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著 者=ドネラ・H・メドウズ、デニス・L・メドウズ、ヨルゲン・ランダース訳 者=枝廣淳子書 名=成長の限界 人類の選択発行所=ダイヤモンド社発行年=2005.3評 価=★★★★☆書名としては非常に有名な「成長の限界=Limit to Growth」。1972年にローマ・クラブプロジェクトより出版された「成長の限界」、1992年の「限界を超えて」に続く、本書は30年間をアップデートした2002年出版のシリーズ第3弾となるようだ。シミュレーションによって、地球全体の経済成長はどの程度可能なのかを示したものである。恐らく、各国の政策当局や経済学者を含めた様々な有識者から、徹底的な無視か容赦ない批判を受けてきたのだろう、文体にしろ内容にしろ色々な言い訳と断定しない表現に満ち満ちている。単純に、素人からも突っ込み所満載の内容である。結局は、エネルギー資源は有限であり人口の食糧を養う土地も有限なので、経済成長なり人口増加していくと、資源調達や食糧生産あるいは環境汚染除去に金がかかり過ぎ、資本が他に回らなくなり崩壊する、らしい。崩壊を回避し持続可能な社会とするためには、人口を抑制し増やさず・工業生産を増やさないよう(=経済成長させない)ことが必要、との言い分だ。違うと言う人もいるかもしれないが、自分自身は読んで内容をこのように理解した。単純に言うと、資源エネルギー供給・食糧生産・環境汚染除去等への益々増える投資には限界があるので、成長には限界があるということ。結局は、ぐだぐだ言い訳しているが工業生産・人口増加が「ゼロ成長」であることが地球にとって持続可能ということ。らしい・・・。この「成長の限界」支持者にとっては、今の日本は、人口も経済もゼロ成長なので、ある意味、「理想的な持続可能な優れた国」とも言えるかな。加えて、優れた環境技術や「もったいない精神」、災害時にも暴動が起こらない慈愛に満ちた共同体であるし、非の打ちどころがない理想的な国かも。それにしては、日本人の環境活動家も海外の環境にうるさい人々も、日本という国を全く褒めないけど・・・。その点が残念。また、エコロジカル・フットプリント(=地球の資源基盤と生態系に対して人類が与える環境影響の合計)という言葉を至る所で強調するが、その定義が明らかでない所が、非常にもどかしい。たまに「エコロジカルフットプリントを減らすことを意識しよう」・「世界全体が先進国並みの生活水準になると地球が○個必要」なんて、したり顔で言う人々もいるが、本当に正確な意味を分かって言っているのか怪しい。定義が正確でないデータで出た答えは、全く意味がない。まさしく、Gabage In, Gabage Outだ。【楽天ブックスならいつでも送料無料】成長の限界人類の選択 [ ドネラ・H.メドウズ ]
2015.01.17
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著 者=ダニエル・ヤーギン訳 者=伏見威蕃書 名=探求 -エネルギーの世紀 【下】発行所=日本経済新聞出版社発行年=2012.4評 価=★★★★★上巻に続き、ようやく読み終えた。これほどの読み応えのある書物は久々である。本当に著者の見識とエネルギー問題に関する深い洞察が読みとれた。下巻は、主に「電気」「気候変動」「再生可能エネルギー」であるが、電気に関する記述は、石油や天然ガス等の資源エネルギーと比較すると歴史的経緯や最新動向もトレースしておらず、不思議と控え目あるいはあっさり過ぎである。その分、気候変動問題や再生可能エネルギー問題は奥深い。気候変動問題活動は「反成長・反開発の徒党」であり、ローマ・クラブ「成長の限界」報告書と同類項であるそうだ。ただ、ソーラーがほとんど再生可能エネルギーの総称として使われていた1970年代から、再生可能エネルギー=新エネルギーは米・欧州・日本等の先進国の動きについてきっちりまとめている。1973年の第一次オイルショックを受け、米国カーター政権が新エネルギーを始めて盛り上げたが、レーガン政権で縮小した1980年代から1990年代までは、日本がサンシャイン計画・NEDOで新エネルギー開発を引っ張った。欧州でもチェルノブイリ事故とソ連崩壊による東西ドイツ統一の混乱で'91年にドイツで再生可能エネルギー買取制度(FIT)が導入され、00年代からは欧州が政策で新エネルギー導入を引っ張った。'05年に中国で新エネルギー法が成立し、世界最大の風力市場と世界最大の太陽光発電製造輸出国に短期間にのし上がった。これらから言えることは、市場で取引されない再生可能エネルギーは、政策・経済・イノベーションの三つが大事で、日本は1980-1990年にイノベーションで、ドイツは1990-2005年に政策で、2005年以降は中国が経済で優位に立ったことを明確に示し、説明も美しい。本当に良書であった。【楽天ブックスならいつでも送料無料】探求(下) [ ダニエル・ヤーギン ]
2015.01.09
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