Milkyway ジャーナル

Milkyway ジャーナル

PR

プロフィール

Milkywayジャーナル

Milkywayジャーナル

カレンダー

バックナンバー

2024.11
2024.10
2024.09
2024.08
2024.07

コメント新着

maki5417 @ Re:「ウクライナ以外でも起きている戦争犯罪:ミャンマー」(04/23) NHKが内戦を取り上げていましたね。 中…
Milkywayジャーナル @ Re[1]:「ゼレンスキー大統領の国会演説」(03/26) maki5417さんへ 同時通訳自体は、本当に難…
maki5417 @ Re:「ゼレンスキー大統領の国会演説」(03/26) 正直言って、同時通訳がとても分かりにく…

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2023.05.07
XML
Milkywayです。お元気ですか?
                              20230507

  ニューヨーク公共図書館 が、国際機関が出している“公共図書館の使命”を体現する努力を続けている図書館だと、このドキュメンタリーを観て改めて気づいた。
​具体的に書いておく。​

​【国際機関のいう公共図書館の位置付け】
  まず、 ユネスコ だが、1994年「公共図書館宣言」で、公共図書館を “教育・文化・情報の源であり、平和と精神的な幸福を育成するための必須の機関である” と位置付けている。

  次に、図書館関連で最重要な機関である 国際図書館連盟(IFLA) のガイドライン(指針)では、公共図書館を
「公共図書館は、個々人に対して広範で多様な範囲の知識、思想ならびに種々の見解へのアクセスを保障することによって、民主主義社会の発展と維持に資する重要な役割を担っている」と 位置付け
https://repository.ifla.org/bitstream/123456789/1057/2/ifla-publication-series-147-ja.pdf

  もうひとつ、
読者憲章」(The Charter for the Reader in 1992)では、読書が文化的・科学的遺産への鍵であり、国際理解を促進するもので、民主主義の基と宣言している。

 つまり、公共図書館は、
情報の源 であり、 平和と精神的幸福のために不可欠 の場所であり、 民主義の 基を形成し、それを維持するところ だと、明確に位置付けられているのである。デンマークには、民主主義と図書館を直接結びつけた「図書館は民主主義を育てる温室」と名づけたプロジェクトさえある。

​ニューヨーク公共図書館が、上記のような国際的な基本理念を土台に運営されていることがわかる映画のシーンをあげてみる。​

【情報の源であることに徹する姿勢】
ニューヨーク公共図書館 の、情報弱者をなくそうとする凄まじいとまでいえる努力を、この映画は描いていた。この図書館は当然ながら、書籍、音声、写真、画像といった媒体の充実をはかっている。それに加えて、今や、情報源として必須になったインターネットからの情報を、どの市民もが手にできるように、真剣に取り組んでいる。 ニューヨーク公共図書館 は、積極的かつ多様な形でパソコンの講座を開き、手取り足取り使い方を指導し、機器の貸し出しまでしている。情報弱者を作らない努力である。
その徹底した姿勢に私は感動した。

【公共図書館の位置付けは、民主主義の維持と発展のため】
 公共図書館に対するこの位置付けは、一般市民の我々にはあまりピンとこないかもしれない。だが、上にあげた公共図書館における国際的な主要宣言では、公共図書館が民主主義の維持と発展のために不可欠と言っている。

 どうしてか?
自由、繁栄、そして社会と個人の発展は、人間にとって、重大かつ根本的な価値である。その一方、それらは、その民主主義的な諸権利を行使できる能力を、市民のそれぞれがもち、社会において積極的な役割を果たすことができてはじめて、達成される。

 つまり、民主主義の発展と維持のためには、諸権利を行使できる能力が必要。その能力を得るためには、それぞれの市民がどれほど、知識、思想、文化、および情報に、アクセスできるかにかかっているということなのである。

 民主主義の維持にとっては、自由に、無償で、無制限に、情報にアクセスできることが必須。同時に車の両輪のように、情報に対するアクセス能力をもった市民による社会参加も、不可欠だというのである。

【ニューヨーク公共図書館の情報に対するオープンな姿勢】
 情報に対する‘オープンな姿勢’、‘開かれた姿勢’というのは、思想的枠組みや、時代の流れや、政治状況にも影響されることなく、欲する情報に、誰でもいつでも自由にアクセスできる状態をいう。

 そんなことは、言わずもがなと言われるに違いない。だが、これは実は難しい。蔵書を選ぶ人々が、時代や、社会の風潮や、その時代の価値観に影響されてしまう恐れがあるからだ。この映画 《ニューヨーク公共図書館》 には、選書にあたって“オープンである”ために、徹底的な議論をしているシーンが描き出される。

 もう一つ、 ニューヨーク公共図書館 の「情報に対しての開かれた姿勢」というのは、時代や思想潮流に影響されないということだけには留まらない。本というものそのものにも、枠付けをしないのである。良い本とも悪い本とも図書館自体は、判断をしない。本自体への評価をしないのだ。

 この「情報に対しての開かれた姿勢」を、 ニューヨーク公共図書館 が貫いているのがわかるシーンが、図書館が催した講演会シーンである。その講演は、歴史書に書かれた内容を、嘘だと主張する研究者の講演会なのである。彼は、アフリカでの奴隷貿易にイスラム教が関与していると従来の歴史書に書かれてきたが、それらは意図的に記述された嘘だと、主張するのである。
 自らの図書館に所蔵している本の内容でさえも批判する講演会を、その図書館が開催しているのである。普通は、所蔵している本を批判する講師の講演会など、開かないのではないだろうか?だが、 ニューヨーク公共図書館 は、所蔵されている本を、金科玉条のように絶対視しているわけではないのだ。

 私はこの ニューヨーク公共図書館 のオープンな姿勢と懐の深さに感銘を受けた。
情報に対して開かれた姿勢を保ち、枠付けはせず、議論を行っていくと言う健全な精神をみた。

 どのような主張に対しても耳を傾ける姿勢が、新たな研究の地平を拓くと、私は信じている。

 あらゆる情報に、自由にアクセスできる。それが民主主義の基本である。それを体現する 《ニューヨーク公共図書館》
心に残る映画だった。
​​​​​​​​​​​​​​





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2023.05.07 12:19:16
コメント(0) | コメントを書く
[音楽・アート・シネマ・古典芸能] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: