うたのおけいこ 短歌の領分

うたのおけいこ 短歌の領分

2025.05.11
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カテゴリ: 百人一首


蝉丸(せみまる)


これやこの行くも帰るも別れては
        知るも知らぬもあふ坂の関



後撰和歌集 1089

これがそうか この
都から東国に行く人も帰ってくる人も別れては
知り合いも見知らぬ人もまた逢うという逢坂の関。


全体として洒脱で軽やかな言葉遊びの意図が感じられる一首。
作者は、男性という以外は経歴不詳・身元不明の不思議な人物。皇子説から琵琶法師の元祖説まである。まさに「王子と乞食」か。平安京のどこかにいた才人である。

後撰和歌集の3句目は「別れつつ」。おそらく百人一首の撰者・藤原定家による「添削」改稿。

これや:直訳すれば「これか」。助詞「や」を間投助詞と見れば感動を示し、係助詞または終助詞と見れば疑問の意味となるが、文法的に厳密に分類するのは無理であろう。現代日本語の「か」でも同様である。「これが名にし負う(世に名高い)ところか」。「これや、この」と続けたことで、快い言葉のリズムを作り出している。
なお、この「これやこの」は後世、「これがまあ」というニュアンスの、一つの成句的連語ともみなされるようになったが、この歌が有名になったことによる。

逢坂の関:現・滋賀県大津市逢坂付近の山中にあった、東海道と東山道(のちの中山道)の関所。山城国(京都府)と近江国(滋賀県)の国境で、交通の要衝であった。





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最終更新日  2025.05.12 20:36:15
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