Milkyway ジャーナル

Milkyway ジャーナル

PR

プロフィール

Milkywayジャーナル

Milkywayジャーナル

カレンダー

バックナンバー

2024.11
2024.10
2024.09
2024.08
2024.07

コメント新着

maki5417 @ Re:「ウクライナ以外でも起きている戦争犯罪:ミャンマー」(04/23) NHKが内戦を取り上げていましたね。 中…
Milkywayジャーナル @ Re[1]:「ゼレンスキー大統領の国会演説」(03/26) maki5417さんへ 同時通訳自体は、本当に難…
maki5417 @ Re:「ゼレンスキー大統領の国会演説」(03/26) 正直言って、同時通訳がとても分かりにく…

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2023.04.29
XML
カテゴリ: 海外ニュース
​​​​​​​​​​​​​ ​Milkywayです。お元気ですか?
                            20230429

国際刑事裁判所がプーチン大統領に逮捕状を発出したその内容の詳細と、その意義を書いておく。
このニュースは、NHKが2023年3月18日に
「国際刑事裁判所 プーチン大統領に逮捕状 ウクライナ情勢めぐり」と報じた。 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230318/k10014012431000.html​

 内容は、前回の本ブログに概略を載せたように、
オランダ・ハーグにあるICC=国際刑事裁判所が、ロシアが占領したウクライナの地域から子どもたちを移送したことが、国際法上の戦争犯罪にあたるとして、ロシアのプーチン大統領とマリヤ・リボワベロワ大統領全権代表になどに逮捕状を出したというものである。

​【子どもの連れさりとは?】​
ウクライナの司法当局は、軍事侵攻が始まって以降、東部のドネツク州、ルハンシク州、ハルキウ州、それに南部ヘルソン州で、あわせて1万6000人以上の子どもが、ロシアによって連れ去られたことを確認。そのうちウクライナに連れ戻すことができたのはわずか300人ほど。この事件について、ウクライナ側は、1000ページ以上にのぼる証拠資料を、国際刑事裁判所に提出した。

国際刑事裁判所のカーン主任検察官は声明を出し、これまでの捜査から、少なくとも数百人もの子どもがウクライナの児童養護施設などから連れ去られ、多くがロシアで養子に出されたとみられること、それを裏付ける証拠もあると述べた。

​【子ども連れ去りのロシア側の意図】​
これほど多数のウクライナの子どもをロシアに移送するその意図は何だろう?
それについては、

国際刑事裁判所の検察官が “ロシアでは大統領令で養子促進”をしていると明かにした。
ウクライナのコスティン検事総長も、3月7日「ロシアは子どもたちを連れ去ることでウクライナの未来を奪おうとしている」とSNSに投稿。プーチン政権は、連れ去った子どもたちにロシア国籍を取得させ、ロシア人への同化を進め、国家としてのウクライナを破壊しようとしていると非難した。

この主張の裏付け事実として、
プーチン大統領はこれらの取り組みを後押しするため、去年5月、大統領令に署名。ウクライナの孤児がロシア国籍を取得したり、ウクライナ国籍の子どもを養子にしたりするための手続きを簡素化したのである。

​​【ロシアは「連れ去りではなく保護」と主張】​​
他方、ロシアのプーチン政権は、戦地の孤児らを保護するためだと、連れ去りを否定。子どもたちを戦闘地域から避難させるのは当然だと、自らの行為を正当化している。だが実際は、彼らは、ウクライナの子どもをロシア人の養子にする取り組みを進めているほか、政権の主張に沿ったロシアへの愛国教育も行っているのである。

この政策をプーチンの下で中心になって進めてきたのが、子どもの権利などを担当する大統領全権代表のマリヤ・リボワベロワ氏だ。
彼女は、先月、プーチン大統領と面会した際に、何千人もの子どもをウクライナからロシアに移動させ、各地で養子縁組を進めていると報告していた。
また、彼女は、ロシア人の養子になったウクライナの子どもたちの写真を、SNSに頻繁に掲載。プーチン政権の方針を正当化し続けている。

​【ウクライナ政府はICCの逮捕状を歓迎】​
ICC=国際刑事裁判所のプーチンとマリヤ・リボワベロワへの逮捕状発出について、ウクライナ政府は歓迎するコメントを次々に発表した。

ゼレンスキー大統領はビデオメッセージを公開。「歴史的な決断だ。テロ国家の指導者が公式に戦争犯罪の容疑者となった」と述べ、歓迎。
この中でゼレンスキー大統領は、何千人もの子どもをロシア側に違法に連れ去る行為は、国のトップの命令がなければ行なえないと述べ、「子どもたちを家族から引き離し、ロシアの領土内に隠す行為は、明らかにロシアの国策であり、国家的悪事だ」と述べ、プーチン大統領の責任を厳しく追及していく姿勢を強調した。

続いて、シュミハリ首相も「プーチン大統領に逮捕状が出されたことは正義に向けた重要な一歩だ。この犯罪やその他の侵略の犯罪に責任があるのはプーチン大統領だ。テロ国家の指導者は法廷に出てウクライナに対して犯したすべての犯罪について述べなければならない」とSNSに投稿した。

さらに、ウクライナ大統領府のイエルマク長官も、SNSで「これは始まりにすぎない」とコメント。「ウクライナではロシアによる子どもの強制的な連れ去りが、1万6000件以上確認され、捜査が進められている。実際の人数はこの何倍にもなるかもしれない」と記し、子どもの帰還に向けた取り組みを進めていると強調した。

その他、ウクライナのコスティン検事総長もSNSに「逮捕状が出されたということは、プーチン大統領は、ロシア国外では逮捕され裁判にかけられるべき人物となったことを意味する。世界の国々の指導者は、プーチン大統領と握手をしたり、交渉したりすることをためらうようになるだろう。これはウクライナと、国際法の秩序全体にとって歴史的な決断だ」と逮捕状が出されたことを歓迎した。

​【この逮捕状への各国の反応】​
欧米各国や日本は、子どもたちの連れ去りに関する責任者だとして、プーチンはじめ関係者を、資産凍結の対象にするなどの制裁を科した。

ただ、国際刑事裁判所へは、日本を含む123の国と地域が参加しているものの、ロシアやアメリカ、中国などは管轄権を認めていない。そのことから、プーチン大統領が実際にこうした国々では逮捕される可能性は極めて低いとみられている。
他に、ロシアが身柄を引き渡すとは思えないこと。プーチンが逮捕されるような国に出国するとは思えないので当分の間、身柄をおさえるのは現実的ではないという意見もある。

​【プーチンへの逮捕状の意義】​
しかし、逮捕状がでたからには、そこに積極的意義があるのではないだろうか?それは何か?
元ICC裁判官の尾崎久仁子・中央大特任教授はこう言う。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB244XT0U3A320C2000000/​

一つは「あえて逮捕状を出したと公表したのは子どもの連れ去りがいまも引き続き行われているので、こうした犯罪が繰り返されることを阻止するとともに、ほかの非人道的な行為を抑止する狙いもある」ということ。

二つ目は「ロシアという国連安保理の常任理事国である大国の現職の大統領がこういった犯罪で逮捕状を請求され、正式に被疑者になることが国際社会に与える影響は大きい。いままでロシアに対して中間的な対応をとってきた国々に一定のインパクトを与えるだろう」ということ。

三つ目は「プーチン大統領自身が大統領令を出してウクライナの子どもにロシア国籍の付与を促進するよう法改正を行っているという直接的な結びつきを示す証拠が得やすいことがあるのだろう」と指摘した。

​【国際社会の動き】​
アメリカのバイデン大統領は、17日、記者団に対しアメリカはICCの管轄権を認めていないものの「正当だ。強い説得力がある」と述べた。
そのうえで「彼が戦争犯罪を行っているのは明白だ」とあらためてプーチン大統領の戦争犯罪を非難。

EU=ヨーロッパ連合の外相にあたるボレル上級代表は、ツイッターに「責任追及のプロセスの始まりだ。われわれはICCの取り組みを評価し支援する」と投稿。

米調査グループのナサニエル・レイモンドさんは「極めて重要な一歩」と述べた。
ナサニエル・レイモンドさんは、アメリカ国務省の支援を受けて、ロシアが占領したウクライナ地域から、子どもをロシア側に移送している問題などを調査してきたアメリカのイェール大学公衆衛生大学院の人道研究室の室長。NHKの取材に対し、彼は「ウクライナの人々の正義を実現するため、そして、国際条約などで、子どもの違法な移送が禁じられていることを示すための極めて重要な一歩だ」と評価。

逮捕状についてロシア政府が「何の意味もない」などと主張していることについては、「その考えは間違っている。この逮捕状は、ロシアの行動をまだ非難していない国々に対しても、制裁を含む措置をとるよう呼びかけるものだ」と述べた。

さらに、「国際社会は協力して、ロシア政府がこの逮捕状に応じ、プーチン氏を国際的な法執行機関に引き渡すよう、できる限りの圧力をかける必要がある。それは、明日や来年には実現しないかもしれないが、われわれは国際社会として、強い決意で、決して信念を失ってはならない」と述べ、プーチン大統領の責任を追及し続けるべきだとの考えを示した。

【非加盟国の新しい動き】​
 ICCの非加盟国ができることも新たに見えてきた。非加盟国は何もできないと言う無力感を克服できる道が開けたと思える途である。

当事国とはいえ、ICCの非加盟国であるウクライナが、戦争犯罪についてICCの管轄権に同意。 ウクライナにICCの事務所を設置する協定を結んだ。それは、ウクライナ自体も戦争責任を問われる危険を孕むものだ。それをあえて踏み越えたところに、ICCとウクライナの真剣度が分かる。
これについて、ウクライナのコスチン検事総長は声明で「ICCとの緊密な協力関係における新たな章の始まりだ。全ての加害者が裁かれるまで(行動を)やめない」と強調した 。  ​https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB2415A0U3A320C2000000/​

​ICCの非加盟国が、管轄権への同意という形で、批准せずとも国際法に参加する道がひらけたと、私は思っている。​

【ロシアが「子どもの権利条約」にも違反していることが明確に】​
私は個人的に、この逮捕状によって、プーチン政権が他の国際条約にも違反していると、国際的にかつ人道的上普遍的に非難できる要件が、あらたに付け加えられたと思っている。

ロシアは国際連合の「子どもの権利に関する条約」、通称「子どもの権利条約」に1990年に署名。1991年に批准手続きを完了している。したがって、ロシアはこの条約を履行する責任があるわけである。
この逮捕状によって明らかになったプーチンの犯罪行為は、「子どもの権利条約」という世界条約にも違反したということを明らかにしたのである。

ロシアの「子どもの権利条約」違反という視点を持つもうひとつの意義は、政治的にプーチン政権と近い関係にある国々が、196の国々と地域が締結している国際法に違反していることを理由として、プーチンと距離をとる口実になりうること、と私は思っている。
​​​​​​​​​ ​​​​​​​​​​​​​​​





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2023.04.29 12:42:13
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: