お正月だけ
家の玄関を出入りする人がいる
日頃は御主人が一人出て行けば
後は誰一人出てくる人影も入って来る人影もない
お正月だけご主人以外の人が
カツカツと靴音を響かせて近づいてきたと思ったら
玄関の鍵をガチャリと捻って
家の中に姿を隠したり
あるいは家の中から出て来て
ガチャリと鍵をかけたり
カツカツと靴音を響かせて
遠ざかって行く
家の中には
主がいなくなって随分経つようで
正月というのにしめ飾りを飾らず
窓は汚れて曇ったまま
外壁も随分痛んだままに
打ち捨てられたような家がある
親が亡くなれば
帰ってくる子どもたちも居ないのだろう
あるいは元から借家で住人が住まなくなって
随分経っただけなのかも知れない
親や子の
つながりは生きているからこそ存在すると思う
死んでしまえば
忘れるに任せて
忘却の彼方かな
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