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今日もなんとなしに日が暮れていく。和夫にとって、人生30年にして始めての、経験だった。廻りを見回すと、飲んで酔っ払った男、風呂に何日も入らず着替えはいつしたかわからない・・・・・また、或る男は、道路に座り込み、通って行く女子大生をからかっている。 ここは、北九州のとある街角。すぐ傍には刑務所がある。また反対側には、警察署。北九州と言っても片田舎。 和夫はそれまで、固い職場にいた。国家公務員。 国家公務員と言っても、郵政事務官・・・・とは名ばかり、身分は保証されていたが仕事は、電話交換手兼電報の送受信。たまに郵便の窓口に出ることはあったが、・・・そんな生活に嫌気がさしたのか、また彼特有の名誉欲なのかよくわからなかったが、全逓の青年部長(地区の)に押され、また、自分も進んで引き受けた。このことが、結局は和夫の人生を狂わせる発端になったのだが・・・・公務員の組合専従職員は当時2年を限度とした。その2年を過ぎても、彼特有の名誉欲から和夫は、専従役員から降りなかった。その年の夏、組合総会。家庭主義者と言うレッテルを貼られ、3役解任。和夫はとうとう郵政には帰れなかった。体のいい解雇である。身分保全を主張することもできたのだが、それをしなかった。 それで、故郷に帰りぶらぶらしているところを、当時の地区労の委員長に救われることになる。 当時の地区労の委員長・つい最近は衆議院議員を経て、内閣総理大臣までなった人であるが・・・当時はそんなことは露にも思わなかった。その地区労の委員長が自衛隊の地連に手を回し、和夫を自衛隊に誘った。和夫は南極に行けることを希望して誘いに乗った。結局、自衛隊に入隊、南極にも行き、下士官の(3曹)の試験にも合格したのであるが、なぜかしょうに合わなかったのか除隊。先に除隊していた友達に誘われ、今の職場に着いたのだが、どんなにきれいごとを言っても、人夫出しの親方の補佐。和夫にとっては見るもの、聞くもの全て珍しかったが、生活そのものは人生最低の生活であった。 経済的には最低賃金は保証されていたし、一杯飲み屋も任され、売り上げの歩合も結構よかったが、どうしてもプレハブ住宅住まいと言うのは侘しかった。 が、誘ってくれた友達の手前、仕事は手を抜くわけにもいかなかったし、彼本来の真面目さからか、仕事は彼なりに頑張っていた。 朝は早くから人夫50人分の朝食の準備。弁当の手配。人夫を送り出した後は、朝食の片付け。それが終わると今度は翌日の人夫の割り振り。給料計算、人夫を出した所への請求書出し。電話番。それをしながらまたまた人夫50人分の夕食の用意、・・・・やっと1段落ついたところで、今度は屋台(一杯飲み屋)の仕込み。毎日が目の回るような忙しさだった。 和夫もなんとなく段取りもわかり、仕事の合間に一息つけるようになったころ、「もう、ここに来て2年。ずっとここで仕事を続ける?・・・・・」やはり、自分のおかれているところになんとなく合点が往かなくなっていた。確かに、人夫たちには、兄さん、兄さんと煽てられ、オーナーからも、オーナーの奥さんからも「釘宮君、釘宮君」と可愛がられてはいたが・・・・しかしながら、やはり和夫にとって人夫の中で生活するのは耐えられなかったのかもしれない。その当時、まだ18~9の若い、高校出たての人夫(アルバイト?)がよく和夫の元にやってきていた。彼が和夫にいつも、「どこかにいい仕事は無いですか?」「あんた位の若さで仕事が無いことは無いだろ。」「いつも面接までいくんですが、最後には断られるんですよ。」和夫は不思議に想い、「何で、」確かに彼は真面目だし、若い割りに礼儀はわきまえているし、なぜだかよくわからなかった。この職場に来たときも、和夫が面接をしたし、面接の時、変な感じは受けなかった。そこのところを尋ねてみると、「私、高校が朝鮮学校なんです。それで嫌うんじゃないですか。」その時初めて彼が、朝鮮人だと知った。和夫にとっては、朝鮮人が特にどうこうなんて思っていなかったし、その時のオーナーも朝鮮人だった。確かに公務員なら不味い場合もあるだろうが、一般の会社においてそこまで差別することは無いだろうに・・・・・・なんて思いながら「そんなものかね。」と・・・・彼も和夫が、そんなことを全く意に介さないのが解ったのか、それから一段と慕ってくるようになった。だが、和夫は一段と新天地を求めるようになっていく。 或る日、事務所に知った人間が訪ねてきた。やはり朝鮮人だったが、彼が、「釘宮さん、ここに来てどのくらいになりますかね。」「そう、かれこれ2年ちょいですね」「よくここまで辛抱しなすったね。社長も喜んでますよ。」「いえ、いえ私こそお世話になってばかりで。」と、気持ちとはうらはらに・・・・・すると「いい仕事があるんですがやってみませんか。」「何でしょう。」「社長には内緒ですが、私の友人が今度店を出すんです。そこに行ってみませんか?。」「何の店でしょう」「パチンコ屋ですよ。ここにいるよりはいいですよ。」 和夫にとっては、全くの畑違い。というより、パチンコ屋がどんなところか全く解らなかった。パチンコそのものは何度と無く足を運んだこともあるし、裏廻りのお姉さんがいるころから、通った事もある。当然、玉込め式のパチンコも打ったこともあるがそれでも、お客さんとしての事で、中の内情なんて全くわからなかった。「すぐ結論を出さなくてもまた来ますから、考えていてください。あなたならすぐに主任くらいはなれますよ。」「はあ・・・・・」そこまで話したところでオーナーが帰ってきたので、話は途切れたが・・・・結局、和夫が決心するまではそんなに時間が掛からなかった。パチンコ屋にいくことに決めたのである。ただ、かのアルバイト君を誘ったのは、後々後悔することになっていくのだが・・・
2009年04月28日
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「そうですね。できましたら山田さんも一緒に来ていただけたらいいんですが。」和夫は内心忸怩たるものを感じながらも、「そうですね、私が来たばっかりで明日の勤務はよくわかりませんので、本人に確認していただけますか?。」「わかりました。本人に確認します。では今日はもういいですよ。お疲れ様でした。」 やっと開放・・・・・。しかし、翌日のことを考えるとまた、うっとうしくなる和夫だったが、そこは相手が警察官、笑顔で署を後にした。 店に帰り、従業員に挨拶。みんな一癖、二癖ありそうな・・・・。が、警察での取調べに疲れきった体や頭はなかなか元に戻りそうもない。主任と山田を残し、他の従業員を帰宅させ、明日の打ち合わせ・・・・・。と言っても和夫、彼にとってはまだ店の勤務形態などは十分に把握してないから全て主任に任せることに。主任は山田の勤務を確認し、翌日の営業に支障の無いよう他の従業員とも連絡を取っていた。やっと終わり、パソコンの前へ。今日のデーターを取り出し和夫の元へ・・・・。和夫にとってその店でのはじめての釘調整。台の入れ替えも間近に迫っていたし、釘調整もそんなに長くは掛からなかったが本来、初めての店であるからには、一台、一台釘の表を見て回りたかったが、なかなかその気にはなれなかったのも元来仕方無かったのかも知れない。早々に釘を終わらせ、帰宅。遅い夕食を前に、晩酌・・・酒がなかなか進まない。まずい・・・・。初めは、警察に対してのやりきれない想いで女を相手に愚痴っていたが、だんだん死んだ女の人のことがあれこれ思い出され、無性に腹立たしくなる。腹立たしい、・・・・・いや、やるせない。なぜ、・・・・・・・・昔は結構、馬鹿話をして、鹹かったりもしたが、明るくて、人が好くて決して自殺なんかするような人には見えなかったものだ。負けて、「店長、この台どうなってるの、もう大分負けてどうしようもない。どうにかしてよ」なんて、また或る時は、「店長、今日は大分稼がせてもらいました。どこか飲みに行きましょうか?。」なんて、明るく笑っていた笑顔がなぜか思い出され、本当に、無性に、・・・・・・・・・・やりきれない。酒もまずく、早々に切り上げ、布団に入ったがなかなか寝付けない。よその店でよかった。あれが自分の店だったら・・・・・自分が調整した台だったら・・・・・・・・。自分が殺した・・・・・・。なぜか悪いほうへ、悪いほうへ考えてしまう。和夫がこの業界に入ったころは決してこのようなことは無かった。確かに、自殺した!・・・・・・なんて言うニュースは聞いたことがあるが、それは、パチンコだけに限らず、ギャンブルに手を出し、借金でどうしょうも無くなった。・・・・・ことが原因で・・・決してパチンコだけで破産なんて言う話はめったに無かった。けど、昨今はどうか。今日の自殺された店なんか、聞いた話によると、今度が初めてでは無いという。前はトイレで首をつって死んでいたなんて言う話もあった。何が原因なんだろう。実際、台によっては、ものすごいきつい台もあることは確かだが、今日の話では、朝からまったく当たりが無くて、一四~五万負けたと・・・そんなことがあるのだろうか。後ろで見ていたわずかの時間だが、スタートには結構入っていたような気がする。いや、普通の店よりかなり良く入っていた。あの台の確立から言っても、あの回りだと、(スタートに入ること、回転)本来店は赤字のはず。なのに・・・・・・・和夫は、つい先日のことを思い出した。久々にここに(この地区)来て、あの店で打った時のことを、五百円玉に両替して、わずか二~三回転で掛かった。立ち寄ってすぐに当ったのである。前の人がかなり打っていたのだろうか。いや、いや・・・・・やはり、・・・・・掛けてくれた。初めてのお客と間違われた。そうそう、あの時は、女と一緒だった。女も座ってすぐ当たりが来た。・・・・・・・やはり、あの時は、服装もおとなしい普段着だったし、さも、夕食後に遊びに来た近所の人と思ったのだろう・・・・・。今日の女の人も最初はそれで何回か勝たせてもらって病みつきに・・・・挙句、殺しに掛けられた・・・・・・。たぶん給料日も知ってた。そんなふうに・・・・・なぜかそんなふうにしか思えなくなった。和夫も、以前勤めた何件かの店でお客を殺しに掛けたこともあったが・・・決して、気が弱そうな人や、女の人をとことん殺しに掛けるようなことはしなかった。殺しに掛けるときは、態度が横柄で、従業員や、廻りの他のお客さんに迷惑を掛けているいやなお客に限っていた。しかし、それでも和夫はまさか自分のお客さんが、自殺なんて・・・・考えられなかったし、考えたことも無かったが。今後、そんなことが無いとも・・・・・・・。いろんなことが、頭の中を駆け巡り、なかなか寝付けなかった。 翌日、朝の朝礼を済ませ、警察へ、警察では、昨日のようなことは無く、調書が、淡々と書きあがっていく。それでも二時間。やっと終わって、開放。早速防犯課へ。「今日は、ラッキーの釘宮ですが。課長さんは?。」もうすでに話が通っていたみたいに、「やあ、あなたがラッキーの釘宮さん。昨日は大変でしたね。お疲れ様でした。」和夫が挨拶に来ることも、新しく来たラッキーの店長だと言うこともずべて知っていた。「今度、ラッキーを任せてもらうことになった釘宮です。よろしくお願いします。」「大変でしたね。これからもよろしく。」昨日、疑った・・・・・ことが原因か。警察にしては、愛想がいい。すまなく思っているのだろうか。お茶菓子と、お茶がすぐに出されたことにはびっくり。和夫はついど、警察署に挨拶に行って、お茶と、お茶菓子が出るなんてことはなかった。反対に恐縮して、尻がむずむず・・・・・挨拶もそこそこに退散して来た。
2009年04月25日
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「私、・・・・・釘宮と申しますが、何でしょう。」「この人とは、お知り合いですか?」「知り合いと言うほどのことはないんですが、かなり以前何回か話したことがある程度です。」 「今日は、この人とは?」「いえ、たまたま、この店に入るとき姿を見かけた程度です。」「さっき、この人が」と、山田の方を指して、「さっきの人とは何のことですか。」「あぁ、さっき駐車場から出てくるとき偶然見かけたものですから。」と、答えながら、できるだけ早くその場から離れようと頭の中で・・・・・しかし、やはりそのような態度は警察官にとっては、何か、胡散臭そうに感じるらしい。案の定、「では、この人に最後に会ったのはあなた方みたいですね。捜査に協力お願いできますか?」「はぁ・・・・、」和夫にとっては、赴任初日のことであるし、店の内情もまだ把握してない、自分の店の方もかなり気になる。そのようなことが、生返事になったのであるが、逆にそれがまた、和夫の離れたいという態度に合わさって、警察官にとっては、なおさら不審に思えたらしい。「失礼ですが、あなたは?、あまり見かけない顔ですが、どういう関係の方ですか。」と、警察官。「はぁ・・・・私ですか。」 和夫にとって警察は、しょっちゅう顔を出しているし、別段構えて話をするような所ではない、逆に顔見知りになって、以後の付き合いをやり易くしたほうが得になっていいはずなのだが、その時は、自分の店の事の方が気になって、この場に及んでもまだ煮え切らない態度であった、その時また横から、「店長、どうかしましたか、帰らなくていいんですか?」と山田が、柄にもなく気を利かしたつもりで言ったのがまた警察官に・・・・・「ちょっと待っててください。」当の警察官は慌てて、上司のほうへ行って何事か話している。帰るに、帰られずその場で待っていると、現場責任者らしい警察官が来て、「すみません、あなたたちが最後に会った人みたいなので、どうしても話を聞く必要があります。何ならパトカーで送りましょうか?」何かしら、有無を言わせぬ響き、態度。どうやら、目撃者から、当事者に格上げされそうな雰囲気・・・・・。やむなく、「わかりました。しかし何も知りませんよ。顔を見ただけですから。」そんな和夫の言葉さえ、胡散臭そうに斜に構えて見る。・・・・人を何か殺人者のように見ているのだろうか、それとも情夫?・・・・・ どちらにしても、警察まで行けば長くなることは目に見えている。店の方には確か社長も来るはずであるし、・・・・そんな風に考え、「太郎ちゃん、店に電話して、少し遅くなるって。」山田、・・・・そう山田は確か本名は山田何がしであったはずだが、従業員仲間で、太郎ちゃんと呼ばれていたので、和夫もつい・・・・すると、警察官が、「いいですよ、連絡はこちらでしますから連絡先を教えて下さい。」何か、こちらに連絡を取られるのがいやな感じ・・・・和夫は、またしてもいやな感じがしたが、もうどうにでもなれ・・・・・「太郎ちゃん、電話番号何番だっけ、教えてあげて。」山田は、まだ、自分の置かれている立場がわかってないみたいに、脳天気に答えていた。「じゃ、店長私は一足先に帰りますから。いいですか。」それに和夫が答えようとすると、間髪入れず、警察官が、「あなたも一緒に来てもらいます。」なにおか況やである。山田の、脳天気さや、警察官の横柄な態度に、和夫も苦虫を噛み潰したような・・・その後、自分の車に戻った和夫たちは、パトカーの先導に導かれ警察署へ。ふと、後ろを見ると、逃走を防ぐかのようにもう一台パトカーが・・・現場から警察署まで車でわずか、二~三分。何もこれほど物々しくすることもないと思えたのであるが、いよいよ被疑者に格上げかと、溜息が出そうである。警察署に着くとすぐ、取調べ室へ、山田はまだ、事務室でソファーに座って話を聞かれるくらいに思っているみたいだったが・・・・・、やっと事態が飲み込めたのか、和夫のほうを見て不安そうな顔をしていた。和夫は和夫で、-やっと気がついたかこの馬鹿-。と・・・・取調室ではまず、和夫の身上調査。本籍地、現住所、年齢、・・・・・・。やっとそれがすむと、しばらく取調官が席を外す。電話か何かで調べているのだろう。やっと帰ってきて、「現住所が違うけど、何か間違いですか。」「間違いありませんよ。そこのはずですが。」「お宅の言ってるところには、籍がありませんよ。何でですか。」和夫もやっと意味が飲み込めた。「それはそうですよ。まだ転入届は出していませんから。引っ越してきたやっと明日でも出そうかと思ってましたから。」「そうですか、引っ越したばかりですか。」解っているはずなのに・・・・・と思ったが、黙っていた。和夫が、後で聞いた話であるが、その時警察はすでに、パチンコ屋さんの監視カメラのビデオを入手、和夫がいかにも女の人が打っている様子を興味ありげにしばらく見ていたことに、気がついていた。しかも、和夫にとってはわずかな時間のつもりでも、警察にとっては、かなりの時間、女の動向を見ていたように見えていたのである。また、女の人が打つのを止めた時、声を掛けそうに見えたこと、帰るのを追っかけて行くように見えたこと、・・・・・・などなど、警察にとってはいかにも和夫が何らかの行為をしたように見えてきて仕方がなかったのである。 和夫にとっては、不幸に不幸が重なったようなもので、それからの取調べの長かったこと・・・・・同じ事の繰り返し、何度も何度も同じことを繰り返し聞かれ、ほとほと、いやになってくる。どのくらいの時間が経ったであろうか。もう、我慢ができなくなって、堪忍袋の緒が切れ掛かったと時、取調室のドアが開き、別の警察官が入って来た。和夫の前にいた警察官に声を掛け一緒に外へ・・・・それからだった。態度が変わったのが・・・・。口調も丁寧になり、お茶は進めてくれる、タバコは勧めてくれる・・・・・。和夫も狐に化かされたような・・・・・。何でも、女の人が死んだその時間、和夫と、山田が別のパチンコ屋にいたことがその店のビデオによって証明されたことが原因だった。和夫自身、そのことは気がついていなかったし、死んだ時間さえ知らなかった。女の人が立体駐車場の四階に上り(後でわかったことだが)死ぬ決心がつくまでかなりの時間があったのだろう。結果的に、そのことが和夫が無実であることを証明してくれたことになったのだが。四階に上がり、すぐに決行していればどうなったことやら・・・・・・・。 それでも、警察に入ってから、開放されるまでかれこれ、五時間。外はもうネオンが灯り、警察署の前にも酔客がちらほら・・・・和夫は慌てて、時間を見て、「すみません、(自分の店が)そろそろ閉店時間なんですが。従業員を帰さなければなりませんので、帰っていいですか。」その時はもう、だいたい疑いも晴れていたので、「いいですよ、でも明日もまた来ていただけますか。」「まだ何か聞くことがあるんですか。もうこちらは話すこともないんですが」「もう少し話を聞かせて下さい。」「いいですよ。どうせ明日は防犯課(今は生活安全課)に来るつもりですから。何時に来ましょうか?明日は私だけでいいですか。山田はもういいでしょう」
2009年04月19日
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エピローグ その日、和夫は久しぶりに近所のパチンコ屋をに足を運んでいた。パチンコ屋に行くのは、初めてではなかったが、その日はなぜか、見るもの、聞くものが新鮮であった。見るものが総じて物珍しく、何か懐かしくさえ感じ、その上、何かしら物悲しくさえ感じる。少し、イライラさえしてくる。遠くに目をやると、わずか五年前に慣れ親しんだ、山々、海、海岸、島・・・・来る途中の車窓の景色も懐かしく、「帰ってきた。」と、懐かしくさえ感じていた。やがて、市内に入っていくと、慣れ親しんだ、町並みの中に何かしら、違和感が・・・・・・たった五年の間にこんなにも変わったのか・・・新しいビルが建ち、新しい道ができ、・・・・道を行きかう人たちも何かしらハイカラになった気がするのは、勘違いだろうか・・・・・・・・。こんな田舎の町もわずか五年の間にこんなにも変わるのだろうか。振り返ってみると、自身は五年も経ってもいまだ、風来坊。 連れ添う女はいたし、今も社宅に帰れば、一人家事にいそしんでいるのはずだ。しかし、こんな仕事をしているうちはなかなか、籍を入れてやれないし、子供もなかなか作れない・・・・・・。そんなやくざな生活が、・・身の上がイライラさせるのだろうか。 複雑な想いをしてみたって、今の生活が変わるわけではなし、また、変えられるわけでもない。 気を取り直して、パチンコ屋のホールに入って行こうとして、前を見ると、いやに若作りの女の人がボウッとしている。よく見ると、以前よく和夫がいたホールに顔を出していた人だった。結構美人ではあるが、もう確か三十五,六歳のはずだ。和夫もその当時、まだ、三十半ばだったし、女っ気もなかった。(あわよくば)なんて思ったこともあった女である。さすがにお客さんに色目を使ったりはしなかったが・・・・。で、懐かしさも手伝って、「今日は、お久しぶりです。」声をかけたが、なんとなく無視されたような気が・・・・・決して無視をするような人ではなかったように覚えていたが、なんとなく再度声を声をかける気がしなくて、黙って、通り過ぎて、ホールに入って行った。 さすがに地元一番の店、パッと見ただけでも、四百台近くの台が約八割近くも埋まっている。お客さんの手元を見ても、みんな結構玉を持っている。従業員もかなり洗練され、忙しく動き回っている。さすがに地元一番の店であると感心して、一応、店の総てを見て回る。 すると、さっきの女の人が一身腐乱に打っている。人気機種のひとつの三回権利物・・・・・・・。なぜか気になって離れてみていた。どのくらい見ていただろうか・・・・・。わずかの間に、両替を三~四回しただろうか。全て、一万円札だったから、わずかの時間で三~四万負けたことになる。 聞くとはなしに聞いていると、朝からもう十万円以上負けていると言う。何でも、昨日給料日で、今日は久しぶりの休み、朝から好きなパチンコを楽しみに来ていたらしい。さすがに十三~四万も負けて、かなりイライラし、落ち込んで、もう回りも見えなくなっているみたいな感じであった。皿に玉が少ししかなくなって、また立ち上がって、両替機の前に財布を開いて、中に手を入れ札を取り出そうとして、ハッと、中を見てみて、何もなかったのだろう、慌てて今度は、バッグの中から、なにやら紙袋を取り出した。中をのぞいて・・・・・・・その時の顔を、和夫は当分忘れられそうになかった。なんと表現したらいいものか、びっくりした・・・、泣きそうな・・・・、人間、血の気が引く・・・・・、なんて表現があったが、正に、そのような顔だった。 と、ふらっとしたかと思うと、自分の打ってた台のほうへ、残りのわずかな玉を打ってしまって、立ち上がったが、しばらく、台を離れがたく、後ろに立ったままだった。やっと、あきらめたのだろうか、消沈した顔で、通路の外に出てきた。しかし、まだ諦め切れなかったのか、自分の打っていた台をしばらく見ていた。 すると、五分もしないうちに、隣に座っていたお客が台を変わりその台で打ち始めた・・・・・、と、球がスタートに入り回り始めた。最初の回転がやけに長い、しばらくすると当ったことがわかった。座ったお客は「してやったり。」と自慢げな顔をして喜んで・・・・・ふと、女の人を見ると、顔を真っ青にして、一歩、二歩台の方へ歩きかけたが、思い切って、振り返ってトボトボと玄関の方へ和夫は、声を掛けようと追いかけたが、思いとどまり、そのまま、他の店を見ようと、車の方へ・・・・車では、従業員が待っていて、「次はどこへ行きますか。」「そこでも、この店の次にお客さんの多い店に行こうか。」車を発進させ、降りて行くと、(そこは立体駐車場だったから)ばったり、さっきの女の人に会った。帰るんだ、自分の車の方に行くのだな・・・・、と思いまた、声を掛けようと、従業員に車を止めるように言おうと思って「ちょっと」・・・・まで言ったが思いとどまって、すると、従業員が「何です、忘れ物ですか。止めましょうか。」「いや、いいや。女の人に声を掛けようかと思ったが、もういいや。」「知ってる人ですか。」「前この町にいたときの常連さん。」「そうですか、止めましょうか。」「いい、負けすぎてるみたいだから、声を掛けるのがちょっと。」「はい。じゃ、次へ行きましょう。」結局この時声をかけなかったことが、ずっと後まで和夫の心に影を落として行くことになるし、警察に呼ばれることもなかった。 それから、この地区の、パチンコ屋さんを全部見て周り、「帰ろうか。」と、従業員に促し、帰る途中、先ほど見てきた、地区一番の店の前を通りかかった。すると、何か騒がしい。よく見てみると、警察の車が、三~四台、救急車も来ている。「おい、何だ。何かあったみたいだど」とすると、従業員は車を止め、「何でしょう、喧嘩かな。それとも強盗。」結局、それがことの発端だった。和夫にとって、警察とは、切っても切れない関係だし、次の日には、警察署に挨拶に行くつもりもしていた。それが、図らずもこんな形で話を聞かれようとは・・・・・「ちょっと、聞いてきます。」従業員は(確か山田といった。)野次馬みたいに、そそくさと近づいて行く。和夫も、後から目立たないように、行ってみた。すると山田は「何かあったのですか。」と警察官に聞いている。何も警察官に聞かなくてもと思いながら見ていると、警察官は黙ってある方向を見ている。手には、写真が山田は写真を覗き込みながら、「店長っ、さっき、駐車場で見た女の人が、・・・・」そのときは、和夫ももう何があったか見当はついていたが、まさか、さっきの女の人とは思っていなかったし、自分に関係があるとはまったく思ってなかった。実際関係はなかったのだが・・・・・・、山田の一言を警察官が聞き逃すはずもなく・・・・・、「もしもし、あなたは。」警察官の目は、当然和夫の方に向いている。「えっ・・・・・」「私ですか。」(山田の馬鹿変なところで声を掛けて・・・・・)と、それからが長い一日の始まりだった。
2009年04月15日
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今年はやっぱり、ついてなかった。新年早々、愛機は故障するし、修理終わったかと思ったら、今度は、本人が、故障・・・・・長いドッグ生活もやっと終わり、数日前、やっと出所・・・・・・・でもまだ、家族に監視が厳しくて、なかなか愛機の前に座れない・・・・・けれど、何事も、万事塞翁が馬・・・・これを人生のいい意味での、折り返し点にしたい。切実な思いで・・・・再出発。思い出にならないように・・・・ブログの方も何かしれ切れとんぼになってしまって、今は反省しきり・・・・この機会に、新たに項を起こそうと思う。前回のブログを見てくださっていた方はご意見多々あると思うし、現実に、このブログの犯人探しをしている人もいたというし・・・また、次を期待して待っていてくれた人もいるかと思う。けれど、今回は心機一転、今一度、視点を変えたり、面白い人々の動向など交えて、書いていこうと思う。で、もうひとつ前回は少し、回を急ぎすぎた嫌いがあったので、今回は、回想を満つにして、現状の取材などを踏まえ、少し、内容を濃くしたい。そこで、約1週間に1篇くらいに集約していきたい。前回のブログに負けない応援よろしく。また、前回に負けないご意見をお寄せくださるよう期待してます。PS なお、意見は多いに感謝しますが、 かなりの数のサイト案内などがあります。 これは勘弁してほしい。 出会い系サイトの勧誘は無駄ですのでお断りします。
2009年04月11日
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