うたのおけいこ 短歌の領分

うたのおけいこ 短歌の領分

2007年01月31日
XML
カテゴリ: アフィリエイト


・・・といっても、エロ本のたぐいの話ではない。

僕にとっては、さしずめ中谷彰宏の本がそれに当たる。

若い女性ならともかく、いい大人の男が読んでいるなどとは、気恥ずかしくてとても人さまには言えない。

なにしろ、OLの教祖である。役者までやっているイケメンである。

都会のバーかラウンジで美人に囲まれているのが似合う色男である。

普通の中年男から見ると、あの石田純一の同類である(笑)。

どうせ、いい加減なウンチクを並べて若い女を誑(たぶら)かそうとしてるのだろう、ぐらいに思う男も多いだろう(・・・ちょっと、ヒドく言い過ぎか)。

・・・だが、試しに2~3冊を虚心坦懐に読んでみると、書くものはなかなか悪くない。
コピーライターの経験もあるせいか、文章も巧い。

しかも、あの真面目なPHP文庫に多数の著書が収録されている。

一般人でも、「尊敬する人物」を聞かれたり書かされたりする機会はなんぼでもあるが、そういう場合僕らの世代だと、「松下幸之助と書いとけば間違いない」と両親や大人に言われたものだ。

それほど立派な偉人・松下幸之助が創設に深く関与したPHPなどの常連として物を書いており、それらがPHP文庫などに多数まとめられている。

やはり、タダモノではない。

例えば、PHPではないが、 道楽のススメ

ちなみに、現在最新の原稿であろう、「PHP2月号スペシャル・運を強くする、味方にする習慣」に掲載された中谷氏の文章「まず、列に並んでから考える人が、運を味方にできる」を読んで、あいかわらず上手いな、と感心した。

――新装開店のレストランに大行列ができている。
あなたならどうするか。

中谷氏によれば、「とりあえず並ぶ」のが正解だという。

迷ったら、とりあえず並んでみて、それから考えればいいのだそうだ。

なるほど、と思う。

以下少し引用してみようか。

「『なんかあそこに列があるから並んでみよう』と来てしまう人がいます。

その人は自分が何がやりたいか、まだわかっていません。

何がやりたいかがわからなくても列に並んでしまった人のほうが、夢を持っているけれども、何も始めていない人よりは勝ちです。

行動を起こしているからです。

その人に対して『あの人は夢をもっていないけれども、私は夢を持っているから』というのは、ひきこもって何もしないのと同じです。

『私は、こんなにすばらしいことを考えている』と思っても、それを口に出さない人は、アイデアを持っていない人と同じです。

行動に出ていないのです。」

なるほど、とさらに思う。

そして、「まず、恥ずかしいことを体験することです。(中略)・・・こんなことは誰でも思いつくから、先にやらないと負けるという危機感を持てばいいのです。」などと続く。

むろん、「レストランの行列」の話は、もののたとえである。

僕なんかはもともとグルメ指向があんまりないし、この齢になればいろんな場面で山海の珍味からキャビア、フォアグラ、トリュフ、エスカルゴまで、たいがいの物は口にしたことがある。
いまさら行列してまで何か食いたいとは思わない。
行列が出来ていれば、その横っちょのそば屋あたりで、もりそばかカツどんでも食べられれば満足だ。

・・・ではあるが、なかなか上手いもののたとえである。

言っている中身は、むしろ陳腐だとすら思う。
松下電器提供「水戸黄門」のテーマソングみたいだとも思う。

だが、文章がうまい。洗練されている。
見事にデオドラント(脱臭)されて垢抜けた現代文になっている。

中谷氏の書くものは、いずれもことほどさように口当たりがよく、すらすら読める。
しかし、案外バカにしたものでない人生訓が満ち溢れていて、読んでいると元気が出る。

膨大な著書があるが、人生論・成功論エッセイのたぐいでは、どれを読んでも同じようなことが書いてあるともいえる。
が、文章が上手いので、けっこう飽きない。新鮮である。

曰く、とにかく考えていないで行動せよ。
自分が動いていないと、見えるものも見えなくなる。
周回遅れなのに、まだ早過ぎる、などと思ってしまう。
四の五の言っている間に声を挙げて、人ごみの中から一歩抜け出せ。

なにげに、けっこうキツイことも書いている。
例えば 「人は誰でも作家になれる」(PHP文庫、絶版らしい) には、おおよそ次のようなことが書いてある。



モノ書きになりたいのであれば、まず書いて書いて書きまくれ。
原稿用紙は何枚と数えるのではなく、kg(キログラム)単位で数えよ。
何十キログラム書いたかが勝負であり、もちろんそれを机の上に置いておくだけじゃだめで、全て出版社に持ち込む。

そのためには、とにかく完成(完結)させること。
最後まで(あるいは少なくとも大部分)書いてないのでは判断のしようがない。
目の前で編集者に読んでもらうのは、まさに真剣勝負の果し合いである。

文筆・文学の世界でも(あるいは、それゆえになおさら)、とかく作品を仕上げてもいないのに、口(自己宣伝)だけは達者な者が多いという。
すばらしいあらすじが出来ていても、作品を完成させてみなければ(行動してみなければ)話にならない。

すでにコピーライターとして実績があった中谷氏にして、苦節3年だったという。
出してはダメ、出してはダメの、壮絶でいつ果てるとも知れない繰り返しだった。
編集者に殺意すら持ったという。

・・・だが、勘違いしてはならない。
編集者は意地悪や新兵イビリがしたいワケではない(そういう癖のある人も皆無ではないかも知れないが)。

むしろあらゆる出版社は、ものになりそうな作家、金になりそうな作家を、必死で鉦を叩いて探しているのだ。
自分が発掘した作家が売れれば、その編集者にとっても大手柄で鼻高々だ。
「ダメ出し」されるのは、むしろ見どころがあると、その才能を買われているからである。

多くの作家において、処女作が最も優れているといわれ、大抵それを超えることができないという現象は、処女作にはこれほどの苦闘と苦悩と、涙と怨念がこもっているからだ。
真剣味が違う。

しかし、念願叶って売れたあかつきには、怨念で微熱さえ発し、そのため暖かいのでその上で猫がよく眠りこけてしまうという“ボツ原稿の山”が、再び生きてくるのだという。
それは必死で考えたアイデアの宝庫だからである。
その中には、すでに、その作家のすべてがある。

以上の記述は、かなり僕流に意訳・要約してしまったものだが、けっこういいこと言ってると思う。
軟派な外見と裏腹の、けっこう硬派な体育会系の論理の展開だ。

運(ツキ)を呼び込むためには、努力も必要ということか。

・・・そうなのである。いわば当たり前のことが書いてあるのである。
が、書き方がうまいから、文章それ自体も楽しめるし、納得させられるのである。

成功哲学、成功の秘訣めいた本は数多いが、その前提というべき実践的心構えの部分で、中谷氏の本は読みやすくて面白くてためになる。

俺も(私も)やれるかも、という気にさせられるところが、何度も言うが上手い。

人気があるわけですね。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2007年02月03日 15時27分24秒
コメント(6) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

くまんパパ

くまんパパ

コメント新着

くまんパパ @ 紅葉シーズンになりました やすじ2004さん、いつもありがとうござい…
やすじ2004 @ Re:ジョージ・ハリスン  美しき人生(11/23) こんにちは!! 紅葉狩りに行きましたか?…
くまんパパ @ 私も危機感を持っています akiさん、ありがとうございます(^^) 以前…
aki@ この様な書き込み大変失礼致します 日本も当事国となる台湾有事を前に国民の…
くまんパパ @ 笑顔は絶やさないでいたいですね(^^) やすじ2004さん、いつもありがとうござい…
くまんパパ @ 体に気を付けて、のんびり行きたいですね やすじ2004さん、いつもありがとうござい…
やすじ2004 @ Re:松任谷由実  ハロー、マイ・フレンド(08/16) お元気ですか 今日も湿度が高い一日でした…
くまんパパ @ 男と女の契り 七詩さん、いつもありがとうございます。 …

キーワードサーチ

▼キーワード検索

お気に入りブログ

2024秋旅 こまめに… New! ナイト1960さん

家の中で New! masatosdjさん

マナーでは関西人は… New! しぐれ茶屋おりくさん

散歩の途中で出会っ… New! 蘭ちゃん1026さん

家族 ミセスkarimeroさん

岬麻呂旅便り334・南… けん家持さん

「恋心」「人魚姫」… 47弦の詩人さん

システムエンジニア… モモンガ2006さん
こだわる男の「モノ… こだわる男の「モノ&ファッション」さん
マリリンワールド まりりん824さん

サイド自由欄

*このブログサイトは、ご覧の端末によっては管理者の意図するフォント(書体)やレイアウトが正確に表示されない場合があります。ご了承下さい。
なお、フォント表示の設定は、(ウィンドウズの場合)左下のスタート・アイコンから入って、設定(歯車)→個人用設定→フォント入力の画面で出来ます。


新宿会計士の政治経済評論
アトリエぺんちゃん
山下達郎 サンデー・ソングブック
松村邦洋 DJ日本史
東洋経済オンライン
世界は数字で出来ている
お料理速報
パンドラの憂鬱
Forbes スピリチュアルババア
goo 教えて!goo

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: