き方ですね。「清水君に登記が無いこと」そのものを立証しようとすると,不存在の証明となるので,立証が困難なのです(特に,債権譲渡の通知承諾が対抗要件になる場合など)。じゃあ,2自体不要ではないかと思われるかも知れませんが,必ずしも対抗要件の抗弁を提出したくない時に,対抗要件の抗弁を提出したことになるのも不都合です。 そこで,対抗要件の抗弁を提出することを明示すると共に,立証責任を相手に課すための抗弁として考えられたのが,2の書き方なのです。所有権喪失の抗弁と同じく,相手に問題さえあれば自分が勝てるという仕組みです。ちなみに,あなたが既に登記を備えていれば,二重譲渡であることを示した上,登記を具備したことを抗弁として提出すればいいのです。これは一種の所有権喪失の抗弁です。「1 草薙は,被告に対し,〇年○月○日,B土地を代金2000万円で売った。 2 草薙は,被告に対し,〇年○月○日,上記売買契約に基づき,B土地につき所有権移転登記をした。」応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】ゼミナール要件事実(2)
2008年08月03日
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さて、本日は、CCCとCICCの具体的な手順について、お話いたします。<1つめのC=法廷証言は正しい>・前提として、弾劾したい事項について、「本当ですか?」「間違いないですか?」「本当は違うのではないですか?」と何度か念押しをして、「間違いありません」と何度も言わせる。※CICCの場合は、ここで、欠落している部分について、それがいかに重要な事実であるかを語る必要があります。これについて、後日といたします。<2つめのC=調書を作った時も正しい>・あなたは、事件から○日後の(記憶が新鮮であることを暗に示します。)、○年○月○日、××警察署(検察庁)で、警察官(検察官)から事情を聞かれましたね。(ここで「取り調べ」というと反発を買うので注意されたいということでした。)・あなたは、△△(弾劾したい事項)について聞かれましたね。・あなたは、その日も△△について覚えていましたね。・あなたは、記憶のとおりに答えましたね。(ここで、「あなたは△△について、今日と同じように答えましたね」と聞くのはNGです。「いや、どうだったか分かりません」とか言われてしまうからです。)・あなたの話を聞いて警察官(検察官)は、あなたの話したとおり、調書にまとめてくれましたね。・警察官(検察官)は、調書を読んでくれましたね。・あなたも、調書を手にとって確認しましたね。・警察官(検察官)は、「あなたが話したとおりでないところがあったら、訂正を申し立てて下さい」と言われましたね。(ここで「内容に間違いがあったら」……という形にすると、「いや、そんなことは言われていない」とか、「内容は正しいか分かりません」など流れを阻害する発言を許容してしまうので注意してください。)・あなたは、訂正を申し立てませんでしたね。・あなたは、話した内容が書かれていることを確認して、名前を書きましたね。・ハンコも捺しましたね。<3つめのC=自己矛盾供述とご対面>・(同一性確認のため)平成○年○月○日付証人の調書末尾署名押印部分を示します。・末尾の名前は、あなたが書いたものですね。・ハンコも、あなたのものですね。(ハンコの尋問後、CCCの場合)・では、同じ書面の○ページ○行目(△△に関わるところ)を証人に示します。ここから、私が読み上げますので、書かれているとおりに読み上げたか、確認してください(「正しく読んだか」などと聞くと、言い訳を招くので注意してください)。・「~△△~」書かれているとおりに読みましたね。(読み上げは尋問者がやるべきです。証人が素直に読んでくれるとは限らないからです。)・引き上げます。(ハンコの尋問後、CICCの場合)・では、この書面を渡しますので、「△△」という記載があるかどうか確認して下さい。・「……」ありませんね。(ここで、証人が言い訳をしても放っておいてください。遮る必要はありません。)応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2013年07月18日
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証拠は裁判官が自由に評価していいのですから、よっぽどのことが無い限り決着がつかないと言うことはありません。しかし、そのよっぽどのことが発生してしまったらどうすればいいのでしょう?裁判官が「すいません。私にはわかりません。あとは当事者同士で何とかしてください」といったらどうなるでしょう。当事者同士で何とかなるならそもそも裁判にはなりません。裁判は最終手段なのです。その最終手段が無くなったら困ってしまいます。なのでどうしても決着がつかない場合に備えて予め決めておかなくてはなりません。その決め事が「証明責任」なのです。学問上は、「ある事実が真偽不明の時に、判決においてその事実を要件とする自己に有利な法律効果の発生または不発生が認められないことになる一方の当事者の不利益」を言います。つまり、ある事実が真偽不明の場合にはその事実は無いものとして扱うというのが証明責任です。証明責任はかなりややこしいので、詳しい論述は割愛します。ただ、一つだけ申し上げます。「○○せよ」と要求する場合はその要求する人に証明責任が負わされると言うことになっています。つまり、三島さんが清水君に「私は清水君に100万円貸した。だから100万円を返せ」と言う場合、三島さんのほうが100万円貸したことを証明しなくてはなりません。清水君のほうから「100万円なんて借りていない」と言うことを証明する必要は無いのです。よって、もし三島さんが100万円貸したことを証明できなかったら、清水君は何もしなくても100万円払う必要は無く、勝訴します。これが証明責任なのです。ですから、契約そのものは契約書が不要でも、最悪裁判になることを考えればやはり契約書を交わすほうが安心できるのです。
2004年07月30日
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・弁護士の菅谷公彦先生が民事訴訟について書いておられます。実務的なお話で、私の日記よりはるかに興味深い内容となっています。是非ご覧下さい。さて今日は3口頭の例外、4裁判官の面前での例外についてお話します。では、3口頭の例外とは何でしょうか。皆さんは裁判というと、原告側の弁護士が、証人に対して「あなたは清水君が三島さんからお金を借りるところを見ましたか?どうなんですか?本当はよく見えてなかったんじゃないですか」というと被告側の弁護士が「そんなことはありませんでしたよね、証人の方」などと言う感じの丁々発止を想像されるでしょう。確かにこうするならば、裁判を公開する意味もありますし、文書では伝わらないニュアンスも裁判官に伝わります。単に「証人は○○と言った」と文書にするよりも、証人を呼んできて証人に喋らせる方がその信頼度も裁判官に伝わります。証人が自信ありげに喋れば裁判官はその証言を信用するでしょうし、おどおどして喋ればあまり信用しないでしょう。このように口頭で喋ると言うことにはメリットがあります。しかし、それをやっていたのでは裁判が長期にわたる場合、初めの頃の発言については裁判官の記憶が薄れてしまいます。また、当事者側としても単に相手方の発言を聞くだけでは相手が何を言いたいのかわからず上手く反論できない可能性もあります。そこで、ニュアンスは伝えづらくてもちゃんと形に残る文書も併用されています。つまり、口頭が原則ですが、一部文書の使用が認められています。これが口頭の例外と言うことです。例えば、「準備書面」と言う言葉はドラマなどで耳にされたことがあるでしょう。準備書面は複雑な事実関係や、法律関係を記すものでまさに口頭の例外となります。(準備書面) 第百六十一条 1 口頭弁論は、書面で準備しなければならない。 2 準備書面には、次に掲げる事項を記載する。 一 攻撃又は防御の方法 二 相手方の請求及び攻撃又は防御の方法に対する陳述 実際には書面が原則になり、口頭は例外となってしまっているなどとおっしゃる弁護士の先生もおられます。しかし、とりあえずは口頭が原則だと思って下さい。ちょっと長くなってしまいました。続きは明日にしましょう。
2004年07月22日
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今日は趣向を変えて、法律の語呂合わせをお話します。何かのお役に立てれば幸いです。<予備校で教えてもらったもの> ・今日こそ日曜(共雇葬日用) →一般先取特権(民法306条) ・米研ぎ倉庫整理だい!(混免時相更請履代) →連帯債務の絶対効(民法432条~438条) ・他人のソーメン自己負担(他人の相免時効負担) →連帯債務の絶対効のうち、負担部分についてのみ絶対効が及ぶもの(民法436条2項、437条、439条) <オリジナル> ・疾走!外の上官、余勢で退社(執総!外の条官予政で大赦) →内閣の職務行為(憲法73条) ※「上官が疾走した勢いで思わず辞表を提出した」というイメージで読んでください。 ・不法な側室(不法な即質) →占有改定では成立が認められないもの。 不法=不法原因給付(民法708条) 即=即時取得(同192条) 質=質権(同344条) ・精魂尽きるまで連帯保証(請混尽きるまで連帯保証) →単純保証では相対効だが、連帯保証では絶対効になるもの (民法458条、434条、438条) 他にも良い語呂合わせがあったら教えてくださいね~。これからも応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2007年01月29日
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犯罪成立には構成要件・違法性・責任が必要と申し上げました。そして昨日やっと構成要件が終わりました。次は違法性です。違法性とは「社会的相当性を逸脱した法益侵害」を言います。「社会的相当性」とは一般人がやむを得ないと思えることを言います。そして、法益侵害とは、法律で守られた利益ですから、違法性とは、「一般人がやむを得ないと思える事情が無いのに法律で守られた利益を侵害すること」を言います。しかし、そもそも構成要件とは処罰すべき行為を、一般人の代表者が定めたものですから構成要件に該当すれば、一般人がやむを得ないと思う事情など無いのが原則です。ですから、例外的に一般人がやむを得ないと思う事情があるのか無いのかを判断しようという観点で検討していきましょう。ここで、一般人がやむを得ないと思う事情があれば違法性がなくなるので、この一般人がやむを得ないと思う事情を「違法性阻却事由(いほうせいそきゃくじゆう)」と言います。なので、第3章は違法性について検討すると言うより、違法性阻却事由について検討していくことになります。さて、条文を見てみましょう。(正当行為) 第三十五条 法令又は正当な業務による行為は、罰しない。 (正当防衛) 第三十六条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。 2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。 (緊急避難) 第三十七条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。 2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。 とりあえず( )の中だけお読みください。違法性阻却事由(=一般人がやむを得ないと思う事情)として法律で定められている物は「正当業務行為」「正当防衛」「緊急避難」です。これらを一つ一つ追っていきましょう。まずは「正当業務行為」です。(正当行為) 第三十五条 法令又は正当な業務による行為は、罰しない。 これは分かりやすいと思います。例えば、ボクシングの試合を想像してください。ボクシングの選手は「相手を痛めつけよう」と思って相手を殴り、時に怪我を負わせることもあります。その場合、傷害罪の構成要件には当たることになります。しかし、ボクシング選手は「業務」として行っているのですから、一般人は、怪我を負わせてもやむを得ないと考えます。なので、違法性がなくなるのです。このような論理で違法性を阻却すると考えるのが35条なのです。ところでに、「業務」とは「人が社会生活上の地位に基づいて継続・反復する行為」を言います。「社会生活上の地位に基づいて」というのは分かりづらいので無視して結構です。つまり、業務とは「継続・反復する行為」を言います。なので、別にプロボクサーに限らず、アマチュアボクサーでも35条は適用され違法性がなくなります。さて、明日は正当防衛について考えてみましょう。
2004年08月26日
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やっと4裁判官の面前でなければならないということの例外にきました。そもそも、裁判官はきわめて転勤が多く、2,3年に1度は転勤されるそうです。とすると、いくら今の裁判は1年弱で終わるとはいえ、訴えを出す時期が悪いとちょうど裁判官の転勤時期に当たってしまいます。そうなると大変です。もし、判決を出す裁判官の面前で口頭弁論をしなくてはならないとすると裁判官が転勤した場合はもう一度全ての弁論をやり直さなくてはなりません。これではあまりに大変です。そこで、裁判官が代わった場合には今までの口頭弁論の内容を新しい裁判官に陳述すれば足りると言うことにしました。それが、「弁論の更新」です。(直接主義) 第二百四十九条 判決は、その基本となる口頭弁論に関与した裁判官がする。 2 裁判官が代わった場合には、当事者は、従前の口頭弁論の結果を陳述しなければならない。 ただし、弁護士の先生のお話によりますと、「陳述」といっても今までの口頭弁論の要約を話すのではなく、「弁論の更新をしますか?」と裁判官に聞かれて「はい」と一言いいさえすれば弁論の更新がなされたことになるそうです。なんか変ですが、時間には変えられないと言うことでしょうか。これが4の例外と言うことになります。
2004年07月23日
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第四条 未成年者カ法律行為ヲ為スニハ其法定代理人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス但単ニ権利ヲ得又ハ義務ヲ免ルヘキ行為ハ此限ニ在ラス ○2 前項ノ規定ニ反スル行為ハ之ヲ取消スコトヲ得 例外1、単に権利を得、または義務を免れる行為2、処分を許された財産の処分行為(第五条 法定代理人カ目的ヲ定メテ処分ヲ許シタル財産ハ其目的ノ範囲内ニ於テ未成年者随意ニ之ヲ処分スルコトヲ得目的ヲ定メスシテ処分ヲ許シタル財産ヲ処分スル亦同シ)3、許された営業に関する行為(第六条 一種又ハ数種ノ営業ヲ許サレタル未成年者ハ其営業ニ関シテハ成年者ト同一ノ能力ヲ有ス ○2 前項ノ場合ニ於テ未成年者カ未タ其営業ニ堪ヘサル事跡アルトキハ其法定代理人ハ親族編ノ規定ニ従ヒ其許可ヲ取消シ又ハ之ヲ制限スルコトヲ得)4、身分行為・認知(第七百八十条 認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であると きでも、その法定代理人の同意を要しない。)・遺言(第九百六十一条 満十五歳に達した者は、遺言をすることができる。 )・氏の変更(第七百九十一条 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可 を得て、戸籍法 の定めるところにより届け出ることによつて、 その父又は母の氏を称することができる。 ○2 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にす る場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ない で、戸籍法 の定めるところにより届け出ることによつて、その 父母の氏を称することができる。 ○3 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これ に代わつて、前二項の行為をすることができる。 ○4 前三項の規定によつて氏を改めた未成年の子は、成年に 達した時から一年以内に戸籍法 の定めるところにより届け出る ことによつて、従前の氏に復することができる。)5、取消し( 第百二十条 能力ノ制限ニ因リテ取消シ得ヘキ行為ハ制限能力者又ハ其代理 人、承継人若クハ同意ヲ為スコトヲ得ル者ニ限リ之ヲ取消スコト ヲ得 )
2004年01月05日
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今回は、地震保険についてお話しします。なお、保険については、多種の商品があり、私がお話しできるのは一般論に過ぎません。したがいまして、今回「保険金が請求できる」という結論になっても、商品によっては、保険金が請求できない可能性もあることをご承知おきください。Q12 地震による火災で家が焼失した。私は地震保険に入っておらず、火災保険にのみ加入していたが、地震によって家が倒れた訳ではないので、火災保険はもらえるということか。A12 もらえません。<解説>一般的に、地震による火災や、地震によって発生した火災による延焼に対しては、地震保険の対象になり、火災保険の適用はありません。したがって、ご質問の場合には、保険金がおりないことになります。Q13 地震による津波によって、家が跡形もなく流された。地震保険には入っていたが、地震によって家が倒れた訳ではない以上、地震保険の保険金はもらえないということか。A13 もらえます。<解説>一般的に、地震保険は、地震による倒壊のみならず、地震による火災・津波・山崩れの被害も対象になっています。したがって、地震保険に入っていれば、津波の被害についても保険金がもらえるということになります。なお、地震保険による保険金は、火災保険の保険金よりも安いことが多いので、ご注意ください。今日はこれくらいで失礼いたします。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2011年04月02日
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今まで「実行行為」を何気なく使っていたので、当然何かする(=作為)ことのみが実行行為だとお考えになっていたかもしれません。しかし、例えば「自分の子供が溺れているのを父親が発見したが、父親は何もせずに立ち去ったので子供は溺死した」と言う場合はどうですか?父親は何もしていませんが、これを無罪としてよいのでしょうか。これは殺人罪にしたくなるでしょう。しかし、例えば「子供が川で溺れていて、数百人の野次馬が集まったが誰一人助けなかったので子供は溺死した。その野次馬の中に父親や母親など血縁関係のある人はいなかった」と言う場合、その野次馬数百人を全員殺人罪にするのはやりすぎな気がします。このように、何もしなくても犯罪にすべき場合はあるのですが、犯罪対象になる人があまり広がりすぎるのもやりすぎなので一定の歯止めが必要です。そこで、本来決められた義務があったのにそれをしなかった場合にのみ実行行為があったと考えることにします。これは何かをする(=作為)義務ですから、「作為義務があったのに果たさなかった場合に実行行為がある」と言い換えてもいでしょう。そして、本来決められた義務とは、法律上の義務のみならず、契約上の義務や慣習・条理(=一般常識上)の義務があります。例えば、父親が子供を助けるのは民法820条で定められた義務です。(第八百二十条 親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う)契約上の義務とはお医者さんなどが考えられます。お医者さんにかかるということはお医者さんと治療のための契約を結んだことになり、お医者さんには治療の義務が発生します。にもかかわらず、治療を放棄して患者さんを死なせた場合は契約義務をしなかったことによる実行行為があるといえます。慣習・条理(=一般常識上)の義務とは、籍は入れていないけど内縁関係にある人の連れ子に対する保護義務など誰もが納得できる義務があげられます。別に内縁の人の連れ子には法律上も契約上も保護義務はありませんが、内縁関係にある人の連れ子なら誰もが保護すべきだと考えるでしょう。しかし、何らかの義務、つまり作為義務さえあれば何もしないこと(=不作為)が実行行為となってよいのでしょうか。例えば、一番初めにあげた例(「自分の子供が溺れているのを父親が発見したが、父親は何もせずに立ち去ったので子供は溺死した」と言う場合)で、そこは無人島で、何らの通信手段も無ければ、ボートも浮き輪も無く、しかも父親はカナヅチだったと言う場合を考えてください。父親である以上、子供を助ける義務はあります。しかし、父親にはなす術がありません。この場合には例え何もしなくても犯罪にするわけには行きません。そこで、何もしないこと(=不作為)が実行行為となるには作為義務のほかにその義務を果たそうと思えば果たせる状態にあることが必要なのです。さて、作為義務のほかにその義務を果たそうと思えば果たせる状態にあれば何もしないことを実行行為として良いでしょうか。もう一度実行行為の定義を思い出してください。実行行為とは、、「法律で守られた利益が侵害される恐れのある行為」であり、その恐れは一般人の判断を基準にすると昨日申し上げました。つまり、作為義務があってその義務を果たそうと思えば果たせる状態であっても、法律で守られた利益が侵害される恐れがない場合には実行行為とする必要がありません。ということは作為によって法律で守られた利益が侵害されるのと同じくらいの恐れが必要と言うことになります。これを学問上は「作為との構成要件的同価値性」といいます。例えば、溺れている子供を見捨てることは、子供をナイフで刺すのと同じくらい死亡の恐れがあります。なので、泳げる父親が子供を見捨てるのはナイフで刺すという作為によって生命が侵害されるのと同じくらい生命侵害の恐れがあります。では、まとめてみましょう。不作為が実行行為となるには、1、何かをしなくてはならない義務があること(=作為義務の存在)2、その義務を果たそうと思えば果たせる状態にあること(=作為の容易性・可能性)3、法律で守られた利益が作為によって侵害されるのと同じくらい侵害の恐れがあること(=作為との構成要件的同価値性)やはり、刑法はかなり理屈っぽいですが、これも冤罪をなくすためです。頑張りましょう。
2004年08月19日
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