料理研究家・宮成なみの【 夢叶 】~胸に希望を 台所から愛を~

料理研究家・宮成なみの【 夢叶 】~胸に希望を 台所から愛を~

2007年06月12日
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カテゴリ: なみちん入院記





週3回透析があり
透析のない日は検査があるので
入院生活は意外と慌ただしく
一日はあっという間に過ぎて行きました。


朝食を朝8時に食べ終え、
看護婦さんに温めたタオルで身体を拭いてもらったら
9時半に透析センターに車椅子で移動して
10時から透析がスタートします。

私は5時間透析なので3時に終わり

病室に戻るのはいつも4時くらいでした。


透析の5時間は長く感じるかなと思っていたけれど

透析が始まると頭がぼーっとしてきて眠くなるので
一寝入りすればあっという間に時間は過ぎ

起きているときは料理の雑誌や本を読んだり
友人がお見舞いに送ってきてくれたCDを聞いたりしているので
5時間は意外と短く感じました。


見舞いにきた母は


ベッドに張り付けにされて強制的にのんびりしなきゃいけない時間ができるから
あんたにはちょうどいいんじゃない?


と冗談交じりに言っていたけれど


それもまた悪くないなぁと思いました。


読書とお昼寝以外にも
もうひとつ。

私には楽しい暇潰しがありました。


雑誌やカタログを切り抜いて

好きな言葉を書き出したりやりたいこと
欲しいものなどを書き出したノートを作ることです。

夢をノートに書き出すことを夢ノートとかドリームファイルと呼び
そんなノートの作りかたの本があることを知ったのは
退院したずっとずっと後になってのことでした。


私が初めてノートに夢を書き出し始めたのは
やはり13年前の最初の入院のときでした。


暇潰しにと雑誌を買ってきてもらっては

綺麗な服を来て
頬をピンクに染めて微笑むモデルさんたちを見て

私もこんな服が着れるようになりたいなぁ

こんなピンクの頬っぺや唇になりたいなぁ

肉付きのよい健康そうな体になりたいなぁ

と思っていました。


料理の雑誌を見ては

おいしそうだなぁ
食べたいなぁ
こんな料理作れるようになりたいなぁ

と思って眺めていました。

見舞いのたびに買ってきてもらった雑誌も
隅々まで3度も読めばもう飽きます。

飽きた私は売店で糊とハサミとノートを買ってきてもらって

自分の好きなモデルさんや女優さん
大好きな作家さんの言葉やいつか食べてみたい料理
作ってみたい料理を雑誌のなかから選び出し
ジョキジョキと切り抜き始めました。


そしてそれをノートに貼りつけて

横に色鉛筆やサインペンを使って
半ば日記のような感覚で
毎日自分の願望や素直な気持ちを書きました。


早く元気になって
おうちに帰りたい。

こんな服が着れるようになりたい。

この女優さんみたいに綺麗で可愛い女の子になりたい。

ピンクの頬っぺになって
こんな服を来て
素敵な男の子とデートがしてみたい。


こんな料理が食べたい。

いろんな料理を作れるようになりたい。

みんなでわいわい言いながらご飯が食べたい。


他愛もないことばかりだけど

貼付けた女優さんの切り抜きの横には

『ピンクの頬っぺたになるぞ計画!!』

などとかなり本気で書いていて

婆ちゃんがスベスベの肌になるには南瓜を食えと言っていた
帰ったらたくさん食べたい
とか

はやく野菜がたくさん食べれるようになりますように

とか

色鉛筆で可愛く飾って書きました。


友達から手紙がくると
紙を張り合わせて作ったボケットをノートに貼付けて
あとからまた取り出して読めるようにひとつずつ手紙を入れていきました。


ノートを書いている間、夢中になれるから
ちょっとだけ入院していることを忘れられるから

本当に楽しくて

今思えば現実逃避だったのかもしれないけれど

いくつもいくつも小さな夢をノートに貼付けました。


眠れない夜とかは病棟の廊下に並ぶベンチに腰掛けて
退院したら
これもしよう
あれもしよう
早く元気になって
また友達とたくさん遊ぼう


思いを馳せながら
薄暗い廊下でひとり
ノートを眺めて夜を過ごしたりしていました。



これが
あたしが夢をノートに書き記し始めたきっかけでした。

最初は本当に暇潰しだったの。



退院してね
少しずつひとつずつ夢は叶っていきました。

家族と一緒に笑いあって食卓が囲めるようになり

40キロを切っていた体重が少しずつ戻り

レンガのように渇いていた肌が少しずつ潤いを増して
昆虫のように細かった手足は
元の
健康だった頃の太さに戻りました。

駄目だと思っていた社会復帰も七年半という月日を経て

ようやく

普通に朝起きて仕事にいき普通に恋をして
仕事が終われば友達と一緒にお茶をして。

願いは叶って
そんな当たり前の生活が
普通の生活ができるようになりました。


『夢をノートに書くと叶うんだよ』

っていうのは本当なんだなぁと思って

その後も
夢ノートの作りかたの本を読んだり
友達に聞いたりして
改良された夢ノートを
ずっとずっと作り続けていました。


けれどこうしてふと、思い起こすと
ここ最近、数ヵ月前に作った夢ノートは
夢ノートというよりも
なんだか会社の営業売り上げ達成目標宣言ノートみたいになっていて

作っても見てもあまりわくわくするものでも楽しいものでもなかったなぁ
と思いました。


あのとき
初めて夢ノート作ったときはほとんど日記だったよなぁ


中学校からずっと一緒の友達や幼なじみから手紙が届くたび泣いてたよなぁ


そういえば
あのときの夢ノートって
自分の夢だけじゃなくて

手紙が届いて嬉しいとか
熱が下がってよかったとか
嬉しい気持ちを書き記したりしてたよなぁって

忘れかけていた記憶が

あのときと同じ病院の同じ病棟で

少しずつゆっくりと
鮮やかに甦ってきていました。


未来に対する夢はばかりを書くんじゃなくて

ちょっとした
些細なことばかりなんだけど


この瞬間に
生きていて
嬉しかったこと
よかったことを
たくさんたくさん書いていたような気がする。



よし!と思い立ち

透析のない日の午後に
検査の帰りに補助看さんに売店に連れて行ってもらって
ノートやサインペン、糊などを買いました。








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最終更新日  2007年07月26日 18時41分47秒
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